みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

二月尽(にがつじん)

2019年02月28日 | 俳句日記

白木蓮の花


2月28日〔木〕晴れ

白木蓮の花がビロードのコートを脱いで、乳色の花を咲かせ始めました。
遊歩道のきわの僅かな土手にも土筆が立ち上がっています。



明日からは「弥生」、春の第二章の始まりです。
名のみの春が終わり光を帯びた春風に、満を持して膨らんでいた蕾がわれ先に綻ぶ「百花繚乱」の
季節が到来しました。

まだ小さなタンポポが待ちきれずにポツンと顔を
見せました。
「あれっ!誰もいないや⁈」
と言っているような風情ですね。



いえいえ早くはありませんよ。
あと五日で「啓蟄」、地表が賑やかになります。
人間様も三日すれば浮かれ始める筈です。
その頃になれば、辺りは仲間たちで一杯です。

おっと忘れていました。
今日は第一章の最終日、風流なおじさん達がちゃんと季語を用意してくれてます。
春の準備に勤しんだ二月を惜しんで「二月尽」。

〈春追うて 如月知らず 二月尽〉放浪子
季語・二月尽(春)





春時雨

2019年02月27日 | 俳句日記

夕時雨の六地蔵

2月27日〔水〕曇り 夕時雨

二日連続で出歩いた。
お陰で佐保姫さんと楽しく時を過ごしたが、些か
疲れた。
どうやらまだ本調子ではない。

と、言う事で今日は朝風呂を愉しんだり、午睡を
したりして身体を休めた。
春陰に包まれていたせいでもある。
夕方からしばし時雨もした。

こんな日はクラッシック音楽を聴くのもいい。
さして詳しくもないが、今日はショパンのピアノコンチェルト第1番(ルビンシュタイン)とアバド
のチャイ5を聴いた。

ルビンシュタイン先生は、まるで習いたての子雀が指導通りにピアノに向う姿勢そのままに演奏なさるところが巨匠らしくて尊敬に値する。
常に後進の模範たらんと努めておいでだ。

アバドはテレサ・ベンガルサが主演した「セビリアの理髪師」を振った映像を観た時からフアンに
なった。
ベト7もお馴染みの一曲である。

ベト7と言えば、カール・ベーム先生のものが最高だと思っている。
東北時代によく聴いていた。
阿武隈川を朝日が染め行く風情其の物だった。

〈春時雨 地蔵も聴けり 永遠の曲〉放浪子
季語・春時雨(春)





〈春時雨 スマホの音も 潤む哉〉放浪子
季語・春時雨(春)

2.26の日

2019年02月26日 | 俳句日記

植木市のアカマツ

2月26日〔火〕晴れ

皇太子殿下のお誕生日からずっと晴れの日が続いています。
今日も晴天。
大濠公園へでも出かけましょう。

久々なのでワクワクします。
ツナサンドにフルーツサラダを添えてランチをこしらえました。
紙バックに納めたところで、携帯が鳴ります。

出勤前の友だちが、また大根を差し入れると言って来ました。
母が大好きな大根。
持っていけばまた眼を細めるでしょう。

間も無くやって来た彼に予定を話すと、公園まで送ってくれると言います。
母の所へも寄ってくれるそうです。
心配は御無用です、経営者ですから。

公園では鳥たちが待っています。



餌を振る舞うと、また狂喜乱舞しました。



鳥達との宴が終わると護国神社に向かいます。
今日は2.26の日。
私の中では、あの日の青年将校も英霊なのです。
勿論、特攻の碑にもお参りをしました。

神社では植木市の準備が進められていました。
一本の植木に目が止まります。
「あら!こんな所でお目にかかれるなんて⁈」
やはり気に掛けてくれているのでしょうか?

ご縁とはこんな事なのです。
何年もご無沙汰しているのに、ふとした事で気付かされる。
貴方にも日常の何処かに大切なメッセージが?

