Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

歌舞伎座『八月納涼大歌舞伎 第二部』3等B席上手寄り

2007年08月19日 | 歌舞伎
歌舞伎座『八月納涼大歌舞伎 第二部』3等B席上手寄り

『ゆうれい貸屋』
山本周五郎原作。歌舞伎では48年ぶりの上演とのことでほぼ新作みたいなものですね。世話物としてきちんとまとまっていたと思います。話運びはもう少し練れるなとは思いましたが全体的に納涼にピッタリだしなかなか良い演目でした。物語としては後半、ちょっとバタバタッとまとめに入ってしまったのが残念。染次とのエピソードにもう一捻りあっても良かったような気がします。あれでは染次は誤解したままだと思うのですが。成仏できないだろうなあ…。

弥六@三津五郎さん、飄々と宿六を演じる。いやみがなくて良い。もう少し愛嬌があってもいいかな。

染次@福助さん、幽霊メイクが似合って綺麗。衣装もいいですね。ただ幽霊のわりにドライな感じ。辰巳芸者のパキパキした雰囲気はあるけど、もう少し可愛げな感じにしてもいいのに。

又蔵@勘三郎さん、ださい役なんだけど惹きつけますね。「人間生きているうちに」という独白はさすがに聴かせる。

弥六女房お兼@孝太郎さん、おおっ、長屋のおかみさんだ<こういう拵えの孝太郎さん、あんまり観たことないような。けなげな役がほんと似合います。

長屋の住人たちが皆さん非常に良い味を出されていました。


『新版 舌切雀』
『今昔 桃太郎』に続き第二弾の渡辺えり子さんの新作。舞台や衣装はPOPで可愛い。ストーリーは、なんでしょ?お笑いと教訓話ってところかな?なんとなく俳優祭のノリというか…まあそんな感じ。あちこちパロディが入っていたけどその完成度は低い。先日TVで見た俳優祭『白雪姫』のほうが徹底して楽しませる方向だったので面白かった。私的にこちらのほうが好み。どうせなら王道なおとぎ話として作ってしまったほうが楽しかったと思う。観る人それぞれ、好き嫌いは出そうです。