妻が境界性パーソナリティ障害を持つのではないかと思い至っています。私はその夫でクリスチャンです。

聖書 心の病気 家族支援 希望 いのち 翻訳 心理学 片親疎外 回復 ヘブライ語 進化 創造 サイレントベビー

(10)記事の更新

2013年09月11日 | 日記


・2017/5/20 聖書と翻訳 ロバの首を折る?
・2017/1/29 聖書と翻訳 箴言-3
・2017/1/13 聖書と翻訳 箴言-2
・2017/1/8 聖書と翻訳 翻訳で参考にしたウエブサイト
・2017/1/8 聖書と翻訳 箴言-1
・2016/11/17 直訳は誤訳-3 オバマ大統領広島演説より
・2016/11/14 直訳は誤訳-2 オバマ大統領広島演説より
・2016/11/14 直訳は誤訳-1 オバマ大統領広島演説より
・2016/6/27 聖書と翻訳-19
・2016/6/22 聖書と翻訳-18
・2016/6/16 聖書と翻訳-17
・2016/6/8 聖書と翻訳-16
・2016/5/31 聖書と翻訳-15
・2016/5/28 聖書と翻訳-14
・2016/5/21 聖書と翻訳-13
・2016/5/20 聖書と翻訳-12
・2016/5/19 心理学-5 ストックホルム症候群
・2016/3/30 進化か創造か ねつ造されたピルトダウン人
・2016/3/17 進化か創造か 母語の獲得
・2016/3/10 進化か創造か ヘッケルの偽造と反復説
・2016/3/3 境界性パーソナリティ障害は40代で治るのか? 
      『境界性パーソナリティ障害とは』の中の40歳安定説を独立した記事にしました。
・2016/2/28 境界性パーソナリティ障害からの回復-3
・2016/2/11 心理学-4 赤ちゃんの脳と危険な育児
・2016/2/2 心理学-3 44名の少年犯を調査
・2016/1/5 心理学-2 アタッチメント
・2015/4/10 心理学-1 動物行動学が示すもの
・2015/3/27 オバマ大統領就任演説 クジラ構文が当てはまらない
       記事を並べ替えました 
・2015/3/17 ヘブライ語 qarab nebiah ことばの解釈
・2015/2/21 メキシコのゴスペル 『主はここに』追加
・2015/2/15 Jesus Adrian Romero メキシコのゴスペル 『あなたの愛に出会うまで』追加
・2015/2/12 境界性パーソナリティ障害の原因
・2015/1/22 ヘブライ語 masows ことばの解釈
・2015/1/6 『聖書と翻訳』各記事の文字数が多くなったので記事を分けました
・2014/9/14 境界性パーソナリティ障害からの回復-2
・2014/8/14 Jesus Adrian Romero メキシコのゴスペル
・2014/1/17 境界性パーソナリティ障害、診断、治療、家族
・2014/1/14 聖書と翻訳-6
・2013/12/31 聖書と翻訳-5 
・2013/12/22 聖書と翻訳-4 
・2013/12/21 『記事の更新』『ごあいさつ』を別の記事に分けました
・2013/12/19 聖書と翻訳-3
・2013/12/12 聖書と翻訳-2
・2013/12/12 聖書と翻訳-1
・2013/11/23 精神科医の不足 ピア・サポート 家族支援
・2013/11/11 境界性パーソナリティ障害からの回復
・2013/10/26 傷つきやすい心 記事追加
・2013/9/11 傷つきやすい心 新記事 
・2013/7/28 エクスポージャー法(暴露療法) パニック障害などへの治療 新記事  
・2013/4/16 愛着関係・・・ ~児童虐待、片親疎外症候群~ 一部加筆
・2013/3/16 英語のウエブ・サイトの紹介
・2012/12/15 Jesus Adrian Romero 「魔法のプリンセス」 Princesas magicas
・2012/7/21 高機能型の境界性パーソナリティ障害 ~英文サイトより(2)~ 一部加筆
・2012/6/13 パーソナリティ障害 英語での定義 ~disorderの意味~ 一部加筆
・2012/5/6 妻の生い立ち 全記事削除 その他の記事も部分的に削除
・2012/5/4 境界性パーソナリティ障害とは ~40歳安定説~ 加筆
・2012/4/29 ごあいさつ ~記事の大幅な削除を検討中~ 追加
・2012/4/9 パーソナリティ障害 英語での定義 ~personalityの意味~一部加筆
・2012/3/19 パーソナリティ障害 英語での定義補足説明 新規追加  
・2012/2/18  不認証環境~境界性パーソナリティ障害の要因 新規追加
・2012/1/4 ごあいさつ ~ブログ立ち上げから一年が過ぎて~ 追加
・2011/11/12 マーシャ・リネハン博士、闘病体験を公表-2 ビデオの私訳を追加
・2011/11/3 マーシャ・リネハン博士、闘病体験を公表-2 『責務を果たす』追加
・2011/10/28 マーシャ・リネハン博士、闘病体験を公表 『徹底的受容』追加
・2011/10/16 マーシャ・リネハン博士、闘病体験を公表 『地獄の苦しみ』追加
・2011/10/13 マーシャ・リネハン博士、闘病体験を公表 英字新聞より
・2011/9/2 漢文訓読法の影響 原文放棄
・2011/9/2 パーソナリティ障害 英語での定義
・2011/8/21 境界性パーソナリティ障害とは ~40歳安定説~ 追加
・2011/8/13 境界性パーソナリティ障害とは ~傷つきやすい無防備な心~ 追加
・2011/8/3 むすび ~境界性パーソナリティ障害の治療~ 追加
・2011/7/13 愛着関係、児童虐待、片親疎外症候群、複雑性PTSDについて 新規追加
・2011/6/16 本の紹介 一部追加
・2011/4/7 翻訳徒然草 -6- バウンダリーについて 追加
・2011/3/30 翻訳徒然草 -3- 日本語の「りんご」は、英語で「apple」か?ほか追加
・2011/3/29 妻との生活-2 ~無言の育児~ アタッチメント、マターナル・デプリベーションについて追加
・2011/3/25 ウエブサイトの紹介 各サイトに、コメントを追加
・2011/3/24 高機能型の境界性パーソナリティ障害 一部追加
・2011/3/24 翻訳徒然草 新規追加
・2011/3/21 お付き合いの仕方「Take the First Step Toward Improving Your Relationship」和訳追加
・2011/2/19 お付き合いの仕方 ちょっと (^_^;) 追加
・2011/2/19 YouTube動画 和訳 ご家族の方へ 追加
・2011/2/14 YouTube動画 詩篇119篇 追加
・2011/2/8 YouTube動画 和訳 My story 追加
・2011/2/5 YouTube動画 和訳 Tools to reduce anger ほか 追加
・2011/2/5 「お付き合いの仕方」を削除
・2011/2/3 「お付き合いの仕方」和訳訂正
・2011/2/2 「お付き合いの仕方」追加 Youtube動画の英字を私訳 
・2011/2/1 記事全体を訂正
・2011/2/1 「高機能型の境界性パーソナリティ障害」に海外のウエブサイトの私訳追加
・2011/2/1 「ウエブサイトの紹介」に、URLリンクを貼り付け
・2011/2/1 「目次」を追加


記事の文章の引用、コピーについて

このブログの記事の引用、コピーをして使っていただいても結構です。著作権のようなものは主張しません。ただ、このブログが引用元だと分かるよう『ブログのURLやタイトルを付記』してほしいと思います。引用する際、事前承諾は取らないで結構です。事後でもいいので、連絡をいただけるとありがたく思います。特にこだわりはないですが、写真については、コピー、転載はしないということにしておきましょう。


記事の日付について

記事の本文を開くと、おのおの、記事の右上に日付が表示されます。記事の順番を入れ替える都合で、実際の掲載日とは違っています。実際の日付は、ここ『記事の更新』をご参照ください。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

(11)ごあいさつ

2013年09月11日 | 日記


~ごあいさつ~

はじめまして。「ぶどうの木」のブログにお越しいただきありがとうございます。

「境界性パーソナリティ障害」についてのホームページ、ブログ、質問は最近かなり増えたようですね。私自身このキーワードで検索を始めて数年が経ちました。

ホームページやブログには、お医者さんの立場から書かれた専門的なもの、境界性パーソナリティ障害という病気を抱えるご自身が書かれたもの、境界性パーソナリティ障害の方を支える立場で書かれたものなど多くのものがあります。今までそれらのものから多くの有益な情報をいただいてきたことに、深く感謝を申し上げたいと思います。

この私のブログは、境界性パーソナリティ障害を持つ妻の夫として、今まで聖書のみことばで支えられてきたこと、考えを深められたことを分かち合いたいとの思いから作りました。

現在、私自身別居中で家庭が壊れ悲しみの中にある状態です。まだ問題から脱出できた訳ではありません。悲しみの中にはいますが、なおも希望と導きを与え続けてくださる神様に感謝をしています。
このブログを見ていただいた方が、いくらかでも慰めや励ましを感じていただければ幸いです。

『私たちの主イエス・キリストの父なる神、慈愛の父、すべての慰めの神がほめたたえられますように。
神は、どのような苦しみのときにも、私たちを慰めてくださいます。こうして、私たちも、自分自身が神から受ける慰めによって、どのような苦しみの中にいる人をも慰めることができるのです。
それは、私たちにキリストの苦難があふれているように、慰めもまたキリストによってあふれているからです。』
コリント人への手紙 第二 1章3~5節


~ブログ立ち上げから一年が過ぎて~

このブログは『妻に境界性パーソナリティ障害があるのではなかろうか』という疑念を抱いた経緯について、伴侶の立場から記述させていただきました。私のように伴侶の立場で苦しんでおられる方が、手がかりとなる情報を得て、一日でも早くサポートを受けることができればと願ってきました。

このブログを訪れた方には、ご自身が境界性パーソナリティ障害を抱えておられる方、あるいはそのご家族、恋人、友人関係にある方がいらっしゃるでしょう。家族といっても、私のような伴侶の関係にある方、親としての間柄にある方がおられます。このブログの情報が、どのような立場の方にとってもお役に立っていただきたい気持ちはありますが、現実はそうでもないようです。現在ご自身が治療中の方、あるいは、そのご家族の方の場合、医師(カウンセラー)の語ることを第一優先に聞いていただきたいと思います。このブログが、治療の妨げとなる情報を与えてはいないかと案じています。治療が継続できること、治療目標を達成できることを何よりもお祈りいたします。

境界性パーソナリティ障害に関するウエブ・サイトは日に日に増えています。誰でも簡単にサイトを作ることができ、また多くのサイトから情報を得ることができるようになりました。中には、境界性パーソナリティ障害に誤解や、悪いイメージを与えるサイトもあると私は感じています。自戒を含めてですが、このブログも含めて、情報の有用性についてはご検討いただきたいと思います。

今まで私が記述したものが不適切な表現となっていないか、これまでの記事を振り返り、検証させていただきたいと思います。翻訳で自信のない個所についてはネィティブのアドバイスを受け、誤訳のないように努めたつもりですが、更なる検証をし正確を期したいと思います。変更する内容が大きく変わる場合は、『記事の更新』でその旨お知らせさせていただきます。

このブログでは、これまで『境界性人格障害』と表記してきましたが、この機会に『境界性パーソナリティ障害』と改めさせていただきます。『人格障害』という言葉には、この病気を抱える方を中傷するニュアンスを感じるからです。その理由についいては、『翻訳徒然草-2 パーソナリティ障害 英語での定義』に書かせていただきましたので、ご参照ください。ブログには一括変換の機能がないようなので、全記事の訂正には時間が掛かりそうです。ご了承ください。

私ごとで恐縮ですが、新しい記事の作成に、なかなか時間を割けなくなってきました。今後、新しい記事の更新ができるまで、しばらく時間が空くことと思います。ご了承ください。

心の病気に対する誤解や悪いイメージがなくなること、病気を抱えるご本人、サポートをするご家族、コメントをくださった方々に、いのちと希望が与えられることをお祈りいたします。


~記事の大幅な削除を検討中~

良い報告をさせていただきます。僅かですが、今まで別居という状況が続いてきましたが、和解に向け前向きに検討したいという態度が妻に表れてきました。子どもたちは、今多感な時期を過ごしています。子どもの心の成長を守るということは、私と妻の共通の認識のはずです。このことを糸口に、妻とのコミュニケーションを図って行こうと思います。

近い将来、妻が自分自身と向き合うことができ治療支援に結びつくことを願っています。妻本人がネット検索をした時に、このブログを見ることも考えられるので、本人を特定させる内容の文面について、大幅な削除を検討しています(2012年5月関係する記事を削除)。その前に、私の友人、知人、このブログを訪れていただいた方、私たち家族のためお祈り頂いた方に感謝とともにお知らせをさせていただきます。

最近まで私は、子どもたちの心の成長をどうやって守るかということで頭が一杯でした。『子どもたちは妻と暮らすのが幸せか、私と暮らすことが幸せか』といったことを何度も考えたものです。こうした二者択一的考えは思考の退行だと思います。私は裁判(あっせん、調停も含めて)で監護権を争ってはいませんが、現在係争中の方、これから司法の場で戦おうとお考えの方もおられるかも知れません。私の場合、そうした監護権争奪をしなくて良かったと、今思っています。以前は、子どもの幸せを願うからこそ、引き取って育てた方がいいのではないかと思っていましたが、こうした考えは子どもたちの本心とは違っていました。大人の視点でしか物事が考えられず、子どもの視点から物事を考えることができていませんでした。子どもたちは『お父さんとお母さんと自分が仲良く暮らせる家庭が戻ること』を一番望んでいました。

発達心理学では、両親の不仲や離婚が子どもの心に深い傷を与え、子どもが自分の存在を肯定できなくなったり、アイデンティティの未発達さを招き、複雑性PTSDの要因となると警告されています。今、子どもたちは妻と一緒に暮らしているので、子どもの心の成長を守るということは、妻の心の安定を抜きにはできません。妻の心を不安定にさせると言動が乱れ、同居する子どもたちへの悪影響が懸念されます。妻の心の不安定は、子どもの心の不安定につながり、妻の心の安定は、子どもの心の安定につながります。子どもの心の成長を守るためには、妻の心の安定が不可欠だと分かりました。これは、別居が続く状況であってもそうですが、夫婦が和解でき家庭の統合が果たせた場合でも同じことです。もし、私と同じ状況で苦しんでおられる方がいらしたら、監護権の争いといったことから一旦頭を切り替え、奥様(あるいは旦那様)の心を如何に安定させるかといったことに目を向けてはいかがでしょうか。それが、お子さまの心の成長を守ることになると思うからです。もし、ご自身がうつ病となってしまった場合『大きな決断は避けること』が大切です。苦悩から解放されたくて、手っ取り早く問題を解決しようとする傾向があり、自分では考え抜いたつもりでも、客観的に見れば思考が十分働いていないということがあるからです。

私自身、うつ病、別居といったつらい経験をしてきました。自分の考えや行動にブレーキをかけ、踏みとどまったり、待つということは、誰しも抵抗があるものです。父なる神様は、忍耐力のない私に待つ力を与え、将来の見通しがない状況でも希望を与えてくださっています。父なる神様の元に帰り、命と希望を得てくださることをお勧めいたします。

境界性パーソナリティ障害を学び、妻の立場に自分の身を置いて考えた場合、妻の認知や行動に合理性があることが分かりました。最近は、妻へいたわりの気持ちを持てるようになりました。大きく変わったのは、私自身です。神様は私が成長できるよう、別居の時を与えられたようです。BPDFamily(家族への支援を行っている支援機関)では、家族へのアドバイスとして『境界性パーソナリティ障害を抱える本人の行動や認識を変えようとするのではなく、家族自身の行動や認識を変える』ことをアドバイスしています。自分の認識や行動を変えるといっても、簡単にできることではありませんが、ご家族の対応が変わるなら、必ず奥様(あるいは旦那様)の対応も変わります。境界性パーソナリティ障害の方は、周囲の環境に左右されやすい、人一倍強く影響されやすいという特徴があるからでしょう。

また、BPDFamilyでは『同居するご家族のメンタル・サポート(精神的ケア)も必ず取り付けておくこと』がアドバイスされています。支援するご家族は長距離マラソンの伴走者のような存在ではないでしょうか。ゴールを目指し、自分の力で走るのは、境界性パーソナリティ障害を抱えたご本人です。家族はわき役ですが、伴走者としてランナーと同じ時間、同じ距離を走る覚悟は必要でしょう。肉体的に精神的に良いコンディションの維持なしに伴走は務まりません。

私は、現在服薬はしていませんが、うつの兆候は時々起ります。体力には自信があり、毎年の健康診断でも全く問題がなかったのですが、ここ数年心臓に問題があると診断されています。心の病気と自律神経系の病気とは関連があるようですね。精神的ダメージはやがて、肉体的ダメージとなって表面化します。自分自身の精神的ケアを専門家に依頼しなかった悪い手本として教訓を得て下さい。支援するご家族もためらうことなく医師やカウンセラーにかかり、専門家の支援を得てください。ゴールを目指しましょう。


~このブログにお越しいただいたクリスチャンの方へ~

どうぞお祈りください。私一人の力ではこの働きは担いきれないことでしょう。

「心の痛みを覚えてこのブログに来ていただいた方に、今も生きておられる神様が慰めを与えてくださるように」

「この働きを通して救い主イエス・キリストの救いにあずかる方が起こされますように」

そして

「私ども夫婦が和解できるまで、主が私を妻を子どもたちを守り導いてくださるように」お祈りください。


『香の煙は、聖徒たちの祈りとともに、御使いの手から神の御前に立ち上った。』
ヨハネの黙示録8章4節


~プロフィール~


・ぶどうの木(ハンドルネーム)

『わたし(イエス・キリスト)にとどまりなさい。わたしも、あなたがたの中にとどまります。枝がぶどうの木についていなければ、枝だけでは実を結ぶことができません。同様にあなたがたも、わたしにとどまっていなければ、実を結ぶことはできません。わたしはぶどうの木で、あなたがたは枝です。人がわたしにとどまり、わたしもその人の中にとどまっているなら、そういう人は多くの実を結びます。わたしを離れては、あなたがたは何もすることができないからです。』
ヨハネの福音書 15章4~5節


・別居中の妻と子どもたちがいます

・プロテスタントの教会に所属
 教会では新改訳聖書を使用
 エホバの証人(ものみの塔)、末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教会)、統一教会ではありません


記事の文章の引用、コピーについて

このブログの記事の引用、コピーをして使っていただいても結構です。著作権のようなものは主張しません。ただ、このブログが引用元だと分かるよう『ブログのURLやタイトルを付記』してほしいと思います。引用する際、事前承諾は取らないで結構です。事後でもいいので、連絡をいただけるとありがたく思います。特にこだわりはないですが、写真については、コピー、転載はしないということにしておきましょう。





コメント (10)
この記事をはてなブックマークに追加

(12)目 次

2011年01月19日 | 日記


(10)記事の更新 ←クリックすると、本文にジャンプできます

 記事の更新


(11)ごあいさつ

 ごあいさつ
 ブログ立ち上げから1年が過ぎて
 記事の大幅な削除を検討中
 クリスチャンの方へ


(12)目次


(20)境界性パーソナリティ障害とは

 境界性パーソナリティ障害とは
 困った妻の言動
 急増する境界性パーソナリティ障害
 クリニック
 性格か病気か
 傷つきやすい無防備な心
 英語圏でのパーソナリティ障害の定義


(21)高機能型の境界性パーソナリティ障害

 ある牧師のお話し
 高機能型の境界性パーソナリティ障害
 英文サイトより(1)
 英文サイトより(2)
 洗脳作用で苦しむ家族
 英文サイトより(3)
 洗脳作用、対人操作


(22)境界性パーソナリティ障害の原因

 米国立心の保健研究所のウエブサイトの私訳
 英国国民健康保険のウエブサイトの私訳
 敏感な感受性
 モーセのつらい生い立ち


(23)愛着関係、児童虐待、片親疎外症候群、複雑性PTSDについて 

 愛着関係(アタッチメント)
 児童虐待、片親疎外症候群
 児童虐待をする親の病理性
 アルコール依存と児童虐待の類似
 嗜癖行動(アディクション)
 心的外傷後ストレス障害(PTSD Post-traumatic stress disorder)
 心の戦争体験
 虐待の世代間伝達
 複雑性PTSD(C-PTSD  Complex post-traumatic stress disorder)
 抑圧された怒り、スティグマ(恒常的自己嫌悪)感
 親子関係への没入
 ネガティブな感情の支配
 虐待の要因
 スパルタ教育


(24)不認証環境~境界性パーソナリティ障害の要因

 マーシャ・リネハン博士による定義
 About.comより(1)
 不認証環境 境界性パーソナリティ障害を形成する要因
 不認証環境
 認証すること、褒めること
 転校児童
 不認証と感受性
 引用図書
 英原文(1)
 About.comより(2)
 情緒への認証
 英原文(2)
 About.comより(3)
 情緒への不認証環境
 英原文(3)
 聖書が語る父子関係
 エペソ人への手紙6章4節 私訳
 英文(1) English Standard Version訳 (2001年)
 コロサイ人への手紙3章21節 私訳
 英文(2) English Standard Version訳 (2001年)
 不認証環境への戒め


(25)傷つきやすい心

境界性パーソナリティ障害と心のやけど
英語の原文
MAKE BPD STIGMA-FREE!
境界性パーソナリティ障害と心の皮膚
神は人を見下さない


(26)境界性パーソナリティ障害、診断、治療、家族

 アラン・フルツェッティ博士インタビュー


(27)境界性パーソナリティ障害は40代で治るのか?

 40歳安定説
 誤って引用される論文
 Just Answer精神科の質問と回答
 治療につなげることが重要
 神が選んでくださる人


(30)YouTube動画

 境界性パーソナリティ障害 怒りのコントロール
 境界性パーソナリティ障害からの解放
 マイ・ストーリー
 詩篇119篇


(31)YouTube動画「ご家族の方へ」

 境界性パーソナリティ障害 ご家族の方へ


(32)お付き合いの仕方


(33)心理学-1 動物行動学が示すもの

 ローレンツ博士とガンの実験
 ハロー博士とサルの実験


(34)心理学-2 アタッチメント

 英語の『アタッチメント』は日本語の『愛着』か?
 ボウルビーのアタッチメント理論
 アタッチメント理論の5本柱
 北国に駆ける愛


(35)心理学-3 44名の少年犯を調査

 44名の少年犯(44 Thieves Study)
 ボウルビーへの批判
 ロサンゼルス子ども支援施設
 聖書の教育観


(36)心理学-4 赤ちゃんの脳と危険な育児

 赤ちゃんは語学の天才
 母語と第二言語の違い
 テレビの子守とサイレントベビー
 敏感な感受性とトラウマの形成
 聖書に見る教育観


(37)心理学-5 ストックホルム症候群

 ストックホルムで起きた銀行強盗
 テロ組織に拉致されたパトリシア・ハースト
 誘拐され監禁生活を送ったドゥガードさん
 家庭内でのストックホルム症候群
 ストックホルム症候群の要因と症状
 聖書の中のストックホルム症候群?


