田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ニセケバエ科

2009-04-01 | ハエ目(双翅目)
ニセケバエ科
ニセケバエ科 2009.3.31自宅にて

海岸に捨てられ腐ったカニ殻の周りに体長3ミリほどのハエがたくさん集まっている。体は黒く、翅脈の一部が太線になっている特徴のあるハエである。我家の庭でも何度もお目にかかっている。
自力では何科のハエか判らなかったので研究者にお尋ねしたら、「ニセケバエ科(ゴミカ科,Scatopsidae)の1種です.この種は春に多い.」と教えてもらった。

保育社の古い図鑑の検索表にゴミカ科は「Rs脈は分岐しない。中脚と後脚の各脛節末端には距を欠く」とある。
また同図鑑にはゴミカ科(ニセケバエ科)はクロツヤゴミカ(クロツヤニセケバエ)Scatopse notata Linnaeus の1種のみが載っている。
「体長3mm、翅長3.5mm。体は光沢ある黒色。中胸小楯板の基部両側には各1個の黄褐色の小点がある。胸部側面は主として暗褐色で、前胸側板の後縁部狭く黄褐色。腹部は幅広くやや扁平。翅は透明で体の割には大きく、翅端部はまる味をおびる。C脈とR脈とは太くて褐色、特有の脈相を示す。幼虫は腐食物中で生育し、成虫は便所の窓でよく見受けられる。日本全土・ヨーロッパまでの旧北区。本種よりはるかに小形で、体の光沢の乏しい種はナガサキゴミカ C.fuscipes Meigenである。」

名古屋市のホームページに、腐植質などから発生し、大量発生すると不快なニセケバエ類としてナガサキニセケバエCoboldia fuscipes (Meigen)が紹介されている。
「ニセケバエ科に属する体長2-3mmの小型のハエ。和名は「ハエ」であるが、分類学上はカに近縁なもの。全体黒色、光沢がある。触角は10節からなり、太短い。堆肥や厨芥など、植物質の腐敗物から発生する。ときには家庭内の植木鉢などからも発生することがある。」

滋賀県の食品安全監視センター通信には、ニセケバエ科(ナガサキニセケバエ)は「体長は3㎜程度で、体は黒色でわずかに光沢を帯びています。触角は密着した数珠状で全体 的に太く、棍棒のように見えます。幼虫は主に腐敗植物質に発生する」としている。

九大目録では現在、ニセケバエ科はナガサキニセケバエCoboldia fuscipes (Meigen)とクロツヤニセケバエScatopse notata, (Linnaeus. 1758)の2種しか登録されていない。
三枝豊平先生は多数の未記載種・未記録種がある科の一つにニセケバエ科を挙げている。

はてさて、私が出会っているニセケバエ科は2種の内のどちらかなのであろうか。それとも未記録種又は未記載種なのであろうか。とりあえずはクロツヤニセケバエまたはその近縁種としておこう。

ニセケバエ科
ニセケバエ科 豊津海岸にて 2009.3.15

ニセケバエ科
ニセケバエ科 豊津海岸にて 2009.3.17


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