国立大劇場『江戸宵闇妖鉤爪 - 明智小五郎と人間豹-』3回目 (特別席1階中央センター)
またまた国立大劇場に参上(笑)『江戸宵闇妖鉤爪』3回目の観劇です。中日以降評判を呼び、満員御礼が続いているらしい国立劇場、24日もチケットSOLD OUTの満員御礼でした。
3回目は特別席のちょうどいい感じのセンターど真ん中。本舞台を観るのにも花道&宙乗りを観るのにも絶好の位置でした。そのせいもあったのか「これ、すごく面白いよ」と無条件で言ってしまいそうになるくらい楽しめました。
観るたびに芝居がすごく進歩してて、なんだろ役者さんたちの力技でガッチリ見せてきた感じ。芝居の空間がとても密になっていて勢いがありました。脚本が変化しているわけじゃないので突っ込みどころはいっぱいあるのですが、その部分が気にならないくらいのパワーがあった。新作ってこうやってどんどん進化していく過程を見るのも面白いですよね。だからつい何度も通ってしまうのだけど(笑)
今回は明智と恩田の応酬のとこで人が生きていくという難しさがすごく伝わってきて、切なくなったりしてしまいました。世の中の闇の部分に焦点を当てたこの芝居。いつの世でも変わらない命題がクッキリと浮かんできました。あまりにストレートな台詞を一気に応酬させるので、台詞だけで浮いてしまがちな部分があったのですが、今回はそれがスコンと胸に突き刺さってきました。半獣半人の悲しい性を背負った恩田の言い分はただの善悪で割り切れないものです。この「人の闇」の部分をもっと踏み込んで芝居を作ったら、もっと濃い芝居になるでしょう。次回の乱歩歌舞伎第二弾に期待しまます。
『江戸宵闇妖鉤爪』という新作歌舞伎、まずは乱歩という題材を歌舞伎化しようという発想が本当に見事だったと思います。それから音の使い方、すべて邦楽に拘ったところも非常に良かったです。新内節の甘い切ない唄も今回の芝居の雰囲気にピッタリでした。この歌舞伎で新内節に触れた観客の方も多かったのではないでしょうか。また微細なところまでに拘った美術も見事でした。乱歩という難しい題材をきちんと歌舞伎の世界にもってきた脚本家の岩豪友樹子さんにも拍手。これからも歌舞伎作家として頑張っていただきたいです。
そして役者さんたち。本当に少数人数での座組みでの新作歌舞伎、よくぞやったと思います。個性的でいつもの歌舞伎とは違う方向性のキャラクターをきちんと造詣し練り上げて見応えのあるものにしていってくださったことに一観客として感謝。
染五郎さん贔屓なのでちょっと個人的に言及させてもらいますと、やっぱり染五郎さんは良いなあ、とまた思いました。恩田のワイヤーアクションや宙乗りでの姿勢が本当に綺麗だ。背筋がぶれないんですよね。悪役なのに思わずカッコイイって思ってしまうもの。宙乗りの時はどうしても染五郎さんから目が離せない。人間豹は哀しみを背負いながらも不敵な笑みを浮かべて天を駆けていきました。また芳之助の風情もたっぷりになっていて、道楽に生きてきて女性無しでは生きていけないタイプのヘタレ具合に哀れさがプラスされて色気がすごく出たなあと思う。鼓の演奏が今回はすごく良かったです。音が終始よく響いてました。雨模様だったので湿気具合が鼓には良かったのかも。
24日は拍手がなかなか鳴り止まず、なんとカーテンコールがありました。この日が初めてのカーテンコールだったようです。ラッキーでした。幸四郎さんがいつもの「歌舞伎にはカーテンコールは無いんですが」の前フリで観客、スタッフ、裏方、そして共演した役者さんたちへの感謝を気持ちを伝えてくださいました。こういう挨拶、お上手ですよね。染ちゃんと春猿さんのことは個別に褒めたりして。染五郎さん、恩田乱学のあの扮装で恥ずかしがってました(笑)。それと春猿さんが国立劇場優秀賞と鐵之助さんが国立劇場特別賞を受賞されたことも発表し祝していました。
