セピア色の想い出。

日々の生活と、其処から生まれる物語の布飾り。

I wish you a Christmas?†聖夜の夜に† (季節ネタ番外)

2007-12-24 11:29:00 | 凍結

※季節ネタですので、ゲーム中に、登場人物及び、その周辺設定を合わせております。
 微妙に、06年10月以降の事も、少し書かれてます。



I wish you a Christmas?†聖夜の夜に† 




12月24日
その日の88番地は、いつもにも、まして、戦争だった。
元々も、メンバーの数が多いところだ。
なおかつ、シルバニオンのアージェントが、現役の方の図書館で、クリスマスの知識を手に入れて来たことや、メティラゴスのエルヴィンが、小さめとは言え、もみの木を引っこ抜いて来たことで、クリスマスムードが高まったようである。
「主様、クリーム、5リットル分泡立てました。」
「わかりました、それ、三等分してください。」
「うん、わかりました。」
「姫さん、ローストビーフ焼き上がったぜ。」
「ストーブの側の机に置いておいて下さい。
 寒く無く、暖か過ぎも泣くな処ですよ。」
「OK、チビ達に食われないようにしとくぜ。
 次は、ローストターキーだな。」
「マスター、シチューの味を見て下さい。」
「解りました。」
「おねがいします。」
「サンドイッチ、冷蔵庫ですね。」
「お願いします。」
「ええ。」
「マスター、腹減った~。」
「居間に、オニギリとストーブに味噌汁が掛けてあります。
 紅や、ヴァーユをよろしくおねがいしますよ、アージェント。」
「いえす、まむ」
こんな具合に、ディスティア及び、上から、リュコラヴォスのリュイス、ボレアスのセファイド、レティーシアのラケシスの三人と合わせ、フル回転で、クリスマス料理を作っているのだ。
最後の銀髪のアージェントは、ただの邪魔であるのは、明白なのだが。
メニューとしては、ローストターキー&ポーク&ビーフ、付け合わせ数種、海老のオーロラサラダ、サンドイッチ、シチュー数種などなど。
一応、瑠璃など、和風好み用に、キノコパスタや、肉味噌ポテトサラダなどを用意している。
ケーキは、生クリーム、チョコ、マロンの三種類+カボチャケーキ
アージェントは、ちびっ子ズのアリナトの紅とブルーホワイトのヴァーユの面倒を見ている。
たぶん、一緒にサイクロンのアレクサンドラもいるだろう。
或る意味で、ローストビーフをちびっ子達と一緒になってつまみ食いしそうな組み合わせなのだが、セファイドがうまくヤッてくれるだろう。
ラリユーのレヴィンとシンのブリジット、イシュタルのソルカーシュは、飲み物の類いのおつかいに、隣の市場まで行っている。
住人のほとんどが、健啖家というか、大酒飲みな以上、「帰りは、小さな荷馬車を借りなきゃね」というのが、冗談にならないのである。
ちびっこでも、ヴァーユが、そこそこ呑めるように。
また、クラッカーなども、一緒に買うようだった。
だから、林檎酒や生姜蜂蜜酒から、テキーラ系まで、色々用意する羽目になるのである。
エポパスのライアとメティラゴスのエルヴィンが、裏庭に移植したもみの木に、飾り付けの仕上げと、余計な雪を落としている。
その後に、薪割りをする予定のようだ。
電飾の代りに、エルヴィンが、炎の精にお願い・・・もとい、脅して、硝子玉に入ってもらうようである。
トップスターの中に入ってもらう精霊にお願いする役は、末妹の紅が担当するようだ。
祭りは、準備が楽しいという。
普段は、諍いが少ないと言えないような個性豊かな面々が揃う88番地。
でも、クリスマスの空気に、一致団結していた。
食い気やら、主への忠誠やら、理由は違うけれど。
それでも、妙に浮かれたクリスマス気分だった。


「「「「「「「「「「「「「「Merry Christmas!!」」」」」」」」」」」」」」
ディスティアが、メモリーオーブに、「Joy to the World」や、「Amazing Grace」等のクリスマスソングを吹き込んだモノをBGMに、そんな声に響いた。
続けて、クラッカーの破裂音がなる。
間をおかず、乾杯のグラスの音が鳴る。
ちびっ子達や、お酒に自信が無い人(龍)には、林檎酒や蜂蜜生姜酒のお湯割りのグラスが手に。
それなりに、呑める人(龍)は、とりあえず、スパークリングワインのグラスが手に。
ローストターキー&ポーク&ビーフをそれぞれが、好みのモノを一皿目として、切り分けられる。
ソースは、基本的に、同系等ので、まとめてあるため、問題は無いのだ。
そうして、無礼講と言うか、そんなのが始まった。
腹が膨れてくると、宿り木のリースの下で、ラケシスに、エルヴィンがキスをして、ソルカーシュに、睨まれていたり。
呑み過ぎた、アージェントが、ヴァーユを抱っこしたまま、潰れたりしていた。
始まって、数時間が過ぎる頃には、涼しい顔したライアとブリジット、茹で蛸になった状態で、セファイドが、呑み比べというか、そんな具合で、呑み続けるだけで。
他の面々は、風呂に入ったり、早い人は、もうベッドの住人になっている。
リュイスとラケシス、ディスティアの三人は、後片付けをしている。
ラケシスが、流し台に立ち、皿や鍋を洗っている。
リュイスが、洗い上がって来た皿の水気を拭き取って、戸棚に入れている。
ディスティアは、ローストターキーの骨から、肉を丁寧にはがし、小さな肉片を鍋に、割合大きな肉片を別のボールに、わける。
そして、骨を砕いて、タマネギと人参、ブーケガルニ、塩ハムに、岩塩、粒こしょうを昨日別に作っておいたチキンブイヨンが入った寸胴に放り込んでいく。
これで、明日には、美味しいチキンスープが飲めるのだ。
もう片方のローストターキーの割合大きな肉片とローストビーフ&ポークの切れ端を、マリネとして、付け込む。
これを明日、さらしタマネギと一緒に、ホットサンドする為の用意である。
「マスター、料理上手いですね。」
「傭兵稼業を数年すれば、自然に、覚えますよ。
 それに、以前、一緒に行動していた剣士が、結構上手でしたから。」
「にしても、マスターのクリスマス料理って定住してないと難しく無いですか?」
「この時期だけ、定住していたのですよ。」
他愛も無く、でも、少し寂しい会話をしていく。
そうしていれば、じきに時間も過ぎる。