今日は彼の古希の誕生日でもありました。
半世紀にわたる知遇を得させて頂いてます。
大変な恩人でもあります。
私事は止めておきます。

この方の人柄だけは手短に伝えておきます。
大学を卒業すると当時の科学技術庁長官の秘書を皮切りに3人の先生に最後まで仕えています。
現在も某大臣の秘書役として議員会館にいます。

信頼される事務方として人生を貫く資質についてエピソードを紹介しておきましょう。
二十代の頃、ある学生が一年もの入院をした時、一日も欠かさず見舞のハガキを出しています。

また、ある同僚が選挙に落選して困窮した際には
家財を売って助けてあげました。
実に永田町は、彼のような菩薩に依って支えられているのです。

ダメ議員もダメ秘書も多いのですが、彼らは数年もせずに消えていってしまいます。
あの情報渦巻く世界で半世紀も信頼を失わない凄さ、若い人は教訓になさると良いと思います。

〈春風や 仰ぎて清しき 松の峰〉放浪子
季語・春風(春)










古城の梅

2019年02月25日 | 俳句日記

天守閣下の紅白の梅


2月25日〔月〕晴れ

天神町に求める物があったので出かけました。
車窓の外は、家々の屋根にもビルの窓々にも春色の光が照りかえり、川も橋も道も人も春の陽気に
充たされています。

この都会の春望は、もう紛れも無く春が私たちを包み込んでくれた証なのです。
その佐保姫のふところの温みの中で私は微睡んで
いました。

買い物を済ませましたが、佐保姫はなかなか私をリリースしてくれません。
「ならば!」と私は春のど真ん中を目指します。
目的地は福岡城址の梅林庭園。



バス停から庭園のある天守閣へ向かう坂の途中で既に馥郁とした梅の香が迎えに来てくれてます。

《梅が香に のっと日の出る 山路かな》芭蕉



《白梅の 花に蕾に 枝走る》倉田絋文



《紅梅の 満を持しをる 蕾かな》下村梅子



《枝垂梅 とうとうたらり 枝垂たり》徳永山冬子

こうして実物を見ながら先人の句を味わうと詠人
の境地が心なき我が身にも伝わって来そうです。

梅は毎年毎年新芽を剪定しながら枝ぶりを整えていくもの、そういう意味では梅の自然の造形と人の手で織りなす協働芸術なんですね。
帰りの道ぎわに紅梅の獅子頭が咲いていました。



〈梅の花 枝剪る人の 心ばえ〉放浪子
季語・梅の花(春)

大喪の礼と御在位三十年式典

2019年02月24日 | 俳句日記

御着席になられる両陛下


2月24日〔日〕晴れ

この日に相応しいライトブルーの春の空である。
相応しいと言えば、当式典は武道館がよかった。
武道館と国立劇場では収容数が格段に違う。
何よりも皇居に近く、警備上も有利である。

首相の式辞も来賓も舞台設備も実に質素で、手作り感が漂う式典であった。
分からないでもない。
30年前の今日は先帝の「大喪の礼」の日である。


平成元年2月24日 葱華輦(天皇の輿)の徒歩列

今上が天皇となられてから最初の御大役だった。
「葬場殿」で先帝に「おんるい(弔辞)」を奏上な
された時が先帝と国民並びに世界164ケ国、700人を前にしての実質的な即位宣言であった。

以来30年の時が過ぎ、ご譲位をなさろうとしている今日、「御在位三十年」の祝賀が政府主催で行われるのであるから国民としては盛大にお祝いし
たいがそうも行かない事情がそこにある。

してみると
21日の皇太子殿下の記者会見、
22日の安倍首相の内外情勢についての上奏、
23日の殿下の御誕生日と学習院大でのご講義、
そして、今日の御在位三十年式典。

この日程の並びをつらつら思うと、今上並びに皇后さまはご譲位を前にして、お役目は勿論のこと親子の心構えについても皇太子とのけじめをお付けになる為の4日間ではなかったのかと拝察して
しまうのである。


参列者に対する両陛下の眼差し、


退出される今上は、我々日本人に「長い間ありがとう。浩宮を宜しくお願いします」と言わんばかりのお手の振りようである。


皇后様もまた今上との越し方を想い、皇太子の御代と日本及び日本人の安寧を祈りつつ万感の想いが胸に迫り涙しておられるようにお見受けする。

まだ早いのであるが
「両陛下に於かれましては、国家国民の為に長い間有り難う御座いました。一国民として衷心より御礼申し上げます。今後の両陛下のご健勝をお祈り致します。くれぐれも御身を大切にお過ごし下さい」

そう申し上げたくなるお姿であった。

〈言祝ぐや 平和の御代と 春の空〉放浪子
季語・春の空(春)