涌谷町の町道成沢線を上がって行くと、凝灰岩の崖(法面)が長々と続きます。
岩質やわらかいため風化が進み、崖下に土砂や角礫が厚く堆積しています。
そこは日陰になっていて、崖からの雨水の浸みこみもあり、湿気を好む羊歯の
群生地になっています。最初に見つけたのは、堆積物から枝垂れたシケシダです。
夏緑性の羊歯ですが、まだきれいな緑葉を保っています。
日陰の羊歯は、遅くまで黄葉したり冬枯れたりしませんからね。
二枚とも2015.12.2撮影
葉の構成が単純な単羽状複葉ですから、似たような羊歯はたくさんありますが、
葉表に幾分光沢があること、上部の羽片が60度ほどの角度で斜上することなどで見当
を付けます。さらに、羽片の第一裂片が大きいこと、ソーラスが細長い線状であること
などを確認の上で、シケシダと同定しました。
2015.12.2撮影
イワデンダ科オオシケシダ属の夏緑性羊歯植物で、本州~九州に分布する。
低地~低山の湿った林縁、用水路脇の日陰などに自生し、長さ30~50cmの中型羊歯。
根茎は直径2mmほどで長く地中を横走し、分枝して広がって、しばしば群落を形成する。
葉は根茎からまばらに出て、葉柄は葉身とほぼ同長。
葉柄の鱗片は広披針形~線形、淡褐色で散生し、上部のものほど細い。
葉身は単羽状複葉で、卵状披針形、鋭尖頭。質はやわらかい草質。
羽片は長楕円状披針形で鋭尖頭。基部は切形または心形で、ごく短い柄がある。
羽片は中軸に流れて翼を形成、下部羽片は大きく、上部のものは次第に小さくなるが、
ときに最下羽片が短くなる。裂片は中裂~深裂し、鈍頭からやや鋭頭、細鋸歯がある。
ソーラス(胞子嚢群)は裂片の中肋と縁の中間に付き、細長い線状。
包膜は胞子嚢群を包み込んで薄い膜質。
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