午前二時。
置き時計が、時間を告げる。



黒色のいわゆる暗殺者スタイルに、白い袋というスタイルで、ディスティアは、二階の廊下を歩いている。
リュイスは、一緒にサンタクロース役をすると意気込んでいたが、それでも、寝てしまったようだ。
レヴィンには、竪琴用の研き油と手編みの緑色の手袋を。
ヴァーユには、お菓子の詰め合わせと絵本を。
ライアには、手縫いの占いサークルクロスと、安眠セットを。
ブリジットには、レイピアの磨き油と藍色の手編み手袋を。
瑠璃には、緋漆の簪と瑠璃色の手編みのケープを。
リュイスには、本と栞セットと手作りのネコモチーフの指輪
そんな具合に、ディスティアは、プレゼントを枕元に、置いていく。
三階に上がる。
紅には、茜とお揃いの赤い手袋とマフラー、絵本を。
アレクサンドラには、フォトスタンドと水色のニット帽を。
ソルカーシュには、黒いセーターと、ラケシスとのペアリングを。
ラケシスには、料理のレシピ大全とソルカーシュとのペアリングを。
そこまでーソルカーシュとラケシスの部屋まで、配るとディスティアはとある事に気付いた。
一個前に、廻ったアレクサンドラの部屋にも、同じ事が合ったなと思い出す。
すなわち、先客が居た事を。
回った順番から考えれば、次の・・・アージェントの部屋で、鉢合わせするかもしれないと思いさっさと、移動した。
そして、案の定、その先客は、アージェントの部屋に居た。
「・・・セファ、去年も、同じ事をしていましたね。
 ありがとうございますと言うべきでしょうか、主人として。」
「ん「おこすつもりですか?」
先客―セファイドが、アージェントの枕元に、プレゼントを置いていたようだった。
ディスティアが、声をかけると、大声を上げかけたので、彼女は思い切り勢い良く、口を塞ぐ。
小声で、「静かに、配り終わったら、一階に来て下さい。」と言って、ディスティアは、アージェントの分を置いて、次のエルヴィンの部屋に行った。
アージェントには、低反発クッション(リクエスト)と、銀ねず色のマフラーを。
エルヴィンには、リップクリームと保湿クリーム、緋銀の逆十字のペンダントトップ。
それぞれを置いて、一階にディスティアは、移動する。
お湯を沸かすため、ケトルを火にかける。
その間に、とろ火にしておいた寸胴鍋の様子も一緒に見る。
「うう、さびー。
 姫さんも、もうちょっと何か着ろよ、風邪引くぜ?」
「風邪も、引けない身体なのは、セファも知っているでしょう?」
「そりゃ、そうだな。
 何、喫れる?」
やがて、セファイドも、プレゼントを配り終ったのか、一階に降りて来た。
そして、居間の椅子に、腰掛ける。
ディスティアが、暗殺者スタイルで、白いエプロンで台所で立つと言う、或る意味、キングギドラ&キュロットにも匹敵するミスマッチスタイルで、ハーブティをいれる。
「バレリアンとオレンジピールですよ。
 一応、寝る前ですし。」
「なんか、食うもんねぇ?」
「・・・カボチャケーキなら、残ってますが。
 寝る前に食べるのは、身体に良く無いですよ。」
「いいじゃんいいじゃん。」
「変わりませんね、セファイド。」
「そうか?
 結構、変わったぜ、俺も、姫さんも。」
「そうですか?」
「変わったぜ。」
「くすくす、そう改められると嬉しいですね。」
「・・・恋人も、出来たしな。」
「・・・・・・けほ、そうですけれど。」
「あっちの方はともかく、「呪い」は解けたんだろ?」
「ですが、あの人達にとって、私が都合のいい駒なことには変わりないですからね。」
「アイツが居るんだから、大丈夫だぜ、きっと。」
つらつらと、二人は、ハーブティとクロテッドクリームとイチゴジャムをそえたカボチャケーキを肴に、話していく。
他愛も無い・・・だからこそ、掛け替えの無い会話だった。
ぽつりと、ディスティアは、こう言う。
「それでも、一年前なら、一年後のクリスマスのことなんて、考えれませんでしたね。」
「だよなー。
 いつ、「呪い」が、どうなっか、解らない状況だったんだし。」
「ええ、本当に・・・・・・」
「うんうん、そうだったよな。
 確かに、「呪い」と「混沌」で、ダブルで大変だったもんな。
 おまけに、あの頃のお前は、自己追いつめモードだったから。
 それに、キサのこと思い詰めてたしな。
 ・・・・・・ありゃ、寝ちまったか。」
セファイドが、長々、話していると、ディスティアは眠ってしまっていた。
やはり、昨日からの準備で、疲れていたのだろうか。
寸胴鍋の火も消し、電気も消すと、セファイドは、ディスティアを俗にいうお姫様抱っこで抱き上げ、一階の彼女の寝室に運ぶ。
その時点で、眠かったセファイドも、深く考えないで、ディスティアと同じベッドに潜り込む。
ようは、ディスティアを抱き枕にして、眠ったのだった。
翌日、ラケシスが、ちょっと気をきかせて、寝たい人には、そのまま、その日は起こさなかった。
そして、昼少し前の事だった。
142番地の乾・・・ディスティアの想い人が、やって来た。
ラケシスは、マスターを起こしてくれるように、頼んだのだった。
約一分後。
言葉に表すのも、苦痛なくらいの悲鳴と言うか、絶叫が、ディスティアの寝室から、響いたのだった。


-------クリスマスの朝に、何があったのかは、ご想像にお任せする。






愛憎表裏一体。深ければ、裏切られし時、高く燃え上がる

2007-12-24 01:41:02 | 日記
タイトルは一応、関係あります。
珍しくです(苦笑)

某大全を先ほど、読み終わりまして。
それで、直後に思った事を、言葉にすると、タイトルになるのかなぁと。
一応、物書きの範疇に居る以上、『愛』を扱うことがあるわけですよ。
というか、それを扱わない話は、少なくとも、思い当たりません。
んで、今まで書いた作品。
未完結の分も含めて、思い返してみると、一番初めの長編の《死神》メイザースを初めとして、「女性」のヤンデレ・ツンデレよりも、「男性」のヤンデレ・ツンデレが多いんだなぁと思うわけです。
つらつら、上げるだけでも。
《死神》メイザースは、忠義から、思慕感情に伸し上がって、相手を殺し続けちゃってるし。
二次創作のフィブリゾは、「弟」から抜け出したくて、相手の旦那を殺して、相手にも・・・・だし。
《召喚師》メイザースは、しても居ない監禁や××を、相手の感情を独占させる為が行動原理があるし。
ケイトは、「お前なんか、何とも思ってない」とか、言ってるけど、実際好きだったりするし。
カイヤは、「兄さんさえ、おればええよー。」とか言って、死んでも蘇ってるし。
榮太郎は、「不安だからね、だから、四肢を奪ったり喉を潰したりするんだ」とか、平気でのたまうし。
リトは、心が手に入らないなら、身体だけでも、と言う思考に行き着いてるけど、ぐるぐるしてる。
そんな感じです。
もちろん、女性のツンデレ・ヤンデレの居るにはいるけれど、どうも影が薄い。
かといって、私の好みではない。


しかし、恐らく原点に居るのは、随分昔だが、ジャンプに連載されていた漫画の理都の前世の女性なのかなぁと思うわけです。
彼女の場合、想いは遂げれたけれど、相手が殺されてしまうという結末で、魔法を暴走させて、ドッカーンなわけですが。
愛憎一体な恋愛もあると知ったのは、この頃なのかもねと、回想してみます。
当時、10歳になったかなってなかったかですけど、やっぱり、恋愛関係のキャラ造形には、名前も覚えていないその女性が関わっているんだと、その某大全を読んで、再確認したわけです。
・・・・・・ちなみに、どのパターンでも、微妙に、ディスティアと言うキャラは、ヤンデレ気味だと、思うのです。
気味であってそのものじゃないのが、微妙なのですが。


なんにせよ、恋愛と言うモノは、微妙に歪みを内包するのかもしれない。
そう思った、ある一日でした。


追記:とある女友達から、「ズレてる」と言われた。
   一応、作品上の恋愛観なのですよ?(07/AM9:15)


死神5題(ver.ヴァンパイア十字界(過去捏造)) 1

2007-12-21 00:23:28 | ヴァンパイア十字界 二次創作
01.過去の亡霊

私は、過去に「人」に言われた二つの言葉に囚われている。
それこそ、亡霊にーもう、いない「人」の言葉に、縛られている。
理解はしている。
今は未だ、その言葉によって、一つの決断を保留し続けている。
いや、否定し続けている。
滑稽な事だと思う。
一つは、私のみならず、ストラウスが認めたあのセイバーハーゲンの言葉とは言え、未だに囚われている。
はっきり言って、私は、セイバーハーゲンは認めよう。
だけど、大嫌いだ。
・・・あの時代ですら、我ら、夜の民並みに霊力を行使できる人材は、居なかった。
そりゃ、そこそこのは、今よりもいた。
だけど、セイバーハーゲンと並ぶのは、私が知っている限りで、五指に余っても、十指は、いないだろう。
尚かつ、セイバーハーゲンを超えたのは、ビアンカ=ヴァイサス位だったかと思う。
表の・・・ブリジットが知る歴史にも、数度しか出て来ていないけれど。
だから、実力は知られてないんじゃないのかな。
性格も、手段も、傾向も、大事に思うモノすら、違うけれど、それでも、セイバーハーゲンと並べて、同じ条件で、より有利に終らせるなら、ビアンカ位だと思う。
まぁ、アイツは、性格破綻していると言うか、会話が微妙に成立しないと言うか、苦手ではあった。
人を捨てたとか、噂があるけど、どうなんだろう。
・・・・・なんにせよ、あの二人の・・・特に、セイバーハーゲンの言葉に踊らせられているんだ。
滑稽だ、本当に、滑稽だ。

-----『大切なのはね、失っちゃダメなのよん?』

あのビアンカ=ヴァイサスに言われた。
自覚したのは少し遅かったけどね。
セイバーハーゲンと、あの時、交わした話は、今でも、覚えている。

-----『そなたも、『災いの赤バラ』と同質の力を有しておる。
    さしずめ、『災厄の紅蘭』であろうよ。』
-----『あら、失礼ね。
     魔力行使がうまいだけでそれをいうなら、他にも私クラスはいるわよ』
-----『そうではない、赤バラや我のように、『超絶の魔人』ということだ。』
-----『それで?』
-----『大事な人を作るような、人並みの幸せなど求めぬ事だ。
     そなたや、私の歩く道は、安寧などない修羅の・・・・血や汚泥に塗れた道だ。』
-----『理解はしているよ。
     それと、誰かを愛するというものは、理性では、縛れない。
     陛下、とて、解っていて、ああなったと言う部分もあると思うわ。』
-----『それでもだ、愛した者に、血風と鉄刃が触れるかもしれぬ。
     醜き争いを見せるやも知れぬ。
     なぜ、修羅の道を歩む者が、愛する者を歩めるのだ?
     歩めば、そう成ってしまうかもしれないではないか。
     愛しているならば、捨てる事だ。』
-----『・・・・・・理解はしよう。
     理解はしよう、セイバーハーゲン。
     しかし、それが、あの結果ならば、飛んだ机上の空論だ。』
-----『・・・・・そなた、気付きおったのか!?』
-----『義理とは言え、家族だったからね。
     それに、魔力行使よりも、私の武器は知識だよ。
     ・・・・・・・・・これ以上話す事は無いわ、セイバーハーゲン。
     安心なさいな、私は、ストラウス陛下の意思を壊す気はないから。』