(40)マーシャ・リネハン博士、闘病体験を公表 英字新聞より

 ニュ-ヨーク・タイムズ紙の記事を私訳
 先生も私と同じ病気だったのですか?
 地獄の苦しみ
 徹底的受容
 

(41)マーシャ・リネハン博士、闘病体験を公表-2

 責務を果たす
 患者を救済し続ける原動力


(42)エクスポージャー法(暴露療法) パニック障害などへの治療

 エクスポージャー法 乗り物恐怖症に効果を発揮
 動画のあらすじ
 奇跡のりんごと現代医療
 心の病気とくすり


(43)精神科医の不足 ピア・サポート 家族支援

 精神科医と臨床心理士
 患者によるピア・サポート
 同居する家族
 家族同士のピア・サポート


(44)境界性パーソナリティ障害からの回復

 治療を受け回復する方たち
 デビーさんのブログ
 10月の7つの記事


(45)境界性パーソナリティ障害からの回復-2

 Tim Cracknellさんの動画
 弱さを誇る


(46)境界性パーソナリティ障害からの回復-3

 ジョーダンさんの動画
 詩篇119篇について


(50)妻の育った家庭環境

 家庭の緊張
 曖昧な自・他の垣根
 忙しいお母さん
 都市部の家族
 分離できない親の影
 子離れ
 人間関係のけじめ
 記憶と嗅覚(きゅうかく)
 普通の家庭でも起こることです


(51)妻との生活-1

 言語化が苦手
 お父さん役の要求
 人間関係の破壊と孤立
 嘘と現実の混同
 見捨てられ不安
 結婚生活に自信を失う
 アダルト・チルドレンを疑う
 不安の増幅
 臨機応変さのなさ
 ロールシャッハ・テスト
 良い乳房と悪い乳房
 2歳の頃の子どもの成長
 嫉妬心


(52)妻との生活-2

 不妊と性病
 ボーダーライン・カップル
 3人になった家族
 無言の育児
 きゅうり、トマト
 エスカレートする暴言、威嚇
 薄氷を踏む毎日
 恵み
 洗脳作用


(53)むすび

 ご家族へのサポート
 あとがき
 境界性パーソナリティ障害の治療
 今まで、病気で苦しんできた妻へ
 悲しい思いをさせてきた子どもたちへ


(60)みことばより


(61)病者の祈り


(62)本の紹介 心の病気 心の問題など


(63)ウエブサイトの紹介

 聖書メッセージと ゴスペルミュージック
 その他聖書をベースにしたサイト
 詩篇 第94篇


(64)英語のウエブサイトの紹介

 研究機関、病院、学会
 家族への支援を行う団体
 個人のウエブサイト
 その他


(70)Jesus Adrian Romero 「魔法のプリンセス」 Princesas magicas

 魔法のプリンセス 歌詞私訳
 Jesus Adrian Romero について 
 いとしいプリンセス
 パパが子どものとき
 ニュージーランドから来た宣教師
 教会から離れる
 再び信仰に導かれる
 愛は結びの帯


(71)Jesus Adrian Romero メキシコのゴスペル

 主の恵み
 ハレルヤ
 あなたの愛に出会うまで
 主はここに


(80)翻訳徒然草

 -1- 「high-functioning」は、日本語で「高機能」か?
 -2- 日本で「high-functioning BPD」が積極的に、取り上げられない理由
 -3- 日本語の「りんご」は、英語で「apple」か?
 -4- 英語の「water」は、日本語の「水」か?
 -5- 言葉の意味の不一致
 -6- バウンダリーについて


(81)パーソナリティ障害 英語での定義

 英語におけるPersonality disorderの定義
 私訳
 英原文
 アンダーライン箇所の解釈
 定義の中心
 二言語間の等価性
 personalityの意味
 disorderの意味
 Personality disorderを日本語にするなら
 誤訳が与える社会的影響
 DSM-IV-TR
 DSM-V


(82)パーソナリティ障害 英語での定義補足説明

 翻訳徒然草-2 パーソナリティ障害についての補足
 心理学におけるcultureの定義
 私訳
 英原文
 individual's cultureとは
 the expectationsとは
 パーソナリティ障害の中心定義
 私訳①
 私訳②
 私訳③
 英原文①
 英原文②
 英原文③
 英語の『inner experience』は『内的体験』ではない
 experienceが持つ意味
 私訳
 形容詞innerとexperience
 イデオムとしてのinner experienceの定義
 パーソナリティ障害の特徴は、認知と行動
 診断基準の私訳
 診断基準の英原文
 前後関係を読み解く
 DSM(The Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の訳
 ことばへの信頼、人への信頼
 いのちのことば


(83)漢文訓読法の影響 原文放棄

 日本人の外国語学習観と漢文訓読法
 暗記カード学習法の負の影響
 翻訳のプロセス、原文放棄とは


(84)オバマ大統領就任演説 クジラ構文が当てはまらない

 第二期オバマ大統領就任演説より
 輪郭を設定する
 ハイコンテクストと比喩
 細部の解釈


(85)直訳は誤訳 オバマ大統領広島演説より-1

 英語の原文
 報道各社の訳文と私訳
 輪郭を捉える
 大統領はケンカ腰?
 ノンバーバルを翻訳する
 忌避の規則
 代名詞の解釈
 Q&A形式


(86)直訳は誤訳 オバマ大統領広島演説より-2

 原文、私訳、原文の輪郭
 英文Aの解釈
 英文Bの解釈


(87)直訳は誤訳 オバマ大統領広島演説より-3

 原文、私訳、原文の輪郭
 英文Cの解釈
 修辞疑問文
 代名詞解釈
 英文D、Eの解釈
 性別表現は直訳しない
 数詞も直訳できない
 羊の皮をかぶった名詞


(90)聖書と翻訳-1

 聖書
 聖書配布数とクリスチャンの数
 教会の敷居の高さ
 聖書を市販するということの意義
 コイネー・ギリシャ語


(91)聖書と翻訳 イザヤ書8章-1

 イザヤ書8章1~4節 新改訳
 参考にした英語のテキスト
 原文解釈二つのアプローチ
 輪郭を描く
 1節の解釈と私訳
 大きな板?


(92)聖書と翻訳 イザヤ書8章-2

 普通の文字で・・・書け?
 マヘル・シャラル・ハシュ・バズ?
 

(93)聖書と翻訳 イザヤ書8章-3

 2節新改訳
 2節私訳
 3節の解釈と私訳


(94)聖書と翻訳 イザヤ書8章-4

 4節の解釈と私訳
 お父さんか?パパか?
 サマリヤに分捕り物があったのか?
 忌避の規則
 史実と照らし合わせる
 shalalの意味
 奪ったのは王か?軍か?
 イザヤ書8章1~4節 私訳全体
 あとがき


(95)聖書と翻訳 イザヤ書8章-5

 イザヤ書8章5~10節 新改訳
 輪郭を描く


(96)聖書と翻訳 イザヤ書8章-6

 5,6節の解釈と私訳
 this peopleはこの民か?指示代名詞の嗅覚
 rejoice inは喜ぶか?
 5,6節の私訳


(97)聖書と翻訳 イザヤ書8章-7

 イザヤ書8章7、8節 新改訳
 8節 翼の解釈
 8節 インマヌエルの解釈


(98)聖書と翻訳 イザヤ書8章-8

 余計なお節介?
 7,8節の私訳


(99)聖書と翻訳 イザヤ書8章-9

 イザヤ書8章9,10節 新改訳
 9節冒頭の解釈
 David Rubinさんの解釈
 9,10節の私訳
 5~10節の私訳
 一番大きな輪郭


(100)ヘブライ語 masows ことばの解釈

 色々なよろこび
 文脈の中で理解する
 ことばの対比
 韻をふむ


(101)ヘブライ語 qarab nebiah ことばの解釈

 イザヤは不倫をして子をもうけた?
 輪郭を描く ヘブライ語における結婚の定型表現
 不義の男女関係
 ヘブライ語 qarab の解釈
 女預言者ではない
 預言者の妻ではない
 残る解釈方法
 原文放棄
 関係を壊す通訳者
 

(103)聖書と翻訳 ルカによる福音書16章-1

 ルカによる福音書16章1~14節 新改訳
 輪郭を描くポイント
 背景を理解する


(104)聖書と翻訳 ルカによる福音書16章-2

 背景を理解する(つづき)
 15章放蕩息子とアイロニー表現
 放蕩息子 ストーリーの把握
 不正な管理人 登場人物と比喩の解釈
 不正な管理人 ストーリーの把握


(105)聖書と翻訳 ルカによる福音書16章-3

 ルカによる福音書16章1~4節
 管理人
 (財産を)乱費している
 訴えが出された
 (主人は、彼を)呼んで
 土を掘るには力がないし
 こじきをするのは恥ずかしいし
 16章1~4節 解釈文


(106)聖書と翻訳 ルカによる福音書16章-4

 ルカによる福音書16章5~7節
 彼、あなた、その人
 (ひとりひとり)呼んで
 言う、言った
 カノジョのたんじょう日
 小麦百コル、油百バテ
 板前になったやく君
 証文
 16章5~7節 解釈文


(107)聖書と翻訳 ルカによる福音書16章-5

 アイロニー表現と二重構造
 ルカによる福音書16章8~9節
 この世の子ら
 光の子ら
 わたしはあなたがたに言います
 富
 富は2回、マモナースは1回?
 16章8~9節 解釈文


(108)聖書と翻訳 ルカによる福音書16章-6

 ルカによる福音書16章10~12節
 10節の文法構造
 小さい事に忠実な人は
 小さな事
 大きい事にも忠実であり
 『イミー』の解釈
 小さい事に不忠実な人は
 大きい事にも不忠実です
 ですから、あなたがたが不正の富に忠実でなかったら
 だれがあなたがたに、まことの富を任せるでしょう
 また、あなたがたが他人のものに忠実でなかったら
 だれがあなたがたに、あなたがたのものを持たせるでしょう
 16章10~12節 解釈文


(109)聖書と翻訳 ルカによる福音書16章-7

 ルカによる福音書16章13~14節
 しもべは、ふたりの主人に仕えることはできません
 富
 さて、金の好きなパリサイ人たちが
 一部始終を聞いて、イエスをあざ笑っていた
 16章13~14節 解釈文
 関連語句の分類
 100年経っても変わらない
 利用したウエブサイト


(110)聖書と翻訳 ルカによる福音書16章-8

 解釈文
 私訳
 ウラの解釈
 神学の偶像化
 くさやのテイスト


(111)聖書と翻訳 翻訳で参考にしたウエブサイト

 日本語訳聖書
 英訳聖書
 ヘブライ語-英語対訳
 ギリシャ語-英語対訳
 用語検索、辞書
 ヘブライ語発音
 ギリシャ語発音
 70人訳聖書(旧約)・英語対訳
 ウルガタ聖書


(112)聖書と翻訳 箴言-1

 箴言は死語
 格調高さがみことばを壊す
 箴言12:15
 箴言12:16


(113)聖書と翻訳 箴言-2

 箴言1:15~19全体
 箴言1:15
 箴言1:16
 箴言1:17
 箴言1:18
 箴言1:19
 原文の意図を翻訳する


(114)聖書と翻訳 箴言-3

 表現形式を理解する
 ギリシャ語 箴言1:20~21
 『城壁の上』は間違い-1
 ヘブライ語 箴言1:20~21
 『城壁の上』は間違い-2
 オモテとウラどちらで訳出するか


(115)聖書と翻訳 ロバの首を折る? 出エジプト記13章

 従来の日本語訳
 輪郭を描く
 屠殺のやり方と血液
 家畜への思いやり
 輪郭を設定する まとめ
 アーラーフ 英語の解説
 なぜ誤訳が起こるのか


(120)進化か創造か ヘッケルの偽造と反復説

 過ぎたるはなお及ばざるが如し
 スケッチと反復説はニセモノ
 ナチズムへの影響


(121)進化か創造か 母語の獲得

 脳言語学から分かること
 チョムスキーの理論から分かること
 アタッチメント理論から分かること
 野生動物に育てられた子ども
 ことばの習得に必要な条件とは
 進化の過程でことばを獲得できるのか?
 進化論は理論の脆弱さ、不確実さが見られる
 詩人が詠む生きもの


(122)進化か創造か ねつ造されたピルトダウン人

 事件の背景
 ミッシング・リンクの大発見
 ねつ造の判明
 誰がねつ造したのか?
 ドイル氏の人脈と地中海旅行
 The Lost World
 未知の生物
 年表
 科学のねつ造は続く



記事の文章の引用、コピーについて

このブログの記事の引用、コピーをして使っていただいても結構です。著作権のようなものは主張しません。ただ、このブログが引用元だと分かるよう『ブログのURLやタイトルを付記』してほしいと思います。引用する際、事前承諾は取らないで結構です。事後でもいいので、連絡をいただけるとありがたく思います。特にこだわりはないですが、写真については、コピー、転載はしないということにしておきましょう。



コメント
この記事をはてなブックマークに追加

(20)境界性パーソナリティ障害とは

2011年01月19日 | 日記


~境界性パーソナリティ障害とは~

境界性パーソナリティ障害という病名(カテゴリー)がなかった当時、神経症(古典的な意味でノイローゼ)と精神病(統合失調症)の、それぞれの特徴を持ちながら、どちらにも属さない病気として『境界型(Borderline case)』と命名されたのが病名の由来です。かつて、神経症とみなされる患者に、精神分析を行うと激しい攻撃性、自傷行為、精神病(統合失調症)症状が現れることが確認され、振り子のように神経症と精神病の間を揺れ動く病態と考えられていました。

現在の英語による病名は『Borderline Personality Disorder』です。最近日本では、境界性人格障害から、境界性パーソナリティ障害へと呼び方が変わったようです。この手記では、境界性パーソナリティ障害で表記させて頂きます。

日本の人口に占める割合は、2%前後と言われています。うつ病が0.6%、統合失調症が0.8%と言われていますから、境界性パーソナリティ障害がどれだけ多いか、分かって頂けると思います。2%といえば、50人に1人の割合なので、決して珍しい病気ではありません。

SANE Australia(オーストラリア精神病院。寄付金と助成金で運営されるNPO法人。境界性パーソナリティ障害の治療に弁証法的行動療法を採用する)では、人口の2~5%が境界性パーソナリティ障害であると述べています。

特に多忙な現代社会で見られるようになり、先進国で多く途上国では少ない、同じ国の中でも地域差があり、農村部より、都市化された地域に多く、また、男性(25%)より女性(75%)に多いという特徴があります。

幼児期に受けた心の傷が原因で、親のアルコール依存やドラッグによる育児放棄、暴力、再婚した養父による性的虐待など、明らかな原因もありますが、ごくごく普通の家庭でも起こりえます。日本では文化的な面からか、密着し過ぎる母子関係(支配的親子関係)が一因に挙げられています。ある特定の原因が病気に結び付くというより、いくつかの要因が重なって、病気に至ると考えられているようです。

この病気を扱う専門家からは『不認証環境』がその要因であると言われ、親が子どもの気持ちや、意思に対し、否定的対応をすることが継続されると、子どもは自分の気持ちに自信を持てなくなり、不認証感覚を引きずったまま大人になる、境界性パーソナリティ障害の原因となると警告されています。以下の記事もご覧ください。
不認証環境~境界性パーソナリティ障害の要因


児童虐待、発達心理学の分野では、親子の愛着関係の疎外が原因であると言われています。以下の記事もご覧ください。
愛着関係、児童虐待、片親疎外症候群、複雑性PTSDについて

以前は、思春期を過ぎないと、この病気の診断はできないと言われていましたが、最近では低年齢化する傾向があり、思春期以前でも、診断が下されているようです。ボーダーライン・チャイルド(ボーダーライン・チルドレン)と呼ばれ、自傷行為、自殺企図、非行で補導される事もあるようです。


~困った妻の言動~

結婚後半年も経たずに、結婚生活を継続する自信を失い、離婚を考えた事がありました。妻の事を一言で言うなら「幼い」ということです。些細な事で激怒し、これでもかと言う程、私を罵ります。その怒りの表し方や、妻の主張は、自己中心的で、相手に対する配慮が欠けたものでした。

妻が私を見る目は、信頼や尊敬ではなく、疑いや嫉妬でした。残念ながら、結婚早々、私は信頼に値しない夫だと見られていました。浮気をしたとか、借金を抱えたとか、暴力を振るった訳ではないのです。

不安に対して敏感で、増幅させやすいところがありました。妻の友人の旦那さんが浮気をしていたと聞くと、不安を増幅させ、私が浮気をしていないかと疑いました。

理屈をこねては、際限のない要求をし、私がへとへとになって要求に応えても、感謝をする事はありません。自分に形勢が悪い時は、嘘をついてまで自己弁護をします。自分の気持ちや意志を、言葉にして伝えるのが苦手でした。

『こうなったのは全部あなたの責任』『全部私が悪いと言うのか』と言ったように、考え方に両極端なところがありました。『あなたに悪いところはあったが、私にも悪いところがあった。お互い気を付けよう』という現実的な見方、建設的な考え方ができないところもありました。

一度結論を出した事でも、コロコロと考えを変える事がしばしばあり、私は振り回され、不愉快な思いをさせられました。

子どもが生まれた後は、一層私への攻撃をエスカレートさせ、私はうつ病になり、別居に至りました。

今、妻と子どもたちが共に生活していますが、こうした母親の言動で、子どもが心の病気にならないか心配をしています。


~急増する境界性パーソナリティ障害~

奥さんが境界性パーソナリティ障害の病気を持っているというご家族がありました。旦那さんは建築の職人で、小学生のお子さんが一人いました。奥さんは症状がかなり悪化し、入院を余儀なくされたのですが、その後、ご主人が自宅で首を吊って自殺をしました。病気を持つご本人が苦しい思いをされている事は勿論ですが、このように同居する家族にも深い苦しみを与えています。

境界性パーソナリティ障害は、専門の医師であっても扱いにくい病気とされています。まして心の病気の専門知識もなく、トレーニングも受けていない一般の人が、境界性パーソナリティ障害を持つ方と毎日生活を共にするということは、大変な苦悩を味わうことになります。この病気を抱えるご本人への治療支援といった一次的な問題解決が必要であることは言うまでもありませんが、同居する家族が精神的に追い詰められることで、うつ病や自殺が起こること、家庭崩壊、子どもの心理的発達への影響といった、同居する家族に起こる二次的な問題にも支援が必要です。一日でも早く、日本でも家族へのサポート体制が確立されることを望みます。

先日、高校時代の友人に久しぶりに会いました。私は別居中で、妻が境界性パーソナリティ障害の疑いがあると話すと、友人の兄弟に、境界性パーソナリティ障害を持っている方がいると打ち明けてくれました。

別の友人ですが、彼の通う教会に、境界性パーソナリティ障害を持つ方が通っているとの話しを聞きました。

近年この病気は急増し、身近なものになっています。


~クリニック~

別居をしてしばらく経った頃、妻に病院に行ってみないかと誘ったのですが『あなたこそ病院に行けばいいじゃない』と断られました。『夫婦カウンセリングという形でも構わない、私も一緒に行くから』と言った時は、行きたいそぶりを少しは見せましたが、結局行かずじまいです。医師による診察を私も強く望んでいますが、このように本人が受診を望まない(病識がない)こともあります。無理にクリニックへ連れて行っても良くない結果になるので、本人がその気になるまで待つほかありません。

電話で何ヵ所かのクリニックに夫婦の状況を説明し『もし妻が診察を希望した場合、診て頂けますか?』と尋ねてみました。受け入れてくれるというクリニックもありましたが、ほかで治療してほしいと断るところもありました。クリニックにも専門分野があるので、断るところがあってもやむをえないのでしょう。

境界性パーソナリティ障害では、トラブルが原因で、治療を中断せざるを得なくなることもあるようです。専門の医師であっても扱いにくい病気だと言われています。

妻が『境界性パーソナリティ障害』であると断定まではしませんし、病名の判断は医師がするべきだと思っています。しかし、私はその疑いが濃厚であると思っています。その理由については、この手記に書かせて頂いているところです。


~性格か病気か~

家族の立場で申し上げるなら、以下の点で『境界性パーソナリティ障害』という病名に思い至ったのは、私にはとても有益でした。

1)妻は性格が悪いのではなく、病気だということ
2)病気であれば、医学の研究対象であり、不完全であっても何らかの治療方法があるということ
3)一見不可解な妻の言動にも何らかの納得できる理由があること
4)支える家族には “How to”なる実践的対処法があること
5)妻自身も長い間苦しんできたと理解できたこと

一緒に住んでいた時は、今日、妻にどう対応すればいいのだろうかと毎日悩みました。病名を知り、妻への対処法を知っていれば、どんなに助かったことでしょう。不可解な言動の背景を理解し、本人自身が、長い間苦しんできたと分かれば、より忍耐と愛情を持って接することができたでしょう。憎しみで一杯だった気持ちも今は変わり、おぼろげではありますが、家庭再統合という希望も見えてきました。


~傷つきやすい無防備な心~

アメリカ精神医学会の診断基準 DSM-IVの訳文は、適切な日本語訳となっているかどうか問題があると言われており、私もそう感じ、このブログでは敢えて境界性パーソナリティ障害の診断基準を載せていません。境界性パーソナリティ障害についての従来の訳文には、患者を中傷する不適切な表現が含まれていると感じます。最近は、新たな日本語訳も試みられているようですが、従来の日本語訳は、原文英語の意図するところから逸れていると、私は思っています。

境界性パーソナリティ障害の特徴として、目に見える、激しい行動化が挙げられますが、むしろ心の柔らかい部分がむき出しで、無防備なところ、過度の傷つきやすさが、特徴の一つとして強調されるべきで、それが境界性パーソナリティ障害を正しく理解することにつながると思います。日本ではこうした特徴を詳しく解説しているものが見当たりませんが、英語のサイトでは、詳しく説明しているものがあります。

境界性パーソナリティ障害を学んできて分かったのは、子どものような健気さ、心が無防備であるための傷つきやすさ、愛情飢餓、他人から見捨てられる事への死ぬほどの恐怖などです。妻が表す激しい怒り、行動化には当惑させられてきましたが、納得のいく理由があるのです。

国内で書かれた本、ウエブサイトの中に『性格の歪み、偏り』『人格の歪み、偏り』が境界性パーソナリティ障害の特徴であると乱暴な表現がありますが、境界性パーソナリティ障害の方の性格も人格も、決して歪んでないと申し上げたいと思います。何よりもこうした言いまわしは、人を中傷する表現で慎まなくてはなりません。『性格が歪んでいる』『人格が歪んでいる』と言われて深く傷付けられるのではないでしょうか?この病気に思い至るまでは、私も妻のことを『困った性格だな』と思ってきました。しかし、そう思ったのは表面的な見方であり誤っていると気が付きました。何よりもアメリカ精神医学会のパーソナリティ障害についての、定義の中に『性格の歪み、偏り』『人格の歪み、偏り』といった文言は一言もありません。英語の原文では、行動(behavior)の特徴に着目して定義をしています。英語に興味がある方はgoogleのキーワード検索で『Personality disorder definition』(パーソナリティ ディスオーダー 定義)と入力すれば、英語でどのように定義されているか調べることができます。公式で責任ある立場で制作された英語のウエブ・サイトのどれを見ても『性格の歪み』『人格の歪み』と解説されているものは見たことがありません。一つもないはずです。

医学の診断基準、分類指針としてとして、病名を判別するとき、客観性に基づく解説がされなくてはならないはずです。国内のウエブ・サイトでは『性格の歪み』『人格の歪み』といった解説のされ方が少なくありませんが、どのような基準を基にして、性格が歪んでいるかいないかの判断をするのでしょうか?『性格の歪み』『人格の歪み』といった定義の仕方には、何か客観的指標がある訳ではありません。医学の診断基準として、あるいは症状の医学的解説として『性格の歪み』『人格の歪み』といった表現には合理的根拠がなく、単に人を中傷する表現でしかないことを申し上げたいと思います。

では、どうしてこのような定義の違いが生じたのかというと、英語の『Personality disorder』を『人格障害』と翻訳した事によると思います。『性格の歪み』『人格の歪み』といった文言は、パーソナリティ障害を抱える方に偏見を与える、英語では見られない日本固有の中傷的表現で、早急に訂正されるべきものだと思います。

一般の人が『人格障害』という言葉を耳にして、どのような印象を抱くでしょうか?人格が壊れた人、人格が機能しない人、人格が破壊された人といった、おどろおどろしいニュアンスを感じると思うのです。『Personality disorder』は、そのようなニュアンスを想起させる言葉として使われていません。 訳語の『等価性』に問題があると申しげたいと思います。このあたりの事については、重大でデリケートな問題を含んでいるので、機会をみて別の記事で詳しく取り上げたいと思います。

もし、街なかを歩いていて、あなたの知ってる人、或いは知らない人が突然ナイフを向け、襲ってきたら、自分を守るため必死に抵抗し、大声で叫びながら、大立ち周りとなるでしょう。そうすることは性格の歪みではなく、当然の自己防衛です。境界性パーソナリティ障害の方は、他人の言葉、態度を、自分に向けられたナイフのように感じ、自分の身を守ろうと激しく抵抗しているようです。人の些細な言葉の一つ一つにそのように反応していたのでは、身が持たないと思います。実際、境界性パーソナリティ障害の方は大変なストレスを抱えながら毎日を過ごしているようです。境界性パーソナリティ障害の方の激しい行動化は、人として当然の防衛反応であって、奇抜な性格に由来するものではないと思います。むしろ、自分にとって危険でもないことを、存在を脅かされるほど危険なこととして、受け取ってしまう認知の仕組み、物事の捉え方に由来するのではないかと思うのです。境界性パーソナリティ障害の方とのお付き合いの仕方のポイントに『感情を否定しないこと』ということがあります。境界性パーソナリティ障害の方が、怒りや、恐怖を感じるのには合理的な理由があるからです。その合理性を理解することが重要ではないかと思います。

境界性パーソナリティ障害の方の内面で何が起こっているかを理解するには、境界性パーソナリティ障害を持つ方の言葉によるほかありません。境界性パーソナリティ障害を持たない方の意見には往々にして誤解があると思うのです。インターネットで公開されているYoutube動画には、境界性パーソナリティ障害を持つ方が作られたものが、非常にたくさんあります。文化的な違いからでしょうか、日本語のものはほとんどなく、英語圏のものが一番多いようです。辞書片手でも結構です、英語に興味がある方は是非英語にチャレンジしていただき、豊富な情報量の中から、正しい知識を得て頂きたいところです。この動画の中で、ご自身境界性パーソナリティ障害を背負ってこられたマーシャ・リネハン博士(Marsha M. Linehan, Ph.D)の言葉を見つけたので、紹介させて頂きます。博士は『境界性パーソナリティ障害の方の心を譬えるなら、体の90%以上に深い火傷を負い、皮膚のほとんどが失われたような状態だと言えるでしょう』と、心を保護するものがなく無防備で、過敏で、傷つきやすいと言うことを述べておられます。

妻は、人の言葉を真正面から100%で受け止めてしまうところがありました。私は妻を笑わせようと冗談を言ったことが何度かあります。誰でも冗談だと分かる内容です。ところが妻は『嘘をついた』と真顔で怒りを表すことが何度もありました。このように私の冗談ですら、自分の全存在をかけて耳を傾けるので『騙された』と感じるようです。往々にして、子どもはこうした非難をすることがあります。子どもに『冗談だよ』と言えばそれで収まりますが、妻の場合、怒りはなかなか収まらなかったようです。私の冗談で、あたかも刃物で突き刺されたかのように感じたのでしょう。極度のデリケートさを持ち合わせているためです。この病気の特徴をこのように考えるなら、心の成長を促し心に保護膜を形成することが治療の一つの目標となると言えるのではないでしょうか?

