みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

雲は天才である

2017年06月11日 | 俳句日記

3日前に走り梅雨の記事を書いた。
次の日は、嘘のような晴天で遠出した。
昨日は雷雨に見舞われた。
そして今日は、またも秋と見紛う天の
高さだ。

しかも、方角によって雲の種が違う。

南の空は、巻雲が形を変えながら北へ
流れている。
北に目を転じると、夏の雲である積雲
がポカリポカリと西から東へ流れる。

明らかに空気の流れに、異なった層が
存在し、上空の方が気流に乱れがある
ようだ。
見る間に、神さんが刷毛をふるって絵
を描きなぐっているように模様が変る。
九州では、こんな空の動きはめったに
見られない。

啄木先生は、こんな空を見上げて雲は
天才だ!と思ったのかも知れない。
ところが不思議なことに、啄木の短歌
にも小説にも雲は出てこないのである。

実のところ私は、啄木先生が余り好き
では無い。
小説の方は、最初の2〜3ページで投げ
だした。くどくどしいと思った。
歌の方も、「一握の砂」はどうも頂け
ない。歌に色が無いのである。

二十歳の時に血を喀いた私は、彼が病
んだのちの作品の中には、同病相憐れ
むで共感するものもあるにはあった。
しかし、概して、先生の作品には「真」
や「善」「美」と言ったものが見受け
られないのが悲しい。

でも、自分に正直だったのでしよう。
言葉に対する感性は、とても及ぶもの
ではありませんが。
放埓な人だったようですから、九州に
生まれていたら出世なさったかも知れ
ませんね。

〈天才と 言えども哀し 夏の雲〉放浪子

6月11日〔日〕梅雨晴れ
川の空気を吸いに行く。
東北の空は不思議だ。
色も姿も九州とは違う。
アイは来ない。
あと8日。