あの時は、否定した。
否定したよ。
だけど、指に刺さったトゲのように、いつまでも、ちくちくちく、忘れさせてくれない。
今の、「家族」よりも、もっと踏み込んだ・・・そう、「恋人」にしたら、無くしてしまいそうで。
あいつの事は、大切だ。
だけど、「恋人」にしたいとか、そう言ってしまったら、テオの用に、なってしまうんじゃないかって、思って結局言えない。


私は、過去の亡霊に囚われている。
もう、意味を成さない言葉。
だけれど、大切だからこそ、そう成って欲しくないと、願ってしまう。
囚われているのは、過去の亡霊なのか、言葉なのか。
どちらなのだろうと、考えてしまうのだ。

--------過去の亡霊





02.思慕のいきさき

「お久しぶりです、エセルさん。
 ・・・・・ちょっと付き合ってもらえますか?」
数年前のある日。
ブリジットコミュニティのエセルバードが、当時、通っていた高校に、麗人が、校門前で、待っていた。
季節は、初冬で、寒がりのその麗人らしく、ふわふわのファー付きのダウンジャケット姿だった。
時刻は、部活が終った六時過ぎ。
その麗人は、黒く長い髪で、ダウンジャケットも、その下からのぞくスラックスも、黒だった。
身丈は、エセルよりも、十センチ以上高い。
体格も、そうがっしりというより、すらりとしている。
エセル自身は、ラセットブラウンの髪と瞳で、その時の赤い学ラン姿だった。
その彼に、掛けられた麗人の台詞は、慇懃で、謙虚なのだが。
雰囲気は、「ドナドナ」が聞こえてきそうな、或いは、暗雲が立ちこめてきそうな、そんな雰囲気なのだ。
普段は、慇懃ながらも、毒舌と気遣いがある青年なのだが。
そんな感じに、或る意味「いつも」のことではあっても、それでも、エセルはたじろいてしまう。
というか、半分は、逃げ出したい衝動に狩られている。
「・・・・ええ、いいんですけど。
 また、何かありました?」
「・・・・・・エルが。」
「・・・何処、行きます?
 この通り、僕は・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「え、え、ちょっと、リトさん!!!?」
何処かへ、移動しようとした、エセル。
しかし,その前に、はらはらと言うような繊細な擬音がしそうな勢いで、尚かつ、滂沱と言っても良い量の涙を麗人―リトは、流す。
一応、余程の事が、あったのだろうと、エセルは思う。
しかし、しかしだ。
思い出して欲しい、ここは、校門だ。
街灯の真下な上に、好奇心満載な高校生達が、「なんだなんだ」と物見高く、ゆっくりと二人の横を通り抜けていく。
エセルは、茶道部唯一の男子部員であり、尚かつ、その道の・・・ともあれ、ファンクラブがあるとかないとか、そんな注目度ナンバーワンな高校二年生なのだ。
おまけに言うなら、リトは、ダウンジャケットのせいもあるが、モデルの女性とでも言われれば、納得してしまいそうだ。
「・・・エルは、もう、私の事、嫌いなんでしょうか?」
涙を流したまま、すりすりと、セシルを抱き締める。
それは、それなりに前から、彼を待っていたと言うことがわかるぐらいに、冷えきっていた。
しかし、それは、周囲の「二年の高橋が、年上のオネーさんと付き合ってる。」という認識を高めてしまう。



どうにか、こうにか、エセルは、数ヶ月前に、連れ込まれたBARまで、どうにか、運び込む。
そこで、リトは、ピンクジン。エセルは、コンクラーベをそれぞれ、注文する。
ちなみに、ピンクジンは、アルコール度数45%。
コンクラーベは、ノンアルコールー要は、ミックスジュースである。
「・・・・・・・と、言うわけです。
 もう、エルは、私の事、必要ないんでしょうか。」
先ほどよりも、落ち着いて、涙も止まっているが、落ち込み度は、進行中だ。
それこそ、奈落の底よりも、深いのではないかと思う。
更に言うなら、落ち込みが、周りの人間をも蝕むなら、その威力は、自殺を誘発するほどに、落ち込んでいる。
「(・・・・・・・ノロケですよね、ほんと。
  今回は、特に酷いですけど。)」
「エルは、気付いてくれないんですよ。」
「・・・・・・・・・・・・告白、したらどうです?」
「・・・・・・・・・・・いんです。」
「・・・・・・・はい?」
「怖いんですよ。
 断られるからと言うのも在りますが、千年前は、こんな感情自分が、抱くなんて思ってなかったんですよ?」
「・・・それが、恋ってものでしょ、リトさん。」
「・・・・・・・・・・それでも、母親と慕っていた人にするのは、異常でしょう?」
「それでも、ですよ。」
エセルも、エセルで、ちょっと叶いそうにない。
そんなまだ、恋心とも、解らないそんな恋をしているのだ。
だから、解らないわけでもないのだ。
「欲しければ、手に入れれば、良いと思いますよ。
 努力は、無駄ではないと思いますし、リトさん。」
「・・・・・何が欲しいか、だなんて、よくを言えば、切りがないですよ。
 頭の先から、つま先まで手に入れたとしても、もっと欲しくなると思います。
 ・・・眼差しが、吐息が、匂いが・・・きっと欲しくなってしまいます。
 ・・・・・・こんな欲の塊の別名が、恋だなんて、美しくないですねぇ・・・・・・」
エセルは、リトの呟きを「全くだ」と思いつつ、コンクラーベを飲み干した。



その後、リトが、酔いつぶれた頃を見計らったように、エレノアが、そのBARにやって来た。
リトを担ぎ上げながら、「すまないね。この詫びは又いつかに。」と、言って、帰っていった。
「どこが、付き合っていないんでしょうね。」
そう呟きながら、夜道をエセルも帰っていった。

