「東日本大震災の流言・デマ」 オンデマンド

2012-07-10 18:28:15 | 本関係

はろはろんアグリッパです。今回の記事は「検証 東日本大震災の流言・デマ」の書評(?)の草稿であります。え?そんなものを求めた覚えはないって?まあまあつれないことを言わずにお付き合いくださいませw

こやつめは本来「ひぐらしのなく頃に~精神主義という名の病~」あたりに紐付けて書こうと予定していたのですが、忙しさの中で掲載の機会を失ってしまっておりました。そこで、今回ちょうど「空気」や善意の逆説といった話をしたので、また忘れてしまわぬうち公にした次第であります(ちなみに「シャビ・アロンソになれなくて」の記事Cにあたる)。なお、記事Dはやはりどうも納得いかんので、別の記事に変える予定どす。まあこっちも表現形式とそれへの無頓着の問題として「沙耶の唄」や「さよならを教えて」、「明日、君がいない」、「君が望む永遠」といった諸作品、あるいは内容自体については「純愛という名の・・・」、「嘲笑の淵源」、「ディスコミュニケーションの不可避性」、「ザンジバーランドの怪人」など様々な記事と関連するので、これはこれでありかなと(本当はそこに「属性小話」なる記事が加わるはずだったが・・・)。とまあそんな感じのことを前置きしつつ、以下草稿に入るであります。

 

[草稿]
人がある事柄を教訓として心に留めるのはどんな時だろうか・・・そう考えてみるに、その事が構造的必然を持っていて、自らにも降りかかりうると感じた時だけではないかと思う。もしそうでなければ、その出来事は愚者による愚行として、ただ嘲笑の対象(ネタ)にしかならないだろう。

では、人に教訓としてその事を真剣に内省せしめるには一体どうすればよいのだろうか?その答えの一つが、「東日本大震災の流言・デマ」である。

個人的には、今度の大震災とそれに対する対応で見えたのは、「ムラ社会的なウワサの作法でシステムの複雑化した社会で振舞うとどうなるか」というものであった。

つまり、よく確認もせずに情報の横流しをしていく、善意にかられて暴走する。私はそのナイーブな振舞を、「津波てんでんこ」に見られる智慧・断念と対比しつつ、「精神主義という名の病」で批判的に取り上げた。

とはいえそれは、「日本人は本当にバカだ」という類の嘲笑。思考停止に陥りかけない。

同じ状況になれば、同様の滑稽な振舞をするかも(「嘲笑の淵源:」)。

では、何を表現するか以上に、どのように表現すればそのようなシャットアウト(無害化・ノイズの排除)を防ぐことができるのだろうか?

(まあシャットアウトするバカはハナっからどうでもいいというスタンスもあるわけだが=縁なき衆生は度し難し)

 

善意そのものを否定し(ているように見え)ないようにしつつ、デマが広がる構造的必然を示すこと。

『デマの心理学』や『うわさと誤報の社会心理』といった本を取り上げて一般的な~を説明。

どのようにしてデマが作られるかをデータを用いて構造解析。

最終章で中国、韓国、フィリピン、欧州圏など、日本以外におけるデマも紹介。

意図を説明していないが、一般性があることをパフォーマティブに示す。

特殊日本論と嘲笑。自己防衛(=埋没)という正反対の、しかし無害化という点で同じベクトルに受け手が陥らないようにするために。

党派性に問題に封印して、内容の吟味よりも敵ー味方の二分法による無害化・思考停止(ムラ的な身内↔よそ者的二分法)。

小さな真理に引きこもることが容易になっている。

だから俺はずっと「風景の狂気」の話をし続けてるんだけどね。共感、二次創作、ノイズの排除。その前提自体をキャンセルしようと考える。

もっとも、これは時間がかかる(永遠に無理かもしれない)。ならば、すぐにでも手当が必要な時どうするか?

状況を踏まえた情報の発信の仕方が求められる。

 

◇ロジックへのナイーブな信仰を戒める。

重病になって「身体にいい」クロレラを摂取。クロレラが新陳代謝をよくした結果、悪玉がスゴイ勢いで作られ、容態が急速に悪化した。

今回はヨウ素の件でうがい薬などを飲もうとする。

「溺れる者は藁をもつかむ」

 

問題ももちろんある。たとえばクロスオーナーシップの問題を後景化してしまう。大本営発表をそのまま流すだけ。力点の問題。

◇わかりやすい敵を作らない

倫理を訴えるヤツら。アホ、そんなんで変わるか。その状況にいたらそう振る舞うのが合理的だからそうするだけや。

→「人間という名のエミュレーター

丸山は「作為の契機の不在」と言ったが、要するにシステムを客体化する志向(思考)を持たないということだ。

振舞を責めても時間の無駄。システムを変えないと半永久的に脱出は不可能。

 

とはいえ、一つの表現戦略を示したということでこの著作を評価したい。


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