先日、横浜のミニシアターで観たドキュメンタリー映画です。
奥さんが若くして「レビー小体型認知症」にかかった小児科医夫妻の日常に寄り添って描かれています。
実は私の母も同じ症状を持っていまして、何か接する上での助けになるかも知れないと思ったのです。
東京で小児科医として小児がんの子どもたちを支え続けた石本浩市さんが、50代を迎えたところで
故郷・高知に戻って小児科クリニックを開業されます。
同い年の幼なじみでもある奥様、弥生さんがその頃から様子が不安そうになっていました。
はじめは統合失調症と診断されてしまったのですが、実は若年性の認知症、
幻覚や幻聴が見え、運動機能にも影響がでる「レビー小体型」と呼ばれる認知症の症状だったのです。
年齢的にまだ施設に入れない、ご主人は多忙を極める開業医という環境下で、
はじめお二人はどんどんと悪い状況にはまって行かれるのですが、
少し経って奥様の姉妹がケアしてくれることになったり、デイケア施設でのサポートが入るようになったりで、
徐々に奥様の表情が柔らかく変化して行きます。素敵な笑顔!
「彼女にとっては自分の周りが3倍速ビデオでどんどん流れていくように映っている。」との
言葉にはっとしました。
母とのやりとりで、特に顔の見えない電話では、話が上手く通じない事にイライラする事もあるのですが、
相手の立場に立って見ると、それも仕方の無い事かと得心がいきます。
帰省する直前のタイミングで見る事が出来たのは本当に良かったと思っています。
最後の方で石本医師が、「こんな事になるとは予想もしていなかった。だから人生は面白い。・・・生きなきゃ」
と話すくだりがとても印象的でした。
見ようによってはこれは上等のラブロマンスでしたよ。
良いご夫婦でした。ずっとお幸せに。