---------思慕のいきさき



死神5題(ver.ヴァンパイア十字界(過去捏造)) 2

2007-12-21 00:20:46 | ヴァンパイア十字界 二次創作
03.つまらない感傷


「ったく、哀しいと思っているのは、お前だけじゃない。
 真実を知らないのなら、私だって、ストラウスを恨んでいるさ。」
約1年前、四十九代目《黒き白鳥》の小松原ユキが、ストラウスに討たれた。
それは、いい。
いや、良く無いが、それでも、今の私に比べれば、そうでもない。
今、私は、ダムピールコミュニティの居住区の一つのリトの部屋に来ている。
郊外に建てられた住居群である。
そして、氷と氷嚢を借りて、頬を冷やしている。
正論だが、今の蓮火には、否定したい事柄だったのだろうか。
思い切り、頬を張られた。
しかも、グーで。
「それにしても、失敗したわね。
 リトじゃなくて、ブリジットか、風伯のトコいけば良かったかしら。」
三十分ほど前に、私は、蓮火に殴られた。
それで、「転移」で、リトのところに直接、移動したのがマズかった。
本気用の・・・ガチ戦闘用の鉄製の棍と、ここ数百年、使わなかった肉厚のナイフをベルトに、それぞれ握りしめ、部屋を出ていったのだ、リトは。
たぶん、いや、ほぼ確実に、リトにフルボッコされているのだろう。
星になってないと言いな、と或る意味、希望観測的な事を考えてみる。
はっきり言って、純粋な戦闘力だけなら、蓮火の方が、リトよりももっと上だ。
リトの戦闘能力は、基本は、「防御」「暗殺」に特化している。
こういうと、真逆のように聞こえるけれど、どちらも、真正面からぶつからない事を前提にしている。
だけど、昔から、なんでか、私関連の事に成ると、「秘密裏」になんとかしてるんだよね、リトって。
何でだか、解らないけれど。
今回も今回で、『蓮火さんですか?仕様がないですね、一応、オシオキしてきますから、エルは、顔を冷やしておいて下さい。下手に治すよりも、冷やした方が楽でしょうから。』と、静かに、剣呑な事を言い腐りやがってくれました。
一応、無茶をしないことを釘を刺しましたが。
剣呑な音が、ドッカンドッカン響いている時点でダメかな。
そもそも、私の治癒魔法なり、回復薬が、「時間」を「進める」タイプじゃなく、「時間」を「戻す」タイプなら、問題なかったんだけど。
「エレノア、この騒ぎは、何だ!!」
「あ、ブリジット。
 一言で言うなら、この顔が原因。
 殴った人をリトが、フルボッコに絶賛闘争中ってかんじ。」
そして、結構な勢いで、 ブリジットが、この部屋に入って来た。
私の言葉に、マジマジと、顔を見たブリジットは、納得したようだった。
正確には、納得せざる得ないのだろう。
なにしろ、右頬が、倍以上に腫れているのだから。
重い重い溜め息をついて、こう聞いて来たのだ。
「何を言った。」
「正論。
 三十人以上、見送って来たのに、何で今更。
 それに、ユキはそれを望むのかってことと、今の状況でそれは迂闊だってこと。
 この三点。
 したら、殴られた、グーで。」
「・・・・・・・・・せめて、私のところに来ていれば、良かったんだが。」
「殴られた直後で、混乱してた。
 ・・・・・・罰は、必要だろうが、リトを傷付けてみてね。
 ブリジットでも、数ヶ月起きれないほどにしようか?」
「・・・罪には、罰だろう。」
「罰するのは、私だろう?
 私の失言で、蓮火は私を殴ったんだから。」
「・・・・・・場所が、食堂でなかったら、それを受け入れただろうな。」
或る意味で、ストラウスとガチ勝負した方が、実力的にはともかく、精神的には、マシだ。
特に、感情に任せて怒っているブリジット相手よりも、今みたいに冷静に怒っているブリジット相手の方が、やりにくい。
通常の彼女よりも、妙に鋭いというか、ほんとにやりたく無い。
やりたくないけど、やらないとね。
そう思った途端、こんな質問が飛んで来た。
「いつもなら、そこまで、やらないだろう。
 何故、其処まで言った。」
「・・・・・・。」
「エレノア。」
「・・・・・・ツマラナイカンショウ。
 本当に、つまらない感傷だよ。
 17人目だっけ、その《黒鳥》を早く死に追い込んだのも、私だけどね。
 何人かの彼女たちとは、そうなる前から、友人だったし。
 ユキの場合、なまじっか、希望と優位性があったせいもあるし、一番親しかった。
 その彼女が、愛した蓮火が、ああも、うじうじしてるのが、イヤだったから、言ったってこと。」
しばらく、黙ってたら、結構低い声で、催促された。
怖かったねぇ。
それで、言い出したら、逆に止まらなくなって、一気に其処まで言ってしまった。
実際、事実上、黒鳥の一人は、私が殺したようなもんだ。
正確に言えば、錯乱状態が、デフォになった彼女―テレサが、ストラウスに、突っ込んだと言うだけ。
結構、実際親しかったんだ。
なにやかにやいって、正式なコミュニティに居ないけど、私を介して、何度かコミュニティに連絡した事もあるし。
だから、自然と、仲が良いんだ。
裏を・・・《黒き白鳥》の裏を知っている以上、茶番(ファルス)ってしか言えないけど、それは、言わない。
それは、ストラウスの決意を穢すから。
「・・・・・・なるほどな。
 今のアルファ薬とベータ薬、あと、イプシロン薬だな。
 それをそれぞれ、100組を通常の三分の一で買おう、それを罰則として、どうだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ブリジット。
 それ、採算、結構キツい。」
「だから、罰だ。」
「あー、はいはい。
 あと、アルファ薬とガンマ薬を7日分を蓮火の初期治療用におまけするね。」
ブリジットが、罰則としていって来たのは、私が、その時、一度に、まとめて最高300まで出せる薬のリストの中での呼称の薬を売れってやる。
アルファとか、アルファベットが若いほど、材料が手に入りにくいとか、手順が複雑とか、そういうの。
んで、一回に、140出せればいい薬。
はっきり言って、それで、一財産まではいかなくても、日本でなら、一家四人いたら、三年は暮らせるぐらいの代金が、一種類分だ。
それを三種類合わせて、一種類分しか払わないというのだ。
ま、とりあえず、原材料費は、返せる分マシか。
オメガだと、300組出して、値段三分の一でも、そこそこ利益出るんだけどね。
もちろん、他の薬もあるけど、薬問屋の状況次第ってトコ。
それは、数年に一回、更新する。
結構、薬屋としても、裏稼業じゃ多少の伝説に成っていた。
「・・・・・・おや、ブリジットさん。」
そこまで、考えると、血塗れ&埃まみれのリトが、戻って来た。
血塗れと言っても、7割は、返り血だろう。
ここまでやれば、死ぬ死なないのその境をよく知っているから、その範囲内で、オシオキしたんだろう。
「・・・レン。
 しばらく、エレノアを手伝ってやれ。
 大型発注をかけた。」
「・・・・・・・・・・了解しました、盟主(コミュニティマスター)。」
たぶん、リトも、気付いたんだろうね。
ま、これが、私のつまらない感傷。
そのリトの返事を意識の半分で、聞きながら、あの時の事を思い出した。
--『あ、エレノアさん、今から、情報の受け渡し?』
--『そう、因果なもんよね、情報屋ってのも。』
--『くすくす、なら、辞めて、普通にバイトとかすればいいとおもうけど?』
--『はい?』
--『だって、エレノアさんだったら、看板娘だよ、きっと。。』
--『今更、でしょ?一応、この界隈じゃ、情報屋として有名になり過ぎ出し。』
--『もったいないな、ホント。』
--『ユキも、もったいないわよ。美人だもの。』
そんな、いつもの会話。
ユキに、小松原ユキに、黒鳥がつく前夜のいつもの会話。



あぁ、長く生きると感傷的になるけど、やっぱり、つまらない感傷だわ。


-----------つまらない感傷



04.弔い紫煙


中秋のある日。
ぷかり、ぷかり。
白い紫煙が、古くは、イーストエンドと呼ばれた街角に浮かぶ。
紫煙の持ち主は、焦げ茶のロングストレートと琥珀色のの瞳の、男装の麗人がいた。
普段のパンク音楽少女的な服装ではなく、やや古風な型紙のスーツ姿である。
小柄ながら、帽子とスーツの年若い紳士と言っても良い服装と雰囲気である。
そして、普段の彼女からすれば、持つこと自体が大変珍しいモノを持っていた。
淡い緑色の霞草と白い小菊の中くらいの花束を二つだ。
それを片手に、いつもの「バッドジョーカー」では無く、細葉巻の「メサージュ」を吸っている。
古い古い、銘柄だ。
百と数十年前のこの街にも在った銘柄だ。
「もう、百二十年経つんだね。
 テオ、いや、セオドアか。
 君がいなくなってから、そんなに経つんだ。」
そう呟きながら、イーストエンドのとある場所を目指す。
一応、彼女の所有地だが、それでも、今日か、後は、一回二回くれば、いい方である。
元々は、パブだった処だ。
イーストエンドの端の方とはいえ、立派にイーストエンドだった。
なのに、アイツは来ていたな。と、上流のお忍びの場であったな、とか。
そんな風に、男装の麗人―エレノアは、思う。
もう、取り戻すには、遅過ぎる。
もう、それでも、まだ生々しい記憶なのだ。
中途まで、吸った細葉巻を魔力で消し飛ばし、新しいのに火をつける。
通りの端々から、見られているが、半分は、「年に一回来る謎の麗人」の見物人だろう。
目立っているのは、解っているが、それでも、止める事が出来ないのだ。
イーストエンドの端の方の古めかしい建物・・・パブだった頃から、パブの店内に入る。
エレノア以外は、一年に三回、掃除の業者が入るだけの場所だ。
その隅っこの方の席のカウンターに、エレノアは、その席に、花束を置く。
「いつも、テオは、此処にいたよね。
 でも、静かに飲むってよりは、仲間と騒いだりしてたっけ。」
エレノアの脳裏に、昔の情景が、思い出された。
―一人で飲んでいた私に、テオが声をかけて来た。
―酒を楽しく飲むモノだと思い出させてくれた。
―なんどか、私のアパートに運んだっけ。
―一緒に、少しの間だけど、暮らした。
―あいつは、純朴そうな顔して、キスは上手かったな。
そんな、セピア色の想い出。
でも、想い出は、結局、あの日に、巡ってしまう。
―テオが、警官に連れて行かれた事。
―生きては、戻らなかった事。
―そして、その裏の陰謀を知ってしまった事。
「・・・・復讐を止めろって、蓮火に言えないわよね・・・・・・本当に、。」
自嘲的な響きを持って、エレノアは、そう呟いた。
裏の陰謀を知ってしまった彼女は、それを計画した面々を惨殺した。
「人の精神(こころ)を持たないなら、人の死に方をさせない」とでもいうように。
その中に、テオの父親も混じっていたことを知っていて、彼女は、それを成した面々を惨殺した。
エレノアは、基本的には、復讐に限らず、万物に対して、否定も肯定も、はっきりとした立場をとらない。
ケースバイケースに、その心情を決める事が多い。
しかし、復讐に関しては、それはしないほうなのだ。
基本的に、「復讐は、何も生まない」と理解はしている。
それでも、それでも・・・。
「・・・それしか、生き甲斐に出来なくて、出来なければ、死んでしまうのだったら、仕方ないかな。
 流石に、飢え死にしそうな子から、食べ物を奪うわけには、いかないもの。」
ぽつり、とエレノアは、呟く。
意味の無い、誰にも、本人すら、聞かない言葉だったけれど。
だけども、それでも、音が無いと寂しいからだった。
そして、エレノアは、近くの霊園に向かう。
霊園の隅の方の小さな古ぼけた白い墓石の前に立つ。
持っていたもう一つの花束をそれに手向けた。

