田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

マエキガガンボ

2009-04-24 | ハエ目(双翅目)
マエキガガンボ雌
ガガンボ科 マエキガガンボ Indotipula yamata (Alexander)

田んぼ周りの草むらに赤っぽいガガンボがたくさんいる。キリウジガガンボよりか少し小さめのガガンボで、胸部背面がきれいなオレンジ色をしている。自力で調べても、さっぱり分からない。
ガガンボの研究者にお尋ねした。
「Indotipula属の一種のようです。
この属の最普通種はIndotipula yamata (マエキガガンボ)ですが、写真からは種までの同定はできません。」

新訂原色昆虫大図鑑によると、Indotipula属はマエキガガンボ1種のみ載っていて
「北海道・本州・四国・九州に産し、普通である。体長13~15mm。翅は弱い褐色を帯びた透明で、前縁はかなり強く黄色を呈している。胸部側面は灰褐色。口吻は黄色で、下面は暗色。頭頂は灰褐色。触角は黄色だが、第2鞭節以降の各節の基部はわずかに膨大して暗色を呈する」

改訂新版世界文化生物大図鑑によると
「胸部背面はオレンジ色。翅は透明でやや褐色を帯びる。触覚は黄色。腹部背面も黄色。平地に普通に見られる」

図鑑の記述と合っているように思うが、研究者が写真では同定できないと言い切るのだから、素人にはどうしようもない。近似種がどれだけいるのか、それらとどこがどう違うのか、何も分からない。
とりあえず、津市河芸町の田んぼ周りには普通に見られる種であるので、最普通種のマエキガガンボとしておく。これを否定できる見た目の材料は無さそうである。

後日追記
『日本産水生昆虫―科・属・種への検索』にマエキガガンボ属Indotipulaについて詳しく載っていた。
この属は「日本国内からこれまでに6種が確認されているが、さらに数種の未記載種が分布している。」
マエキガガンボの他はいずれも和名が無い。
マエキガガンボ 体長:雄12mm、雌19mm前後。北海道、本州、四国、九州に分布。
Indotipula itoana 体長:雄15~16mm、雌23mm前後。本州に分布
Indotipula mendax 体長:雄12mm前後。北海道に分布。
Indotipula okinawaensis 体長:雄13mm。沖縄に分布。
Indotipula tetracantha 体長:雄13mm前後。本州、四国、九州に分布。
Indotipula quadrispicata 体長:雄16mm前後。本州に分布

マエキガガンボは「前楯板には不明瞭で細い暗色の帯がある。雄交尾器外生殖端節は幅の広いヘラ状、先端は太い」とあり、これが確認できないと種の同定が出来ないということがようやく判明した。

マエキガガンボ♂
マエキガガンボ♂  2009.4.10

マエキガガンボ♂
マエキガガンボ♂  2009.4.13

マエキガガンボ♂
マエキガガンボ♂ 2009.4.13 

マエキガガンボ♂
マエキガガンボ♂ 2009.4.13 

マエキガガンボ♂
マエキガガンボ♂  2009.4.13

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