またまた国立大劇場に参上(笑)『江戸宵闇妖鉤爪』3回目の観劇です。中日以降評判を呼び、満員御礼が続いているらしい国立劇場、24日もチケットSOLD OUTの満員御礼でした。
3回目は特別席のちょうどいい感じのセンターど真ん中。本舞台を観るのにも花道&宙乗りを観るのにも絶好の位置でした。そのせいもあったのか「これ、すごく面白いよ」と無条件で言ってしまいそうになるくらい楽しめました。
観るたびに芝居がすごく進歩してて、なんだろ役者さんたちの力技でガッチリ見せてきた感じ。芝居の空間がとても密になっていて勢いがありました。脚本が変化しているわけじゃないので突っ込みどころはいっぱいあるのですが、その部分が気にならないくらいのパワーがあった。新作ってこうやってどんどん進化していく過程を見るのも面白いですよね。だからつい何度も通ってしまうのだけど(笑)
今回は明智と恩田の応酬のとこで人が生きていくという難しさがすごく伝わってきて、切なくなったりしてしまいました。世の中の闇の部分に焦点を当てたこの芝居。いつの世でも変わらない命題がクッキリと浮かんできました。あまりにストレートな台詞を一気に応酬させるので、台詞だけで浮いてしまがちな部分があったのですが、今回はそれがスコンと胸に突き刺さってきました。半獣半人の悲しい性を背負った恩田の言い分はただの善悪で割り切れないものです。この「人の闇」の部分をもっと踏み込んで芝居を作ったら、もっと濃い芝居になるでしょう。次回の乱歩歌舞伎第二弾に期待しまます。
『江戸宵闇妖鉤爪』という新作歌舞伎、まずは乱歩という題材を歌舞伎化しようという発想が本当に見事だったと思います。それから音の使い方、すべて邦楽に拘ったところも非常に良かったです。新内節の甘い切ない唄も今回の芝居の雰囲気にピッタリでした。この歌舞伎で新内節に触れた観客の方も多かったのではないでしょうか。また微細なところまでに拘った美術も見事でした。乱歩という難しい題材をきちんと歌舞伎の世界にもってきた脚本家の岩豪友樹子さんにも拍手。これからも歌舞伎作家として頑張っていただきたいです。
そして役者さんたち。本当に少数人数での座組みでの新作歌舞伎、よくぞやったと思います。個性的でいつもの歌舞伎とは違う方向性のキャラクターをきちんと造詣し練り上げて見応えのあるものにしていってくださったことに一観客として感謝。
染五郎さん贔屓なのでちょっと個人的に言及させてもらいますと、やっぱり染五郎さんは良いなあ、とまた思いました。恩田のワイヤーアクションや宙乗りでの姿勢が本当に綺麗だ。背筋がぶれないんですよね。悪役なのに思わずカッコイイって思ってしまうもの。宙乗りの時はどうしても染五郎さんから目が離せない。人間豹は哀しみを背負いながらも不敵な笑みを浮かべて天を駆けていきました。また芳之助の風情もたっぷりになっていて、道楽に生きてきて女性無しでは生きていけないタイプのヘタレ具合に哀れさがプラスされて色気がすごく出たなあと思う。鼓の演奏が今回はすごく良かったです。音が終始よく響いてました。雨模様だったので湿気具合が鼓には良かったのかも。
24日は拍手がなかなか鳴り止まず、なんとカーテンコールがありました。この日が初めてのカーテンコールだったようです。ラッキーでした。幸四郎さんがいつもの「歌舞伎にはカーテンコールは無いんですが」の前フリで観客、スタッフ、裏方、そして共演した役者さんたちへの感謝を気持ちを伝えてくださいました。こういう挨拶、お上手ですよね。染ちゃんと春猿さんのことは個別に褒めたりして。染五郎さん、恩田乱学のあの扮装で恥ずかしがってました(笑)。それと春猿さんが国立劇場優秀賞と鐵之助さんが国立劇場特別賞を受賞されたことも発表し祝していました。