人は成長する過程で、自分を保護するため心にフィルターが作られるようですが、境界性パーソナリティ障害の方はこのフィルターを持ち合わせていないため、他人の些細なひと言で心の奥深くまで傷つき、自傷行為、攻撃的言動を引き起こしてしまうようです。普通であれば他人から非難されたとしても、『自分に必要なものだけ取り入れ、不必要なものは捨てる』ような聴き方をし、人の言うことの一つ一つを、真正面から受けることはしないものだと思います。他人の非難をいちいち100%真正面から受け止めていれば、毎日が息苦しく憂うつに感じることでしょう。ところが境界性パーソナリティ障害の方は、毎日をこのように感じているようです。他人の些細なひと言ひと言を、フィルターのない心で、真正面から受け止めるので、生きていけないと思うほどの恐怖を感じ、激しい行動化となって表れるようです。行動化が自傷行為となって自分自身を攻撃するか、他人に攻撃を向けるかは表面的な違いであって、自傷行為の有無が境界性パーソナリティ障害の基準とはならないという専門家もいます。高機能型の境界性パーソナリティ障害では自傷行為は全く見られず、反対に家族への強い攻撃性が特徴です。

境界性パーソナリティ障害の方の心の仕組みを理解するために、自分が持っている『当たり前なこと』『常識』『普通』を一旦脇に置いておく、或いは見直すという作業が必要みたいです。私が経験し身につけた『当たり前なこと』と妻が経験して身につけた『当たり前なこと』は根本的なところから違っているからです。心のフィルターを身につけて生きてきた私と、心のフィルターなしで生きてきた妻とでは、物事の見方が180度違っていて然るべきでしょう。もし、私が心の保護膜がない状態で成長してきたなら、『自分はいつも傷つけられてきた、騙されてきた、他人なんか絶対信用できない』という認識になってしまったでしょう。境界性パーソナリティ障害の方との会話は、あたかも『お互いが異なった外国語で話すように、話がかみ合わない』とも言われています。その理由の一つは、こうした認知の仕組みの違い、体験の違いに因るのでしょう。

では、心のフィルターを持ち合わせていない人は、未熟、未発達と言い切れるのかというと、そうも言えません。確かに社会生活を営む上では、不便なことが多いでしょうが、常に心を開き、物事を真摯に受け止める姿勢は、勇敢であり、賞賛に値するのではないでしょうか?心の病を背負う方の中には、人に深い感動を与える、詩、絵画、小説などを作る、優れた才能を持つ方が実際にいるのです。著名な心理学者、優れたセラピストの中には、ご自身が境界性パーソナリティ障害であった方が何人もいます。マーシャ・リネハン博士もその一人です。鋭い洞察力と傷つきやすさとは、表裏一体なのでしょう。仮にそのような才能に恵まれていなくとも、神様はあなたを愛し、今も尊い価値があると仰っています。それが聖書のメッセージで、私自身の存在理由でもあります。

性的関係への陥りやすさも、境界性パーソナリティ障害の特徴として語られることがありますが、むしろ内面に巣くう恒常的愛情飢餓、愛情をつなぎ止めるならどんなことでもやろうとする、強烈な見捨てられ不安こそが主訴であって、単に体の快感を求めているのではないと思います。妻と共に過ごした10年間に、確かに妻の不貞行為はありましたが、妻は好色で不貞をしたのではないと感じています。その当時は理解できませんでしたが、夫に理解されないことが死にたいほどい悲しく、誰かに自分を理解して欲しかったのだと思います。

結果的に自分が起こした破壊行動、攻撃性により人が自分から離れて行き、100%の羞恥心、100%の自己嫌悪、100%の自己否定などを心に刻み込んでいます。自分自身で痛いほど自分の惨めさが分かっているので、防衛機制として、うつ的傾向を表したり、嘘をついてまで自己保身したり、他人に自分の惨めさを投影しようとするのだと思います。

境界性パーソナリティ障害の方は、子ども時代に何らかの心の傷を受けている方が多いようです。その傷が癒されることなく、大人になっても引きずっています。もし、私が妻のような幼児期を過ごし、同じ心的外傷を受けていたなら、防衛機制として何らかの心の病気を発症したことでしょう。境界性パーソナリティ障害という病気を背負った方ご自身の落度で、この病気になった訳ではないのです。残念ながら、書籍、ウエブ・サイトでは、境界性パーソナリティ障害の特徴を揶揄するかのように奇抜に表現するものが見受けられますが、正しい見方ではないと思います。そのような誤解を招く表現は、境界性パーソナリティ障害を治療する上で建設的な力にはなりませんし、境界性パーソナリティ障害を背負う方、支えようと努力している家族、また社会にとっても有益ではありません。

私自身、妻との生活でうつ病にまで追い込まれ、愛する子どもたちとも別れることになり、つらい経験をした一人です。もし、あなたが私のような被害者だとお感じになるなら、境界性パーソナリティ障害を背負った方も、また被害者であることが理解できるはずです。自分が境界性パーソナリティ障害となることを選んだ人は、一人もいないからです。ご自身が経験された苦しみを仕返しするなら、された方もまた同じ苦しみを味わうことになるのです。怒りや復讐心で心が支配されている状態は、幸せから遠く離れていると気が付いてください。

「やられたら、やり返す」のが当たり前の文化では、愛すること、赦すこと、忍耐することに価値を見失いがちです。悲しいことに、人間には愛し、赦し、忍耐する力が欠けているようです。あなたが神様を知らなくても、神様はずっとあなたを愛し、赦し、忍耐を示してこられました。愛と知恵の源である父なる神様を仰ぎ、力を頂きましょう。


~英語圏でのパーソナリティ障害の定義~

英語圏ではどのようにパーソナリティ障害が定義されているか、日本語での定義の仕方との違いを比べてみました。以下の記事もご覧ください。

翻訳徒然草-2 

翻訳徒然草-3





イエスが道をとおっておられるとき、生れつきの盲人を見られた。弟子たちはイエスに尋ねて言った、「先生、この人が生れつき盲人なのは、だれが罪を犯したためですか。本人ですか、それともその両親ですか」。イエスは答えられた、「本人が罪を犯したのでもなく、また、その両親が犯したのでもない。ただ神のみわざが、彼の上に現れるためである」。
ヨハネによる福音書9章1~3節 口語訳
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

(21)高機能型の境界性パーソナリティ障害

2011年01月19日 | 日記


~ある牧師のお話し~

『牧師になって最初に洗礼を授けた女性は、精神障害を持った人でした。深夜に電話をかけてきたり、リストカットをしました。病気は、境界性パーソナリティ障害と医師に告知を受けた後、しばらくは落ち着いていましたが、ある日、突然自殺してしまいました。 (中略) 境界性パーソナリティ障害の人たちは結構身近にいます。一見するとお付き合いが難しい人たちですが、その障害を理解する事で、良い関係を築く事ができます』。

この事例は、従来型の境界性パーソナリティ障害に見られる特徴です。


~高機能型の境界性パーソナリティ障害~

最近は、高機能型の境界性パーソナリティ障害と呼ばれるタイプも増えてきているようですが、日本では高機能型について詳しく解説している本やサイトが見あたりません。

従来型(低機能型)の場合、自傷や自殺企図といった行動が伴うのですが、高機能型と言われるタイプでは、自傷や自殺企図は見られず、反対に周囲の人へ攻撃的になるのが特徴です。妻の場合、暴力というよりも、中傷、虚言で精神的苦痛を与えたり、私を取り巻く周囲の人間関係を壊しました。

境界性パーソナリティ障害の方は、幼い頃受けた心の傷により、自分自身をダメな人間、価値のない人間だと思い込んでいます。そのような心の状況は、苦しいので家族を同じ状況に引きずりこもうとします。「あなたは最低」「冷酷」「だいっ嫌い」「嘘つき」と、自分が抱えるコンプレックスを、同居する家族に投影します。そうすることで、自分の心の安定を図ろうとします。家族は中傷(脱価値化)される事が続くと、洗脳作用が働き、家族の心にネガティブなセルフ・イメージが徐々に刷り込まれるという事が起きます。こうして、同居する家族が、言いようのない精神的苦しみを味わうことになります。また、周囲に虚言をふれ巻き、家族を取り巻く人間関係を壊し、家族を孤立させることもします。私のように、うつ病に追い込まれることも珍しくはないようです。

勤務先では普通に仕事をこなし、一見社会に適応しているように見受けられます。職業も弁護士、建築士、システムエンジニアなどのスキルの必要な仕事についている場合もあります。知能の面では問題がありません。職場での人間関係のように、一定の距離を置いた人間関係では、問題が起きにくいのですが、恋愛関係、夫婦、身の上を相談できるような接近した人間関係になると、著しい不安定さが表れてきます。

妻はこの高機能型の境界性パーソナリティ障害ではないかと思います。日本ではまだ広く知られていないようですが、関係する方々には、高機能型の境界性パーソナリティ障害についての理解を深めていただききたいところです。

海外のウエブサイトには、高機能型は一つのカテゴリーとして解説されています。家族に対する支援活動をしている団体が立ち上げているウエブサイトに高機能型についての解説が載っていたので、以下私訳させていただきました。


~英文サイトより(1)~

質問
境界性パーソナリティ障害とはどのような病気ですか?

回答
境界性パーソナリティ障害には、二つのタイプがあります。一つは、低機能型と言われるもので、これは自傷行為をして病院に担ぎ込まれるようなタイプで、数多く研究され臨床医が扱ってきた一般的な症例です。もう一つは、高機能型の境界性パーソナリティ障害です。この方たちは、どう見ても普通の人にしか見えません。中には著名な人さえいます。マーサ・スチュアート(タレント実業家)、次にダイアナ妃が高機能型を持つことで知られています。

高機能型では自傷行為をして病院に担ぎ込まれることは、まずありません。ところが、自分の家族に譬えようのない苦しみを与えることをします。家族は、自分が抱える苦しみを周りの人に打明けても、信用してもらえないということもあり、周囲に理解されないことにより、孤立が深まります。加えて、この高機能型は、診察においても、病識なしと誤診されがちで、治療支援に結びつかないケースが少なくないのです。こうして、高機能型の患者さんの問題は、なかなか改善しないということがあります。
(私訳)

Q: What is Borderline Personality Disorder?

There are actually two things called borderline personality disorder. There are the low functioning borderline patients that are hospitalized, that cut themselves, and who are the primary focus of many of the studies and more effective therapies.
Then there are the high functioning borderline patients that to all the world seem normal, or even saintly. Princess Diana is reputed to be one of these high functioning borderlines as is Martha Stewart. High functioning borderlines are seldom hospitalized, and create a situation of unbearable suffering for their families. The reason for this is that the families are not believed when they tell friends about the suffering they go through. This leads to further isolation and an unbearable feeling of being alone. In addition, since it most often goes undiagnosed, there is no therapeutic support in most cases for high functioning borderlines, so they most often never get better.
(原文 Facing the Factsより抜粋)


~英文サイトより(2)~

高機能型の境界性パーソナリティ障害

高機能型の境界性パーソナリティ障害の特徴は、低機能型(従来型)の境界性パーソナリティ障害とほとんど同じです。ただ一つ異なるのは、自分自身を傷つけないという事です。このタイプの人は、勤勉で、社会での人間関係では問題がなく、社交的である場合さえあります。このように普通に見えるのですが、他人の言動に取り乱したり、不機嫌になり、落ち込み、人を操ろうとすることが起きます。高機能型の場合も、境界性パーソナリティ障害による葛藤があるのですが、自分が生き続けられる術を駆使するという思考のメカニズムが特徴なのです。高機能型が低機能型より、ましだという意味ではありません。元々の素顔は同じなのですが、その上に異なる仮面を付け変えているようなものでしょう。
(私訳)

High Functioning Borderline
The High Functioning Borderline Personality shares many core aspects of the low functioning borderline personality, except for the fact that they can manage their lives, appear to be productive, and generally keep their relationships civil (even diplomatic in nature). High Functioning borderlines can appear to be normal, driven people one moment; then moody, inconsolable, and manipulative the next. Somehow, there is a mechanism within the minds of High Functioning Borderlines that allows them to lead somewhat “competent” lives, despite the fact that they are in a constant battle with BPD. High functioning BPDs are no better than low functioning: it’s basically the same face wearing a different mask.
(原文 Support mental health より抜粋)

英語で書かれた他のウエブサイトでも、高機能型(high functioning)の解説があり、同じように、社会生活に適応し自傷行為をしないこと、反対に家族を苦しめるという特徴が書かれています。

英語の『high functioning』を日本語では『高機能型』と訳されてきましたが、この英語は『社会適応している』という意味です。

高機能型、低機能型にしろ、典型的なタイプの方もおられますが、それぞれの特徴を併せ持つタイプ、重ね着しているケースもあるようです。家族以外での対人関係、職場での対人関係では目立った問題は見られませんが、帰宅してから、あるいは親密な間柄の人の前で、自傷行為、過量服薬をするというような、家の外では高機能型の特徴を見せ、家の中では低機能型の特徴を見せるといった両者の側面を持ち合わせている方もいるようです。

映画『危険な情事』では、弁護士ダンと、出版社で働く才女アレックスが不貞な関係に陥ります。見捨てられたと感じたアレックスは自分の手首を切ってダンに抗議するシーンがあります。職場では良識ある振る舞いをする女性が、ダンの面前で自傷行為をしたり、ストーキングをするといったシーンを思い出させます。

ダイアナ妃について『高機能型であった』または『低機能型であった』とか憶測されていますが、報道機関の前では問題なく振る舞う一方、家庭内では口論をきっかけに自傷行為をしたとのエピソードがありますから、高機能型と低機能型の重ね着タイプといえるのかも知れません。ダイアナ妃は幼少のころ、不遇な家庭環境で育ったと言われています。


~洗脳作用で苦しむ家族~

以下、「洗脳作用」について記述されたものです。洗脳作用は、同居する家族に言いようのない苦しみを与えます。今までは境界性パーソナリティ障害を持つご本人についての、研究がなされてきましたが、こうした家族に与える深刻な問題にも、目を留めて頂きたいです。同居する家族が、心の変調を訴えたり、自殺をするという問題も、海外では報告されているようです。今後、日本でもこうした研究、家族への支援が起こされるよう望んでいます。


~英文サイトより(3)~

境界性パーソナリティ障害の方と身近な関わりを持つ人は、咎めだてや、非難をされる事で、洗脳に近い状態に陥ります。洗脳する方法はそう難しくはありません。攻撃対象とする人を周囲から切り離し、同じ言葉を浴びせかけ、ある時は睡眠を妨げ、いくばくかの苦痛をも加えます。こうすることで、知覚は混乱を生じます。常に、気持ちを緊張状態にさせておき、疲労させ、知覚を攪乱させます。

以下、洗脳のやり方を幾つか挙げます

咎めだてや非難の繰り返し

境界性パーソナリティ障害の方は、常に神経を尖らせています。例えば、買い物袋の持ち方が悪いとか、布団のシーツが重苦しいとか、些細なことを原因にして家族にあたり散らします。ある家庭の子どもは、単に食事が早食いだという理由だけで、15年もの間、家族と一緒に夕食を食べさせて貰えませんでした。こうした攻撃性は、ともすると、精神的、肉体的虐待へ発展します。

二極思考

境界性パーソナリティ障害の方は、グレイゾーン思考がなかなかできません。物事の評価が、真っ白または真っ黒、最高または最悪で、二極化しなければ物事を理解するのが困難なのです。もし、彼らの言うことに少しでも意義を唱えようものなら、自分を脅かす敵対者と見なされます。

投影

境界性パーソナリティ障害の方は、空虚さ、恒常的な欠如感、言いようのない孤独感などにより、健全な感覚が失われています。自分自身のみにくい特徴、言動、感覚を否定しようと、これらのみにくい特徴を、周囲の人に転嫁します(しばしば倫理的に反するやり方も見られます)。以下、投影の例を挙げてみましょう。(括弧内は境界性パーソナリティ障害の方の本当の気持ちです)

「私があなたをハメようと、しているとでも言うの?それは、あなたのほうじゃない。」(この人は私の手に負えそうもない。脅威に感じるわ)

「大きな声を出さないでよ」(もお、腹がたつ。怒鳴りつけてやる)

「今まで、私のこと考えてくれたことあるかしら?自分のことしか考えないくせに」(私は、今自分のことで手一杯。あなたのことなんか構っていられないのよ)

「あなたが仕事中電話を取ってくれないから、こうして朝3時、自宅に電話しなきゃならなくなるんじゃない」(あなたと話したいの。私は何てひどい事をしてしまうのかしら。)

自己中心的要求

自分が注目を浴びたり、要求することに歯止めがかからない傾向があります。例えば、誕生日パーティーのような場で自分に注目が集まらなくなると、たちまち苦境に陥ります。また、境界性パーソナリティ障害の方は、助けを必要とする人を見ても助けるということが苦手であったりします(伴侶の看病など)。

対人操作(支配的対人関係)

境界性パーソナリティ障害の方は、しばしば周囲の人を操るかのような行動を取ったり、嘘を言うことがあります。これは、感情を操り相手を脅すという方法でしか、自分の要求を伝えられないからです。これは対人操作を意識して行っているというよりは、対人関係における対処法の未熟さから生じるものです。対人操作を受けた側の人は、恐れ、義務感、罪責感に捉われ、境界性パーソナリティ障害の方の手中に落ちてしまうのです。
(私訳)

Some people who enter into relationships with borderlines feel brainwashed by the BP’s accusations and criticisms. The techniques of brainwashing are simple: isolate the victim, expose them to consistent messages, mix with sleep deprivation, add some form of abuse, get the person to doubt what they know and feel, keep them on their toes, wear them down, and stir well.

The following are some ways in which this happens.

Continual blame and criticism:
Family members have been raged at and castigated for such things as carrying a grocery bag the wrong way and having bedsheets that weighed too heavily on the BP’s toes. One son who "ate too fast" was not allowed to join the family at dinner for 15 years. The criticism often crosses the line into emotional or physical abuse.

Splitting:
BPs have a hard time seeing gray areas. To them, people and situations are all black or white, wonderful or evil. Dividing the world into good or evil makes it easier for BPs to understand. But it means that if you don't agree with everything the BP says, you are a horrible person who is against them.

Extreme Projection:
Lacking a clear sense of who they are and feeling empty and inherently defective, people with BPD feel lonely and in excruciating pain. So they may cope by denying their own unpleasant traits, behaviors, or feelings by attributing them (often in an accusing way) to someone else. For example, the borderline may say (with real meaning in parentheses):

"You think I’m controlling? You’re the one who’s so controlling!" (I feel like I’m losing control right now and it scares me.)

"Stop screaming at me!" (I am so angry that I need to scream at you right now.)

"You never consider my needs. You’re always thinking about yourself." (My needs are so overwhelming to me that I can’t think about yours.)

"If you had taken my calls at work, I wouldn’t have had to call you at three o’clock in the morning at home." (I need to talk with you so badly that I’ll do anything to reach you.)

Narcissistic Demands:
Paying attention to themselves and their own needs, often to the extreme. For this reason, BPs sometimes have a hard time when other people are the focus of attention, such as birthday parties. BPs may also have a hard time giving support when it is needed (such as a partner’s illness)

Apparent Manipulation:
People who are about someone with BPD often feel manipulated and lied to. This may be the result of BP's of trying to get what they want the only way they know how-through emotional blackmail. This usually is not purposeful. Rather, it is the result of the BP not being as skilled in relating to others. Non-BPs are often prone to the BP's use of fear, obligation and guilt and give the BP what they want.
(原文 BPD central より抜粋)


~洗脳作用、対人操作~

心理学者の中には、『洗脳』『対人操作』といった言いまわしは、境界性パーソナリティ障害に誤解を与える表現だとして、改めるべきだと仰る方もいます。境界性パーソナリティ障害の方は『洗脳』や『対人操作』を意図してやっている訳ではないからです。対人関係の築き方や、相手に自分の気持ちや、意思を伝える方法が未熟なため、結果的に『洗脳』や『対人操作』をするように見えてしまうようです。



こちらもご覧ください。クリックすると、ジャンプします。

YouTube動画 「ご家族の方へ」 こちらの記事にも境界性パーソナリティ障害の解説が載っています。


翻訳徒然草-1
-1- 「high-functioning」は、日本語で「高機能」か?
-2- 日本で「high-functioning BPD」が積極的に、取り上げられない理由




あなたの恵みを私は楽しみ、喜びます。
あなたは、私の悩みをご覧になり、
私のたましいの苦しみを知っておられました。
詩篇31編7節 新改訳







コメント (9)
この記事をはてなブックマークに追加

(22)境界性パーソナリティ障害の原因

2011年01月19日 | 日記


境界性パーソナリティ障害の原因を解説する、二つの記事を私訳しました。米国国立心の保健研究所(NIMH)のウエブサイトの記事と、英国国民健康保険(NHS)のウエブサイトの記事です。両団体とも、国の保健行政の下部組織になります。

境界性パーソナリティ障害の原因については、現在、環境要因と遺伝要因の両者が、相互作用しているだろうという見方で落ち着いています。双子についての研究があり、それが遺伝要因説を裏付けると言われていましたが、これについて、英国国民健康保険(NHS)のサイトでは慎重な解釈が必要であると付け加えており、良い見方だと思いここに載せました。

マーシャ リネハン博士は、Rethinking BPD:A Clinician's Viewという動画の中で、次のように述べています。『境界性パーソナリティ障害の原因は、不認証環境(invalidating environment)であると申し上げましたが、今はこの定義の中に遺伝的要因という考えを取り入れています。親の行動が子どもに影響するように、反対に、子どもの行動も親に影響を与えています。遺伝的要因を引き継いだ子どもの行動は、親の行動に影響を与えます。子どもも親も、互いに養育環境を作る要因となります。境界性パーソナリティ障害の原因は、遺伝的要因と環境要因の相互作用があるということであり、環境要因は、親と子どもの相互作用によるということです。不認証環境というのは、必ずしも、親の養育に問題があるということではありません』。このように、博士も修正を加えています。


~米国国立心の保健研究所のウエブサイトの私訳~

境界性パーソナリティ障害の誘発要因 The National Institute of Mental Health (NIMH)

境界性パーソナリティ障害の誘発要因を探る研究は、始まったばかりではありますが、遺伝的要因と成育環境による要因、この二つが作用しているであろうと言われています。これは多くの研究者が一致する見解です。

双子を対象にした研究があります。それによると、境界性パーソナリティ障害は先天的な要因があると指摘されています。ほかの研究では、親の気質、特徴が親から子に引き継がれる、中でも、興奮のしやすさ、攻撃性が子に引き継がれるということです。境界性パーソナリティ障害と関係がある遺伝子、激しい感情をコントロールする遺伝子の研究も進められています。

社会的要因や文化的要因も、境界性パーソナリティ障害を誘発すると考えられます。離婚のように、家族関係を壊すことを助長する社会的要因、若しくは、離婚や家庭の崩壊を助長する文化というものも、境界性パーソナリティ障害のリスクを高めます。親の行動に衝動性がある、不健全な社会生活を営む、その他境界性パーソナリティ障害の特徴に見られる行動をすることも、危険因子になります。また、境界性パーソナリティ障害を抱えた成人では、レイプなど犯罪被害者となる傾向が少なからずあるようです。


~英国国民健康保険のウエブサイトの私訳~

境界性パーソナリティ障害の原因 National Health Service (NHS)

境界性パーソナリティ障害に至るのは、単一の原因によるのではなく複数の要因が作用しているというのが、専門家の一致した見解です。


複数にわたる要因

・遺伝学上の要因:傷つきやすい性格となる遺伝子があり、それを親から引き継ぐということ。そのことにより、境界性パーソナリティ障害を誘発させやすい環境要因(親子関係など)を形成する。(環境要因については後述項目を参照)

・神経伝達物質による要因:脳内で信号が伝えられるとき、細胞と細胞との間で化学的伝達物質というものが働きます。ある神経伝達物質は、感情や行動に大きく影響しています。

・神経生物学上の要因:これは、脳神経系の仕組みや機能についての研究分野です。境界性パーソナリティ障害を抱える方の脳を見ると、特定の領域で、脳の形状や機能が通常とは異なっている場合があります。

・環境要因:成育歴、特に家族の間で起きた大きなできごとは、境界性パーソナリティ障害に強い影響を与えます。

更に詳しく説明いたします。


遺伝学上の要因

双子のきょうだいについて行われた研究がありますが、この研究結果から、遺伝上の因果関係を実証できるだろうと言われています。

ある研究によると、一卵性双生児の片方に境界性パーソナリティ障害が見られた場合、67%の割合で、もう一方のきょうだいにも、境界性パーソナリティ障害が見られたということです。

しかし、こうした研究結果に対し慎重な解釈が必要です。境界性パーソナリティ障害に関わる遺伝子の存在は、まだ実証されていないからです。

親の日常的な行動に、攻撃性がある、感情の不安定さが見られるといった場合、こどもは、こうした親の特徴を学習することがあります。これは、遺伝ではありません。

また、調査対象となった一卵性双生児のほとんどが、同じ親、同じ家庭、つまり同一の環境で育てられているので、養育環境の影響を排除できないのです。


神経伝達物質による要因

境界性パーソナリティ障害の方の脳内で、神経伝達物質であるセロトニンの機能変化が見られるようです。

セロトニンの機能変化は、うつ、攻撃性、自己破壊行動と関わりがあると言われています。

実証データは乏しいのですが、ある境界性パーソナリティ障害の方を調べたところ、ドーパミン、ノルアドレナリンという神経伝達物質の機能変化が見られ、そのことが感情の不安定さとつながっているのではないかということです。


