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『ミューズの方舟』主催 サウンドフェスティバル2016の感想

2016-12-11 16:31:26 | オーディオ

stereo (ステレオ) 2013年 08月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
音楽之友社


『ミューズの方舟』主催 サウンドフェスティバル2016が行われた。
http://d.hatena.ne.jp/musenohakobune/
入場料は無料なのだが、例年100人くらいしか来場者がいない。
しかも、同じような顔ぶれである。
それでも一時期よりは来場者は増えているという話である。
そもそも、自作スピーカー(キャビネットの自作)に興味がある人が少ないというのもあるのだろうし、趣味にかまけている経済情勢でもない、ということなのかもしれない。
しかし、全く音声の再生を行わない、もしくはヘッドフォンで十分だ、という人だけでもないだろう。何がしかのスピーカーを使っている人が一定数いるはずだ。

 現在は低廉なパソコン用スピーカーが多数あるので、それで済ましている人、もしくはテレビの内蔵スピーカーでとりあえず十分という人もいる。

 ステップアップする必要性を感じなければ、それでも良いのだが、やはり人としては欲が出て来る。より原音に近く、低音をある程度の音圧で再生したいと願うと、自作スピーカーも視野に入ってくる。
 ここ数年で分かったのは、スキャンスピーク5cm級のネオジム磁石ユニットの性能が高いという事である。値段もペアで3000円程度である。キャビネットのキットもあるし、自作の難易度も低い。
 また、大型トールボーイ型スピーカーが軒並み値上がりしてしまった関係で、BHのC/Pの良さが浮き上がってきた。


○60Hzの再生をどのように考えるか。
 参加作品を事前に一通り鳴らす。スマホのスペアナで見ていると、ダブルバスレフ、BH、共鳴管、メーカー製大型トールボーイ型スピーカーは60Hzの再生音圧が高い。
 逆にそれ以外の小型スピーカー系は60Hzの音圧が低い。60Hzの音圧が低くても音楽再生には殆ど支障がない。60Hzを捨ててしまえば、小型SPでも十分だとも言えるが、マニアとしてはやはり60Hzぐらいまで一定音圧が欲しい。

 一方、低音をきっぱり捨ててしまった、Technicsの16cmユニット(1本800円・当時)片ch8発の後面開放型スピーカーの出品があった。直列・並列に繋いで、片chのオーム数を8オームにして、左右で16本である。これはこれで、面で押し出す強烈なインパクトがあった。鳴りっぷりは他の並み居るスピーカーよりも遥かに上であった。これだけの本数があると、低域もそこそこ出ているが、60Hz付近は低い音圧となってしまう。


○D-57 vs G2000
 D-57+FE208SSの構成で再生が行われた。私もD-55やD-57を持っている。昔は6帖だったが、20帖に移って、音の伸びやかさに感激した。しかし、今回のイベントでは60帖以上はあろうかというホールで再生して分かったが、もっともっと伸びやかに朗々と鳴った。
 20cm級長岡BHの持っているポテンシャルはここまで高いとは驚きであった。能率を考えると、もっと大音響も狙えるのだが、会場周辺への音漏れを考慮して?か、音量は抑制気味ではあった。

