第二次世界大戦の東部戦線にてのイタリア軍敗走の記録文学の傑作です。
21歳の著者が体験した出来事を当時の日記を元に書き起こした生々しい告白でした。
第二次世界大戦のイタリア軍と言えば、弱くて有名なのですが、別に兵隊さんが弱かったわけではありません。
補給体制が弱かったのです。
ほとんど自給自足に近い前線の生活、出てくる装甲車や戦車はドイツ軍のものばかり(笑)
ソ連軍に包囲されて、敗走するイタリア軍は、零下40℃のロシアの大地を何百キロも重い銃器を担ぎながら徒歩で逃げるのです。
それでも、日本文学のような暗さは少なく、なんとなく明るいのはどうしてか読みながら考えました。
とにかく、生活すること(寝ること・食べること・歌うこと)が重要なイタリア人。
凍傷にかかって足が腐ろうが、足を吹き飛ばされた仲間を背負おうが、農家から農家へ渡りあるきながら食物を調達して逃げます。
日本人の目から見ると略奪じゃね? と思うのですが、何の罪悪感もなく、自然な振る舞いとして書かれているところが西洋人の倫理観なのでしょうか。
極限状態の中に楽しみを見つけながら、敗走するイタリア人たちに学ぶところは大いにあると思いました。