みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

鎖国

2017年02月21日 | 俳句日記

  「鎖国」という文字が教科書から無くなるそうですね。結構なことじゃありませんか。

と申しますのも、これまで日本は鎖国していたから世界の潮流に遅れた、なんて私も教え

られてきましたけど、これはとんでもねぇ事実誤認でして、天正十五年(1587年)秀吉様の

なさった「バテレン追放令」も、 江戸幕府の「禁教令」も「出入国禁止令」も、実はその時代の

ヨーロッパで すさまじく戦われていた宗教戦争から日本を守るためにとられた政策だったと

いうことなんだそうですな。ちゃんと世界への窓は開けているんですよ。徳川幕府でもね。

 

 当時は鎖国なんて言葉は使ってなかったそうです。後世の連中が勝手に作った名称だった

ということです。なにも日本だけが閉鎖的じゃありませんで、アメリカさんもたびたび欧州との

縁を切ったりしていますし、アジアの国々でもそうした政策をとったりしているんです。

ところが、欧州の国はその都度なんだかんだと、それをこじ開けてくるんですな。始末におけねぇ。

 

 だいたい学校では日本史と世界史を別々に教えてきましたよね。高校なんてのは選択科目

でした。しかも年号の暗記科目なんて言われてきましたし、先生も教えられないれから、なぜ

そんな歴史的事件が起こったのか理由が分からない、おまけに知識が日本史と世界史の片方に

かたよってますから、実に国際的認識に達していない歴史オンチの日本人ばかりになっちまった。

 

 外国で働いた友人が言ってましたけど、あちらに行くとそれで恥をかくんだそうですな。

どんなジャンルでも国際交流の現場で働くエリートたちは自国の歴史はもちろん世界の歴史も

よく知っていなさるそうで、彼も優秀な人物ですから、これはいけないと猛勉強したそうですよ。

 

 てなわけで、江戸時代のお人がどのくらい鎖国の時代に、海外のことを知っていなさったか

耳を傾けてみましょうか。

 

「ささ、どうぞこちらにお座りになってくだせぇ」

「そのほうはよくここへ来るのか?」

「へぇ、熊公の修行時代のあと弟子がやってる店なんでさぁ。ほら、こないだアタシと居た」

「ああ、あのときの。あと弟子というのは後輩と言うことか?」

「さいで。ここの大将は、あいつが舌を巻くぐらいに腕がいいんでさぁ」

 

 てなことで、二人のささやかな酒宴が始まります。

 

「なんにしやす?なんでも言っておくんなせぇ」

「その前に、そのほう名をなんと申す」

「あっ、こりゃぁ失礼いたしやした。浜町の大工の八と申しやす」

「左様か、わしは水戸藩の菊池唯(ゆう)三郎と申す。よしなに」

「いえ、こちらこそ。今日は無理を言って申し訳ありませんね」

「いや、構わぬ。それより何を注文するか?」

 

「おっといけねぇ、で、何にいたしやす?」

「いや、そのほうの好きなもので良い。早く頼め」

「い~え、そういう訳にはいかねぇ。きょうはアタシのご接待でやすから、お武家さまから」

「馬鹿を申せ、町人に奢(おご)られては申し訳がたたぬ」

 

「誰にです?」

「そのほうに、じゃ」

「とんでもねぇ、あっしもれっきとした江戸っ子ですぜ、そしたらこういたしやしょう。貴方様は

今からあたしの先生ということで、いろいろ尋ねさせて頂くんですから授業のお代てぇのは?」

「ここは講学所ではない、酒をたしなむ場だ。それにわしは貴殿に感心しておる」

 

 なんとも、こういう意地のツッパリ合いってのは馬鹿馬鹿しくもあり、道理でもあり、微笑ましい

もんですな。

 

「なんでです?」

「話を聞きたいという姿勢じゃ」

「お武家様、冗談言っちゃいけねぇ、町人でもゆく先々ってのは気になるもんですぜ。何故か?

言うまでもねぇや。子や孫のために世の行く先を知りてぇてのは人情じゃありませんか」

「そうだったな、これは相すまぬ、許せ。ところで、まず注文を済まそう」

 

 と、互いに注文を済ませます。なにをですって、それはお客様の想像におまかせいたします。

この時期あんこう鍋てぇのも旬でやんすね。

 

「お武家様、あらたまってなんですが、そんなに日本てぇのは危ういんで?」

「そうだな・・・」

 

 今回も枕が長くなって相済みません。前触れした国際情勢にまで行き着きやせんでした。

トントンと箇条書きになんていかないところが落語でして、この先はまたのお出かけの際に

ってところでお許しください、では。  =お後がよろしいようで=

 

        < 聖地にも 祈りとどけよ 春の風 >  放浪子

 

二月二十一日(火)  照ったり雪ったり 風荒(すさ)ぶ

           目覚めれば雪景色

           川の記事を書けとの要望に川へ出かけるが

           強風にて引き返す

           エルサレムのこと気がかり


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