『我が最愛の人 ここに眠る。
           エルヴィラ=ブラック』

そんなシンプルな墓石だ。
故人の名前すらないモノ。
エルヴィラと言うのは、エレノアの偽名だ。
その彼女の最愛の人・・・つまりは、テオ・・・セオドアが眠っているのだ。
「テオ、また、動きそうよ。
 見ていてね、私は、少なくとも、全部を裏切る事になっても、全部を裏切らないから。」
そう言うと、懐から、スキットルを取り出し、テオが好きだったシングルモルトを墓石に掛け、エレノア自身も、一口飲む。
しばらく、何も言わずに、佇んでいた。
去り際に、封を開けていない「メサージュ」を墓に供え、立ち去った。

――――――「メサージュ」、仏語で、「伝言」を意味する。
      ただ、それを教えた男性はいない。
      この銘柄を吸うのは、弔いの為だけである。


――――――――――――――――――――――――弔い紫煙




05.死神と踊る


五十代目黒鳥が、赤バラに会う数日前のとある会話。

「悪魔と踊って、死神と踊る結果になりそうね。」
「終りますか?」
「終るでしょうよ。
 森島は、不良軍人だけど、阿呆じゃない。」
「大隔世遺伝でしたっけ?」
「うん、それをさっ引いても、森島は苦手ね。
 ・・・・・・セクハラ紛いのこといってくるしね。
 こらこらこら、リト、殺気放たない。」
「・・・確かに、ダムピールで、エセルくん並の戦闘能力でも、もっていれば、充分脅威な頭脳ですが。
 それで終りますか?」
「終るんじゃないかな。
 奇しくも、ストラウスが、星人フィオ。
 ダムピールと人とヴァンパイアが、過日のダムピールと人だ。」
「奇縁ですね。
 悪魔と踊った結果、死神の鎌が、振り降ろされますか。」
「ほんとうにそうだね。
 でも、どういう結果になっても、姫様は助ける。」
「はい?」
「うん、あの出来事の直前、姫様は気付いてないけど、子どもが居たと思うわ。
 ・・・・・・・・私のは、死神と踊って、足がもつれてしまったからね。
 父親、もろとも、天国に逝っちゃった。」
「(あの、テオとか、いう人のですか。
  ・・・・・残念ですね、もしかしたら、私が親代わりに成っていたかもしれないのですから。)」
「それに、あの頃を知るヴァンパイアが居なくなるのは、寂しいの。」
「それはそうと、エル、あの術は?」
「仕上がってるわ。
「概要は?」
          「本来は、ヴァンパイアの部分を抜き出す術。逆算応用可能。」

「方式は?」
          「レディ・サーレン方式を採用。及び、改良。」

「連続行使時間は?宇宙空間での稼働は?」
            「おおよそ、170時間。無重力無大気での活動稼働済。」

「パーフェクトですね、エル。」    「感激の極み」

「でも、無茶はしないでくださいね。」
「うん。」
「・・・・・・エルが死んだら、その存在が、地球でも、抹消しますから。」
「わかったわ。
 リトったら、いつまでも、甘えん坊だね。」
「(・・・・・・・・・気付かれない(涙))
 本気ですからね。」
「うん、なんにせよ、そちらはそちらで、動いて頂戴。」
「了解、お母さん。」




人生とは、一歩一歩、終焉に近づく戯曲である

2007-12-19 01:45:10 | 日記
タイトルは、内容に関係ないはずです。
考えるのが億劫なのです。


今日、というか、日付的には、昨日ですが。
「死神5題」を書き上げました。
んで、このプログの一記事の最高文字数は、一万字。
ギリギリに、全部で、9500文字です。
珍しく、一個の話が、1000字~2000字ちょいのが、多かったからかなと思います。
全部、「ヴァンパイア十字界」の番外・・・・過去ネタ?です。
本編でやると、絶対、二次じゃねぇ。と思うネタが多いですね。
いえ、「つまらない感傷」とか、「思慕のいきさき」は、まだ、原作キャラ喋ってるですよ?
ですけど、「過去の亡霊」「弔い紫煙」「死神と踊る」のみっつは、出てますが、喋ってないです。
あれを二次と言ったら・・・・と思いますですし。
日記というより、徒然ですけれど。
後ですね、十字界に、オリキャラは二名だけと言いましたが、もう少し出る事になりそうです。
出ると言うのは、この場合、喋ると言う事ですね。
一応、原作キャラの祖母設定です。
相方曰く、「ぶっ飛んでますね。」と言われましたです。




そんなことを思った一日の終わりに。
髪の毛が乾くまでの猶予に。




月の花 (遊戯王・バク貘の貘良)

2007-12-19 00:07:52 | 替え歌

月の花(遊戯王の替え歌)


寂しげに咲く花に 君の面影を見た
大好きな雨だけど 何故か今日は冷たくて

淡く切なく 闇に揺られて 溜め息一つ 散った花びら

闇の欠片を探して  夢を飾り 眠る
時の砂を散りばめて あの闇へ 帰れない

ふと見上げた星空 また君を思い出す
幾ら夜を越えれば 涙は“想い出”に?

季節は廻り 心は染められ 闇は奏でて 涙溢れて

逢えなくて 愛おしくて 触れれなくて 切なくて
届けない 伝えれない 叶わない 遠すぎて
今はもう 君はいないよ  

去り逝くと知る 君はそれでも
強く生きていた 色鮮やかに

夜の欠片を集めて 夢を飾り 眠る
時の砂を散りばめて あの日々へ 戻れない
逢いたくて 愛おしくて 触れたくて 切なくて
届けない 伝わらない 叶わない 遠すぎて
今はもう 君はいないよ







某様ズをリスペクトして、替え歌その1です。
「月光花」です。ブラックジャックです。
遊戯王のバクラ×貘良です。
一番、好きな遊戯王カプは、王バクなんですけど。
書きやすいのは、バク貘で、宿主が、にょたのです。
色もんですけど。
んで、一応、というか、歌えます。
ほとんど、文字数変えてないので。
何カ所か、多いとこありますが。
一応、「貘良は、バクラが好きなんだけど、でも、誰かを見ているバクラに言えない。だけど、居なくなったらその想いが・・・・」的な悲恋です。
もう、二度と逢えない人へな感じです。
小説でも、バク♀貘で、書く思うです。
ともあれ、終了。


月の静寂(しじま) En.3 気に食わない依頼×協力戦線成立?

2007-12-16 03:14:51 | 凍結


「急に、呼ばれたかと思えば。
 そのちびっこの服とか、見繕えば言い訳ね。」
「チビッコいうな、これでも、十八だ。」
「おや、私は、1500歳ほどなのだけれど?
 そこのストラウスよりも、更に上だよ、ダムピールだけれど。」
「なら、なんで、コミュニティにつかないんだよ。」
「それは、レティシアも同じでしょ?
 私も、私なりの事情があって、付いてるんだから。」
「むぅ~。」
「で、ストラウス、どういう系統で揃えれば良い?」
「というと?」
「昔風の出そろえようと思えば、揃えれるわよ。」
レティと私の、初対面時。
あんまり、好きになれないタイプ。





En.3 気に食わない依頼×協力戦線






都内某所の日本家屋。
和風庭園の美しい庭に面した縁側で、花雪とタヌキジジイは、「星が落ちる」話をしていた。
結局、あの後、正式に、私・エレノア=シュヴァルツェン=ヴァイセンヒートは、タヌキジジイこと、GM御前に雇われた。
一応、元々、私は仕事に関しては、ビジネスライクだ。
報酬さえ、頂けるのなら、あの北の総書記の護衛でも、大統領の命だろうと、なんでもするさ。
それなりの金は頂くけれどね。
でも、今回の仕事は、金はそこそこ、合衆国の上議院議員を一月、警護する程度しか貰っていない。
そんな金で、GM御前と花雪のボディーガードを受けたのは、脅されたからだ。
適宜、指示された方を守れと言う事らしい。
今、ダンピールコミュニティを囲んでいる軍を、私が仕事を受けなければ、総攻撃をしかけさせると言ったのだ。
全く忌々しい。
セイバーハーゲンも、外道だが、GM御前は、もっと外道だ。
「所詮、あの者達に、大局は見えんのだ。」
あ、今の発言、タヌキジジイ、殺されたいととってしまいたい。
ストラウスやブリジットの、何が解るんだ?
どちらにも、付かない私が言える事ではないが、それでも、イライラする。
私は、ジ-ジャンの内ポケットから、煙草を「バッド・ジョーカー」という銘柄の煙草を取り出し、くわえる。
魔力で、火をつけ、手を使わずにふかした。
くわえたまま、唇の隙間から、煙を逃すやり方だ。
そのまま、一本目を吸い終わった時、二本目に手を伸ばしかけたときだった。
タヌキジジイの部下の一人がやって来た。
やや、慌てているようだ。
「・・・・御前。」
「何事か?」
「お電話が。
 相手は、ブリジット=アーヴィング・フロストハートと名乗っております。」
ブリジットが、御前を抑えにかかるとは思ったけど、直接、連絡とはね。
・・・・黒鳥も、連れて来いか。
蓮火に、話を付けさせると言うところかな。
でも、蓮火、気付いているの?
お前は、今のままでは、ストラウスに勝てないよ。
力量とか、そんなつまらんものじゃなく。








