尾根の上で、サランコットへと続く道は、陽射しを遮る木陰がありません。
レストランの看板を掲げた、パラソルを庭に広げた店で暫しの休憩を取りました。
汗を拭って歩き始めると突然、目の前にバスが現れました。
地図を確認すると、コトマウトという村のようです。
一緒に歩いていた男性が、バスは此処で折り返し、サランコット経由でポカラへ行くと教えてくれました。
時刻は15時20分頃でした。
トレッキングに出発する日にバスに乗りそこないましたし、田園風景も十分に堪能しましたので、これ幸いと、バスでサランコットへ向かうことにしました。
サランコットまでの運賃はたったの100Rsです。
そして、このバスが楽しかった。
車内に大きな音で、モーニング娘のようなのりの、ネパール語の歌が流れ、「ツンチャカ、ツンチャカ、ヘイヘイヘイヘイ ♪♪ 」みたいなリズムに合わせ、サングラスを掛けた天然パーマのお兄ちゃん車掌が腰を振ります。
始発のバス停で5~6人の客を乗せ、15時40分頃、陽気なバスが走り出しました。
私は乗車口のすぐ横に座り、窓を開け放ち、車外の風景を楽しみました。
途中のバス停で次々と乗客を拾い、バスは満席状態となってきました。
乗客が持参した1m四方もありそうな藁の束を車掌がバスの屋根に載せています。
バスが走り続ける間は、車内にモーニング娘風の曲が流れ続けました。
やがて、眼下にフェワ湖が見えてきました。
中学生の頃に、遠足で箱根の芦ノ湖へ行ったときにも似た気分です。
バスが田舎道を走っていると、畑の中から「待って!(多分そんな意味でしょう)」と誰かが叫んでいます。
息を切らせた小太りの小母さんが、畑の中から現れました。
そんな微笑ましい、何故か懐かしい雰囲気に包まれた乗り合いバスです。
バスが走り出して20分ほどで、正面にサランコットの丘が見えてきました。
そしてその20分後、私は楽しい気分に満たされたまま、サランコットの丘に建つGH(ゲストハウス)のテラスから、ポカラ市街とフェワ湖を見下ろしていました。
勿論、このようなシチュエーションに冷たいビールは欠かせません。
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