田川市石炭・歴史博物館のブログ

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【炭8】筑豊の女性

2020年09月26日 | 日記

博物館の縁の下の力持ちをご紹介する、【炭8(スミ・エイト)】シリーズ。

今回は、切羽(石炭採掘場)で石炭を掘るお二人のお話です。
(前回の【炭8】は8月7日、前々回は6月19日のブログをご覧ください)

田川市石炭・歴史博物館の主要スポットの一つである手掘り採炭のジオラマでは、男性が寝て石炭を掘り、女性がテボ(背負いカゴ)で掘った石炭を運んでいます。
二人とも裸に近い格好なのは、筑豊の坑内は蒸し暑く、汗で服がベトベトになるからです。

【炭8】のお二人のように、一先(二人一組)で掘る方法は、残柱式と呼ばれます。筑豊では、第一次世界大戦前後から大手炭坑を中心に残柱式から長壁式に変わっていきますので、この場面が大手炭坑であるなら、明治期の様子となります。
加えて、女性の坑内労働は昭和3~8年に禁止となりますので、中小炭坑であっても、大正期以前の様子となります。

では、お二人の関係はどうだったのでしょうか。一般に手掘り時代の一先は、夫婦が多かったと言われています。
なので、女性は大変です。夫は坑内からあがるとお酒を飲んで寝るだけですが、妻は石炭運搬といった重労働に加え、帰宅後も炊事や洗濯、子どもの世話など、ゆっくり休む暇もありません。

時に女性は、作業を休んだ男性の代わりに、坑内でツルハシを振うこともあったそうです。作兵衛さんが言う「勇ましい女性」たちによって、筑豊の石炭産業は成り立っていたと言えます。

 

このような男女の区分や役割は、歴史的にどう成り立ち、変化していったのでしょうか。国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)では、性差(ジェンダー)をテーマにした企画展を開催します(10/6~12/6)。
ユネスコ「世界の記憶」に登録された炭坑記録画も、当館から出品しています。
お近くにお立ち寄りの際は、ぜひご覧ください。
【企画展HP:国立歴史民俗博物館「性差(ジェンダー)の日本史」

 

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白鳥山成道寺(じょうどうじ)にまつわる伝説 ~その2~

2020年09月20日 | 日記

みなさん、こんにちは


今回も白鳥山成道寺にまつわる伝説について話してみましょう。
前回、成道寺は弘仁5(814)年に最澄(伝教大師)による

十八伽藍の一つとして建立され、境内には"鳴かずヶ池"とか"雨乞いの鳴かずヶ池"と

呼ばれる池があるということを紹介しました(詳しくは8/1投稿分をご覧ください

鳴かずヶ池

その"鳴かずヶ池"の北側に、鎌倉時代から南北朝時代のものとみられる

石造七重塔(市指定有形文化財)があります。

かつて九重塔であったとの伝えも…。

この七重塔は、平安時代後期の女官で、美貌と琴の名手として知られる

「小督局(こごうのつぼね)の供養塔」といわれ、悲しい物語が残っています

 

治承3(1179)年4月上旬のこと、小督局は時の権力者・平清盛の怒りにあい、

剃髪されて京を追放されたため、縁故関係にあった観世音寺(太宰府)の僧を頼り、

侍女2人を伴って九州へと下り、やっとの思いで香春までたどりつきました。

ところが、香春を過ぎたころから雨が激しくなって川がみるみる増水し、

小督はあぶなく溺れそうになったのです。

そのときは、運よく里の人に助けられて成道寺に連れてこられたのですが、

慣れない旅の疲れからか、小督は病に倒れてしまいます
そして、侍女や寺僧の手厚い看護もむなしく、この寺で受けた仏恩に感謝しつつ、

25歳という若さでこの世を去ったということです
小督の薄幸を哀れに思った郡司(ぐんじ・律令制で郡を統治した地方官)が、石工に命じて

九重塔を建てたのが、現在に伝わる小督局の供養塔(成道寺石造七重塔)であるといわれています。

重厚かつ均整のとれた優れた石塔です。

 


成道寺石造七重塔 

 

ちなみに、下伊田の安養寺跡石塔群のなかに小督局の乳母・お糸(田川の人)の

供養塔との伝えのある石造五重塔があります。
その様式から室町時代のものと考えられています。 
お糸は献身的に小督に尽くし、局の他界後に病没したといわれています。

その忠節に心を打たれた尼僧がお糸を偲んで霊を祀ったということです。

 

下伊田安養寺跡石塔群 

 

       

    

 

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秋の夜長におすすめ

2020年09月13日 | 日記

みなさんこんにちは

台風10号が過ぎ、秋の気配を感じる日が増えてきましたね
夜の気温も過ごしやすく、虫たちの声を聞きながら

秋の夜長を満喫している今日この頃…

そんな秋の夜長には、綺麗にライトアップされた

竪坑櫓と二本煙突を見に、石炭記念公園まで足を運んでみませんか?

この竪坑櫓と二本煙突のライトアップですが、綺麗な状態を保てるように

毎月数回ライトの清掃を実施しています!

小まめに掃除しないと、ライトに集まった大量の虫の死骸が熱を持ち、

表面のガラスが割れてしまう…なんてことになってしまうのです!

 

真夏の暑い日や、真冬の寒い日はつらいく感じる時もありますが、

毎回掃除をしながら、「今年はカメムシが少ないな…」と思ったり、

「今年はクワガタが多い!」など、年ごとの変化や季節の移ろいなども

感じることができるので、清掃作業が楽しみだったりします

 

お天気の良い夜には、ライトアップされた二本煙突とお月さまの競演を見ることができますよ

竪坑櫓と二本煙突のライトアップは、通常日没から22:00まで点灯しています!
ぜひぜひ、夜の公園にも足をお運び下さい

 

 

秋風習習,秋蟲啾啾。
秋夜裡,豎坑櫓和二支煙囱光彩旖旎,風情別致。
千萬不要錯過欣賞的機會喔。

 

 

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