雨をかわす踊り

雨をかわして踊るなんて無理。でも言葉でなら描けます。矛盾や衝突を解消するイメージ・・・そんな「発見」がテーマです。

民主主義という宗教3

2009-12-24 21:56:03 | 音楽
「取り返しつかない」ノーベル賞受賞者が仕分け批判(読売新聞) - goo ニュース

以前この記事についてpostして引っ込めたのは、今ひとついいたいことがはっきりしなかったから。

ここのところ時間がなくて(言い訳)、納得いくまで突き詰められたポストがほとんどなく、上記記事についても、「気に入らぬ」ことはわかっていくつか理由を挙げたものの、それが本当に僕が気に入らない理由ではなかったから、引っ込めた。

もちろんそのときに書いた、ノーベル賞受賞者という肩書きとオバマ大統領の言を後ろ盾にして科学の重要性を正当化しようとする科学者とは思えない振る舞いは気に入らない。

理を突き詰める仕事しながら矛盾を感じないのか(本来「矛盾」という漢字は、「矛」と「盾」を持つことだから全然悪い意味ではなく、むしろ好きな言葉なのだが)。

と、それはそれで腹立たしかったのだが、もっと腹の底から湧き起こるような怒りを起こさせたのはこれではなかった。

その理由がずっとわからなかったが、やっと回答がみつかった。

最近娘が好きなClarence Gatemouth Brown を聴いていたときのこと。

前回も多少書いたが、Brownの悲報を伝える新聞の記事には、彼のお葬式の模様を伝えているものがあった。

多くのミュージシャンが集まったが、来ていないB. B. Kingに話が及ぶと、みな一様に「Kingは…」で終わりで、King が自分たちとは違う人種であるかのような素振りであった(いじめ?)。

その違いは、「成功」と「非成功」であるのは間違いないとして疑問が生じる。

なぜブルースに関しては、よく「20~30年代のブルースでなければ本物じゃない」といわれ、僕もまたそう思い、娘もそうしたブルースを好み、Ray Vaughanなど新しいブルースメンを却下するのはなぜか。

これは単に成功者と非成功者の対比ではない。

みんながいいといっているのは、その対比が生まれる前の時代のブルースだからだ。

つまりMinorities と認定される前のBluesなのである。

認定済みMinorities が歴史に登場するのは1960年代のことである。

認定されると、自らの不幸をあーだこーだと声高に叫び、口を開けて援助や福祉政策を待つようになった。

しかし認定される以前のMinorities にそんなことは許されない。

理不尽な苦境の中で自らの生を切り拓くのである。

そして本来、そうした認定される以前のMinorities の言動こそがPostcolonialismと称される人間探求の学問対象になるはずである。

なぜなら人間の本性は、現在のような法律と金というフィクションで構築された擬似現実ではなく、本物の現実に直面してこそ顕れるものと考えられるからだ。

いうまでもなく、そうした状況下を生きたのが20-30年代のブルースメンで、彼らは弾丸になることしか考えてなかった。

しかし今の日本で目に付くのはそうした擬似現実というか民主主義というフィクションに依存しようという輩ばかりだ(もちろん全員とはいわない)。

President など全くいないで、みなが組織の中でもたれあって昔大きな失敗をしたのを忘れたか。

そして僕の民主主義の嫌いな点もまさにそこにある。

ヘーゲルが理想とするような個人と国家の対等な関係は達成されそうになく、国家と個人とをつなぐ集団を経て、国家にぶら下がる、民主主義という宗教団体にすぎない。

上記ノーベル賞受賞者たちも同じだ。

世界一流と認定された頭脳の持ち主が、金と法律という擬似現実のなかでしかその力を誇示できないのなら、そんなひとたちが次世代を担う科学技術など発見できるとは思えない。

なぜなら歴史上次の時代を作り出すのは、認定されていないMinorities だからだ。

Minorities と認定されたら、Minoritiesが持つ素晴らしい側面を真っ先に失い、ただ認定されていないMinorities に依存する。

このノーベル賞受賞者たちにどうやら僕はその影をみて気に入らなかったのだ。

これも以前書いたが、現在必要とされるのは、左の思想であると思うが、それが進展していない真の淵源には、日本の黎明期なら秦氏、室町であれば足軽、戦国大名、幕末なら下級武士といった、認定されていないMinorities が、存在しないことに尽きると思う。

今必要なのは引っ張る人間で、ぶらさがる人間ではない。

あんたたちまでぶらさがるのかと嘆かわしくなった。

いずれにせよ、音楽は偉大だ。


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