案の定、ブリジットが指定した場所に行くと、蓮火もいた。
ま、それでも、周りにコミュニティのメンバーが、人払いをかけるために、いるのかもしれないけれどね。
「奇矯なところに喚び出したものだな。」
「こう、人がいては、我らも下手はできん。
 そちらに気を使ってやったんだがな。」
「いいだろう。
 では、お互い、明日の為の話をしようか。」
顔を合わす形、軽い応酬をするブリジットとタヌキジジイ。
しかし、ブリジットの視線は、あたしの方に向かっている。
あー、はいはい。
確かに、何で人間なんかに、従ってますけどね。
そして、ブリジットは、後ろのトランクをこじ開けた。
やっぱり、山猫もとい、レティシアが入っていた。
どうでもいいけど、暑くなかったのかね。
埠頭のほうに、花雪と蓮火は、移動したようだ。
たぶん、小松原ユキ・・・先代の遺言を渡すのだろう。
蓮火にとっては解り切った事だろうに。
星は取り戻せないよ。
ストラウスが、ステラを取り戻せないように。
とりあえず、GM御前とブリジット、レティシア、私は、車の中に戻った。
対面座式のシートに、タヌキジジイと私が、片側。
もう反対側に、ブリジットとレティシアが、座っている。
タヌキジジイに、ウーロン茶。
ブリジットに、ドライ・マティーニ。
レティシアに、アップルジュース。
私に、ガルフ・ストリーム。
それぞれ、供された。
どうでもいいけど、雰囲気ぴりぴりしてる。
ま、仕方ないけどね。
「四の五抜きだ。
 コミュニティに敷いた包囲網を解け。」
「そうもいかぬよ。
 首輪無しで、放っておけるほど、お主ら、コミュニティは安全ではなかろう?」
「ほう、・・・・・我らに首輪を付けれると思うな。」
言葉のみの切り合いを、ブリジットとGM御前がする。
ほんと、GM御前は、少なくとも、セイバーハーゲンとよく似ている。
大局の為に。人を使い潰せる、トコとかね。
ま、セイバーハーゲンは、カリスマを持ってして、それを無していたから、違うと言えば、違うかな。
そんな事をつらつらと考えていると、ブリジットが、御前の方に書類の束を渡した。
「ば、馬鹿な。」
たぶん、全軍事データ。
配置から、ミサイルの自爆コード、核施設の制御プログラム。
そんなとこだろう。
GM御前、お前が敵に回したのは、あの赤バラが、手塩にかけて育てた娘だぞ?
それが、育成した諜報部員が、人間の情報網を突破するのは、ゾウがアリに勝つよりも、容易い事だ。
おまけに、霊力と魔力を使ったジャミングのデモンストレーションとそれに準じる脅しで、御前は金縛らざる得なくなった。
確かに、人は生き残るだろう。
でも、電気と通信を寸断されれば、経済的損失とダンピールが攻めれば、人的損失は量り知れないだろう。
人間は、長い間に、霊力とそれを御する能力を失った。
今、これを防ぐ術は無いだろう。
うん、ブリジット、合格だ。
少なくとも、今とりえる、サイコーの手だ。
レティシアも、固まっている、ストラウスに前、持って言われていたのだろう。
「もちろん、我らの魔力と霊力とて、無限ではないよ。
 しかし、三ヶ月もあれば、今の世界の人口を三割は、減らせる。
「あ、ブリジット。
 私も、その時は協力するわ。
 コミュニティを人質に、脅された仕返しはしないと、ね。」
「ならば、五割だな。
 エレノアだけでも、その状況なら、二割は減らせるだろう?」
「もちろん、黒死病バラ撒くのとか、一晩あれば、二つ三つは国を潰せるわ。
 ・・・・・・お姉さんを舐めないでね。」
私は、ちゃっかり、下手を打てば、私自身も、裏切ってやるというのだ。
脅しで、人を従わせたお礼はしないとね。
ブリジットと私のダブルで、忠告された御前は、多分こう思考している。
(今、ダンピールに手を出せば、最終的には勝てても、負けたも同然の被害が出る。
 ・・・・その上、この女は、迷わず全滅戦をしかけてくる―――――・・・・)
甘く見過ぎたね、御前。
我らは、我ら夜の国の民は、噛み付くなら、容赦はしないよ。
御前の左胸、心臓をつぃと、指差し、ブリジットはこう言った。
「我らに、触れるな。
 お互い、失うだけだぞ?
 そちらが、イイコにしていれば、人間世界を乱す気はない。
 わかるな?」
小学生に言い聞かせるように、ブリジットは言うのだ。
実際、我ら・・・などと、私が、言えた事ではないけれど。
夜の血族は、争いたいわけではない。
ただ、平穏に生きたいだけだ。
「・・・・・・コミュニティからは、手を退こう。
 だが、せめて、あと一週間、ヴァンパイア王の身柄をこちらに預からせてもらいたい。
 そちらにも、悪い話ではないと思うのだ。」
「まずは、軍を退け。
 話はそれからだ。また、連絡を入れる。」
ブリジットは、其処まで話すと、話は終ったとでも言うように、車を出ていく。
うん、少なくとも、最善かどうかはともかく、それないにイイ手だね。
御前は、或る意味、信じられないとでも言うような口調で、こう呟いた。
「・・・・・・しかし、解せん。
 これだけの力を持ちながら、ダムピールは何故、裏からでも、世界を支配しようとせんのだ?
 調べた限り、ぬしらの集団が世界情勢に関わった形跡なんぞ無いぞ?
 レディ・木蓮が、些少糸を引いたぐらいじゃが、それは些細じゃ。」
あ、うっさい。
一応、蝙蝠だって、お腹は減るから、ご飯の種を稼ぐのに、情報操作なんかをしてたんだよ。
身体を売るなんてのは、死んでもイヤだからね。
それに、戦略知識だけは、腐るだけあったしね。
私も、外に出る。
ブリジットは、街灯を眺めていた。
そして、こう言った。
「・・・・・・・どんな強力な支配も、抵抗を招いてしまう。
 無益な血を流すだけだ。
 我らが、平穏に暮らすのに、対して土地は必要ない。
 世界や人間を支配する意味は、無い。
 全てを欲せば、その欲ですべてを失うぞ?
 大概、にしておけ、御前。」
つらつらと言う。
その間にも、近くの観覧車に視線が行く。
だけど、それは見ていないだろう。
見ているのは、千年前に潰えた世界なんだろう、ブリジット?
歩き出したブリジット。
彼女を追って、レティシアは、付いていった。
「怖いだろう、お前が小僧扱いだ。」
「ああ、ヴァンパイア王にしろ、レディ・ブリジットにしろ、何という器量だ。」
「あれが、陛下の愛娘だ。
 さて、ちょいと、話を聞いてきたいから、少し待っててもらえる?
 花雪も、もう少し掛かるだろうから。」
御前と短い会話を交わす。
決して、GM御前は、阿呆でも狭量でもない。
ただ、会わないと解らないものは多々あるのだ。
私もブリジット達の後を付いていく為に、断ると。
御前にしては、珍しくきょとんとした反応を返して来た。
「仕事は続けるよ。」
「脅して受けさせたものだぞ?」
「おや、それでも、受けたのはあたしだ。
 私の仕事のプライドとして、最後まで受けるさ。
 そいじゃね。」
そういって、一度、御前から離れた。
花雪の話は、どうせ、芳しくないだろうな、と思いつつも。




大好きは、あげても、返ってくるとは限らない

2007-12-14 00:27:02 | 日記
タイトルは適当です。思いつかないので。


最近、萌え語りをすることが、増えて来たなーと思うわけです。
キャラ単体萌えというよりも、カップリングで萌える事が多いんですね。
んで、必然的に、攻守だけでも、二パターンあるわけで。
んで、人が違えば、同じキャラでも、別解釈があるわけで。
それを語るのが、楽しいなぁと。

昔、地元の中学で、同人誌の発生源は結果的に、私だったですが。
ジャンル違いというわけで、あんまし、萌え語りはしなかったんですね。
だけど、するようになって思う。
萌え語りは、やっぱり、その場限りと言うか、同じカプでも、年数が立てば、違ってくると言うか。
そう言う意味では、もったいなかったかなと思ってます。
なので、たまに、ここでも、萌えをつらつら書くかなーとか、画策してます。