 Fostex G2000との対決という事でジャズ・女性ボーカルもの・フルオーケストラなどが再生された。
 
 FE208SS・208Sなどのパルプコーンの限界で、サ行の擦過音がかすれる。この点は金属系振動板を持つG2000に負ける。ボーカル物はG2000が良かったが、他のソフトはD-57の方が良かった。ダイナミックレンジが大きいフルオーケストラの場合、爆音が狙えるD-57の方がかなり有利なのだが、再生音量が抑制されたので、明瞭な差が出なかった。
 音場の広がりは前方で左右のスピーカーの間に座らないと分からないのだが、これもフルレンジユニット+スーパーツィーターのD-57の方が、3.5マルチウェイのG2000よりも優位である。
 私自身が7台ぐらいのプレイヤーを乗り換えてきて分かったのは、フルオーケストラの音場が明瞭に展開するには、プレイヤーの性能に依拠するということである。良質のCDプレイヤーとフルレンジBHので聞く、フルオーケストラは格別である。あまりに感動して、同じCDを2回続けて聞いた事もある。
 B&Wを買うのなら、G2000を買ったほうが良い。B&Wは低音がダブつく。ユニットの磁束密度の問題なのか、聴覚上B&Wの低音は量感たっぷりだが、質が伴っていない。G2000の方が素直な低音である。G2000はウーハーユニットの磁石を3枚重ねにしているそうだ。
 G2000は高いが、GX103なら手が届く人が多いと思う。後継機種にあたる現行のGX1003はかなり値上がりした。GX103の中古は狙い目である。全ユニットがマグネシウムもしくはマグネシウム合金であり、弦楽器の響きや全体的な美音系サウンドはBHとは別の独特の魅力がある。BHよりは低能率なので広い部屋だと物足りない。また、低音再生はかなり頑張っているが、ある程度バスレフっぽいポンポンした感じの低音ではある。それでも、個人的にGX103はBHとは別に鳴らせるようにしてある。


○フルレンジBHの良さ
 ガールズ&パンツァー(GIRLS und PANZER)に限らないが、戦争映画全般に渡る爆音再生の生々しさではフルレンジBHは圧倒的である。
ガールズ&パンツァーの戦車ごとに爆発音が違う。この差が聞き分けられるのはBHだけだろう。この事を言っても誰も何も反応がない。長岡派であっても、殆どの人はアニメを見ていない。アニメマニアは長岡BHなんかまったく知らない。だが、炭山先生に話を振ったら、「BHだけが差が分かる」と的確に返答頂いた。加えて戦車ごとのエンジン音の差まで指摘されていた。
 BHによる爆音の聞き分けは、私だけの妄想かと思っていたら、どうやらそうでも無いわけだ。
 また、強力な磁束密度を持つ限定ユニットが再生する「声」もまた魅力がある。これを超えるのはTADなどのホーンドライバーだけだと言われている。
 かといって20cm級が必須かと言えば、10cm級でも箱を工夫すればかなりの爆音が出せる。この点は、ミューズの天野さんが実証されてきた。


○キャビネット素材は複数の物を使った方が良い?
 アクリルと木材の積層作品があり、心なしか単一素材のものよりも良いような気がした。経験則として、全部木材を使うとしても木材の種類を複数にした方が良いと言われている。素材ごとの共振周波数の違いや減衰率の差などにより、特定の音域だけを強調することがないので良いのかもしれない。
 ユニットとバッフル面の間にリングや別素材の板をかませる場合も、間にシートなどの吸音素材を入れたほうが良いという指摘があった。
 カノン5D氏は5mmのアルミ板とバッフルの間にフィルムシートを入れたそうだ。
 D-57はFostexの真鍮リングではなく、人工大理石(デュポン・コーリアン)リングを噛ませてあった。比較的おとなしめの鳴りになると言われているが、至近距離で聞く場合は良いのではないかと思う。仮に真鍮リングを入れる場合は、リングとキャビネットの間に何か噛ませたほうが良いかもしれない。私は1mm厚のコルクシートを切り出して噛ませている。


○40Hzの再生をどのように考えるか。
 人は40Hzまでしか聞こえない。体というか耳(内部)の大きさの関係で、大型哺乳類はもっと低域まで聞こえるそうだが、人は40Hzまでしか聞こえない。40Hzよりも下の音域は部屋や空気を揺する振動を発するので、全く体感できないわけではないが、透過力も高いので単に近所迷惑でしかない。
 音楽再生では60Hzもあれば良いが、爆発音などを「体感」するにはやはり40Hzの一定音圧が欲しい。
 これをサブウーハーだとかで実現するとなると、難しい。密閉型は抑制され過ぎていて、測定器上では出ていても体感できない。バスレフポート共振は密閉型よりは量感はあるが、ポート共振ならではの「色」が付く。
 共鳴管が良いのである。40Hz再生狙いなら、1m高の1回折り返しで足りる。
 ハイブリッドレゾナンス型で作ってみたいが、失敗するのが怖いので、5cmユニットで50cm高(80Hz?再生)ぐらいでひとまず試してみたい。

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