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北朝鮮もまた、サンフランシスコ平和条約の受益国である

2020-09-08 16:10:06 | 近現代史関連
サンフランシスコ平和条約第21条にはこうあります。

この条約の第二十五条の規定にかかわらず、中国は、第十条及び第十四条(a)2の利益を受ける権利を有し、朝鮮は、この条約の第二条、第四条、第九条及び第十二条の利益を受ける権利を有する。


では、具体的に「朝鮮」が利益を受ける権利を有するという第2条を、まず見ていきます。

第2条

(a) 日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。

(以下省略)

北朝鮮こと朝鮮民主主義人民共和国は、サンフランシスコ平和条約とは関係ない第三国にあたりますけど

我が国はサンフランシスコ平和条約によって「朝鮮半島」、つまり済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄しています。

既に主権が存在しないのであれば、それを平和条約に基づいて「放棄」することはできません。

さて、ポツダム宣言についてですけど、これは国際法の主流的解釈によるのであれば「今後履行される約束の予約」と解されます。

ポツダム宣言にはこうあります。

八 「カイロ」宣言ノ條項ハ履行セラルベク又日本國ノ主權ハ本州、北海道、九州及四國竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ

→この「吾等ノ決定スル諸小島」の決定権が「誰」にあるのかは、あえてふれません。

ただし、第一次世界大戦以前までにおいて、日本国が「国際法上、合法的に獲得した領土」に関しては、当該領土である、例えば「朝鮮」などを日本国が法的な意味で「放棄」する必要があります。

日本が朝鮮における権原を放棄していないということは、仮に北朝鮮を承認する他国が存在しても、それはかつての満州国をドイツやイタリアなどが承認していたのと同じく

国際法上は日本の領有権が存在したままの朝鮮半島北部に朝鮮民主主義人民共和国と名乗る主権団体が、いくつかの他国の承認を得ているのに過ぎない状態でしかありません。

そしてポツダム宣言により我が国が受諾した内容の具体的な履行は、サンフランシスコ平和条約、またはそれと同等の平和条約によってなされることになります。

ポツダム宣言は、あくまでも日本は今後このような方向で対応しなさいというものであって、例えば「領有権の放棄」などの具体的な実行ではないんです。

朝鮮半島の例で言えば、連合国による占領統治は、そのままでは日本国の領有権喪失を意味しません。

占領だけでは領有権は移転することはないんです。

日本国政府が朝鮮民主主義人民共和国という国家を承認するかどうかは別として、少なくとも日本国としてはサンフランシスコ平和条約において、はじめて朝鮮の独立と朝鮮に有していた権原の放棄を国際社会に向けて認めました。

その前ではないんです。

これにより朝鮮民主主義人民共和国は、晴れて国際機関にも参加できるようになり、実際に国連にも加盟しました。

その点だけを見ても

北朝鮮はサンフランシスコ平和条約による「日本国の朝鮮放棄」から利益を受けていないとは言えないでしょう。

以上はとりあえずです。



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