「うあわ-、すごいじゃない。」
「・・・この間の任務で二ヶ月・・・休養だったから。」
「でも、これだけ編めるから、聖はすごいねぇ。」
「うわぁ、そのショ―ルきれ-」
「やちるちゃんも・・・作って・・・あげようか?」
「いいの-?」
そんな会話がされたのが、約二ヶ月前。
十月に入ってしばらくした頃の話。
毛糸で、着物用のショ―ルコ-トを弓親に作ってあげたという話があってしばらく。
大晦日 +今年もよろしく・・・+
「・・・一角・・・怪我無かったのはいいけど・・・・・・見てて寒い。」
十二月三十一日の深夜。
神社に、初詣に行く約束をした聖と一角。
待ち合わせ場所にした十三番隊の食堂前。
しんしんと雪が降るそんな天気の中、大きな包みを抱えた聖が、一角を見るなり、そう言った。
今日の午後まで、今年最後の任務だったのだ。
死覇装に、マフラ―を巻いているだけの姿で風が吹いてはいないとはいえ寒そうな格好だ。
対する聖は、紺地に薄灰色で流水を意匠化した着物に、淡灰青色の帯、黒いコ-トにベ―ジュのショ―ル。
そして、手袋に帽子、ブ―ツと完全防備である。
「お前も、冷えてんじゃねぇか。」
「そりゃね。
・・・後・・・クリスマスとお年玉代わり・・・・・・ちょっと屈んで。」
完全防備といえど、深夜の雪の降る天気。
一角が触れた聖の頬はそれなりの時間待っていたことを示すように、冷たかった。
それに、短く肯定を返し、彼に屈むようにお願いする聖。
応じた一角に、彼女は、抱えていた包みから黒みの強い深紅ショ―ルコ-トと揃いのニット帽を取り出した。
そして、それを一角の肩に掛ける。
ニット帽も被せようとするが、少々悪戦苦闘。
その間も、一角は目を見開いたまま、硬直している。
「・・・・・・一角?」
「これは?」
「この間・・・やちるちゃんの分・・・・・・作ってたんだけど・・・・・・一角も寒そうだったから。」
「・・・ありがてぇ、さんきゅな、聖。」
「・・・・・・どういたしまして。
・・・神社・・・行こっか・・・・・・甘酒・・・無くなっちゃうし。」
「だな。」
そして、二年参りを終え、神社で配っている甘酒と熱燗を飲みつつの会話。
ちなみに、この神社は、戦勝祈願と健康祈願の神様である。
「・・・何・・・お願いしたかって?」
「おうよ。」
「・・・言うと効果・・・無くなるわ。」
「俺のは、解かってんならいいじゃねぇか。」
「・・・・・・一角のは、数百年変わらないから・・・・・・解かりやすいだけよ。
・・・屈んで、一応・・・・・・周りで聞き耳立ててるのいるから。」
甘酒のカップ片手に、熱燗持った一角の言葉をすげなく断る聖。
しかし、一応、折れる形で答える為に、屈むように言う。
そして、こう耳打ちする。
-『一角と十一番隊の皆が、怪我しませんように。』
「・・・貴方達には・・・侮辱かもしれない・・・・・・だけど、もう・・・仲間がいなくなるのは・・・・。
大切な人が・・・いなくなるのは嫌だ。」
「・・・わりぃ。」
確かに、十一番隊、更木隊には侮辱だ。
戦闘部隊に、怪我をするなというのは。
だけれど、長く・・・今いる十一番隊の隊士の中で一番長く隊にいる聖だからこそ思うのだろう。
生きて帰ってきて欲しいと。
「いい・・・。
・・・蕎麦でも・・・食べてく?
蓮華が打つって・・・言っていたし。」
「おう。」
飲み終わったカップをゴミ箱に捨てた2人。
どうやら、小鳥遊としてのたかなしの家に、向かうようだ。
途中、コンパスの幅の違いのせいか、聖が遅れ気味になると一角が、彼女を抱き上げる。
そして、悲鳴をあげるのなんていうお約束があったりした。
「ああ・・・そうだ。
あけましておめでとう・・・一角。」
「おう、あけましておめでとさん、聖。」
「・・・ついでだ。」
ちゅう・・・。
「ななな、なななんを?」
「たまには・・・私から、というのも・・・・・・悪く在るまい。」
家への道すがら、何があったのか、それはまた別のお話。
一応、年末年始ネタ。
詳しく言うなら、小鳥遊嬢が00に行く半年前。
現在の本編のvs藍染戦の二週間ほどあと。
そんな設定。