あと、関係ないですが。
日記のタイトルは、適当に上記のように、これから付けてきますね。
ではではー。



学校を辞めることにしました。

2007-12-12 00:12:21 | バトン など

見たらすぐやるバトン←コレ大事
 
※見た人必ずやること…今すぐやること。
※タイトルを「学校(仕事&趣味)を辞める(止める)ことにしました。」に設定すること。

・・・・・・・或る意味で、今更何を?な時期です。

■自己紹介■

HN:十叶 夕海
職業:大学生
性格:ネコ(友人より)気まぐれ×固有の価値観?
口癖:・・・お兄さん(お姉さん)、三途の川拝んどきますか?(ここ数日は特に)
靴のサイズ:25センチ
兄弟:妹一人。

■好きなもの■

色:青、空、紅、青紫
数字:0、99
動物:ネコ科全般。チョウチョ
飲み物:ウーロン茶。ハーブティ。
本:ノンフィクションよりフィクション派。難し過ぎる専門書以外なら。
花:桜、曼珠沙華、 瑠璃繁縷 
携帯:DRAPE
殴り合いのケンカしたことある?:特に無し。保育所時代に、玩具の取り合い?
ウソついたことある?:無い人、いますか?
友達とキスしたことある?:ありますね。保育所時代に。
誰かの心をもてあそんだことある?:ありますね。
人を利用したことある?:無い人居ますか?
使われたことは?:あります。
髪染めてる?:はい。地髪→茶髪→真っ黒に。
髪の毛巻いてる?:天然パーマです。
タトゥーしてる?:いいえ。
ピアスあけてる?:ないです
カンニングしたことある?:小テストとか、復習テストなら。
お酒飲む?:結構いける口です。
ジェットコースター好き?:好きと言えば、好きだけど。一回来園して、二回乗ればいいかな。
どこかに引っ越しできたらなーと思う?:面倒そうですが、する予定ですよ。
掃除好き?:嫌いです。一応、大体解ってるので。
丸文字?:いいえ。
ウェブカメラもってる?:いいえ。
運転の仕方知ってる?:免許持ちなので。
何かを盗んだことある?:それは、秘密です(某獣神官風に)
拳銃手にしたことある?:モデルガンなら。

■今現在■

今着ている服:寝間着。長袖Tシャツとジャージの下。
臭い:入浴後なので、ボディーソープの匂い?
髪型:流しっぱなし。
今したいこと:日記の更新&寝たい
聴いてる音楽:アゲハ蝶(ポルノグラフィティ)
1番最近読んだ本:『完全自殺マニュアル』(直前まで、卒論の手直ししてました)
1番最近見た映画:踊る大走査線2 レインボーブリッジを封鎖せよ(講義で)
1番最後に電話で喋った人:相方さん
初恋覚えてる?:一応は。
まだ好き?:嫌いです。
新聞読む?:時々、ほとんど、知りたい事の確認。
ゲイやレズの友達いる?:友達の友達になら、売る位に。一応、友人の範疇。
奇跡信じる?:信じない。信じても起きない時は、起きないだろうし。
成績いい?:・・・・赤点が無いくらいでしょうか?
帽子かぶる?:冬場は、ニット帽
自己嫌悪する?:たまに。その場合は、奈落まで。
何かに依存してる?:ネット、文章創作、活字、特定の友人
何か集めてる?:扇子と天然石、ペンダント
身近に感じられる友達はいる?:一応は。
親友はいる?:いるんでしょうね。
自分の字は好き?:かなり悪筆。嫌いではないです。


とある、夢小説サイトさんで。
日記の代りに、更新します。
明日、日記かなと、思いつつ。
誰が、踏むのかなと、思いつつ。
おやすみなさい。



月の静寂(しじま) En.2 赤バラの娘と書庫の守人

2007-12-07 20:46:20 | 凍結

「どうした、姫様。」
「もう、姫じゃない。」
「・・・・・ああ、あの事案が通ったのか。」
「・・・・・・・・・」
「ねぇ、ブリジット。
 国王は、ゴットフィード陛下は、さらりと決めたようだけれどね。
 あれで、その命令を出される前は、ここに通って、何度も、私に御尋ねになっておられたよ。
 『これで良いのだろうか?』って、何度もね。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「でも、ストラウスの元にいて幸せなのだろう?
 未だ少し、わだかまりはあるかもしれないけれど。」
「ああ、そうだ。
 ストラウスは、本当にすごい。」
「そうか、本当に良い父親なんだね、ストラウスは。」
これが、ブリジットとのある時の会話。
彼女が、十歳の時。私が、三百歳ぐらいの時。
外見で言うなら、彼女は十歳で、私が、15歳ぐらいの時だった。