神経生物学上の要因

脳の検査には、磁気共鳴画像診断装置(MRI)が使われます。MRIは、強力な磁場とラジオ波を発生させ、体内の様子を精確な画像にする装置です。

境界性パーソナリティ障害の方にMRI診断を行なうと、多くの患者で脳の特定部位に委縮や活動の異常が見られました。次に挙げる脳の3領域です。

・偏桃体:主に、感情コントロールと重要な関わりを持つ。恐怖心、攻撃性、不安といったネガティブな感情に関わる領域。

・海馬:行動の判断、自制心と関わる領域。

・眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ):結果予測、意思決定といった機能と関わる領域。



こうした脳機能の異常が、境界性パーソナリティ障害の症状を引き起こすのではないかと言われています。

幼児期の成育環境も、脳の各領域の発達に大きな影響を与えます。脳の特定部位が、人の感情を司るという見方ができるなら、境界性パーソナリティ障害の症状である対人関係トラブルなど、いくつかの特徴は説明がつきます。


環境要因

次に挙げる環境要因は、多くの境界性パーソナリティ障害の方に見られるものです。

・心理的な傷を抱えている、からだに傷害を加えられている、性的被害を受けている。

・幼児期に、継続して恐怖心又は精神的苦痛を受けている。

・親がこどもに無関心で、放置されていた。

・家族の中に、双極性障害など重い心の病気を抱える人がいた。若しくは、お酒、危険薬物におぼれる人がいた。


親、きょうだいとの関わりは、成人後の人生観、他者との信頼関係構築という面で、大きな影響を与えます。

相手に理想的な親の愛を要求し、自分は子どものように甘える。相手を攻撃し追い詰め、自分に危害を加えるよう仕向ける(他人を利用した自罰行為)。責任を周りの人に押し付け、自分には責任がないように振る舞う。これは、幼少期に、不条理な恐怖、怒り、苦痛を感じる環境で育てられたため、思考パターンに歪みが生じたことによります。

記事更新日 2014年8月19日


訳注

快適.Life
セロトニンとドーパミンとノルアドレナリン:三大神経伝達物質より引用


ドーパミン

向上心やモチベーション、記憶や学習能力、運動機能に関与。分泌が不足すると、物事への関心が薄れ、運動機能、学習機能、性機能が低下する可能性があります。パーキンソン病の原因とも考えられています。 一方、分泌が過剰だと、統合失調症や過食症、その他アルコール依存症やギャンブル依存症など様々な依存症を引き起こす可能性があります。

ノルアドレナリン

ストレスに反応して怒りや不安・恐怖などの感情を起こすため、「怒りのホルモン」や「ストレスホルモン」などの異名を持ちます。分泌が不足すると、気力や意欲の低下、物事への関心の低下など抑うつ状態になりやすいとされ、うつ病の原因とも考えられています。逆に、分泌が過剰だと、怒りっぽく、イライラ、キレやすくなり、躁状態を引き起こします。血圧が上がるため、高血圧症や糖尿病の原因になるとも言われています。

セロトニン

ノルアドレナリンやドーパミンの分泌をコントロールして暴走を抑える。咀嚼(そしゃく)や呼吸、歩行といった反復する運動機能にも関与しています。セロトニンが不足すると、ぼーっとしやすい、鬱っぽくなる、パニックを起こしやすいなどの症状が現れます。 投薬などで過剰になると、精神が不安定になったり、発汗や発熱、振戦(震え)など、セロトニン症候群という症状が起こることがあります。


脳の眼窩前頭皮質は嗅覚(臭いの知覚)も司るところです。英語のサイトを見ると、境界性パーソナリティ障害の方には、嗅覚の低下(臭いの区別ができないこと)も見られるといわれています。



***************************************


~敏感な感受性~

境界性パーソナリティ障害は、普通の家庭には起こらない病気で、親の虐待、機能不全家族などが原因であると言われてきました。そのため、親が高学歴で教育熱心な家庭に、境界性パーソナリティ障害の子どもが表れた場合、環境的要因は関係がない、先天的な要因ではないかと考えられてきました。そのように片付けてしまっていいのか疑問に思うのです。

マーシャ・リネハン博士はご自身の闘病体験を告白する中で、親から虐待を受けていたということは言っていませんが、両親は教育熱心で、忙しい人だったと回顧しています。博士は、境界性パーソナリティ障害を作る要因は『不認証環境』であると指摘しました。博士は不認証環境説の中で『人の成長過程には、特に敏感で傷つきやすい時期があり、この時期に不認証や否定的体験をすることは不認証環境を作る要因となる』と語っています。

上村順子氏は著書『なぜ子どもを殴るのか』の中で次のように述べています。表面上は明るく、怒らないようなお母さんでも、子どもの感情を否定したり、無視する言動で、深い傷を子どもに与えていることがある。とりわけ爆発した叱責はしなくても、子どもの情緒を無視し、子どもの人格を否定することは、子どもの心を傷つけ、ネガティブな感情をすり込みます。上村氏はこれを『マイルドな虐待』と名付けました。

リネハン博士、上村順子氏とも、幼児には、大人の感覚からは想像できないほど敏感な感受性があるということを指摘されています。



~モーセのつらい生い立ち~

幼少期を不遇な環境で育った人物が聖書に書かれています。出エジプト記のモーセです。ヘブル人は食糧難のため、エジプトに寄留することになりましたが、それが何世代にもわたる長い年数になりました。人口が増え続けるヘブル人は、エジプト人の脅威となり、パロ(ファラオ)は、それ以上ヘブル人が増えないよう、産婆たちに生まれる赤ん坊の間引きを命じます。そうした時期、モーセが誕生します。

モーセは間引きされることなく生まれましたが、生後3か月目、それ以上隠し育てることに限界を感じた両親は、パピルスのかごにモーセを入れナイル川の茂みに隠します。偶然それをパロの娘が見つけ、モーセはパロに引き取られ王宮で育つことになりました。命拾いをしましたが、親元を離れたモーセは複雑な気持ちを抱きながら成長したことでしょう。成人したモーセは、うまく社会適応できていなかったようです。ある時、感情のコントロールを失い大きな過ちを犯します。殺人、死体遺棄、及び逃走の罪です。

『モーセが成長して後、ある日のこと、同胞の所に出て行って、そのはげしい労役を見た。彼はひとりのエジプトびとが、同胞のひとりであるヘブルびとを打つのを見たので、 左右を見まわし、人のいないのを見て、そのエジプトびとを打ち殺し、これを砂の中に隠した。』出エジプト記 2章11~12節 口語訳

このように、モーセはことばよりも手が先に出る短気なところがあったようです。先ほどの殺人の場面では、周りに人がいないことを確認し、問答無用とばかり、エジプト人に飛びついて殺してます。モーセがエジプト人と口論をした形跡がありません。この時モーセは40歳だったのですが(使徒7:23)、あまりにも短絡的な行動が引っかかります。モーセの気性の激しさは、その生い立ちも関係していたでしょう。それに加え、何らかのことばの障害もあったのではないかと言われています。モーセはエジプト人に抗議をしたくても、うまく言葉にできなかったとすれば、この殺人の場面も納得できます。

この事件から40年後、神さまはモーセに現れ、エジプトで奴隷となっている同族を救うよう命じます。しかし、モーセは何度も拒み『わたしは口も重く、舌も重いのです』という理由を述べています(出エジプト4章10~16節)。ある解説書には、モーセは吃音症のような、ことばを話す上でのハンディキャップがあったのではないかと書いてありました。4章27節以降を見ると、確かに、兄アロンはモーセの口代わりとなり働いているので、モーセは、話すことに困難があったということです。

モーセの心には様々なコンプレックスがあったことでしょう。幼少期、実の親から離れて育てられたことは、自分は愛されなかった、認められることがなかったという劣等感を抱かせたでしょう。ヘブル人として生まれたにも関わらず、同族を苦しめるエジプト王家の中で育てられたことは、アイデンティティの曖昧さを招き、奴隷として働く同族に対し罪悪感を感じながら成長したことでしょう。更に、ことばの障害もあったようです。一見恵まれた王宮育ちのモーセでしたが、こうした心の葛藤もあったように思います。映画化されたモーセはヒーローのように演出されることがありますが、聖書が記述するモーセの行動を、虚心たんかい見るならば、欠点を多く持つ人物であって、ヒーローとして記述されていないようです。

このように書くとモーセは民族のリーダーとして相応しくないように聞こえるかもしれませんが、モーセのコンプレックス、犯罪歴、ことばの障害も必要なものだったようです。モーセが神と向き合い、また、自分自身と向き合うことができた時、謙虚さを学ぶことができたと思うからです。イスラエル一族がエジプトを脱出したあと、モーセは、兄アロンからいわれのない非難を受ける場面があります。それを聞いた主は『モーセは、誰よりも謙遜である(民数記12章3節)』それこそが、モーセをリーダーに選んだ理由であると、モーセを擁護します。

『神様がお望みなのは、悔いくずおれたたましいです。 ああ神様。 罪を深く後悔して砕かれた心にこそ、神様は目を留めてくださるのです』 詩篇 51篇17節 リビング・バイブル

人は、生まれた家庭環境を選ぶことはできませんし、体の特徴も選んで生まれてくることもできません。ある意味不公平なことです。しかし、つらい生い立ちや、人生の汚点となる失敗があるからこそ、人は謙遜を学ぶことができるのかもしれません。

『私たちは、神様を愛し、神様のご計画どおりに歩んでいるなら、自分の身に起こることはすべて、益となることを知っているのです』 ローマ信徒への手紙 8章28節 リビング・バイブル







コメント (1)
この記事をはてなブックマークに追加

(23)愛着関係、児童虐待、片親疎外症候群、複雑性PTSDについて

2011年01月19日 | 日記


~愛着関係(アタッチメント)~

発達心理学の分野で、児童虐待と境界性パーソナリティ障害(複雑性PTSD)との関わりや、特に愛着関係に着目した研究がなされていて、日本では、棚瀬一代氏、数井みゆき氏,遠藤利彦氏らがこのことを著述されています。幼児期の愛着関係不成立が、その後一生にわたり大きな心理的影響を及ぼし、境界性パーソナリティ障害などの発症となると考えられています。愛着理論は、ジョン・ボウルビィ(John Bowlby)によって提唱されました。

発達心理学では、児童虐待とは何かを突き詰めていくと、アタッチメント(親子の信頼関係)の阻害であると言います。愛着関係は、親子関係において形成され、人格形成の基礎になります。自分の親としっかりした愛着関係を結べなかった子どもは、将来、心理的に問題を抱えるリスクが高く、自分の子どもの愛し方が分からない、或いは自分の子どもを虐待するということが起きます。「育児とは自分が養育された記憶の追体験である」と言われます。親との愛着関係を結べなかった子どもみんなが、問題を抱えるとは言えませんが、虐待をする親を調べてみると、子ども時代に、愛着関係を結べなかったことを疑わせる、心理的背景があると言われています。

アタッチメントについて、以下の記事にも書かせていただきました。ご参照ください。
心理学-1 動物行動学が示すもの
心理学-2 アタッチメント
心理学-3 44名の少年犯を調査


~児童虐待、片親疎外症候群~

私の場合、妻は虚偽のDVストーリーを親きょうだい、地元の友人に言いふらしたため、私は住んでいた家から出て行かざるを得なくなり、私と子どもたちは生き別れとなりました。後日妻と話し合う機会があり「私は本当に暴力を振るう夫なの?」と尋ねると、黙ったまま答えません。私と子どもを引き離す行動は、別居になる前からありました。私には何の連絡もなく、毎週末、妻は朝早くから夜遅くまで子どもを連れて外出していました。別居後も、私と子どもが会うことを嫌い、会えないように様々な画策をしてきました。子どもは本心では父親に会いたいのですが、会うことが母親の機嫌を損ね、母親から嫌がらせをされることが何年も続いてきたので、片親疎外症候群(PAS Parental alienation syndrome)という症状が出てきたようです。

1970年代、欧米で離婚する夫婦が増え、離婚裁判で激しく親権が争われました。統計的な数字までは確認していませんが、妻が子どもを連れ去る、親権の審判で妻が親権を獲得し子どもを監護するといったことが多かったようです。こうした中で、別れた妻が、別れた夫と子どもの面会を拒むことが少なくなく、別居以前は、父と子どもの関係が良好であったものが、別居してから子どもが父親を嫌悪するようになる、面会を拒むようになるなど、父親と子どもの関係が壊れる、思春期以降、重大な問題が現れるといったことが、共通して見られるようになりました。アイデンティティが十分育めなかった為だと言われています。こうした別居親と子供の面会を拒絶するような言動は、心理的虐待にあたります。このような面会を拒む母親に、パーソナリティ障害、パラノイアなどの傾向が見られるとも言われています。

不幸にも親が別居をしている場合でも、子どもの健全な心の発達に父親(別居親)との関わりが重要なのですが、母親がそれを拒絶するケースが多々あり、近年、日本でも社会問題となり、国会で答弁されたほどです。子どもは表面上、従順に母親(同居親)に従うように行動しますが、内面では苦しい葛藤が生じています。

しかし、PASの症状が見られるからといって、その原因は、同居親の引き離し行為や、離れて暮らす片親が悪い人であると子どもに吹き込む悪意のプログラミングであると結論付けることができるのか疑問に感じる面もあります。引き離し行為や悪意のプログラミングがなくても、子どもの心は防衛機制の働きで、PASの症状が表れるという説もあります。

ストックホルム症候群で見られるように、長い時間、その場の支配者に自分の生命や自由が握られた場合、支配された人は心の防衛機制が働き、自分の存在を守るため支配者に反抗するのではなく、同調したり、支配者に好意的感情を抱いたり、支配者の好意を得る行動をとることがあります。こうしたことが作為的になされるのではなく、無意識のうちに行われます。大のおとなでさえこうした心理的変化が生じるのですから、発達過程にあり、より周囲の影響を受けやすい子どもであれば、無意識のうちに同居親の感情や行動に自分を合わせるということが起こってもおかしくありません。同居親の悪意ある言動がない場合でも、子どもにPASの症状が起こり得るということです。

PASの概念が純粋な心理学や、精神医学の理論として提起されたものではなく、離婚裁判における親権争奪戦と関わって提起されていることに、一抹の不安を感じます。PASの理論には、ある意図的な誘導が感じられます。英語で「PAS」やPASを提起した「Dr. Richard A. Gardner」をキーワードで検索してみると、社会的物議をかもしてきた理論、人物だということが伺えます。片親疎外について正しく理解するためにも「PAS」や「Dr. Richard A. Gardner」について批判的に検証する見方も必要な気がします。

別居親を子どもから引き離したり、別居親に悪い印象を与えることばを子どもに言うことは、子どもの心の成長のためにもやってはいけないことだと思いますが、「片親疎外」を引き合いにして親権を勝ち取るため、相手方を不当におとしめることが起きないのだろうかという懸念も感じます。

別居、離婚をされている方で、もしお子さまに片親疎外の兆候が表れたなら、お子さまの心をいかに安定させるかを考えてはいかがでしょうか?お子さまに片親疎外の症状が見られるということは、お子さまが強い不安感、高いストレスを感じているということです。自分の両親が相手への強い憎しみ、怒りをたたえ、親権争奪戦を繰り広げる姿も、またお子さまの心を苦しめている原因の一つではないでしょうか?


~児童虐待をする親の病理性~

児童虐待をする親について、親自身の認知の歪みが虐待の原因である(ヘルファー Mary Edna Helfer)とか、虐待する親の多くは、自己愛性パーソナリティ障害や、境界性パーソナリティ障害のような、情緒的問題を抱えており、虐待行為は偶発的ではなく、虐待者自身の幼児期における情緒的問題と関わっている(スティール Brandt F. Steele)と指摘されてきました。

上村順子氏の著書「なぜ子どもを殴るのか」には、虐待する親の心理的背景を、臨床医としての視点から探り、境界性パーソナリティ障害(複雑性PTSD)との関わりがあるのではないかと指摘をしています。著者は、虐待する親全てが、境界性パーソナリティ障害であるとは言っていないので、誤解をされないよう申し上げておきます。虐待をする親の中には、実際に境界性パーソナリティ障害の方もいるでしょう。また、境界性パーソナリティ障害とまでは言えないまでも、それを含む境界例水準(病態水準を基にしたカテゴリー)の方たちもいます。こうした虐待する親は、幼児期に親(その他の大人)から虐待を受けていると指摘しています。上村氏が、虐待する親と境界性パーソナリティ障害との関わりを挙げたことに、関心を寄せました。以下、上村氏の著書から引用させていただきながら、記述させていただきます。


~アルコール依存と児童虐待の類似~

かつて、アルコール依存症は、病気としての認識がされていませんでした。本人は「酒飲んでて、何が病気なんだよ」と自分が飲酒に溺れても、病気ではないと言い張る人がたくさんいましたし、社会全体が、ただの酔っぱらいとしか見なさず、精神科疾患のアルコール依存症としては認識していませんでした。今日、虐待についても同じことが言えて「疾病としての虐待」という見方が必要だと上村氏は述べています。

アルコール依存の飲酒が、1回だけで終わらないように、虐待も1回で終わらず、継続されるところ、嗜癖性があるところに病理性があります。他人がする暴力はいけないことだと認識できても、自分の暴力は、それが虐待であると認知できないというのも特徴です。


~嗜癖行動(アディクション)~

アルコール依存で飲酒が止められなくなる様に、虐待でも、一度暴力を振るうと、自制が効かなくなります。虐待の怖さはその嗜癖性で、自分で止めることができないところにあります。アルコール依存では、初めのうちは楽しく飲んでいても、お酒の量が増え、やがて止められなくなります。精神的な緊張があると、お酒を飲まずにはいられなくなり、お酒がないと体の不調すら訴えるようになります。こうしてお酒に支配されるのが、アルコール依存症です。

一方虐待は、自分が暴力的な言動に支配されていて、不安や、緊張を解消する為、暴力を振るったり、暴力的な言動でストレスを解消しようとします。虐待にも、嗜癖というものがあります。周りの家族、ケース・ワーカーは、虐待は病気である、病理性があるという観点に立ち、虐待者に対応できているだろうかと著者は疑問を投げかけています。「気の持ちようですよ」「あまり悩まない方が良いですよ」などの月並みなアドバイスをすることは、かえって母親自身が、治療に向かうきっかけを奪い、治療する機会を失った虐待者は、虐待を継続しエスカーレトさせることになります。本人や周囲の人が、虐待は病気であるという認識に至っていないと、虐待者本人は治療支援へと結びつきません。

虐待する親に共通しているのは、自分を愛せないということです。自分自身を肯定できず、否定しています。自分を愛せない親は、それだけ愛情に飢えていて、孤独で、寂しさを感じています。夫に愛して欲しい、理解して欲しいと願っています。離婚などで、伴侶と離れて暮らしている場合、日常生活の緊張を和らげるのが、より難しくなります。孤立していると、虐待を繰り返しやすくなります。


~心的外傷後ストレス障害(PTSD Post-traumatic stress disorder)~

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、ベトナム帰還兵が帰国後、心を病み酒、麻薬などにおぼれる人々が増え、 社会問題化したことから研究が始まりました。戦場の兵士は、どこにも逃れられない状況のもと、毎日生死をさまよう過酷な恐怖体験(高ストレス体験)をさせられました。このような心的外傷を与える恐怖体験は、戦場においてのみ起こるのではなく、これと似た状況が、現代の家庭内でも起こり得る、既に起こっていると指摘しています。親が子どもに与える暴力、レイプ、ネグレクトといった見た目に明らかな虐待だけではなく、子どもの考え、行動を常に否定すること、存在の否定が継続されると、子どもは高いストレス状態に置かれ、戦争体験に等しい心的外傷を与えるというのです。虐待による心的外傷は、戦争によるPTSDと区別し、複雑性PTSDと呼ばれます。このように育てられ、親子間での健全な愛着関係形成が成し遂げられなかった場合、境界性パーソナリティ障害(複雑性PTSD)発症の高リスクとなるというのが、発達心理学での見方です。


~心の戦争体験~

虐待をする親自身が、世の中は戦場のようなものだと思いこんでる場合があります。いつ何が起こるか分からない、人の言葉は、戦場を飛び交う弾丸のようなものだと感じているのです。安心して食事すらできず、いつも不安感で満たされています。こうした母親の言動は、子どもに同じ戦争体験をさせることになります。

虐待する母親は、いつも不機嫌な顔をしています(持続的不機嫌)。子どもの頃から、強く感情を抑えつけられ、何を言っても「ダメです」「いけません」と否定されてきたためです。何かすると、理不尽に叱られ、殴られる。「ありのままの自分ではいけない」「自分の気持ちに正直であってはいけない」という環境にいたら、感情が歪み、持続的な不機嫌になります。こうした方が親となり、持続的不機嫌の状態で子育てをすると、常にイライラし、感情の抑制を失い、不幸な子育て環境となります。この持続的不機嫌というのは、母親自身、どうしていつもイライラしているのか、その原因が分かっていません。自殺、自傷行為が伴う場合もあります。


~虐待の世代間伝達~

虐待する側の親は、常に自分自身をダメな人間だと非難する傾向があり、自分自身に強い羞恥心を感じています。こうした罪悪感は、虐待している母親に共通していると上村氏は述べています。母親自身が主体性を持って生きる事を否定しているので、同じく子どもが主体性を持って生きる事を否定します。自分の子どもが主体性を持って生きる事に、我慢ならず、子どもの主体性を奪い、自分の思いのままに子どもを操ろうとします。母親の自己否定、強い羞恥心、罪悪感も子どもに投影され世代間伝達をします。

過保護と言われる親子関係でも、 子どもの自然な欲求や感情を無視して親の意向(わがまま)を優先させるので、親に子どもを従属させている関係が見られます。これを「マイルドな情緒的虐待」と呼べるのではないかと上村氏は言います。この虐待を受けている 子ども自身も「虐待されている」という自覚はなく、反対に過保護、過干渉を「愛されている」と誤認してしまうので、自身のトラウマの自覚(虐待されているということ)がより困難になります。もっとも身近で心を許している養育者に、体や心を傷つけられるという事は、深く激しい心の傷(心的外傷=トラウマ)になります。

幼児・児童虐待という状態は、それが積極的な虐待であれ、「マイルドな虐待」であれ、それを受けた 子どもは「歪んだ対人関係」を学習するという点で、後々深刻な影響を及ぼします。虐待をする大人自身、 子どもの頃に同じ様なトラウマ(心的外傷)を負わされています。虐待行為には、マイルドなものからハードなものまで様々ありますが、過去(幼児期)に学んだ「歪んだ対人(親子)関係」を再現し、子どもを攻撃します。

虐待する親が、境界性パーソナリティ障害などの傾向があり、虐待をしてしまっているという視点が必要です。「ボーダー・ラインの親が、ボーダー・ラインの子をつくる」、「世代間伝達」とも言われ、親が抱えている苦悩を、子どもに伝えています。これは誰かが断ち切らないと、その苦悩をまた次の世代の子どもに受け渡すことになります。


~複雑性PTSD(C-PTSD  Complex post-traumatic stress disorder)~

虐待された児童を扱う臨床医からは、複雑性PTSDという臨床単位が提唱され、虐待を行う親や、社会に対し「こういう虐待を子どもにすると、将来、子どもは大きな問題を抱える」と警告を発しています。

従来の臨床心理学の分野において、○○パーソナリティ障害といった場合、現在の個人的特徴に焦点があてられ、心的外傷を受けた過去の原因にさかのぼるという見方をし、「発症の原因はこれです」とは特定しにくいようです。一人の人に、うつ病、境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害など複数の病名が付けられることがあり、ラベリングに拘るといえるでしょう。

一方、児童虐待での見方は、心的外傷を受けた幼児期に焦点をあて、虐待被害者として捉えます。複雑性PTSDという病名がつけられ、原因はアタッチメントの疎外であると言われています。虐待に対する防衛機制として、境界性パーソナリティ障害が発症する場合があれば、自己愛性パーソナリティ障害や、うつ病があらわれるという見方をするので、複雑性PTSDの見方では、○○パーソナリティ障害といった病名を付ける必要はありません。複雑性PTSDという臨床単位と、パーソナリティ障害の臨床単位が並行して語られることがあり、混乱を招いているように感じます。複雑性PTSDという臨床単位が提唱された背景には、「あなたは、○○パーソナリティ障害」といったラベリングをしないで済むので、患者サイドが受診しやすくなり、社会の偏見も少なくなるという意図もあるようです。しかし、アメリカ精神医学会は、新しい臨床単位や、診断基準の見直しを簡単に認めないところのようです。日本も、アメリカに右に倣えといったところでしょうか。


~抑圧された怒り、スティグマ(恒常的自己嫌悪)感~

表面上は明るく、怒らないようなお母さんでも、子どもの感情を否定したり、無視する言動で、深い傷を子どもに与えていることがあると上村氏は指摘します。とりわけ爆発した叱責はしなくても、子どもの情緒を無視し、子どもの人格を否定することは、子どもの心を傷つけ、ネガティブな感情をすり込みます。

