世界の平和運動が、「核兵器のない世界」をめざしていることだけは間違いない。 もちろん、五大国だけが核兵器保有の特権を認める「核不拡散条約」の体制が、差別的なものであることの認識もしているし、核保有国が「自衛」や「安全保障」を口実に核戦力を手放そうとしないこともまた事実である。 しかし、だからと言って、「自衛のため」と称して、新たに核兵器を開発、保有する国が登場することには断じて反対する。 北朝鮮の核兵器開発や弾道ミサイルの発射実験がテレビで放映されているのだが、これまでの国際合意や国連安保理決議に違反する、国際社会への重大な挑戦であり、断じて認められるものではない。 北朝鮮が核兵器を実戦配備すれば、偶発的な事件がエスカレートして、核兵器が使用される深刻な事態に陥ることも予想しなければならないのだ。 同時に、周辺諸国などによる軍事的対応も新たな段階に突入し緊張を高めることも確かである。 報道によると、すでに韓国では、先制的な攻撃、核兵器の使用までふくめた、新たな対北朝鮮「抑止計画」が検討されているとか。 打開策は、軍事対軍事の危険な悪循環から抜け出し、外交による解決を図る以外にはないのである。 日本でも、北朝鮮のミサイル基地への先制攻撃を主張する極右勢力の連中が存在しているのだが、日本が先制攻撃をすれば、本格的な軍事衝突になって、国民の命とくらしが重大な危機にさらされることも避けられない。 軍事対応がいかに無責任な議論であるかは明白なのではないだろうか。 北朝鮮の核・ミサイル開発に事態の重大性と打開の緊急性は要求されるのではあるが、外交的解決が唯一の道であることだけは間違いないようである。