ハナアブ科ナミハナアブ族ハラブトハナアブ属のカクモンハラブトハナアブ Mallota abdominalis (Sack. 1927)
津市河芸町の里山の麓に溜池がある。その近くを通りかかったとき,明るい林縁で見つけたハナアブがカクモンハラブトハナアブ雌と分った。2010.5.26
手持ちの標本を確認してみたら,鈴鹿市徳居町の溜池周辺や国府町の鈴鹿川堤防でも採っていたことが分った。
三重県レッドデータブック2005では情報不足種に選定され,「池や湿地および渓流に生息。特に平地の個体群は減少していると考えられる。」としている。
三重県での最初の記録は,朝明渓谷で2000年6月16日に採集されている。
この種は湿地に見られ,また渓流でも採集されるが,通常はいずれの場所でも個体数は少ないようである。ただ稀に多数の個体が見られることもある(乙部,2003)。
新訂原色昆虫大図鑑Ⅲによると,和名をカクモンアシブトハナアブとし,「体長10~12㎜。出現:5~8月。分布:本州・四国・九州;台湾。夏山地で花上に多い。」
大石久志さんの「ルーペで調べる身近な縞模様のハナアブの見分け方」によると,ハラブトハナアブ属は「日本から11種が知られるが,なお検討の余地がある。カクモンアシブトハナアブは湿地の周辺に見られ,通常はむしろ稀。」という。また,その絵解き検索図によると,「カクモンアシブトハナアブ♂の後腿節の基部に突起がある」という。
脚が太いのでアシブトの方が感じが出ているが,アシブトハナアブ属とは異なるハラブトハナアブ属であるため,双翅目談話会のメンバーはカクモンハラブトハナアブの和名を使うことが多いようである。
文献
乙部 宏,2003.カクモンハラブトハナアブを三重県で採集,はなあぶ(16):48.
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