虐待する親は、人生の責任ある主体が、自分自身であるという意識を持っていません。大人になっても、自分は他人から保護されるべきであるという、受動的感覚を持っているので、夫(伴侶)に対して、わがままな要求を通すのが当然と考えます。子どもに対してもわがままを通すので、子どもが親の欲求を満たす親役となり、親子の逆転現象が起きます。こうした親は、子どもが親の要求(わがまま)に従う事が、正しいと思っているので、子どもを支配的に扱います。反対に子どもは、親の要求を満たすことが、自分の務めだと思わされるので、過剰な努力、我慢を強いられます。親の要求を満たせないと、自分の力不足であると自分自身を責め、恒常的劣等感を抱くようになります。自分自身を非難し、自分はダメな人間だと思い込み、強い羞恥心を覚え、自分は生きている価値がないなど、罪悪感を抱きながら生きるようになるのです。

親自身が「主体性を持つ」ことを獲得していない為、自分の子どもに主体性を持たせるということを知りません。主体性とは、他人に左右されることなく、自分の考えで行動をし、良い意味でも悪い意味でも、自分が報いを受けるということです。主体性を獲得してない親にとっては、子どもが自分と違う考えで行動することは、絶対許せないのです。

境界性パーソナリティ障害の場合、見捨てられ不安が非常に強く、些細なことでも、子どもが自分の言うことに従わない、自分とは違う考えをすると、自分は見捨てられたと感じてしまいます。こうした不安は、耐えがたいほど苦痛なので、常に子どもを自分の思い通りに操る、支配的に扱うとも言えると思います。

このように育てられた子どもも、親と同じスティグマ感を抱くようになります。


~親子関係への没入~

母親自身が、幼かった頃満たされなかった親への愛情に飢え、或いは親への復讐心をたたえている場合、自分の子どもに対して、感情を転移させ、満たされなかった親子関係を、子どもを親に見たてた、逆転疑似親子の関係として再現します。子どもは元々非力なのですが、その非力な姿に、自分自身の惨めな姿や、強い嫌悪感を、子どもにぶつけるようになります。物忘れをする、足し算ができないなど、出来ないという事に我慢ができず、強い怒りを子どもに投影し、虐待の嗜癖性となります。親への憎しみを子どもに投影し、不健全な密着関係を作り、理想化した親のイメージを子どもに求め、子どもと、適度な距離(バウンダリー)を保つことができなくなります。

虐待を受けて育った人は、精神的に親の存在の占める割合が非常に大きいという特徴があります。親の言葉、親の考えが、大人になっても、頭の中に刻まれています。自分の親のイメージが自分自身と切り離せないほど大きなものになってしまいます。大人になっても、このイメージは強く残り、親が理想化され、また親の自分への要求が理想化されて、それに応えられない自分に羞恥心、怒りを感じています。


~ネガティブな感情の支配~

子どもは、自分を愛し、守り、育てる親が、一方で、自分に恐怖を与え続け、自分を否定し続けるといった、矛盾を孕んだ存在であるなら、子どもは、親を恒常的なキャラクターとして認知できず、親のイメージがばらばらで、認知面、統合面の成長に支障が出ると言えないでしょうか。認知統合に歪みをきたし、スプリット(二極化)された考えとなったり、親から否定されることにより、劣等感、自己嫌悪を抱き、生への罪悪感を抱き、希死念慮、自傷行為が表面化し、親への憎しみ、自分自身への憎しみを、内面深くに抑圧し、自分でも理由が分からない、恒常的不機嫌に陥るのではないでしょうか。

アタッチメントの未形成という点に着目するなら、境界性パーソナリティ障害の特徴である、スプリット、スティグマ感、抑圧された怒り、怒りの爆発性、統合の不得手さ、アイデンティティの欠如、希死念慮などを説明できるように思います。


~虐待の要因~

家庭で虐待が起きる要因は、親側が持つ要因と、子ども側が持つ要因に分けることができます。子どもの側にも虐待をひき起こす要因があるということは、あまり知られていないと思います。

子どもの側の危険因子

・未熟児(低体重出生児)である。
・多胎児である(双子や三つ子)。
・新生児期に健康上の問題を持つ場合,しょっちゅう病院通いや看病をしないといけないので息が詰まってしまう。
・発育,発達が遅れていたり,病弱であったり,先天的な異常・障害がある場合。
・幼少期に長期分離を経験しているとか,長い間保育器や新生児集中治療室に入っていたりした子ども。
・親子の絆の形成が妨げられた子ども。 普通子どもは生後6カ月から1歳半くらいの間に特定の大人,普通は母親に村してアタッチメント(愛着)を形成します。けれどもそういう時期,あるいはそれよりも少し後にわたって親子が離れて暮らすことになると,アタッチメントが親子の間で形成されず,そのことが虐待のリスクファクターになります。
・他児と違う子ども,他児より手がかかる子ども(体重増加不良,夜泣き,離乳がうまくいかない,すぐ風邪をひく)。
・過食,拒食,よくぐずる,かんしゃく持ち,寝つきが悪い,頭を打ちつける,反抗的,多動,その他行動上の問題がある。

児童虐待について
全国養護教諭サークル協議会研究集会 より引用



~スパルタ教育~

子どもの幸せのためにと、スパルタ教育、厳しい躾け、親の理想を子どもに押し付けることなど、こうしたことは当然のごとく行われていますが、気をつけないと、子どもにとってそれが過度のストレス状態となり、恒常的自己否定、恒常的自己嫌悪に至らせる恐れがあります。よく言われる「厳しい躾」は、子どもらしい考え、行動、感情を「容認されない甘え」として否定しますが、子どもには成長段階があり、段階に応じた対応が必要とされます。「子どもは小さな大人ではない(ルソー Jean-Jacques Rousseau)」のです。

虐待する親の中には「自分も小さいころ厳しく育てられた。厳しい躾は子どものためである」と言う方がいます。こういう方は、親から心を戦争状態にされて育てられてきたと言えるのです。この内面の戦争状態は、大人になっても消える事なく、他人の些細な一言で過剰反応し、心理的戦争状態が再現されます。自分が親になったとき、自分がされたのと同じことを、自分の子どもにもします。

子どもの年齢や力量に不相応な学習を強要したり、倫理的な正しさを要求することは高ストレスを与え「自分はできないんだ」という感情を子どもにすり込む危険があります。何度でも失敗してもいいんだよ。間違っても許されるんだよ。少しずつできるようになるよ。できなくてもあなたを愛している。こういったメッセージが、幼児期に必要なのではないでしょうか。

愛情と赦しを経験せず育った方は、「厳しい躾こそ子どもの幸せである」と自己弁護をせざるを得ないのですが、子どもを全面的に受容する態度、愛し、赦すことが親子関係のベースにないならば「厳しい躾」は、親の権威を笠に着たイジメでしかないように思います。


コロサイ人への手紙3章21節 私訳
父親よ、子どもにとげとげしく接してはいけません。子どもは自信を失います。

Οἱ πατέρες, μὴ ἐρεθίζετε τὰ τέκνα ὑμῶν, ἵνα μὴ ἀθυμῶσιν.

ἐρεθίζω(2042)エレティゾー 動詞 
(人の感情を)かき乱す、嫌がらせをする、いじめる、(人を)イライラさせる

ἀθυμέω(120)アスメオ 動詞
がっかりする、落胆する、途方に暮れる、失望する、元気がなくなる

Fathers, do not provoke your children, lest they become discouraged.
English Standard Version


コメント
この記事をはてなブックマークに追加

(24)不認証環境~境界性パーソナリティ障害の要因

2011年01月19日 | 日記



~マーシャ・リネハン博士による定義~

『不認証環境』はマーシャ・リネハン博士が、『Skills Training Manual For Treatment of Borderline Personality Disorder』という著書で、境界性パーソナリティ障害の原因として発表されました。この著書での定義が『about.com』に掲載されていたので私訳させていただきます。リネハン博士ご自身、境界性パーソナリティ障害を抱えてこられた方であり、境界性パーソナリティ障害の患者を専門に治療してきた心理療法家です。この病気の原因を、どのように考察されたのかご覧ください。

この記事の中の『About.comより(1)』は、リネハン博士による定義です。『About.comより(2)』『About.comより(3)』は、PTSDを研究する Kristalyn Salters-Pedneault博士による定義です。

境界性パーソナリティ障害と関わりを持つ方だけではなく、現在親として子育て中の方、これから親となろうとする方にも読んでいただきたい内容です。どのように子どもに関わるべきか、今までのご自身の対応がどうであったか振り返る一助となれば幸いです。不認証環境は、珍しいものではなく、現代の多くの家族が抱える問題だとも言えます。境界性パーソナリティ障害を学ぶことは、人間とは何なのかを学ぶ、普遍的テーマを考えさせられることです。


~About.comより(1)~

リンク先
http://bpd.about.com/od/environmentalcausesorbpd/a/Invalidate.htm 

マーシャ・リネハン博士による定義


~不認証環境 境界性パーソナリティ障害を形成する要因~

子どもが、自分は認められていないと感じる養育環境で育つことは、境界性パーソナリティ障害に至る一要因になるといわれ、今日では定説となっています。


~不認証環境~

不認証とは、情緒の基礎を形成する時期、ありのままの気持ちを認めないこと、傷付けること、疑いの態度を示すことで、子どもの気持ちを否定したり、あざ笑ったり、無視したり、決めつけた言い方をすることです。これにより『自分の感覚は正しくいない』との認識を子どもは植え付けられます。

不認証を感じる環境で育った子どもは、必然的に、自分の感覚は間違っている、あるいは、自分の気持ちは尊重されることがないとの思いを強くします。不認証が継続されると、子どもは感情に混乱をきたし、ありのままの気持ちに自信が持てなくなります。

不認証環境を、一概に虐待と結びつけることはできませんが、虐待が起きている状況は、間違いなく不認証環境であるといえます。不認証の定義は微妙なところがあり、日常全般における両者の関わり方が問題となります。


~認証すること、褒めること~

認証することと、褒めることは違います。認証することとは、相手を認める以上の大切な意味を持ち、褒めることは、持ち上げることです。相手を認証するということは、相手に同調しているかどうかは関係ありません。複雑な思いを抱きながら認証することもあるからです。

目に見える子どもの行為に注目することは、その背景にある気持ちを見過ごすことになります。子どもは肯定されると、その行為を強化させることになるのですが、努力や苦心への配慮がないがしろにされるなら、褒められたとしても、自分の気持ちが十分受け入れられてない、或いは見放されたと感じることが起きます。


~転校児童~

登校初日、一人、不安を感じつつ学校に来た転校児童に対して、褒めるということは、単に『よく頑張って来たね』と言うことです。一方『不安な気持ちに負けないで、勇気を出して来たんだね。大変だったでしょう。よく頑張ってきたね』ということが、不安情緒への認証です。不安な気持ちを克服しようとする気持ち認め、その努力を褒めることです。

また、褒めつつも不認証を付与しているということが同時に起こり得ます。『よくできましたね。こんなつまらないことに、つまずいていたんじゃダメじゃない』。こうした大人の言葉は、子どもの行為を褒めてはいますが、同時に不認証を付与しているのです。


~不認証と感受性~

対人関係から受ける影響について、人はそれぞれ異なった受け止め方をするものです。ある人には不認証環境にいると感じても、同じ状況が、ほかの人には、さほどのことに感じない場合もあります。不認証を、個人の気質や感受性の問題に換言することもできなくはありません。しかし、人の成長過程には、特に傷つきやすい時期、敏感な感受性を持つ時期があるということも申し上げておきます。

この不認証感覚は、一時的なものではありません。慢性的感覚となり、境界性パーソナリティ障害に至らせる要因となることを明記しておきます。


~引用図書~
『Skills Training Manual For Treatment of Borderline Personality Disorder』
マーシャ・リネハン著
ギルフォード出版
1993年


~英原文(1)~

About.com Borderline Personality

Invalidating Environment - Contributor to Borderline Personality Disorder

Growing up in an environment perceived as invalidating is one factor commonly discussed as contributing to the development of borderline personality disorder (BPD).


An Invalidating Environment

In this sense, to invalidate means to attack or question the foundation or reality of a person’s feelings. This can be done through denying, ridiculing, ignoring, or judging another’s feelings. Regardless of the means, the effect is clear: the person feelings are “wrong.”

An environment perceived as invalidating generally means that the child grows up feeling that his emotional responses are not correct or considered in the regular course of things. Over time, this can result in confusion and a general distrust of a person’s own emotions.

An invalidating environment is not the same thing as an abusive environment, although abusive relationships are certainly invalidating. Invalidation can be quite subtle and may reflect a general way of interacting.


Validation vs. Praise

Validation is not the same thing as praise; it is more an acknowledgement of the person, whereas praise is just a compliment. To validate someone is to acknowledge the feelings involved, regardless of whether you agree with how the other person is feeling or not.

Praise addresses the action or behavior without addressing the emotion behind it. It can be that, although a child’s behavior is acknowledged and reinforced, the effort or negative feeling is not addressed. This can cause the child to feel that his total experience is not accepted, and even dismissed.

An example:
A young child goes into the classroom by herself on the first day of school, although she is scared. Praising her would be a simple, “Good job!” On the other hand, “You were so brave to go in even though you were scared. It couldn't have been easy. What a good job you did,” validates the troubling feelings, remarks on the effort overcoming those feelings took, and praises the effort.

It is possible to praise while being invalidating at the same time: “Good job. Now don’t you see how silly you were being?” This response invalidates the feelings the child was having by calling them “silly,” despite the praising of the behavior.


Perceived As Invalidating

It is important to remember that people tend to experience relationships and interactions differently. This means that what one person experiences as an invalidating environment is not necessarily experienced as such by another. It is possible that individual temperaments affect a person’s general sensitivity to invalidation, but everyone has times when they are more vulnerable or sensitive.

It is important to note, however, that invalidation -- as it relates to the development of borderline personality disorder -- is not a periodic experience, but a pervasive one.

Source:
Linehan, MM (1993). "Skills Training Manual For Treatment of Borderline Personality Disorder." New York: Guilford Press.


~About.comより(2)~

リンク先
http://bpd.about.com/od/glossary/g/validate.htm 

Kristalyn Salters-Pedneault博士による定義


~情緒への認証~

『情緒への認証』とは、相手がどのような気持ちであるのかを知ろうと努めること、理解すること、受容していることを意思表示することなどで、このような応答を積み重ねることです。反対に『情緒への不認証』とは、相手に、自分の気持ちは否定された、無視された、裁かれたとの思いを抱かせることです。

境界性パーソナリティ障害を抱える方の多くは、成長過程のある時期、継続的に、情緒への認証を十分に付与されず養育されています。これは、この病気を研究する著名な心理学者が述べていることです。情緒への不認証は、やがて、子どもの感情抑制機能に混乱を与え、境界性パーソナリティ障害の形成要因となります。


~英原文(2)~

What Is Emotional Validation?

Definition:

Emotional validation is the process of learning about, understanding, and expressing acceptance of another person’s emotional experience. Emotional validation is distinguished from emotional invalidation, in which another person’s emotional experiences are rejected, ignored, or judged.

A few dominant psychological theories of borderline personality disorder (BPD) assert that many people with BPD did not receive sufficient emotional validation over the course of their development (see also “emotionally invalidating environment”), which may be one factor in the development of the emotion dysregulation characteristic of the disorder.


~About.comより(3)~

リンク先
http://bpd.about.com/od/glossary/g/invalid.htm 

Kristalyn Salters-Pedneault博士による定義


~情緒への不認証環境~

情緒への不認証環境とは、自分が表した気持ちに対し、適切な対応が得られない、または、一貫性のない対応をされる状況を指します。

家庭内で、情緒への不認証環境が起きている例を挙げると、欲求が満たされず、泣く子どもを『うるさい』と叱る対応をすること。極端な場合は、泣くという表現に対し、体罰で対応することです。

こうした情緒への不認証環境は、境界性パーソナリティ障害に至らせるリスクを高め、同障害の原因になると警告されています。


~英原文(3)~

Emotionally Invalidating Environment

Definition:

An emotionally invalidating environment is any environment in which a person’s emotional experiences are not responded to appropriately or are responded to inconsistently.

For example, in an emotionally invalidating home environment, a child who becomes frustrated and cries may be told “stop being such a baby.” In extreme examples, a child may be physically assaulted for expressing feelings.

An emotionally invalidating environment has been suggested as one of the factors that puts people at risk for developing borderline personality disorder (BPD).


~聖書が語る父子関係~

聖書の中で、父子関係のあり方について語られる個所は、僅かしかありません。しかし、含蓄あることが語られているようです。日本語訳の聖書では読んでピンと来なくても、英語の聖書から、日本語に翻訳してみると新しい発見をすることがあります。新約聖書の原典は、コイネー・ギリシャ語で書かれました。残念ながら、コイネー・ギリシャ語で聖書を読み解く力がないので、英語からの私訳を紹介させていただきます。お手元に聖書がある方は、該当箇所を開いて見比べてください。


~エペソ人への手紙6章4節 私訳~

父親よ、とげとげしい態度で子どもとの関係を壊すようではいけません。主の教えを身に付けられるよう心を配り育てるのです。

Καὶ οἱ πατέρες, μὴ παροργίζετε τὰ τέκνα ὑμῶν ἀλλὰ ἐκτρέφετε αὐτὰ ἐν παιδείᾳ καὶ νουθεσίᾳ κυρίου.

παροργίζω(3949)パロルギゾ 動詞
(人に)意地悪をして怒らせる、人間関係を悪化させる

ἐκτρέφω(1625)エクトゥレフォ 動詞
育む、大切に育てる

παιδεία(3809)パイデイア 名詞
訓練、習得

Fathers, do not provoke your children to anger, but bring them up in the discipline and instruction of the Lord.
English Standard Version



~コロサイ人への手紙3章21節 私訳~

父親よ、子どもにとげとげしく接してはいけません。子どもは自信を失います。

Οἱ πατέρες, μὴ ἐρεθίζετε τὰ τέκνα ὑμῶν, ἵνα μὴ ἀθυμῶσιν.

ἐρεθίζω(2042)エレティゾー 動詞 
(人の感情を)かき乱す、嫌がらせをする、いじめる、(人を)イライラさせる

ἀθυμέω(120)アスメオ 動詞
がっかりする、落胆する、途方に暮れる、失望する、元気がなくなる

Fathers, do not provoke your children, lest they become discouraged.
English Standard Version



~不認証環境へのいましめ~

この聖書の箇所から感じるのは、子どもの気持ちや意見を十分聞かずに、自分に従わせようとする父親。子どもを否定する父親といった、権威型父親像。あるいは、子どもが主体的に行動しようとする時、親が子どもの代わりに何でもやってしまうような、お節介型父親像です。いずれの親も、子どもの気持ちを尊重できません。子どもは苛立ちを感じ、こうした親子関係が継続されるなら、不認証感覚を植え付けられ、自分の気持ちに自信を持てなくさせると、いましめているようです。

主の訓練とは、祈ること、みことばを覚えること、人を赦し、愛し、希望を持って忍耐する力を養うことなどです。主の教えは、人間の教えとは違います。人は如何に自分の才能を伸ばすか、収入を増やすか、名声を得るかを知りたがるものです。これを教えるのが、人間の教えです。主の教えとは、神の前にへりくだること、ひざまずくこと、心が砕かれることです。自分は罪深いものですと、主に告白するなら、主はその罪を赦し、新しい力を与えてくださるお方です。堅苦しい生き方ではありません。むしろ、肩から重い荷を下ろす、安らかな生き方です。父親として子どもたちに伝えたいことです。


コメント
この記事をはてなブックマークに追加

(25)傷つきやすい心

2011年01月19日 | 日記


~境界性パーソナリティ障害と心のやけど~

マインド(英国こころの保健協会) 2013年1月25日掲載記事を私訳 
リンク先 http://beautyandtheborderline.wordpress.com/2013/02/03/the-burn-of-borderline-personality-disorder/

アメリカの心理学者マーシャ・リネハン博士は、境界性パーソナリティ障害を理論づけ次のように語る。

『境界性パーソナリティ障害の方の心をたとえると、体の9割以上を、深さ3度のやけどで覆われたような状態だといえます。心を保護する皮膚が失われているので、些細な接触であっても大きな苦痛を感じるのです』

訳注
上記のリネハン博士の言葉は、境界性パーソナリティ障害を抱える方が立ち上げるブログやYouTubeの動画、この病気の偏見をなくすキャンペーンや、弁証法的行動療法を解説するサイトなどで引用されるとても有名な一文です。


もし、体の9割以上に深さ3度の火傷を負ったとしたらどうなるでしょうか?皮膚は敏感になり、ちょっと触られただけでもヒリヒリと痛みます。やけどを負った患部に軟膏を塗ろうと触れただけで、顔を歪め痛がることでしょう。治療している間、ずっと激しい痛みに耐えなくてはならない。そのようなやけどの痛みをご想像ください。

では、心にやけどを負うというのは、どのようなことでしょうか?

やけどになったところは、傷あととなり残ることもありますが、いずれにせよ体に負ったけがというものは治るものです。心に負った傷も、治ったあとでも傷あとが残ることがあります。さらには心の傷は癒されないこともあり、傷に触れられると痛み、感染症に侵されるような生々しい傷のまま残ることもあります。

これから申し上げることをご想像ください。

見るものの色彩が『真っ白か、真っ黒』しかなく、灰色すら存在しない世界、見るものが『成功か、まったくの失敗』、もしくは『最高か、最悪』の両極しかない世界です。

境界性パーソナリティ障害の方は、ある時は、幸せに満たされた時間を過ごします。自分のやりたいことに集中し、次から次へと発想がひらめく完全に満たされた世界です。今までにない最高のコンディションにあり、世界のすべてが完璧で一点の染みも見あたらないように感じます。

しかし、やがて恐怖と孤独に苦しむ、人生最悪の日々が訪れ、あの幸福に満ちた世界は、音をたてて崩れます。感性はひらめきを失い、やることなすこと全てが上手くいかず、幸福に感じた日々は過去の遠い記憶で、もはや思い返すことすらできなくなるでしょう。

自分に対する他人のことばや、ふるまいに過剰反応するようになり、自分自身のコントロールを失って自暴自棄になり、理由もなく人を疑います。気持ちを落ち着け何かに集中することができず、昼と夜の生活が逆転し、理性的な思考や行動ができなくなり、周りの誰もが自分を見捨てて離れていくと感じます。自分の居場所がないことに息苦しさを感じ、こうした苦境が永遠に続くように思うのです。

自分自身を嫌悪し、自分の価値や自尊心を見失います。

自分の居場所がどこにもないので、生きることへの希望を失います。毎日が耐えがたい苦痛で、この苦しみから逃れるため、死んでしまいたいと思いつめるのです。

しかし、やがて幸せに満ちあふれた生活が再び訪れてきます。こうしたことが繰り返されます。

境界性パーソナリティ障害を抱える方は『反応がオーバーだ』『振舞いがぎょうぎょうしい』『人の注目を集めたいだけだ』と言われることがありますが、それは誤解です。

境界性パーソナリティ障害を抱える方と同じ視線に立って考えてみてください。

もし、あなたが境界性パーソナリティ障害であったら、どのように日々を感じ、どのように振る舞うかを考えてみてください。

境界性パーソナリティ障害の方は、自分は愛されているか不安になるので愛情を確認しようとしますが、他人の目には『依存的だ』と映ります。

境界性パーソナリティ障害の方は自分の欠点を気にかけているのですが、他人に自分の欠点を指摘されると、自分の欠点が頭から離れなくなるのです。

他人から励ましのことばをかけられたとしても、境界性パーソナリティ障害の方は、自分のダメなところを指摘されたと受け取ることがあります。

『あとで連絡するね』と言ってた友だちから連絡がこない場合、境界性パーソナリティ障害の方は見捨てられたと感じるでしょう。

自分が落ち込んでる様子を見て、他人から『何かあったの?』と尋ねられると、境界性パーソナリティ障害の方は、落ち込んでいた自分自身に羞恥心を感じてしまいます。

『否定的に考えない方がいいよ』と言われると、境界性パーソナリティ障害の方は、ますます否定的な考えに陥ることでしょう。

他人から『やまない雨はないよ。そのうち良いことがあるさ』と言われると、境界性パーソナリティ障害の方は、誰も自分を分かってくれないと感じるのです。

『最近忙しくてなかなか会えないんだ』と言われた場合、境界性パーソナリティ障害の方は、自分は厄介払いされていると感じます。

自分が慣わしとするやり方に意見されると、邪魔をされたと感じます。

境界性パーソナリティ障害を抱える方は、以上のように感じているのです。


~英語の原文~

Mind (National Association for Mental Health)

The burn of borderline personality disorder
Posted Friday 25 January 2013

Marsha Linehan, an American psychologist and author uses a great analogy to describe what Borderline Personality Disorder (BPD) is…

“People with BPD are like people with third degree burns over 90 percent of their body. Lacking emotional skin, they feel agony at the slightest touch or movement".

Try to imagine that third degree burn, over 90 percent of your body, a physical wound, one that is painful, raw and sensitive; suppose someone tries to put a lotion on that wound, a wound that cannot be touched without causing intense agony. Imagine the pain that you would have to endure just to begin the healing process.

Now imagine the same for an emotional wound.

Physical wounds heal, some may leave a scar; emotional wounds leave scars too, but sometimes emotional wounds don’t heal, they are left, open to infection, open for others to touch, open to cause the most intense pain.

