
2008年は年明け早々、北アルプスの槍平で雪崩が発生し4人もの犠牲者が出てしましました。
遭難地への登山口となる岐阜県の新穂高温泉がたびたびテレビに映しだされるのを見ると、かなりの雪が降っている模様。私たちが目指す長野県側の上高地でもほぼ同じ標高なので心配です。
しかし、天気予報は2日から回復とのことなので、とりあえず行くだけ行って、厳しいようなら諦めることも覚悟で出発しました。
駐車場の沢渡に着くと、あたりはひっそりしています。ここから中の湯までタクシーで運んでもらうのですが待機のタクシーも見当たりません。
タクシー会社に電話して来てもらいました。
運転手さんによると、天気が悪いので越年登山の人たちも昨日(元日)下ってしまったとのこと。釜トンネルのむこう側は2~3mの雪が積もっているらしいよ!と脅かされました。
さぁ、たんべぇも借り物だけど初めてのワカンをザックにくくりつけていざ出発!!
【山行日】2008年1月2日(水)~1月4日(金)
【メンバー】シーサーさん(♂)、モ~リさん、まりさん、たんべぇ
【コース】
1/2 釜トンネル入口(中の湯)09:55-----釜トンネル出口10:18/10:25-----大正池ホテル11:10-----上高地バスターミナル12:05/12:15------明神13:20-----徳沢園14:50
1/3 徳沢園06:10-----長塀山頭付近12:55/13:00-----徳沢園15:45
1/4 徳沢園07:35-----明神08:50/08:55-----上高地河童橋10:10/10:30-----大正池ホテル11:20/11:30------釜トンネル入口12:10-----釜トンネル出口(中ノ湯)12:30
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【1月2日】
09:55 釜トンネル入口(中ノ湯)
スノーシューを背負ったグループが5~6人トンネル入口にいましたが、彼らは荷物が少ないので多分日帰りで上高地を散策するのだろうと思います。
昔の釜トンは真っ暗で不気味だったそうですが、新しくなったトンネル内は照明があるのでヘッドランプは必要ありません。
約20分で出口です。
トンネルを出ると明るい日差しが降り注いでいます。運転手さんは2~3mの積雪と言っていたけどそれはオーバーかな!?
積雪は50~60cmぐらいでしょうか!?トレースはしっかりついていますが、少しでも外すとズボッと膝上まで沈んでしまいます。
下ってくる人とすれ違うたびにズボッズボッ!!こんな時つぼ足はつらいです!!
11:10 大正池ホテル
年末年始(12/28~1/5)のみの営業でした。
12:05/12:15 上高地バスターミナル
冬季トイレは裏手に一個だけ開放。超デカロールペーパーが備え付けられています。
ターミナルの屋根の下にテントが数張り、へぇ~~冬はこんなところに張っていいのか~!?とビックリでした。
ここまではスノーシューを楽しむ人たちがいましたが、これから先はほとんどいません。お天気は回復傾向なので心配はないようですが…
12:20 河童橋
奥のベンチでお湯を沸かしている男性が一人、夏の賑わいが嘘のようにひっそりとしています!!
でも、トレースははっきりです。
13:20/13:30 明神館
2日徳本峠方面のトレースがついていましたが下山日の4日は完全に消えていました。
14:35
むこうに見える山は何でしょう?地図上では大天井岳のようですが…
調べてみたら向こうのとんがりは中山(2492m)でした。その左奥に大天井岳が聳えているようですが見ることはできませんでした。
大天井ってこんなきれいな三角錐の形してましたっけ??