En.2 赤バラの娘と書庫の守人






かちこちかちこち

半壊したショッピングモールの時計広場に、ブリジット達は居た。
私・エレノアは、結局数日前の、五十代目黒鳥(ブラックスワン)とブリジット、ストラウス達が、邂逅する場に間に合わなかった。
でも、あの後、GM御前に聞く限り、別の場所で、ブリジット陣営と花雪達の戦闘があったらしい。
予想通りと言えば、予想通りだったけれどね。
私は、ブリジットの真後ろの位置にいた。
そこから、見ると、近い順に。
瓦礫の間に慄然と立つブリジット。
その近くの瓦礫に座りうなだれる蓮火。
更に奥に、元はファンシーな時計だった残骸に腰掛けるエセル。
二階へ通じる階段へ、座っているのは、風伯。
元気そうだ。
どうやら、誰も重い傷すら追っていない。
良かった。
私が言える事ではないけれど、良かった。
『そうか、では、情報部を走らせろ。
 そう。敵のインフラ、支配まで。
 追って、指示を出す。』
念話で、コミュニティの情報部に指示を飛ばすブリジット。
それに区切りがつくのを待って、私は声をかける。
この瞬間は、いつも、緊張する。
ストラウスのような、すぐさま殺さなければ、行けないような存在じゃないにしろ。
難しい立場なのだ、あたしは。
「コミュニティの周りに、国籍不明の軍隊。
 その上、偵察&攻撃衛星に包囲されてるし、大陸弾道ぐらい用意されそうね。
 GM御前。
 あのタヌキジジイは、面倒そうだね。
 ブリジット。」
「・・・・・・エレノアか。」
「うん、ええと、三年ぶりかな。
 四個前の、陛下の狙った封印の碑の場所でだから。」
「何のようだ?」
「陛下、とかなり、ドンパチやったって、教えてもらったから、お薬いるかなって。」
声をかけると、低い声で、ブリジットが答え、他の三人にも、緊張が走る。
そうされると、お姉さん的には少し哀しい。
薬瓶・・・十センチぐらいの小さな、三角底の歪なフラスコを三つ指と指の間に挟んで、存在を主張する。
色は、紫色の毒々しいカラーだが、これ一本で、滋養強壮とある程度の魔力回復、怪我治癒効果のあるものだ。
そのときいた場所から、飛び降り、ブリジットの側に歩み寄る。
「相変わらず、蝙蝠なのだな。
 エレノア、コミュニティには来ないのか?」
「その台詞も、相変わらずね、ブリジット。
 私は、私の理由があって、蝙蝠として生きているのよ?
 それに、真実に至る道の道しるべは一杯上げてるわ。」
いつもの会話をして、私は、自分より頭半分ほど上にあるブリジットの顔を見る。
懐かしい。
あの時から、然程変わらない。
「・・・・・・・・それにしても、厄介ですね。」
「時の権力者達が、我々に触れようとしたのは、幾度となくあった。」
「そうね、でも、それを危惧しているわけじゃないでしょ,風伯」
エセルの呟きに、乗っかるように、鎧武者の風伯が、過去を語るようにそう言った。
蓮火より、若いのに、クールだよね。
ある意味で、枯れているのかもしれないけれど。
「今日は、大人しく退いたが、我らに手を出した愚は思い知らせてやる。」
「じゃぁ、問題は何だ?」
蓮火は、気怠げに・・・やる気が無さげに、話を促す。
50年前に、小松原ユキ・・・先代黒鳥を失うまでは、充分格好良かったのに。
私が、背中を任せれると思った剣士は、ブリジットと君ぐらいだったんだけどな。
「「赤バラ(陛下)が、権力と結びつく事(だ)(だよ。)」」
ほぼ同時に、私とブリジットがそう言った。
しかし、ブリジットは、声が重なった事と未だに、ストラウスを陛下と読んでいる事が嫌なのだろう。
顔を微かに顰める。
私が、彼女達に会う時に、ストラウスを「陛下」と呼ぶのを止めないのは、一つのメッセージだ。
かつて、あの夜の国で、私が「陛下」と呼んだのと変わらないのことがだ。
「いくら、黒鳥(ブラック・スワン)がいても、タヌキジジイに、陛下を御せるはずが無いと思うよ。」
「逆に、赤バラに利用されるのが、関の山だ。」
「・・・・・でも、赤バラに、時の権力者を従える器量があるとは思えません。」
エセルがそんな事を言ってくる。
無理も無い、未だ一番若いのだから。
ブリジットが何かを語り出す前に、あたしは、嘆息一つの後に、揶揄するように、こう語る。
「無理も無いけれどね。
 もはや、陛下の治世を知るのは、コミュニティにも、いないし。
 せいぜいは、ブリジットと私、姫様ぐらいしか、知らない。」
「蓮火・風伯でも、600歳そこそこ。
 エセルに至っては、300歳にもならないからな。
 知らんでも、いた仕方ない。」
途中で、台詞を奪われた形になったが、まぁ、間違いない。
長い間に、ストラウスに、あの治世を知るダンピールや、辛うじて生き残った純血に近いのも、殺されたんだ。
知る人はいない。
語り合う人もいない。
寂しい事だ。
しかし、ストラウスを不倶戴天として、恨む蓮火には、許せなかったのだろうか。
私とブリジットの二人に、正確には私にやや量を多く、睨み噛み付くようにこう言って来た。
それこそ、視線で人を殺せるなら、もう殺害しきれるほどに。
「だがっ・・・ヤツの治世は、たかだか、十年。
 最後は、女の為に国を滅ぼしたクズ王だろう!!!?」
「・・・・・「腐食の月光(アーデルハイト)」がいなければ、ヤツの王国は未だ栄え散るぞ。」
ブリジットは、蓮火の激高を受け流すように、そう言った。
かがみ込み、健気に咲く白い花を慈しむその胸中は、謀りやすい。
(そうよね、まだ、ブリジットもストラウスの側に在れたわね。)
実際、愚王ではないのだ、ストラウスは。
むしろ、賢王であり過ぎたと言うべきか。
部外者でなければ・・・当時では、気付けないベールで、真実を包み隠したのだ。
・・・・・・まぁ、私は、当事者でもあったけれど、渦中におらず、書庫の住人であったから、ストラウスの異図に気付けたのだけれど。
真実は、変わらないからこそ、人を責めるの。
だから、私は、良くも悪くも今の状態がベターだと思う。
決して、ベストではないけれど。
「で、これから、どうするの、ブリジット?」
「解っているだろうに、意地の悪い。
 御前と赤バラを分断する。
 私が、御前を懐柔すれば、赤バラも利用できんだろう。」
「ついでに、黒鳥(ブラックスワン)も利用しやすくはなるわね。
 でも、御前の目的も、調べなくちゃ。
 結構、意外すぎる意外だから、ね。」
その後、この直前の赤バラ&黒鳥VSブリジット組の闘いの顛末とその反省がなされた。
このときに、やっとその日の闘いの経過を知った。
結末は、あのタヌキジジイが止めたと聞いていたけれど。
ああ、そう言えば、どうせ、アイツ、ストラウスの琴線に触れて、恐怖を味わうだろうな。
などなど、結構、色んな事を考えていた。
実際、ストラウスは、あれで、優し過ぎるからね。
結局のところ、ストラウスは、戦力・・・魔力も含めて、無い状態で、ある程度は勝て・・・はしなくても、負けはいない程度に、強いのだ。
だから、今回、負けた形になったのは、ブリジットの自身も気付かない動揺があったのだろう。
口にしても、否定されて、激昂されるのがオチと言う類いの事なのだけれどね。
「私のミスだ。
 読みが浅かった。
 赤バラなら、これぐらいの術策を瞬時に巡らせる。」
風が吹き抜け、その中に、髪をまとめていたリボンを解きながら、ブリジットの呟きも解け消えた。
その言葉に、苛ついたように、蓮火は、こう訊ねる。
・・・・・・どうでも良いけど、煙草の吸い殻のポイ捨ては頂けないよ。
あと、その問いもね。
「やけに、赤バラに理解があるな。」
「私は、お前らより、四百年は長くヤツと戦っている。
 理解もしよう。」
「本当にそれだけか?」
―――――――――――――かちこちかちこち。
ブリジットと蓮火の言葉以外は、時計の音しか響かない。
そして、或る意味で、彼女にとって最大の爆弾であろう台詞を蓮火が口にした時だった。
――――――――ボーンボーンボーン。
ちょうど、十二時なった。
そして、沈黙は落ちる。
蓮火、付き合いの長い、私とストラウスの次に、ブリジットと長くいるであろう君が、口にしては行けない事だと思う。
或る意味で、今君は、地雷原で、コサックダンスを踊っているに等しいだろう。
そして、ブリジットは、先ほど愛でていた花をヒールで潰し、こう言った。
「月にでも訊けば良かろう?」
それは、冷たい冷たい表情だった。
直接言われたわけでもない風伯は、エセルまで言葉に詰まらせている。
しかし、それを彼女自身が崩すように、動き出す。
「・・・各自休め。
 エレノア、傷を癒してやってくれ。」
「りょーかい。」
「直に、大きな戦がまた始まる。
 今まで以上のな。」
髪を結んでいたリボンを風伯の腕に結び、ブリジットは何処へも無く歩み去っていた。
弱音を吐けないってのは、寂しい物があるね。
そう思いつつ、先ほど色の毒々しい飲み薬以外にも、鎮痛効果のあるどどめ色の軟膏やら、疲労回復のみの赤い「酒」などを腰のポーチやジージャンから取り出していく。
「風伯、腕貸して。
 あぁ、やっぱり、これは黒鳥にか。
 エセル、一応、顔の擦り傷に軟膏塗っておけ。」
てきぱきと、風伯の右手の袖を斬り広げ、薬を塗り込んでいく。
黒鳥の傷とストラウスの傷は、見分けやすい。
霊力と魔力と言う違いもあるんだろうけど。
黒鳥のは、どうしても、引っ掻いたようなというか抉ったような傷になりがちだ。
巨大な霊力を制御しきれていない部分もあるからだろう。
反面、ストラウスの傷は、鋭利な刃物で切り刻んだような精緻な傷なのだ。
傷に、精緻もクソも無いが。
「強いけど、大丈夫なのかな、ブリジット。
 会うたび、ダンピール側に付いちゃおうか、考えるわ。」
傷の手当を終えた後、煙草を吹かしながら、あたしは呟いた。
昔から、本当変わらないのよね。
なんでも、自分で背負い込んじゃうし。
おむつを変えた事がある身としては、結構複雑なのよね。
ストラウスの事を考えるとあたしが、ダンピール側にいるのはマズいんだけどね。
「・・・・・ブリジットがいなければ、千年前にヴァンパイアの血族が生き残るのも、今のコミュニティが人間の世界で、維持できるも不可能なのよね。」
「ブリジットが、希代の指導者であり、戦いにおいても屈指の戦術家であり、戦略家なのは、周知の事だ。」
「それに、霊力も魔力も、強くて、剣でも蓮火さんと渡り合えるんでしょ?」
「世界中の警戒網と催眠結界。
 ダンピールは、ブリジットがいないと、赤バラと戦うどころか、瓦解して、人に追われるのがオチね。」
つらつらと、私がいうと、風伯やエセルが、付け加える。
私が、言えた事ではないけど、本当に、どうしようかと迷ってしまう。
蓮火は、語られる事を無言で聞いている。
そして、苛ついたように、何本目か解らない煙草に火をつける。
「・・・・今更、それがどうした?」
「・・・・」
風伯が何かを言う前に、私は、語り出す。
事実を包み、ある程度は、今の風聞にそったブリジットの事を。
「コミュニティにも、同じような噂があるのだろうけれど。
 かつて、ブリジットは、ダンピールながら、150歳の若さで大将軍を務めた。
 同じ頃、私は、書庫の守人なんかをやっていたけれど。
 王たる赤バラの右腕だったわ。
 陛下の治世が長ければ私も、そこそこまでは行っていたかもしれないけれど、あの子は陛下が、大将軍の頃から、右腕だった。」
「それだけではなく、赤バラに娘同然に育てられ、才能を開花させたとも言われる。」
「・・・・・下世話な話も、付け加えるなら、陛下の恋人とも、言われるわね。」
エセルも、蓮火も、初耳だったのか、はっとなる。
事実なのには変わりない。
「恨み無くて、千年も戦えないわね。
 ・・・・・・夜よ,夜よ、夜の国よ。魔と豊穰の夜の国よ。守りたまえや、至高の王よ・・・・・。
 遠いねぇ、今は遠い。
 なんで、彼女は、陛下が、捨てたものを守り続けるのだろうね。」
私は、そうと呟き、その場から去った。
しばらくは、いつものビルに世話になっていると、風伯に、ブリジットへの言付けを頼んだ。
日本に来た時に、世話になっているリトのトコロに、向かって、私は歩き出す。
さて、途中で、酒でも買ってくか。
ああ、フライドチキンの店も、未だやってるっけ。
近くに、24時間のトコあっただろうし。
そんな具合に、私は、三人に背を向けた。
どうせ、又明日か、明後日には、ブリジットかタヌキジジイが動くだろうからね。