Try to visualise a world which consists of only black and white; a world where grey ceases to exist. A world which has no middle ground; it’s either all or nothing, good or bad.

For some people with BPD, good days are overflowing with beauty. They become creative, inspired by life, they live in a world of complete and utter perfection. They are on a high, living in a euphoric state, the world is unblemished; their life is flawless.

And then come the bad days, they overflow with anguish and suffering. Their once perfect world has now become empty and broken. They are lonely and frightened. The inspiration they once had has disappeared and they feel like a complete failure. The good days are now so distant; they can no longer be remembered.

They over analyze words and actions. They lose control of their lives; they become self destructive, unreasonable and paranoid. They can’t focus, can’t concentrate, can’t sleep and they become irrational in their thinking and behaviour. They believe that everyone around them will leave; abandon them. They can’t ever see it getting better, they feel trapped, suffocated; they can’t breathe.

They have no self-esteem, no self-worth; they hate themselves.

They feel that they no longer have a place in the world; they no longer want a place in the world. Life is unbearable. They want to die just to stop the pain.

Then, they feel elated, euphoric, back in the perfect world and the cycle continues.

People with BPD are very often misunderstood, they are categorised as over-sensitive, dramatic and attention seeking. Everything they say or do is misconstrued.

Have you ever looked at someone with BPD and thought exactly the same?

Imagine having BPD just for a day. Imagine seeing life through the eyes of someone with this disorder…

Someone thinks you’re ‘needy’, with BPD; you just need to know you’re loved.

A person points out your flaws, with BPD, you already know your flaws, you obsess about them, all of the time.

Someone tries to encourage you by pointing out how you could improve on something, with BPD, you only hear the words, ‘you’re a failure.’

Somebody doesn’t ring you when they said they would, with BPD this means they’ve abandoned you.

Somebody asks what you could possibly have to be depressed about, with BPD, you now feel ashamed for feeling this way.

Someone tells you to stop being so negative, with BPD, this only intensifies how you feel.

People tell you that the bad days will pass; with BPD you feel that they don’t understand.

Someone tells you that they’re too busy to see you; with BPD it means that you have become a burden on them.

Someone changes your routine; with BPD they've upturned your world.

Look again at somebody with BPD, what is it you see now?


~MAKE BPD STIGMA-FREE!~

境界性パーソナリティ障害の理解の仕方、あるいは解説の仕方というものには幾つかあるようです。境界性パーソナリティ障害の方の行動化に着目した理解の仕方は、社会的スティグマ(偏見)を生む恐れがあります。一方で、社会的スティグマを解消する理解の仕方というものもあるのです。

境界性パーソナリティ障害の特徴を、様々な行動化を例示して解説するというのは、『外側』に目を向けた見方といえると思います。そこで例示される行動化の数々は、正常ではないもの、異常で病的なものとして記述されますが、こうした解説の仕方は、気を付けないと社会的偏見を生むことにつながると思います。

境界性パーソナリティ障害に関するウエブサイトで、境界性パーソナリティ障害を抱える方を中傷する書き込みを見ることがありますが、こうした行動化を奇抜に形容してしているものが多いですね。そこには、境界性パーソナリティ障害を抱える方の内面に踏み込んだ理解の仕方というものが、欠けているのではないでしょうか?

一方、境界性パーソナリティ障害の『内側』に目を向けた理解の仕方というのもあります。心の仕組みを理解する見方です。この理解の仕方は、境界性パーソナリティ障害への誤解を解く見方につながると思います。境界性パーソナリティ障害を抱える方を、普通ではない人として見るのではなく、同じ人間であり、理解できる隣人という視点を与えます。この理解の仕方は私にとって示唆に富むもので、心強い道しるべとなりました。境界性パーソナリティ障害を持つ方と共に暮らすご家族にとって参考になると思います。

MAKE BPD STIGMA-FREE! (境界性パーソナリティ障害の偏見をなくそう)』という英語のブログがあります。このブログを立ち上げている Joyceさんは44歳。長い間、境界性パーソナリティ障害、うつ病その他もろもろの病気を抱えてこられた方で、数年前、弁証法的行動療法(DBT)を受けたおかげで、現在は感情のコントロールができるようになってきたと仰っています。旦那さんと二人のお子さんがいるとのこと。境界性パーソナリティ障害を抱えながら、DBTに活路を見出している様子、ご家族と共に生きる姿を記述したJoyceさんのブログは、同じ境界性パーソナリティ障害を抱えて生きる方、そのご家族に希望を与えるものと思います。英語で書かれたブログですが、訪れてみてはいかがでしょうか?

このブログに『BPD is like having no skin』という動画が載っていました。マーシャ・リネハン博士ご自身が解説されてる動画で、ここでご紹介させていただきます。

余談ですが、弁証法的行動療法の理念と『STIGMA-FREE(偏見をなくす)』運動とは密接なつながりがあるようですね。


~境界性パーソナリティ障害と心の皮膚~




動画スタート

ナレーション
『20年以上にわたり、境界性パーソナリティ障害の研究を続けて来られたマーシャ・リネハン博士。博士はご自身の理論を展開し、この謎に満ちた病気を解き明かす』


マーシャ・リネハン博士 講演風景
『・・・境界性パーソナリティ障害と診断される方々は、感情を秩序化することができないのです』


マーシャ・リネハン博士 落ち着いた部屋の中で語る
『境界性パーソナリティ障害の方の心は、やけどを負い皮膚を失ったような状態にたとえることができます。もし、やけどを負った方に触れたらどうなるでしょうか。今、私は触られただけで飛び上がるようなことになりません。しかし、もしやけどを負っていたとしたら、軽く触られただけで痛みを感じ飛び上がるでしょう。境界性パーソナリティ障害の方の心の状態を、このように喩えることができます。つまり、境界性パーソナリティ障害の方の行動化の原因は、まさしく心を保護する皮膚がないということによるのです』


男性 (訳注 専門家としてではなく、奥様が境界性パーソナリティ障害を持つ、伴侶としてのコメントだと思われます)
『境界性パーソナリティ障害の方は、非常に敏感な感受性を持っていて、0から100%へ一気に数値が跳ね上がるように、それまで穏やかだった感情が、全く一瞬にして激しい感情へと変化します。何の前ぶれもなく、突然嵐に襲われるようなものです』


ナレーション
『敏感な感受性を刺激されるということが、さまざまな行動化の原因となります。これが境界性パーソナリティ障害を抱える方が感じていることです。』


動画最後に表示される字幕の翻訳は省略させていただきます。

動画終了


~神は人を見下さない~

神は全能の力を持つ。しかし、決して人を見下すことはなさらない。どこまでも人を理解される方である。
ヨブ記36章5節 New Revised Standard Versionを私訳


Surely God is mighty and does not despise any; he is mighty in strength of understanding.
Job 36:5 New Revised Standard Version



コメント
この記事をはてなブックマークに追加

(26)境界性パーソナリティ障害、診断、治療、家族

2011年01月19日 | 日記
アラン・フルツェッティ博士は、境界性パーソナリティ障害、弁証法的行動療法、家族支援の研究を専門とし、長年米国内で家族支援にご尽力されてきた先生です。博士のインタビュー動画がYouTubeにありました。境界性パーソナリティ障害の診断、治療、家族支援のエッセンスともいえる内容なので紹介させていただきます。


ネバダ大学のサイトから、博士のプロフィールを引用させていただきます。

Alan E. Fruzzetti, Ph.D.
ネバダ大学のウエブサイトから引用

アラン・フルツェッティ博士の紹介
臨床心理学教授
リノ市、ネバダ大学

研究、活動
・対人関係及び家庭の精神病理学(境界性パーソナリティ障害、うつ病、自殺など)
・家庭内の人間関係が与える影響と子どもの感情コントロール 
・他者との関係づくり(夫婦間及び親子間における認証行為の意義、夫婦の心理的距離、家庭内暴力)
・弁証法的行動療法の応用 個人、夫婦、家族
・精神病における介入制度、執行官への教育、評価指導
・全米境界性パーソナリティ障害啓発連盟(NEA-BPD)会員及び顧問



~アラン・フルツェッティ博士インタビュー~

Alan Fruzzetti, interview on trx of Borderline Pers.Dis.


Q リノ市(ネバダ州)からおこしの、アラン・フルツェッティ教授にお話を伺いたいと思います。フルツェッティ教授は、ここカロリンスカ医科大学(ストックホルム)で、境界性パーソナリティ障害に関する講演をされています。『自分は境界性パーソナリティ障害ではないか』と感じている人がいると思いますが、そのような方にアドバイスがあればお願いします。

A とても良い質問ですね。一番初めにするべきことは、適切な診断をしてもらうことです。境界性パーソナリティ障害の専門知識がある、医師や臨床心理士のもとを訪ねてください。もちろん適切に診断できる医師はいますが、その一方、誤診も少なくないからです。この病気は複雑な症状を見せるので、境界性パーソナリティ障害と診断すべきところを、違う病名が付けられることがあります。例えば、双極性障害であるとか、そのほかの病気であるとか類似した障害に誤診してしまうのです。適切かつ最善の治療を受けるには、適切な診断が不可欠です。

Q では、境界性パーソナリティ障害であると正しい診断がくだされたとして、有効な治療法はあるのでしょうか?

A 幸いなことにこの20年、有効な治療法が開発されてきました。20年前には治療効果が実証された治療法が一つもなく、無作為標本研究(randomized study)のような、普遍化された手法で治療効果が実証されたものがありませんでした。現在、患者集団を対象にして行われている研究は一つだけではなく、治療効果を裏付ける研究がいくつもあります。その中でも一番大がかりな研究がされているのは、弁証法的行動療法です。この治療法はアメリカのマーシャ・リネハン博士が開発したもので、ここ20年研究が続けられてきました。この研究は、12ないし15以上の無作為標本研究(randomized Controlled study)が行われており、弁証法的行動療法と一般的精神科治療法との比較、または、弁証法的行動療法とほかの心理療法とが比較されています。その結果、現時点では弁証法的行動療法が最も優れた治療効果があると証明されています。

最近は、有効な治療法の一つとしてスキーマ・フォーカス療法が挙げられています。ある研究報告では有望な治療法だということです。治療の選択肢が増えるというのは患者さんにとって喜ばしいことです。ほかにはイギリスで開発されたメンタライゼーション療法というものがあり、ある研究報告では確かな治療効果があるということです。今後、これらの治療法も更に改良されることでしょうし、治療の選択肢が増えることは患者さんにとって良いことだと思います。ただ現時点では、弁証法的行動療法が最も有効な治療法といえます。

Q 次に、弁証法的行動療法とは、手短にいうと、どのような治療法ですか?

A 手短に説明できるかどうか自信がありませんが弁証法的行動療法を要約していうなら、境界性パーソナリティ障害の患者さんが自分の感情をコントロールできるようにする治療法だということです。弁証法的行動療法を略してDBTといいますが、境界性パーソナリティ障害での大きな問題は、自分の感情を秩序化したり感情のコントロールができないことだと捉えています。それに加え感受性の敏感さ、そこから生じる行動化、生き辛さ、日常生活の中で湧き上がるネガティブな感情にどのように対処するかという問題などがあります。DBTは、このような患者さんの感情コントロールに焦点を当てた治療法です。DBTで行われる訓練は多岐にわたります。治療の基本方針は行動療法ですが、感情のコントロールを習得するため、マインドフルネスという技法が加えられています。治療者は、こうした数々のスキル、感情のコントロールが習得できるよう患者さんを指導します。こうした指導を受け患者さんは症状を改善してゆきます。

Q 次に、境界性パーソナリティ障害を持つ方と共に暮らす人や、恋人、友人に対し、何かアドバイスをいただけますか?

A これも大切な質問です。伴侶、ご両親、きょうだいといった家族への支援を行う、とても大きな支援団体(Family Connections)があります。境界性パーソナリティ障害を持つ方と共に暮らす人だけではなく、友人や恋人といった人も生活が混乱していたり、切羽詰まった状況に直面していることがあります。こうした方々が何らかの支援に結びつき、この病気について学ぶということが何よりも大切です。家族によりけりですが、家族療法を受ける家族、支援プログラム、弁証法的行動療法などを受けるご家族があります。家族は、こうした方法で支援を受けることができます。

また、アメリカやヨーロッパに広がっている『家族から家族へ(Family Connections)』という支援団体があり、そこでは家族を支援するため特別に考案された講習を受けることができます。境界性パーソナリティ障害を持つ方の身近で暮らす方を対象にした特別の講習です。会員になると『家族から家族へ』という講習を受講することができ、境界性パーソナリティ障害がどのような病気であるか学んだり、病気の成り立ちなど色々なことを学ぶことができます。境界性パーソナリティ障害に関する知識だけでなく、問題が起こった場面での対処法などを始め様々なことを学べます。



 
あなたはわたしを多くの重い悩みに
あわされましたが、再びわたしを生かし、
地の深い所から引きあげられるでしょう。
詩篇71篇20節 口語訳

















コメント
この記事をはてなブックマークに追加

(27)境界性パーソナリティ障害は40代で治るのか?

2011年01月19日 | 日記


~40歳安定説~

自傷行為や自殺企図の伴う、低機能型の境界性パーソナリティ障害の場合、自殺で命を落とすリスクが高いことから、自傷行為や自殺企図を如何に抑制するかが、治療の大きな目標となります。何とか40歳になるまで自殺を食い止め、治療を継続できれば、一般的な傾向として、40歳前後を境に自傷行為や自殺企図が治まってくるようです。

境界性パーソナリティ障害をお持ちの方のブログを拝見させて頂くと、そのような実例があることも見受けられます。以前、自傷行為があった方が、カウンセリングや治療を受け自傷行為が無くなったことで、自分は高機能型の境界性パーソナリティ障害になったのではないかと、いぶかる方もいらっしゃるようですが、むしろ、一つの治療目標を達成した、自傷行為を克服したと考えることが、理にかなっていると思うのです。陰ながら、次のステップに向かって前進できることをお祈りいたします。


~誤って引用される論文~

医師やカウンセラーが『境界性パーソナリティ障害は、30~40代になると自然に治る病気です』と記述するサイトが日本にはたくさんあります。40代で自然に治る根拠として、ParisやZanariniの論文が引用されるのですが、その論文のどこを見ても『境界性パーソナリティ障害は、40歳ころに自然に治る病気だ』とは書かれていません。日本で語られる、40歳安定説に大きな疑問と問題を感じています。

パリス(Paris)と、ザナリーニ(Zanarini)の論文を読めるリンクを貼りつけたので、詳しく調べたい方はご確認ください。

Implications of long-term outcome research for the management of patients with borderline personality disorder. Joel Paris, MD

Parisの研究は、4つの病院のデータを比較したもので、それぞれの病院で治療を受けた患者の予後調査をまとめたものです。


Time to attainment of recovery from borderline personality disorder and stability of recovery: a 10-years prospective follow-up study.
Zanarini MC1, Yong L, Frankenburg FR, Hennen J, Reich DB, Marino MF, Vujanovic AA.


Zanariniの研究は、入院治療の経験がある290名の患者に対し、2年ごとの追跡調査を5回繰り返したものです。


これらの研究は『境界性パーソナリティ障害は治療をしてもその効果がないと言われてきたが、どうなのだろうか?』という動機のもと、おこなわれていることを理解しなくてはなりません。またParisもZanariniも、病院で治療を受けた患者を調査対象とし、その患者を追跡調査するという調査方法を取っています。

これらの研究が、患者にとって治療は効果があるのか?長期的にどのような経過をたどるのか?ということを調べたのは自明のことで、境界性パーソナリティ障害が自然に治る病気だということを調べたものではないのです。

論文を見ると『治療を受けた患者たちは年齢と共に症状が収まって来る傾向がある。症状が改善される原因は、自然治癒力によるものか、治療効果によるものか明らかではない。しかし、治療を受けることは、症状を改善する効果がある』と書かれています。

この一節は『これまで境界性パーソナリティ障害への治療は、効果があるのかどうか疑いの目で見られてきたが、病院で治療を受けた患者たちの追跡調査をすると、年齢と共に症状が収まって来る傾向が見られた』という文脈の中で理解しなければならないはずです。これが論文の素直な解釈だと思います。

論文の一節を引っ張り出し『境界性パーソナリティ障害は、自然に治る病気だ』というのは、論文をねじ曲げた解釈で、論文の趣旨と相いれないものです。ParisもZanariniも、境界性パーソナリティ障害が、自然に治ることを証明したのではありません。これらの論文を、自然治癒説の根拠として引用すること自体間違っています。

そもそも境界性パーソナリティ障害は、40歳ころ自然治癒するような簡単な病気だったのでしょうか?かつて、境界性パーソナリティ障害は治らない病気で、効果的な治療法は存在しないとまでいわれていたのです。この困難極まりない病気が40歳で自然治癒すると考えるのはナンセンスではありませんか?

特に日本の治療者は『境界性パーソナリティ障害は40歳頃に自然に治る病気ですよ』ということばを使いたがるようです。それは、治療者が患者に対し或いは自分に対し、治療者としての責任を放棄するのに、実に体裁の良いことばとして使われてきたからではないのでしょうか?ParisやZanariniは『境界性パーソナリティ障害は、40歳ころに自然治癒する病気だ』と言っていません。日本における境界性パーソナリティ障害の理解は、一貫性がなく矛盾しているところがあります。


~Just Answer精神科の質問と回答~

『Just Answer 精神科』というサイトがあります。ある質問者が、この40歳(30歳)安定説を引き合いに、医師に質問をされています。clozapine1961 氏は医師として適切な回答をされていると思い、ここに引用させていただきました。家族の対応の仕方についても適切なアドバイスが書かれているので、参考にしていただきたいと思います。


質 問

境界性人格障害と診断された24歳女性の母です。今年2月に事件を起こし、措置入院をしていましたが、3月に退院し、現在は自宅から大学、アルバイトに通っています。

入院前にも浪費癖から家族のお金を使い込み(400万)、またサラ金からも借り入れがありました。今回の相談はまたその浪費癖に輪がかかりまたもやサラ金から 借り入れしていることがわかりました。注意すると逆切れし、前回のように事件をおこさないかと心配しています。

注意するのはやめ、自己責任で解決するしかないと思っていますが、このまま放っておくとどんどん借金が増え、また家族のお金に手を出すのではないかと不安です。会話も本人から避けていますし、家族としてはもう巻き込まれたくありません。

事件前後にかかっていた精神科医は、本人に「誤診だった。もう来る必要はない」と言ったとのこと。家族カウンセリングを受けた際にも「境界性はむずかしい・・・」と言っていました。多分関わりたくないんで本人にそういったのだと思います。本人に、障害の自覚がないまま、またあっても直す意思がないので、このまま症状がいつまで続くのか、家族がまた巻き込まれるのかと不安でなりません。

1)家族はどう、かかわっていけばよいのでしょうか?できれば縁をきりたいです。あるとしたら、返済できず自己破産すると気づくかもと思っています。

2)この病気は(障害)はいつになったら落ち着くのでしょうか?本によると30歳ごろから、とか家庭をもったらなどが書かれていましたが・・・。


回 答

娘様は境界性人格障害であり、病識が乏しく、家族が大変な状況であることはわかりました。しかし、境界性人格障害は本人、家族、医師のすべてが病気に対し立ち向かっていかないことには改善せず、何かいい方法などは残念ながらありません。

まず 1)の質問に関してからです。医療的に申しますと、ご家族が縁を切られては、サポートがなくなりさらに自暴自棄の行動に出る可能性があります。

最終的に縁を切るかどうかの判断はご家族がなさることですが、やはりここにあえて相談していること、また自己破産すると気づくかもと期待していること、ということからやはり本人に医療につながってほしいと質問者様は思っていると思います。

ご家族としては、病気の治療のためなら協力するが、借金の返済の援助や協力はしない、という明確で揺るがない枠組みを示す必要があります。はじめはご本人様はかなり抵抗を示され、逆に破滅的な行動を起こすかもしれませんが、これはご家族に対するアピールであり、ご家族が一致団結して揺るぎない枠組みに基づいた態度を示すことが大切です。その際に、主治医の協力も重要となるでしょう。

「誤診だった」と言ったかどうかはわかりませんが、措置入院となっているため間違いなく精神疾患に罹患しており、かつ医師法では応召義務がありますので診察の拒否はできません。家族の揺るぎない枠組みを主治医にも支持していただき、ともに協力して、何とかご本人に治療を受けることへのまずは消極的にせよ同意を引き出すことが大切です。

次に 2)ですが、境界性人格障害は病気ですので勝手によくなってくれることはありません。

しかし、人間は老いていくとともに病気も老いていくと考えますと、確かに若い患者様に比べると自己破壊的、他者攻撃的な行動などは年齢を経ると減る印象にあります。

ただ、逆に30代、40代まで未治療で放置しておきますと、軽快する可能性も減り、病気が遷延するリスクが上がるのも事実です。つまり、早期介入ほど治る可能性が高いため、大変だと思いますが医師も含めて治療から逃げないことが大切なのです。

質問者様の意図とは違う回答かもしれませんし、心情的にはつらいと思いますが、精神科医としての意見および精神医学的事実ですので、ご理解いただけると幸いです。

***************************************

今まで英語のサイトを見て境界性パーソナリティ障害について学んできたことと、この医師が語ることは一致しています。境界性パーソナリティ障害が治療なしで自然に治るものではないこと、早期発見、早期治療が回復に有効であること、病気を治したいという患者の意思が重要であることなどです。これは心の病気を理解する上で基本中の基本だと思うのですが、境界性パーソナリティ障害という病気を『40代で安定する』『年齢とともに良くなる』と解説するサイトが非常に多いのです。また、40歳安定説が、どれだけ世間に浸透しているかもお分かりいただけたと思います。

また『結婚すると落ち着く、家庭を持つと落ち着く』という新たな誤解も出回っているようです。このような解説を、英語のサイトで見たことがありません。どの論文に書いてあるのか教えていただきたいものです。こうした誤った情報が次から次へと出てくるのは、治療者個人の問題というより、日本の医療教育に根本的な問題があるとしか思えません。


~治療につなげることが重要~

『子どもへの虐待』『親子間の殺傷事件』『夫婦間の殺傷事件』『男女交際にからむ殺傷事件』といったニュースを見ると、もしかしたら当事者に心の病気があったのではなかろうかと思わされるものがあります。心の病気が即、犯罪につながるとは思いませんが、当事者や家族が的確な治療支援を受けていれば、未然に防げたものもあったのではないかと思うのです。

アメリカで行われた調査によると、600万人以上に深刻な心の病気がみられ、その半数近くの300万人は自分の病識を認めていないとのことです。家族など周囲にいる人から見て心の病気があるのではないかと疑わせる言動があるにも関わらず、本人が病識を自覚しないため治療に結び付かず、最終的に自殺で人生を閉じてしまう痛ましいケースもあるということです。

臨床心理学博士の Dr. Xavier Amador氏は講演の中で次のように語りました。博士には、心の病気の疑いがあるお兄さんがいらっしゃいました。お兄さんは幻聴を訴えるようになり、年を追うごとに症状は悪化していきました。お兄さんに治療を受けた方がいいと勧めていたのですが、『自分はどこも悪くない』と断じて自分の病気を認めませんでした。残念なことに、お兄さんは自殺をして生涯を閉じてしまったのです。博士は声を詰まらせながら言います。『自分はどこも悪くないという病識のない患者さんがたくさんいます。その方を、どうやって治療支援に結び付けるかが今日の医療課題です』と。

DSM-IV(心の病気の診断基準第4版)ではパーソナリティ障害の定義を『a personality disorder・・・is stable over time』と解説していますが、従来の日本語訳では『年齢とともに症状が安定する』と誤って翻訳されてきました。この箇所は『症状は慢性化する(症状は継続する)』という意味です。『年齢とともに症状が安定する』という誤った翻訳も『40歳安定説』を生み出す原因になっていると感じます。

『診断基準の訳文にそんな誤りがあるはずがない』と私も思いたかったのですが、英語の原文と、日本語の訳文に大きな違いがあることが分かり、別の記事で詳しく記述させていただきました。興味のある方は『翻訳徒然草-2 パーソナリティ障害 英語での定義』をお読みください。

『40歳安定説』の誤った流説は、『40歳前後で自然治癒するなら、治療を受けなくともいいのね』との誤った認識を本人や家族に与え、患者を治療支援から遠ざけることにつながります。治療から遠ざけられた患者や家族は苦悩を継続させ、問題をより深刻にさせることになるのではないでしょうか?