徳沢手前のこの付近は風の通り道となっており、せり出した山肌がなだれそうでいやな場所ですが美しい風景に暫し足が止まります。
左手には荒々しい明神岳
14:50 徳沢園到着
一人用テントが一張りだけ、閑散としています。
越冬の小屋番さんに尋ねると、昨日までは吹雪で身動きがとれず、ほとんどの人が下りてしまったとのこと、「今日からだよ!」と力強い言葉がかえってきました。
久々のお天気で小屋番さんはチェーンソーで枝を落しています。明日へのエールに聞こえるチェーンソーの音を聞きながら、テント内で宴会へと突入です。
ビール、泡盛、焼酎、コーヒーリキュール、持ってきたアルコールで体を温めるつもりが、実はテント内は暑過ぎるくらい。大げさではなく汗をふきふきです。
【1月3日】
長塀尾根から蝶ケ岳へ
朝4時起床、卵入り蟹雑炊で朝食。
計画段階では、横尾経由で蝶ケ岳目指すことも考えたけど、今回は横尾へ入った形跡がなく、頼りない足跡が少しあるだけ。その点、長壁尾根は昨日登った人がいると見えてしっかりとしたトレースがあります。私たちも迷うことなく長壁尾根を辿ることにします(って偉そうに言っていますが、たんべぇは何にもわからないので、ほかのメンバーの後をついていくだけです)
06:10 出発です。
あたりはまだ真っ暗です。
いきなりの急登です。はぁはぁ…
2時間ほど登ったところで3人の男性が下りてきました。
聞けば、昨日登って途中でテント泊、それより先はラッセルなので下りてきたとのこと。ここまでのトレースは彼らがつけたもとと思われますが、これ以上のラッセルにうんざりした様子でした。
「でも、まだ二人残ってますからその方たちが上を目指しているかもしれません」と。
かすかな望みをいだいて先に進みます。
それから一時間、それぞれ単独の男性が二人下りてきました。いずれも「この上はラッセルですよ!」といってさっさと下りていきました。
このトレースはなくなるのか…
09:30
テント泊の跡発見!、やはりこれより先のトレースはありません。
さて、これからが大変!!
黒一点のシーサーさんがワカンを履いて道を切り開きます。
4番手を歩くたんべぇですら何度も何度もズボッズボッですからパフパフの雪はやっかいです。
赤テープやペンキを探しながら行くのですが幹にもべったり雪がついているので目印を探すのも大変です。
たんべぇはただついていくだけで必死です。
おまけに目が悪いので目印をみつけるのも苦手
でも、空は青いし…
一歩ずつ、一生懸命登ればきっと着くはず
木々の間から真っ白い穂高、気分は高鳴る
そうそう、樹林帯を抜ければヒョイと蝶の尾根に出るはず…
けれども、行けども行けども樹林帯は続きます。
シーサーさんはすでに3時間以上もラッセルです。
で、時計を見るとすでに午後1時、午前6時過ぎに徳沢を出発して7時間近く登っています。
ここを登りきれば森林限界になるはず…
ですが、、、懸命に登った先にはさらに先があり、蝶ケ岳と思われる稜線は一旦下り、登り返す必要があるようです。
私以外の三人は残雪期に長塀尾根を下ったことがあるのですが、「こんなに長かったかな~?」と首をかしげています。
多分あのあたりが“妖精の池”だろうはずですが、いかんせん時間が時間だけにこれ以上進むことはできません。
日帰りピストンなのでタイムリミット、諦めて引き返すことにします。
最初の半分はトレースを辿ってきたけど後の3時間30分はラッセルですから疲れもピークに達し、さらに山頂を踏めなかったので落胆ぶりも倍化します。
山頂から眺める槍穂高の峰々は夢と消えました
が、気を取り直して下山にかかります。
さて、健脚のシーサーさんはできれば今日中帰宅したいとのことなので、徳沢まで先に下りて時間的に可能ならそのまま下山することになりました。
先を急ぐシーサーさんを見送り、私たちオバサン三人組はゆっくり下りる事にします。
それにしてもシーサーさん、今日中に帰宅なんてできるのでしょうか??
現在時刻は13:00、雪道の下りなので早いとみて仮に徳沢まで2時間で下りたとしても、徳沢から中の湯までのコースタイムは6時間です。すでに7時間も歩いている足にプラス8時間は厳しいと思うのですが。中の湯通過のバスが17:55とのなのでそれを目指すそうです。はたして間に合うのでしょうか!?
オバサン三人も徳沢に到着
私たちはゆっくり下り、15:45に徳沢に到着しました。
先に下りたシーサーさんは下山を諦めてあのテントの中でふて寝しているのでしょうか?
が…“居ません”やはり下山したようです。
パッキングして、スコップなどの重たい荷物も持って、とっとと逃げ帰ったようです!!はぁ~すごい!!
