空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

アル・ヒダヤ・モスクの虐殺:ソマリア問題

2008-04-27 00:49:01 | ソマリア関連
 参照:英語版Wikipedia Al-Hidaya Mosque massacre。問題は順当に大問題となりつつある模様。既報は「ソマリア―2008年4月20日,al-Hidaya Mosque事件」。

 事の起こりは先週末~のモガディシュにおける戦闘。20日(日)まで最近にない激しい戦闘が続き,収まって住民が外に出てみると,al Hidayaモスクの聖職者が虐殺されていたという。
 月曜にその件が報じられ,さらにはその場にいた少年たちが拘束,移送されたという。

 エチオピア側の言い分では,この件はまずは「単なる風聞,プロパガンダ」であるとし(BBC Ethiopian denies mosque killings 24 April 2008 ),少年たちを拘束したのは,そこで彼らが反乱兵として訓練されていたと疑ったからだというわけです。不幸中の幸いというべきか,少年たちは解放された由(BBC Somali children freed from mosque 25 April 2008)。

 しかし寧ろ,エチオピア側としては,彼らが反乱組織の訓練を受けていてくれたほうが有難かったでしょう。何しろこれは,状況からして,十二分の戦争犯罪事件であろうからです。

 哀れな事に,当該宗派は紛争に関わってこなかったものだそうです。そんな宗派の寺院を襲撃,一部は咽喉を切るという,およそ軍事行動らしからぬ仕方で聖職者等を殺害,その場に居合わせた少年たちを拘束・拉致。弁護のしようがありません。

 ソマリア暫定大統領ユースフ氏は外遊中であり,VOAのインタビューに答えてエチオピア軍を擁護します(Garowe Online Somalia's leader rejects mosque massacre allegations Apr 25, 2008)。彼らはソマリア政府の求めに応じてソマリアに展開するものであり,アル・シャバブやアルカイダといったテロリストと戦うものである,この度の虐殺報道は真実を伝えていない―という議論ですね。

 …スイマセンおじ様。外遊中でめりけんさんの空気を吸ったからって,アルカイダとかいう名詞を便利に付け足さないでください…(少年たちと戦ってるワケだとか言ってたくせに:Garowe Online ‘We are fighting children in Mogadishu,’ says Somali leader Apr 18, 2008)。

 …以上,たぶん最近見たこの関係の記事,関連記事に飛べる記事へのリンクなどはメモしたかと。たぶんIranのPress TVも記事出してるだろうけど,敢えて見に行くほどの価値を感じないし,別にいいですよね。

 何れにせよ,アル・ヒダヤモスクの虐殺事件はエチオピア軍の大失態でありまして,今後じわじわとボディブローのように効いてくるでしょう。差し当たり問題となるのは,5月10日に予定のアスマラ派―モガディシュ派の対話(ジブチで行う予定)が本当に行われるかどうか―そして反エチオピア感情の更なる深化が,今後にどんな影響を及ぼすか。

 例えば今回拘束された子たちの何人かは,アルシャバブに志願入隊するかもですよ? 暴力行動に加わらず自分たちを教えてくれてた先生たちが,事実無根の疑いかけられて即決死刑,自分たちも何日も拘束されて―
 ―それでも平和と愛とだけを説けるなら,大したものですが,恐らくその道はあまりに困難です。

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