日本のウエブサイトを見ると、誤った引用をする精神科医、カウンセラーがとても多いのです。40歳安定説は誤った引用のされ方をしており、訂正されるべきものです。


~神が選んでくださる人~

使徒パウロは、かつてコリントの地を訪れ伝道をしました。コリントに教会がつくられたあと、さらなる伝道を目指しパウロはコリントをあとにします。その後コリントの教会で大きなもめ事が起こり、それを聞いたパウロは教会宛に手紙を書き送りました。その一部を紹介させていただきます。


コリント人への手紙 第一 1章17~31節 新共同訳

17 ・・・キリストがわたし(使徒パウロ)を(コリントへ)遣わされたのは、洗礼を授けるためではなく、福音を告げ知らせるためであり、しかも、キリストの十字架がむなしいものになってしまわぬように、言葉の知恵によらないで告げ知らせるためだからです。

18 十字架の言葉(イエス・キリストの福音)は、滅んでいく者にとっては愚かなものですが、わたしたち救われる者には神の力です。

19 それは、こう書いてあるからです。
「わたし(神)は知恵ある者の知恵を滅ぼし、
賢い者の賢さを意味のないものにする。」

20 知恵のある人はどこにいる。学者はどこにいる。この世の論客はどこにいる。神は世の知恵を愚かなものにされたではないか。

21 世は自分の知恵で神を知ることができませんでした。それは神の知恵にかなっています。そこで神は、宣教という愚かな手段によって信じる者を救おうと、お考えになったのです。

22 ユダヤ人はしるしを求め、ギリシア人は知恵を探しますが、

23 わたしたちは、十字架につけられたキリストを宣べ伝えています。すなわち、ユダヤ人にはつまずかせるもの、異邦人には愚かなものですが、

24 ユダヤ人であろうがギリシア人であろうが、召された者(イエス・キリストを信じた人)には、神の力、神の知恵であるキリストを宣べ伝えているのです。

25 神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強いからです。

26 兄弟たち(コリント教会の信徒)、あなたがたが召された(イエス・キリストを信じた)ときのことを、思い起こしてみなさい。人間的に見て知恵のある者が多かったわけではなく、能力のある者や、家柄のよい者が多かったわけでもありません。

27 ところが、神は知恵ある者に恥をかかせるため、世の無学な者を選び、力ある者に恥をかかせるため、世の無力な者を選ばれました。

28 また、神は地位のある者を無力な者とするため、世の無に等しい者、身分の卑しい者や見下げられている者を選ばれたのです。

29 それは、だれ一人、神の前で誇ることがないようにするためです。

30 神によってあなたがたはキリスト・イエスに結ばれ、このキリストは、わたしたちにとって神の知恵となり、義と聖と贖いとなられたのです。

31 「誇る者は主を誇れ」と書いてあるとおりになるためです。




当時コリントにはローマ人、ギリシャ人、ユダヤ人が混在し、教会員もそうした民族構成になっていました。理屈好きで哲学者タイプのギリシャ人、イエス・キリストが神であることの証拠を求めるユダヤ人という特徴が書かれていますが、こうした人たちは、イエス・キリストの復活や、イエス・キリストが神であるということが、なかなか納得できなかったようです。

合理性を追及する理論家や、証拠を要求する実証主義者に、イエス・キリストが受け入れられないのは、現代も同じです。

『人生で一番大切なものは何?』と聞かれたら、『お金』『教育』と答える方が多いのではないでしょうか?教育もお金も大切なもので、悪いものではありませんが、それが『一番』でしょうか?

教育は人間の知識を集めたもので、お金は人が印刷した紙です。教育もお金も人間が作りあげたものです。人が作ったものに『一番の価値』を与えることを、聖書は『偶像礼拝』といいます。聖書には次のように書かれています。


あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。 出エジプト記 20章3節 新共同訳


あなたたちは偶像を造ってはならない。彫像、石柱、あるいは石像を国内に建てて、それを拝んではならない。わたしはあなたたちの神、主だからである。 レビ記 26章1節 新共同訳


・・・神を知りながら、神としてあがめることも感謝することもせず、かえって、むなしい思いにふけり、心が鈍く暗くなったからです。自分では知恵があると吹聴しながら愚かになり、滅びることのない神の栄光を、滅び去る人間や鳥や獣や這うものなどに似せた像と取り替えたのです。 ローマ人への手紙 1章21~23節 新共同訳


・・・「わたし(神)は知恵ある者の知恵を滅ぼし、賢い者の賢さを意味のないものにる。」 コリント人への手紙 第一 1章19節 新共同訳



日本人の多くは『自分は神など信じない、自分は無宗教だ』といいます。宗教とは何のことでしょう?日本語では、特定の宗教の信徒になることを『宗教に入る』といいますが、聖書が語る『宗教』『神』はもっと広い意味があるようです。聖書の見かたからすると、日本人の多くは『教育』や『お金』に一番の価値を置く『教育』と『お金』の偶像信仰者ということになります。

『教育やお金を大切にして何がいけないんだ!』といわれるかもしれませんが、それを第一の価値観にしてしまったため、社会に歪みが生じているということがないでしょうか?幼児期からの早期教育、過重な教育が、かえって子どもの心理的発達を阻害しているということがあります。『心理学-4 赤ちゃんの脳と危険な育児』という記事で、サイレントベビーの問題、境界性パーソナリティ障害、複雑性PTSDといった問題が起こる可能性について書かせていただいたのでご参照ください。

借金にからむ殺人事件、オレオレ詐欺、政治家への賄賂、医学界での賄賂など、お金にからむ事件は後を絶ちません。お金にからむ事件が起こるのは、お金に一番の価値を与え、依存に陥っているからではないでしょうか?。


『金持ちになろうとする者は、誘惑、罠、無分別で有害なさまざまの欲望に陥ります。その欲望が、人を滅亡と破滅に陥れます。』 テモテ第一6:9 新共同訳


『裁きを曲げず、偏り見ず、賄賂を受け取ってはならない。賄賂は賢い者の目をくらませ、正しい者の言い分をゆがめるからである。』 申命記16:19 新共同訳



自分にとって、一番価値のあるものに信頼を寄せることが宗教だとするなら、自分は無宗教だという人も、実は『教育教』や『お金教』を偶像とする偶像崇拝者だというのが聖書の見かたになります。

私はイエス・キリストを神と信じ、聖書に従った生き方をしたいと望んでいますが、自分が宗教をやっているとは思いません。また、私の信仰を『宗教』といわれることに抵抗を感じます。自分を大切に育ててくれた、父と母を敬い、孝行をつくすことを『宗教をしている』とはいいませんよね。私も以前は知りませんでしたが、私にいのちを与え見守ってこられた神がいたこと、このお方が天と地をつくり、私を愛されていることを知るようになりました。その、存在を否定することのできない神と人格的な交わりを持つというのは、親を敬うようなものです。生きている間、神を見ることはありませんが、地上の旅路を終えた後、そのお方にお会いできることを楽しみにしています。

人は自分が生まれてきた理由を考えるときが、必ず訪れます。猿や犬や猫は、自分が生まれてきた理由を考えることをしません。生きる目的が分からず自殺までしてしまう生き物は人間だけです。なぜ人間だけに、存在理由を知りたがる欲求があるのでしょう?

アダムとエバは、知識の木の実を食べる前まで、神さまと固く結ばれ共に生きていました。アダムとエバの目の前には命の木と、知識の木がありました。命の木からは取って食べても良かったのですが、死ぬから食べてはいけないと、いわれていた知識の木の実を取って食べてしまいます。

神から離れたアダムとエバに肉体的な死が訪れることになり、また内面的な人間性の死が訪れることになりました。イエス・キリストという命の木があるにもかかわらず、知識を慕う現代人の姿に、アダムとエバの行為が重なります。人の愚かさや人間が持つ罪の性質は変わっていないようです。

人はポッカリと開いた心を埋めるため、趣味を持ち、お酒をのみ、恋愛をし、薬物におぼれ、色んなことに手を出しますが、いくら刺激的なことをやっても心を満たすことはできません。

人の心の片隅には、かつて神と結ばれ平和に生きていた記憶のかけらがあるのだと思います。心に起こる虚しさは、神さまと離れて生きていることが原因で、本当に人の心が探し求めているものは、神さまとの関係が回復されることだと、聖書は教えます。


・・・「わたし(イエス)は道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父のもとに行くことができない。 ヨハネ14:6 新共同訳

・・・わたし(イエス)は真理について証しをするために生まれ、そのためにこの世に来た。真理に属する人は皆、わたしの声を聞く。」 ヨハネ18:37 新共同訳



人は真理を求めるよう創られているようです。自分は何のために生まれたのか、何のために死ぬのか、死んだらどうなるのか・・・。真理とはイエス・キリストのことであると聖書は語ります。このお方以外に、私たちを再び神と結びあわせるものはありません。いのちを与え、こころの虚しさを埋めることができるのは、このお方だけです。

教養ある人から見れば、イエス・キリストを信じるなどということは、愚かに見えるかも知れません。神さまには、裕福な人か、教養のある人かということは重要な問題ではありません。むしろ、無学な人、取るに足りない人を、あえて選んでくださる愚かしさの中に神さまの知恵があると、コリント人への手紙は語ります。

神さまは、迷い出た人がご自分のもとに帰って来るのを心待ちにしておられます。神さまは目には見えないお方ですが、謙虚に探し求めるなら必ず見つけることができます。どうぞ神さまのもとにお帰りください。




コメント
この記事をはてなブックマークに追加

(30)YouTube動画 「怒りのコントロール」「境界性パーソナリティ障害からの解放」ほか

2011年01月19日 | 日記
Borderline Personality Disorder - Tools to reduce anger


境界性パーソナリティ障害 怒りのコントロール

BPDFamily 制作


動画スタート

Facing the Facts 真相に至る

男「この前も言ったじゃないか・・・」

女「あなたって ホント分からずやね」

口論によって、二人の関係を壊していませんか?

境界性パーソナリティ障害を持つ方と、関わりのある方へ

口論を抑える方法

制作 BPDFamily

女「私たちって、いがみ合ってばかりね」

男「何を言っても、彼女は目くじらを立てるんだ」

売り言葉に、買い言葉。ひょっとして、あなた自身が、その片棒を担いでいるのでは・・・

女「言いかたが、嫌味ったらしいし」
「言ってる事分からないし、あんな顔つきされれば、誰だって嫌になるわよ」

問題解決の第一歩は、口論に引きずり込まれない事です。

Step 1
あなたが主導権を握りましょう。
無益な口論に巻き込まれないよう、あなたが先手を取るのです。
相手に、主導権を握らせてはいけません。

Step 2
攻撃的な言動に込められた、裏の意味をつかみましょう。

Step 3
また非難を繰り返してきたら、
ふさわしい対応の仕方を、頭でイメージします。

Step 4
売り言葉に買い言葉。この片棒を担ぐのを止めましょう。
どうやったら止められるのか、頭の中でリハーサルするのです。

自分自身の対応を、見直せば、
口論に終止符を打てるのです。
同じく、相手(BPD)の方にもこれができるよう、
援助しましょう。

次に、相手の方の言葉に耳を傾ける姿勢を示しましょう。

共感する気持ちで語れるよう、訓練をして下さい。
思いやり 
誠実な態度です

この3つを覚えましょう
「共感、思いやり、誠実」

Sympathy 共感
Empathy 思いやり
Truth 誠実

SET

共感
男「不愉快な気持ちにさせたなら、謝るね。誰だって不愉快に感じるよね」

思いやり
男「君に関わりのある事だから、ずっと考えていたんだよ。君はかけがえのない人さ。」

誠実
男「君の為にもなると思うんだけど、こうしては、どうかな・・・」

これで、全てが解決する訳ではありませんが、
対話をする術として、参考にしてください。

問題解決の第一歩は、

関係をこじらせないことです。

制作 BPDFamily.com

動画終了




怒りをおそくする者は勇士にまさり、

自分の心を治める者は町を攻め取る者にまさる。

箴言16章32節










Breaking Free From Borderline Personality Disorder


境界性パーソナリティ障害からの解放

Katy Perez 制作

作者コメント

このビデオを、BPDで苦しむ方々に捧げます。
私は、病気の回復と明るい未来に向かう、旅に出ました。一緒にこの旅を始めましょう。


動画スタート

境界性パーソナリティ障害から解き放たれて
Katy Perez 制作

とても長い間、支配されてきましたね

感情も
考えも
人間関係も
そして、いのちまでも

がんじがらめに 鎖につながれて

今 解き放たれましょう

手放せるかしら?

苦しみを手放しましょう

不安を手放しましょう

手を伸ばして 援助を求めましょう

生きるって ダンスみたいなもの

踊りましょう

もう涙は似合わない

新しい自分に 目覚めて

自分を愛すること

生きる目的を持つこと

本当のあなたを 輝かせるの

自分の夢を探し

生きて 信じましょう

夢はきっと叶うわ

生きることに 喜びを見いだしましょう

「喜」 joy

あなたには 笑顔がお似合いよ

隠された 内なる光を輝かせて

希望が見えるはず

「幸せは すぐそこ」

あなたは クズなんかじゃない

あなたは 美しく咲く花

変わりましょうと ささやく 声に 従いましょう

世界中が 優しくあなたを包みこむ

自分を愛しましょう
自分を信じましょう
あなたには勇気がある
夢はきっと叶う


Music
Aselin Debison
Over The Rainbow / What A Wonderful World lyrics
歌詞私訳

虹のかなた ずっと高いところ
母の子守歌を聞きながら、見たあの夢
虹のかなた 幸せがあるところ
あなたが見た あの夢が きっと叶えられる
いつの日か 星に願えば 私は はるか雲の上

悩みは レモンドロップとなり 口の中で溶け去る

屋根の煙突よりも もっと高いところ そこに私は行く
虹のかなた 幸せがあるところ
私が見た あの夢だって きっと叶えられる

緑の木々 真っ赤なバラが咲き
私たちを 出迎える
ああ 世界はこんなにも素晴らしい
空は青く 雲は白い そしてまぶしい日差し
心地よい 夕暮れ ああ 世界はこんなにも素晴らしい
空できらめく 虹の色どりが 人々の顔にも 映る
初めて出会う人が
握手を交わし 挨拶をする
語られるのは 愛のこもった言葉
むずがる赤ん坊も やがて大人になる
次の世代は 今より 知識を広げる
ああ 世界はこんなにも素晴らしい

いつの日か 星に願えば 私は はるか雲の上
悩みは レモンドロップとなり 口の中で溶け去る
屋根の煙突よりも もっと高いところ そこに私は行く
虹のかなた ずっと高いところ
私が見た あの夢だって きっと叶えられる

動画終了

















 
※次の、動画はリンクをクリックして、アクセスして下さい。
YouTubeの待受け静止画が、刺激的なので、ここに載せるのを控えました。

前半は、真摯な内面の告白です。後半は、回復の道を歩む、希望を伝えています。

マイ・ストーリー

↓リンクをクリックして動画を立ち上げて下さい
http://www.youtube.com/watch?v=AYeObTElx5Q&feature=related

拒食症 過食症 自傷 希死念慮 との戦い

動画スタート

「マイ・ストーリー」

私はフツーの女の子だった
ありふれた日常
どこにでもいる友だち
平凡な家庭

誰にも
迷惑をかけたことは
なかった

教会にも行き
父なる神様と、その御子イエス・キリストを
信じていた

小さい頃から
人見知りが強く
甘やかされて育った
(こんな自分がきらいだった)

特に おかしなところは無かった

自分に 嫌いなところが なかったとしても

それでも 自分を好きになれなかったろう

自分は
みにくい
役立たず
愚か者
ダメ
気持ち悪い
そう思っていた

家族や友人に
囲まれている時でも

私は一人ぼっちだった

9歳の時 日記に書いた
「何のために生きているの?
生きるのがいや
死んだほうがまし」

父と母はとても 仲良く
大切に 私を育ててくれた
両親が悪い訳じゃない

こんな 劣等感を持つ自分が
怖かった
両親は 私の悩みを
聞いてくれたかも知れない
でも 打明けられなかった

自分自身を ダメな人間
嫌われ者だと 思っていた

今になって思えば
あの頃は
自分で
自分の首を 絞めていたのかも知れない

自分以外の人に 変われたらいいなあ
そう 思っていた

人知れず
ひどい 抑うつにもなった

10歳の女の子が
こんなふうに
悩むなんて
誰も 思わない

この気持ちを
ずっと隠してきた

夜になると
一人泣いた
鏡に映る自分が
怖かった

こんな気持ち
こんな秘密を抱えて 育った
誰にも 話せず

馬鹿げた考えに
取りつかれるようになった
人間関係で問題を
起こすようになった

人にどう思われようが
構わなかった

いつも 不安
空しかった

本当は
大声で 叫びたかった
大きな声で

でも そんなこと
できなかった

12歳の時
針でひっかき 腕を傷つけた

こうすると ホッとした
初めは 針を使ったが
カッターで切るようになった
カミソリで切るようになった

それから何か月かたち
皮膚を傷つけるに とどまらず
もっと深く
切るようになった

両親は、私をつかまえ
止めなさいと言った
私は 興味本位でやっただけ
もう二度とやらないと 言ったが

また 切った

どうしても 止められなかった

これが常習的な
自傷行為になるとは
思ってもみなかった

この自傷行為は
両親や、友だちを困らせ
自分自身 悩んだ

13歳になると
手が付けられなくなった

絶望感が大きくなり
それ以上
気持ちを 抑えることが
できなくなった

かつてないほど
激しく切った

鏡は 大嫌い
みにくい自分を 映すから

実際は 太ってもいないのに
自分は太っていると
思い込んでいたようだ

心理学を 勉強した訳ではないので
うまく 説明できませんが

どうして そう思い込んだのか
分かりません
全く 食べられないこともあり
少しは 食べられることもあった

病院で 体重が標準以下だと
忠告されても
どうすることも できなかった

摂食障害という
言葉は知っていたが
自分がそうだとは
気付かなかった

自分が病気にかかっていると
気が付いた時
すでに深刻な状態だった

私の中に あったのは

ブラックホール

15歳になる前

強い 抑うつで
危機的状況が訪れた

ふさぎ込む 私を見て
両親は 心配してくれた

でも 考えや 行動が乱れ
両親を傷つけまいと
あえて 両親から遠ざかった

今になって 思えば
こうした経験は
神様が与えて下さったもの
私が成長するため

両親も 今までになく
より神を求めるようになったようだ

自殺したいという思いが
強く、深刻になった時

苦しみから逃げるには
自殺しかなかった

死ぬ準備を始めた

準備が整い
愛する人たちへ
遺書も書いた

自殺実行の 前日
歌が 聞こえた

その歌を作ったのは 人間ではなく
神に違いない
その歌は 心深く浸み入った

幼い妹が 私が書いた遺書を手に
お姉ちゃんは 何が 悲しいの?
お姉ちゃんが いなくなったら 生きていけないよ

「お願い 死なないで」
と言った

神は 幼い妹を天使として 遣わしてくれた

私は 我に返った
自分は 死にたい訳じゃない
何もかも 嫌になっていただけだった
これでは いけない

その夜 激しく泣いた
母にすべてを 打明けた

死にたい気持ち
リストカットが止められないこと
摂食障害のことを

ずっと 打明けられずにいたのは
両親が泣き崩れる姿を
見たくなかったから

あの日
あんなに 堂々とした母を
初めて見た

母の心も ズタズタになっていた
しかし 一滴の涙も見せず
私の言葉に 耳を傾けてくれた

母は 強く 私を抱きしめた
この時 私は 
守られているんだと 感じた

その夜
私は 涙を流し
神に 助けと赦しを
求め 祈った

心穏やかに
夜 寝られた
初めてだった

母は父と話し合い
クリスチャンのカウンセラーを
紹介してくれた

しかし カウンセリングが
イヤで 長く続かなかった

やっぱり 自分は
治らないんだと 思った
その時

「神にできない事は一つもありません」
とのみ言葉が 与えられた

それから 徐々に
回復が始まり

心が 癒され始めた

私の中で
歯車が 回りだした

15歳の今
両親 妹と
うまく付き合えるようになった
たのしいと言える

一日中 笑っている
私に 笑顔が生まれた

人間として 成長している
ボーイフレンドまで できたの

神は 豊かに祝福を
与えてくれた
やり直す機会を
与えてくれた

濃い霧で
光が見えないような時でも
生きる意味の数々を
神は教えてくれた

私が生きるため
神は あふれるほどのものを下さった
母とは 固く信頼の絆で結ばれた
神を信じ 私を愛してくれる母

父は 私が泣く時も 笑う時も
そばにいてくれる
私が落ち込むことのないよう
支えてくれる父

妹とは いつも一緒にいて
心を開いて話せる 一番の親友
かけがえのない妹

生きようとする私を 支えてくれる仲間
頼りとされる 友になろう
かけがえのない友に

ボーイフレンドは 私に
愛することを 教えてくれた
不完全さは 誰もが持っている
私が 完璧でなくても
彼は 愛してくれる

多くはないが 大切な友だち
みんな 私のことを 気にかけてくれている
中には お腹がよじれるほど
笑わせてくれる 友もいる

御子イエス・キリストが
愛して下さるように
父なる神は 私を 愛して下さる

こんな多くの人に 愛されている
痩せていなくたって いいんだね
ダメなところがあっても いいんだね
みんなに 愛されている

私の命を 救ってくださった神に
何と言って 感謝をしたら良いのだろう

そう 神は あなたの命も
救って下さる
神を受け入れる それだけで良い

神は 真実なお方
週刊誌の言うことが 真実とは限らない
しかし 神は 真実なお方
テレビの言うことが 真実とは限らない
自分の力では
どうしようもないことがある

神を必要としない人は 一人もいない
自分は どうしようもなく 神から 遠く離れている
救われるに値しないなんて 思わないで
神に できないことはないから

今でも 私には摂食障害がある
みんなと同じく
悩みもある
でも 私は 生きている

希望はある
あなたも
神とイエス・キリストの内に
希望を見いだせるはず

あいにく 私に専門知識はないけれど
神に 執り成しをしてくれる人に
相談をして下さい
神は あなたの祈りに応え
助けを遣わして下さる
クリスチャンのカウンセラーに相談して下さい

このようにして
神は 私を助けてくれた
神は あなたをも助けて下さる

私は主に申し上げよう。
「わが避け所、わがとりで、私の信頼するわが神」と。
詩編 91:2

しかし私たちがまだ罪人であったとき、
キリストが私たちのために死んでくださったことにより、
神は私たちに対するご自身の愛を明らかにしておられます。
ローマ人への手紙 5:8

動画終了






詩篇119篇


詩篇119篇 71~77節

苦しみに 会ったことは、
私にとって しあわせでした。

私は それで あなたの おきてを 学びました。

あなたの 御口の おしえは、
私にとって 幾千の 金銀に まさるものです。

あなたの 御手が 私を造り、
私を 形造りました。

どうか私に、悟りを 与えてください。

私 があなたの 仰せを 学ぶように してください。

あなたを 恐れる人々は、私を 見て 喜ぶでしょう。

私が、あなたの ことばを 待ち望んで いるからです。

主よ。私は、あなたの さばきの 正しいことと、
あなたが 真実をもって 私を 悩まされたことと を知っています。

どうか、あなたの しもべへの み言葉の とおりに、
あなたの 恵みが 私の 慰めと なりますように。

私に あなたの あわれみを 臨ませ、私を 生かして ください。

あなたの みおしえが 私の 喜び だからです。








コメント
この記事をはてなブックマークに追加

(31)YouTube動画 「ご家族の方へ」

2011年01月19日 | 日記
~境界性パーソナリティ障害 ご家族の方へ~

Borderline Personality Disorder - Information for the family


Borderline Personality Disorder - Information for the family
Bpdfamily 制作


著作権の関係でYoutubeの動画は、サイレントになってしまいました。サウンド付きの動画はBpdFamily.comのサイトで見ることができます。次のリンクをクリックしてご覧ください。

リンク先
http://bpdfamily.blogspot.jp/2010/09/video-what-is-borderline-personality.html


動画スタート


こんなにも理解に苦しむ、人間関係があるのだろうか?


制作
Facing the Facts 
真相を知る
もし、大切な人が境界性パーソナリティ障害だったなら・・・
http://www.bpdfamily.com


境界性パーソナリティ障害という病気をご存知ですか?


「どうして、家庭内でこんな事が起こるのか分からない」
「薄氷を踏むような、張りつめた日々を過ごしている」
「正しい事が、ねじ曲げられる」
「何をやっても、報われない」

こうした状況であれば、境界性パーソナリティ障害と関わりがあるかも知れません。


「たまたま、その時が不機嫌だった」 のでしょうか?
そうでは、ないかも知れません。


アメリカ精神医学会では、境界性パーソナリティ障害の特徴である、275にのぼる項目を作成しています。


低機能型の境界性パーソナリティ障害の場合、自傷行為や自殺願望といった行動が伴い、明らかに正常ではないことが分かります。

境界性パーソナリティ障害は様々な姿を持ちます。高機能型と言われるものは、問題が表面化することがないよう、巧妙にその姿を隠します。それで「隠れた境界性パーソナリティ障害」とも呼ばれています。


「境界性パーソナリティ障害は、理解しにくい障害です」

家庭内でしか問題が起こらないと言った場合もあり、密室での病気とも言えます。

あのダイアナ妃の気性の激しさは、境界性パーソナリティ障害に因るものではないかと指摘する専門医もいます。

境界性パーソナリティ障害の方は、家の外では優れた評価を受ける場合もあるのですが、一方で、私生活が破たんしています。


境界性パーソナリティ障害とは、どのようなものでしょうか?