後で聞いた話によると、釜トンネルの入口でバスの通過時刻17:55となり、仕方がないのでタクシーが拾える沢渡まで歩いていたところを運良く平湯方面から来た車に拾われ、新島々まで送ってもらったとのこと、めでたしめでたし
【1月4日】
朝5時に起床
昨夜から雪が降りつづいています。
テントを撤収して07:35徳沢を出発しました。
昨夜暗くなって到着したこの5人パーティーは、テントを持ってこれから長塀を登るそうです。
このリベンジは次回必ず!!と固く誓うモ~リさん
河童橋で記念撮影
大正池
12:10 釜トンネル入口
12:30 釜トンネル出口(中ノ湯)
暮れの硫黄岳に続き、今回も登頂は叶いませんでした。
やはり冬山登頂は様々な好条件が重なって初めて成功するものだと実感しました。
パフパフの新雪は踏んでも踏んでも固まることはなく、長塀尾根は名前のとおりいえ、名前以上に長いものでした。
お正月だからたくさん登山者が入っていて、多分トレースもはっきりしているだろうとの予測は見事に裏切られ、道なき道を行くことの難しさを知ることができました。
何はともあれ、無事に帰ってきたのが何よりです。
でも、たんべぇは相変わらず左わき腹の痛みに悩まされた三日間でした。はぁ~~
去年、例のトイレの傍で天泊しましたが、写真を見ると今年の雪はどこも多そうですね。
今年もあそこら辺をウロウロするつもりです。
この長塀は本当にながいですよねー
それもラッセルじゃ かなりしんどいと思われます。
新年早々から ガッツですね。
でも人の居ない静かな上高地って それだけでステキ。
いい出だしじゃないでしょうか。
今年もよろしくー
徳沢はあまりに閑散としているので拍子抜けで、真っ白い雪原をことさら広く感じました。
私たちはトイレから少し離れた場所に張ったので往復が大変でした。やはりこの時期はなるべくトイレの近くに張るべきでした。
>今年もあそこら辺をウロウロするつもりです。
いいな~私もまた行きたいです
>この長塀は本当にながいですよねー
ロビンちゃんもココ登ったことあるのですね!?
私は初めてだったので少々甘くみてました。
夏時間で4時間30分だからプラス2時間もみれば山頂に着くだろう、いやもしかするともっとはやく…なんてね←バカです
4日、上高地周辺はスノーシューの方がたくさん登ってきてましたよ。楽しそうでした!!
今年もヨロシク!!
今年もよろしくお願いします。
長塀は数年まえの夏に登りましたけど、ほんとに長かったです。
妖精の池から蝶までも意外な距離があったような。
2月に上高地にパフパフ行く予定なので、トイレ情報等助かりました。
それにしても雪煙舞う穂高は荘厳ですね。
河童橋までだったので、たんべぇさんは徳沢~長壁尾根までは入れていいですよ。
蝶ヶ岳まではちょっと残念でしたが、雪の感じだけでもかなり私なら満足かな。
でも、やはり憧れは、雪の山頂から眺める槍穂高の峰々!私も行きたいなぁ。長壁はGWの頃の残雪期でも山頂踏まずに途中で引き返すことになる人が結構いるらしいですよ。(その時の雪の状態で)
2月に上高地、スノーシュウですか?ズボッズボッと沈むたびにさっそうと歩くスノーシュウの人が羨ましかったですよ!私も欲しくなりました(笑
そうなんですか?長塀より横尾から入る方が歩きやすいとも聞きますがどうなんでしょうね~?
カモシカさんはすでに上高地でスノーシューデビューをしていたのですね~私もますます欲しくなってきました!!
長塀、お疲れさまでした。やっぱり長いんですね、この尾根。でもみなさんのガッツに拍手!ですね♪
で。今さら気がついたのですが、徳沢に暗くなってから到着した5人パーティーはうちの山岳部員です!!!ビックリ!4日は長塀の途中まで登って幕営し、5日に無事登頂して帰ってきています。先行パーティーのラッセルにとても助けられたと言っていました。たんべぇさんチームのおかげだったわけですね・・・伝えておかねば!
私も参加していればたんべぇさんとバッタリできたのかあ。。残念です(T-T)
や、やっぱり~!そうじゃないかとモ~リさんと話していたのですよ!
しげぞうさんの会社の山岳部の方が長塀から無事登頂されたことを知ったモ~リさんが「もしかしてあの5人パーティーかも…」って。(なにげに彼女もしげぞうさんのブログをチェックしているらしい(笑)
それにしても、テントを担いで登るなんてさすがです!お天気も回復傾向だったので翌日の展望は最高だったのでは…羨ましい~!!
部員のお一人に