昼間っから缶ビール片手に堤を歩いていたらカッパに会いました。
カッパのマボロシが見えるほど酔っちゃあオシマイだなあ、と目をこすってよくよく見てもやっぱりカッパです。
土手に腰掛けたカッパも目をこすりながら、こっちに目をこらしています。
片手にワンカップ、どうやらコイツも酔っぱらいのようです。
「カッパのヨッパライ?・・・略してカッパライ・・・」
「略すなっ」
カッパが怒り出しました。
「カッパのヨッパライがそんなに珍しいかあ」
いやあヨッパライじゃなくても十分珍しい。それにしても、カッパの声、なんか聞きなじみがあります。
ああ、そうそう、日本むかしばなしの常田富士男さんのほっこりした声です。すごんでも全然怖くありません。
ボクはカッパと肩を並べて座りました。
「で、お宅も花見の帰り?すんの?カッパも、花見」
「あたりまえじゃー。オマエらよりも楽しんどるわい」
へえ、するんだ、花見。
とカッパの頭のお皿の水に桜の花びらひとつ、浮かんでいるじゃありませんか。
こいつは風流、カッパの花見も楽しそうです。
「聞きたいか、カッパの花見」
「聞きたい、聞きたい」
カッパはワンカップをグビリ、幸せそうに微笑んで目を閉じました。
「まずシチュエーションが大切じゃ。川の両岸にソメイヨシノがわんさと咲きほこっとる場所をえらぶんじゃ。散りはじめがベストじゃな」
まあ、ニンゲンの花見も似たようなもんです。岸辺の桜の木の下にシートをひろげて酒のんで。
「オマエも目をツブれえ。それから酒をのむんじゃ」
やっぱりのむのね。ボクは缶ビールをグビリ、目を閉じました。
「酔ったところで、川底に上向きに寝て、あとは川の流れに身をまかせるんじゃ」
カッパの川流れ・・・
「川面のゆらぎにただよう、幾千の桜の花びら。花びらのすき間には青く澄んだ空。川のせせらぎ以外聞こえない静寂の中、じっと川底を流れていきながら、ゆらゆらゆらぐ水面をながめ続けるのさあ」
カッパの話を聞いているうちに、ボクの目の前にも、水面にびっしり浮かび流れる桜の花びらと青い空が鮮やかに目に浮かんできました。
すっかりお花見気分になって、缶ビールをグビグビ飲みほしました。
愉快、愉快。いい気分になって、ついついウトウト・・・目がさめると、もう夕方でした。
カッパの姿はありません。
夢、だったのでしょうか?
オヤ?
お尻のポケットに入れた財布がぐっしょり濡れているじゃありませんか。
確かめてみると、お札はそのまま、百円玉が数枚なくなっています。
ワンカップ、買いやがったな。カッパライめ。
ボクは思わずニヤリ、目を閉じるとカッパの花見をまた楽しむのでした。
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ふつかよい者もといふつつか者ですがヨロシク~
やっぱり年をとるに従って酒の量が減りますなあ。
少しの量で酔えるのならいいんですけどそんなことなくて、酔いの程度は変わりないんだけど、飲んだ明くる日のダメージが少ない量で来るだけっていうのがなんとも残念。
まあほどほどに楽しまないと。
身体壊しちゃ、大好きな映画も観れないし。
サントリーオールドの「夜が来る~」
「酒はあ大関心いき~」
「サントリー缶ビール」のスィートメモリー
酒の歌ってなんでみんないいんすかねえ~
歌で飲めるっつうか。
ああ、そう言えばサントリーロイヤルの昔のCM、ガウディのヤツ、音楽も絵も鮮烈で今も脳裏に焼きついてます。
そこで、早速私のブログにお借りしますね。
録音はもう終えたので、残りは画像だけで~す。(._.)ペコリ
こういう風景、本当にありそうですね。
小銭を盗んでいったカッパライ。
いや~、楽しみました。