外見は大人であるにも関わらず、情緒など内面に未発達さがあります。

病気の原因は幼児期にまでさかのぼり、何らかの苦痛に満ちた体験が、情緒の発達を阻害した為であると言われています。

境界性パーソナリティ障害の方は、自分が大人であるとの認識を持っていても感情や行動に幼さを表します。

こうした特徴が常に見られるということではありませんが、影を潜めている時でも、依然物の考え方や、感じ方に変わりはありません。

家庭内で起こる何らかの緊張をきっかけとして、表出される事が多いでしょう。


「恋愛では、出会って早々に深い関係に陥ります」

境界性パーソナリティ障害の方が、恋愛関係に入ると次のような事が起こります。
相手を理想化する。
賞賛する。
出会って早々に、深い関係になることを求める。
無理な事までも引き受け、全力で相手に尽くそうとします。
こうする事で、恋愛感情の極みに浸っているのです。

やがて境界性パーソナリティ障害の方は、非現実的な過大な要求をするようになります。相手がそれに応えられないと、先ほどの賞賛する態度からさげすみへと一転します。

こうなると境界性パーソナリティ障害の方は、怒り、敵意を表し、ののしり、復讐心すら見せるのです。


「感情を抑制する力の弱さ」

境界性パーソナリティ障害の方は、普通の人にはない感情の起伏があります。僅か数分間でも極端に感情がアップ・ダウンします。

感情表現(芸術など)において、ひと際だったものを持つという場合もありますが、家庭内においてその感情のコントロールができないという側面があります。幼い子供のように、喜び、怒り、不安などを、開けっぴろげに表します。

境界性パーソナリティ障害の方は、分をわきまえない要求をすることがあります。
相手ができないような、過大な要求をする。
自分の主観に合うよう、事実を歪める。
いらついた気持ちのはけ口に、他人を利用する。
時には、爆発させるような怒り方もします。


「物事を、真っ白か、真っ黒かで分ける両極端な見方」

境界性パーソナリティ障害の方は、人物や物事の評価を最高か、最低かの両極で判断をします。

物事にはそれぞれに、程度や度合と言うものがあるのですが、こうした中間の見方ができません。

事実に基づくのではなく、自分の感情に基づいた認識をするので、コロコロと評価が変わります。

また、話し合って取り決めをする事や、譲歩をすることを苦痛に感じます。こうした事を強要されると、裏切られた、騙された、侮辱されたなどと感じます。


「見捨てられる事への恐れ」

境界性パーソナリティ障害の方は、見捨てられる事を恐れています。例えば、あなたが友人と共に終日仕事で出張しただけで、「自分は見捨てられた」と感じるのです。

この見捨てられ不安は極めて強く、仕返しに不貞行為をすることもあります。また、敗北感を味わう事を恐れるあまり、威圧的な態度を取る傾向があります。こうした事が起こるのは、親密な間柄においてです。

こういう訳で、長くお付き合いを続けたり、人間関係を深めたり、信頼を築き上げるということが、難しいという特徴があります。


「ネガティブな感情の投影(転嫁)」

境界性パーソナリティ障害の方は、自分ができなかった事、間違ったことをしたとしても、責任逃れをして他人に転嫁(投影)することがあります。

責任転嫁せずにはいられないほどの、強い羞恥心を覚えるからです。

境界性パーソナリティ障害の方には、相手の過ちを強く糾弾する傾向があるのですが、内心では、自分に咎めを感じているのです。

境界性パーソナリティ障害の方は、周囲に影響を与えているように見えるのですが、実はそれ以上に内面では、周囲からの影響を強く受けています。


では、どのように対応したら良いのでしょう?


「次の事を心がけましょう」

先ずは、ご自身が強くなって下さい。
健全な感覚を持っているのはあなたです。あなたが導き手となるのです。

ご自身を大切にしてください。次に、他の家族に援助をして下さい。
腰を据え、将来の展望を持ちましょう。

境界性パーソナリティ障害の方が主役のドラマに、家族が引きずり込まれない様にしましょう。


「次の事を心がけましょう」

多くの資料に目を通して下さい。
手っ取り早く解決できるとか、楽に解決できる方法はありません。できるだけ多くを学んでください。そして、やっていい事と、やってはいけない事の区別をつけましょう。

例えば、心の病気であると告知することは、破壊的行動を引き起こすことになります。


「次の事を心がけましょう」

専門医にアドバイスを求めましょう。
ご自身の周りに、心の病気を扱う専門医がいないか、あたってみて下さい。
こうした特徴が見られるからと言って、必ずしも境界性パーソナリティ障害とは限りませんが、
ここで申し上げることは大切な事です。十分理解をして下さい。

こうした症状は、家庭のような密室で生じるので、掛かりつけのお医者さんや、一般のセラピストには理解してもらえない場合があります。もし、境界性パーソナリティ障害の可能性を疑われるようでしたら、境界性パーソナリティ障害を扱う専門医にご相談ください。


「次の事を心がけましょう」

各支援機関と連絡を取ってください。
この病気との取り組みは、専門医でさえもそれ相応の覚悟を持って臨むのです。ご家族であれば尚の事でしょう。

各関係機関と連絡を取る事。また、自分自身のケア・サポートも取り付けておく事。これは絶対条件です。

当支援団体BPDFamily.comも、きっとお役に立てることと存じます。


「次の事を心がけましょう」

無益な口論に付き合わない事です。
議論の応報、延々と続く言い訳、怒鳴り合い。こうした事は望ましくない結果を招きます。仮に、あなたの主張に筋が通っていたとしてもです。

次の事に心を配りましょう。忍耐を持って語りかけること、コミュニケーション技術を確立すること、限界設定を設けること、環境を整えていくことです。


「次の事を心がけましょう」

あなた自身の力で、病気を治す事はできないのです。
治療に向かうかどうかは、境界性パーソナリティ障害の方ご本人の意思が決めることです。

あなたは現実を受け入れ、境界性パーソナリティ障害の方との生活の一翼を担えばいいのです。

簡単に問題は解決しないでしょうが、常に希望はあるのです。

Facing the Facts
www.bpdFamily.com

以下、キャスト紹介は省略します
動画終了


 
あなたはわたしを多くの重い悩みに
あわされましたが、再びわたしを生かし、
地の深い所から引きあげられるでしょう。
詩篇71篇20節 口語訳




コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加

(32)お付き合いの仕方

2011年01月19日 | 日記


BPDFamily 運営サイト
「Facing the Facts」
Articles---Article4より


第4特集 ★★★★★ より良い関係を築く第一歩 (新規掲載)


関係改善を図る第一歩は、それ以上関係をこじらせないことです。その為、あなた自身が一役買うのです。本稿の内容は「ご自身の対応を改めること」と「破壊願望の抑制」に要約することができます。破壊願望の制御がきかない言動は、二人の関係を回復できないほど壊します。この第4特集では、関係悪化を食い止める対処法をご紹介します。

黙っていたままでは何も変わりませんね。ですからご自身が変わる事から始めるのです。初めに、ご紹介するのはご自身の健康管理です。境界性パーソナリティ障害との関わりは、とても精神的に消耗します。続いてコミュニケーション・スキルの学習、限界設定の学習、ご自身のバウンダリー(責任範囲など)の学習です。意欲的に取り組んで下さい。


注 バウンダリーの意味を『翻訳徒然草-1』に載せました。ご参照ください。


この特集内に3分のビデオを掲載しました。Alan Fruzzetti博士提唱の対処法を、分かりやすく紹介したものです。また当スタッフの一員の「こうして関係改善ができた」という、体験談も紹介しています。あなたにも関係改善はできます。

注 特集内のビデオは別の記事にあります。YouTube動画「怒りのコントロール」をご参照ください。


「より良い関係を築く第一歩」

「関係改善を急ぐ前に、それ以上相手との関係をこじらせないこと」

その為にはご自身が先手を打ちます。これからお話しするテーマは以下の通りです。
・ご自身が関係悪化をさせないと誓うこと。
・今までの対応を振り返り、改めるべき点とその改善方法について。
・ご自身の破壊願望(衝動性)の抑制方法について。

衝動的破壊行為は、二人の関係を修復できないくらい壊してしまいます。


「今後、関係をこじらせないと誓う」

先ずは誓いを立てましょう。頭に血が上り自制できなくなり、相手の気持ちを逆撫でする事を言ってしまった事はありませんか。ご自身がこのような状態では、折角学んだ理論や対処法は全く生かされません。

これから学ぶ対処法がしっかりと身に付くまで、この「誓い」が当面の規範となります。感情の抑制を失いかけた場合この「誓い」を思い出して下さい。「誓い」がご自身を律するものになります。

過去に僅か3キロしか走った経験がないのに、いきなりフル・マラソンをやろうとしても無理ですね。このようなコンディションでは走ろうと思っても体が付いて行きません。本気で競技に臨むなら、毎朝早起きをし何カ月も練習し本番に備えます。固い決意があればこそ、足が痛む時でも走る事ができます。

優れた才能に恵まれていても、意欲に欠けていては力を発揮できません。

折角対処法を身に付けても、心が強い陰性感情(破壊願望など)に支配されるなら、学んだ対処法も発揮できません。こうした精神状態では、憂き目に会うだけです。

苦痛を感じている状況に捕らわれてしまってはいけません。一度心を落ち着け、これからあなたが目指す新たな目標に思いを向けるのです。困難な状況でも対処できるよう訓練をしましょう。


「正義の主張をやめる」

たとえ相手から嫌がらせをされ約束を破られ非難をされたとしても、ご自身も同じ仕返しをするなら互いの関係をこじらせるだけです。この事を理解して下さい。

相手に仕返しをするという対応は正しいのでしょうか?相手は報復を受けて当然なのでしょうか?

相手に嫌がらせで対抗することは、良い結果をもたらしません。先ず、あなた自身が思いやりある態度を示しましょう。そうすれば、いつかは相手も同じ態度を取るようになります。

「復讐をして当然だ」と互いが主張するならば、思いやりある関係は築けません。あのガンジーが言った様に「目には目を。この復讐律は世界中の人を盲人にしてしまう」のです。

相手を傷つける事が本当の目的でしょうか?

ご自身が傷つくことが目的でしょうか?相手を傷つけ自分も傷つけられる苦しみが、繰り返されていくのです。

これを食い止められるのは、あなたです。


「口論の土俵を降りる」

「降りかかる火の粉は払わねばならぬ」と言われますが・・・

二人の関係を守る為に喧嘩を避ける事は、決して敗北ではありません。仮に相手を言い負かしたとしても、あとで自分が言い負かされる事になります。口論をしないことは勇敢な行為です。それは、ご自身が打ち負かされる事の無いよう戦うことです。

勝ち敗けを争うなら、両者に敗北を招きます。攻撃をしない事こそが、お互いに勝利をもたらします。ご自身の自尊心を守り、二人の関係を守り、相手が傷つく事から守るのです。つまり誰も敗者になりません。

「義を見てせざるは勇なきなり」と、やられっ放しでは、敗北感や屈辱を感じるものです。しかし、争いを止めるという事は勇気を必要とし、強い意志や賢明さも必要です。決して不名誉に値する事ではありません。


「怒りで自分を見失わないために」

先ほどの箇所で「口論になっても互いの関係をこじらせない」と誓いました。続いては十分に訓練を積みましょう。

今までは、中傷されると怒りで自分を見失いご自身も言い返してきました。ところで、この状況は予め予測を立てる事が可能です。今まで何度も口論を繰り返してきたと思います。傷つけられた言葉、気持ちを逆なでされた言葉を幾つも覚えていますね。これらの言葉を思い出し書き出しましょう。あなたが仕返しをしようと頭に血を上らせた、その相手の言葉を「引き金」と名づけます。文字通りご自身が怒りを爆発させた「引き金」だからです。


「自己制御の事前練習」

「引き金」とあらかじめ立てておいた対処法とを頭に入れておき、相手が「引き金」を引き始めた場面で対処をします。多くの「引き金」を頭に入れましょう。いつ相手が「引き金」を引いてきても冷静に対応ができ、相手に仕返しする事がなくなります。「引き金」をコントロールし主導権を握るのはあなたです。

できるだけ多くの「引き金」を頭に入れましょう。

ご自身が「引き金」に左右されない事が重要です。今まで繰り返されてきた口論は「売り言葉に買い言葉」と言った無意識のパターンが身に染みてしまった結果です。これからは「売り言葉に買い言葉」ではない別の対応をするのです。

次に冷静な対応に必要な、リラックス法をご紹介します。

弁証法的行動療法(DBT)より、心的苦痛をやわらげる方法をご紹介します。

・口論の場を離れ気持ちを静めるため、散歩に出かける、本を読む、運動をする、のんびりと時間を過ごすなどの行動的方法。

・祈りを捧げる、自分の長所を思い浮かべるなどの精神的方法。

・静かな音楽を聴く、好きな物を食べる、好きな本や詩を読むなどの五感的方法。

・友人と電話で話す、メールを送るなどの社交的方法などです。

すぐにできるものもありますが、支度が必要なものもあります。ただし、相手との関係をこじらせる事なくきちんと話を切り上げたあとに取りかかって下さい。

自分の感情をストレートに言葉にする事も時には必要ですが、思慮深く、落ち着き、目的や純粋な気持ちなどを相手に伝える事こそ真実な態度です。相手を咎める言葉はふさわしくありません。



---囲み記事---------------------------------------------------


典型的な引き金と対処法を頭に入れましょう。次にこの両者を統合します。

「引き金」を思い出して下さい。

次の項目をイメージして下さい。

・関係をこじらせるのが目的ではない事。
・ご自身にとって、相手はかけがえのない存在である事。
・ご自身が対応を誤り関係をこじらせてしまった状況。
・自尊心を保ちつつ、かつ相手を尊重できた状況。

「いがみ合うカップルへ」より引用 Alan Fruzzetti博士 著

--------------------------------------------------------------



「破壊願望の管理」

誓いを思い出し対処法を訓練する事で自制する事ができます。次に、相手を傷つけんばかりのどうしようもない怒りがこみ上げた時の対処法をご紹介します。

好物のスイーツをもっと食べたかったけれど、我慢したという経験はありませんか?或いは、仕事をサボりずっと寝ていたいと思ったことはないでしょうか?誘惑に負けてしまった事もあるかも知れませんが、健康や生活に支障が起きないようご自身の欲求をコントロールしてこられたはずです。

このように、欲求や本能を抑制する力は重要です。今までは防衛本能が昂じてしまい口論を繰り返してきましたが、これからは感情をコントロールし相手を傷つけたり、口論に巻き込まれないようにします。

怒りで自分を見失いそうな時、次に紹介する3つの対処法が役立ちます。難しくはありません。

A)不幸な結果をイメージする

体が疲れぐっすり寝込んでいるところに、目覚まし時計が鳴り響いたとします。アラームを切り、再び眠りにつきたいという気持ちが涌き上がります。ところが今日仕事を休めば上司に迷惑をかけ、且つ休んだ仕事の穴埋めで続く数日が大変になると思案します。数分後には起きて身支度を始める事でしょう。

つまり、安易に自分の欲求に従うなら不幸な目に会うと予想し行動を決定しています。これから長きにわたり、自身の言動を舵取りすることになりますが、この対処法が役立ちます。

B)客観的に自分自身を観察する

目覚ましが鳴った後、ずっと寝ていたいと言う欲求に負け仕事をサボるならまずい結果になると予測し、自分のなすべき事を正しく決定しました。自分を客観的に観察した時点で、すでに欲求は収まっています。

客観的に自分自身を観察するだけで、欲求を静められるのです。

C)希望ある未来をイメージする

「仕事をサボりずっと寝ていたい」と言う欲求が起こった時、自分の未来を考えたところがポイントです。譬えるなら、マイ・ホーム購入を目指し頭金を目標に貯金を始めたようなもの。関係改善に向けた希望ある一歩です。

「希望ある未来をイメージする」という対処法は、未来を形作る力となります。先ほどの「不幸な結果をイメージする」という対処法は、不幸な結果を避ける力となります。二つの対処法がひとつとなり効果を発揮します。


「これは誇りある務めです」 

二人は互いに納得した上で問題解決に協力し合い、緊張した関係は影を潜めます。二人の間の溝を埋める作業に共同で取り組み、今まで繰り返してきた口論は止みます。お二人は関係改善に向け歩き始め、同じ目標を持つ方々の模範となるのです。


この特集記事は、当BPDFamily.comのスタッフでもあるAlan E. Fruzzetti博士の著書「いがみ合う二人へ-弁証法的行動療法-口論を止め、思いやりを持ち、相手を受け入れる方法」からの引用です。

Alan E. Fruzzetti博士はこの分野での第一人者で、著書「いがみ合うカップルへ」は簡潔に分かりやすく書かれています。どうやって二人の溝を埋めたら良いのか悩んでいるお二人にお勧めの本です。著書では「境界性パーソナリティ障害」などの言葉を使っていないので、安心して境界性パーソナリティ障害の方へもお勧めして頂けます。

境界性パーソナリティ障害の方の攻撃性は、お二人の関係の中に根本的原因があります。「上手なお付き合い」や「親密度をUPさせる方法」などの月並みなアドバイスでは、お二人の関係は改善しません。


読者投稿文より

「ご自身が変わる事から始めましょう」

始めにご自身が変わりましょう。次の事を学んでください。

健康を回復し保つ事。

コミュニケーション・スキルを上達させる事。

限界設定を理解する事。

ご自身がやるべき事と、相手がやるべき事の線引きをする事。

ご自身がやるべき事をきちんと実行する事。

ご自身の感情抑制をする事。

ご自身が抱く感情を否定しないと共に、相手が抱く感情をも否定しない事。

ご自身の生活が支障を受けないと共に、相手の生活にも支障を与えない事。

重箱の隅をつつくような真似はしない事。

苦しさから逃れようと自らの命を絶たない事。 

自分を取り戻せる時間や場所を作ると共に、相手にも自分を取り戻せる時間や場所を与える事。

以上の事によりご自身は精神的健康を保ち、関係改善に取り組む事ができます。

人は自分を変える事ができても、他人を変える事はできません。

「ステファニーさん」の投稿記事より引用。

(以上、私訳)



↓英原文は、リンクをクリックしてご覧下さい。長文なので掲載しませんでした。

見出し記事 http://www.bpdfamily.com/tools/articles4.htm

本文 http://www.bpdfamily.com/bpdresources/nk_a104.htm 



以下の記事も参考に見てください。お付き合いの仕方が解説されています。

YouTube動画 「怒りのコントロール」

YouTube動画 「ご家族の方へ」



コメント
この記事をはてなブックマークに追加

(33)心理学-1 動物行動学が示すもの

2011年01月19日 | 日記
~ローレンツ博士とガンの実験~

Konrad Lorenz Experiment with Geese


『ローレンツ博士とガン』(私訳)

コンラート・ローレンツ(Konrad Lorenz)1903~1989年

コンラート・ローレンツ 動物行動学者 オーストリア人
卵がふ化したあと、ガンのヒナ鳥は母鳥を『後追い行動(attachment behavior)
すると発表した。

実験方法は至って簡単である。
ハイイロガンの母鳥が抱く卵を
二つのグループに分けた。

一方は、母鳥が抱き卵をふ化させた。
ふ化したヒナは、すぐ母鳥の周りを動き回った。

もう一方は、ふ卵器でふ化させた。
ふ化した時母鳥がいなかったため、ヒナは博士の後追いを始めた。

一度、両方のヒナ鳥を母鳥と博士から切り離し、
同じ箱に入れた。

箱を出たヒナは、再び母鳥ないし博士を追うようになった。
ヒナは、ふ化して初めて目にした対象に信頼をおくことが分かった。

これと似たような実験をする研究者は他にもいたが、
インプリンティング(脳への刻印)』を最初に発表したのは、ローレンツ博士であった。

インプリンティング反応は、
カモ、ガンその他の鳥にみられるもので、
ふ化後12~17時間の間に起こることが、
その後の研究で明らかになる。 ※1

このような実験から、脳と行動の発達において
刻印可能な期間(critical periods)があると考えられる。

ローレンツ博士の研究成果は、
成人後の社会的行動は、幼少期の体験で形成される
ことを示す、先駆的な実験となった。


訳注
※1 ふ化直後すぐには、インプリンティングできない。ふ化後1時間たってからインプリンティングが可能になり、ふ化後12~17時間の間が最も反応しやすくなる。ふ化後32時間を経過すると、ほぼインプリンティング不可能になる。また、一度脳にインプリンティングした対象を、消去したり、取り換えることはできないと言われる。 
simplypsychology.org Lorenz's Imprinting Theoryより引用

アタッチメント(attachment)
日本語では『愛着』と訳されてきましたが、いま一つしっくりした訳語ではないため『アタッチメント』とカタカナで表記されることが増えているようです。アタッチメントは、養育者と子どもの間に見られる『体の密着』『後追い行動』『心理的に密接な関わり』『信頼関係』などの意味です。以前、アタッチメントは『母』と子の関係に限るといわれたことがありましたが、現在は母親に限らず、父親、養父養母、祖父祖母その他の関係でも健全なアタッチメントは形成されるといわれています。


~ハロー博士とサルの実験~

Harlow's Monkeys


※動画の音声通りの翻訳ではありません。要約や説明の付け足しをしています。

『愛情の獲得 conquest』

ハリー・ハロー(Harry Harlow)
心理学博士 アメリカ アイオア州出身 1905~1981年

人間の母子間の心理的関わりを調べることを目的として、ハロー博士は、霊長類の中からアカゲザルを選び実験をおこなった。子ザルの成長には、母子間の心理的関わりが重要であることを唱えた。

母ザルから離された子ザルは生気を失い、一日中、檻の床に敷かれた柔らかいマットの上で寝て過ごす。洗濯をするためマットを取り上げると、子ザルは激しく抵抗する。

人間の親密な母子間に芽ばえる『愛』を科学的手法で調べるため、ハロー博士はアカゲザルを使い実験をした。こうした実験をする研究者は少なく、博士はこの分野の先駆者である。(残酷な実験だとの批判もあります)

幼児期の体験は成長してから同じ体験をするのと違い、子どもにより強い影響を与える。幼児期の母子関係は重要で、この時期の母子関係を『初期社会関係(earliest social environment)』と呼び、生涯にわたる社会行動に大きな影響を及ぼす。(母子間に限ったことではなく、現在は、父親、養父養母、祖父祖母その他の養育者との間でも、重要な関係作りができるといわれています)


母親代わりとなる人形

人形は親ザルと同じくらいの大きさで、頭部はロボットのような顔つきをしている。針金で作られたゴツゴツした人形と、柔らかい布を巻いて仕上げた二種類の人形が作られた。

生まれて6~12時間のうちに、母ザルと赤ん坊を引き離す。檻には、針金の人形と布の人形の両方を設置し、針金の方にだけ哺乳瓶を組み込みミルクを飲めるようにした。空腹時、子ザルは針金の人形からミルクを飲むが、一日のほとんどは布の人形に抱きついて過ごす。


恐怖を与える

次に、ハロー博士は子ザルをビックリさせ、恐怖を感じた時の行動を調べる。ビックリロボットを見て驚いた子ザルは、布の人形に抱きつく(安全基地化)。布製の人形は子ザルの恐怖心軽減に効果がある。恐怖に襲われた子ザルは、ミルクを与える人形ではなく、愛着を感じる人形を選び抱きついた。子ザルを変えて同じ実験をしたところ、全て同じ結果になった。

恐怖心が軽減されると、子ザルはロボットに興味を示すようになる(探索行動)。

母ザルから引き離され、かつ針金の人形も、布の人形もない環境で育てられた子ザルについての実験。子ザルが恐怖を感じる状況を作る。檻の中に布の人形があっても、それに抱きつくことがなく、座ったままゆらゆらと前後に体を揺らし続けたり、じっと身を縮め身動きしなくなった。こうした子ザルは、突然、場違いな激しい怒りを表すこともある。これは、他人の愛情を感じることなく幼児期を過ごした場合、より大きなダメージがあることを示すもので、人間も同じであろうと博士は考える。

実験結果から、幼児期、良好な母子の関係は、子どもが健康的に成長するのに欠かせないことが分かる。また、母子関係が特に重要な期間というものが存在すると考えられる。この重要な時期に、もし、養育者が適切に幼児と関わることができなかったり、養育に相応しい母親のような存在がいなかった場合、成人後、他者との健全な関わりを持つことが困難になるか、場合によっては全くできなくなるであろう。


交尾不成立

隔離飼育されたメスザルと、母ザルの元で育ったオスザルとを引き合わせた場合、オスはメスに近づき交尾を求めるが、メスは交尾を拒んだ。

次に、隔離飼育されたオスザルと、母ザルの元で育ったメスザルとを引き合わせた場合、オスはメスに近寄り発情している様子を示すが、2匹が交尾に至ることはなかった。


育児行動の異常

母ザルから離され、かつ母代りの人形も与えられない、孤独な環境で育ったメスザルが出産した場合、子ザルに無関心であったり、虐待する行動が見られた。育児に無関心なメスザルは、赤ん坊の世話、愛情表現、保護するといった行動が見られなかった。但し暴力的行動はない。

一方、暴力的な母ザルは、噛みつくなどの攻撃を続け赤ん坊を殺した。


こうしたことは、現代の人間社会を映し出しているように思えます。

ハロー博士の実験は、多くのサルの精神を壊し、異常死ももたらしたため、動物への虐待であるとの批判もあります。


引用した英語のサイト
simplypsychology.org Harlow's Monkeys (1958)
PDF資料 TOTAL SOCIAL ISOLATION IN MONKEYS
Muskingum College Harry F. Harlow 




わたし(神)はあなたに尋ねる、わたしに答えよ。

あなたは岩間のやぎが
子を産むときを知っているか。
あなたは雌じかが子を産むのを見たことがあるか。
これらの妊娠の月を数えることができるか。
これらが産む時を知っているか。
これらは身をかがめて子を産み、
そのはらみ子を産みいだす。
その子は強くなって、野に育ち、
出て行って、その親のもとに帰らない。
ヨブ記 38:3 、39:1~4 口語訳





コメント
この記事をはてなブックマークに追加