浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

ローマ人列伝:スッラ伝2

2008-05-02 14:35:39 | ローマ人列伝
その若者、とはユリウス・カエサル。当時18才。彼の妻の父の親戚(あー、もうほんとどうでもいいじゃん、と思うつながり)はガイウス・マリウスでした。そしてガイウス・マリウスはスッラにとって殺しても殺し足りない、忘れようにも思い出せないライバルです。

当然のことながらスッラはユリウス・カエサルを民衆派として処刑名簿に載せます。

しかし功績も金も何もない(借金だけは莫大)にも関わらず市民からの人気だけは誰にも負けないカエサル、スッラの元には「彼を助命してくれ」という嘆願が続々と届きます。
たしかにこのときカエサル18歳。まともな政治活動は行っておらず、しかも彼が民衆派というわけでもなく単に民衆派リーダーの遠縁、というだけです。それだけで殺される、というのは少し酷な気もします。

多くの助命の声を聞いたスッラはカエサルを呼び出し、妻との離縁と引き換えに助命を告げます。しかし「自分はやりたいようにやる、他人もやりたいようにやれ」が口癖のカエサルは拒否。処刑を命じますがやはり市民の反対にあいます。スッラの部下の中にもカエサルの助命を願ったものがいたそうです。当時のカエサルはまだ何もやっておらず単に愉快な青年。そんな青年を殺すことはない、と口々に言ったそうです。
当時のカエサルをスッラはこう評しています。

「君たちには分からないのか。あの若者の目の中には100人のマリウスがいることを」

英雄は英雄を知る、スッラだけが18歳の若きカエサルの非凡を見抜いていました。

標的とされたカエサル、ここで民衆派を巻き込み打倒スッラを誓えばカッコイイのですが、「カエサル家に伝わる伝統の戦法があってな…それは………逃げる!」とばかりに一路エジプトへ逃亡。スッラが死ぬまでローマに戻ることはありませんでした。

ちょっと話はずれますが、英雄の重要な資質として「引き際の見事さ」があるような気がします。負ける勝負はしない、逃げることを恥と思わない、というのは大事ですよね。
この逃亡の際、エジプト行きの舟に乗ったカエサルが海賊に襲われて面白いエピソードがあるのですがそれはまた別の話。

カエサルに逃げられたものの、スッラの考える共和制の確立は成功します。

こうやって書いているとつくづく「人の成すことは結果がすべて」、という思いがします。

共和制こそローマ最上の政策と信じたスッラ。共和制に反対する人は次々と粛清していきます。もしこれで共和制が磐石になりローマが栄えていたら、スッラは英雄になっていたでしょう。

しかし既に時代は変わっていました。強大になった当時のローマにおいて多数の元老院議員が合議制によって政治を行う共和制の限界が来ていたのです。




…to be continued...

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2 コメント

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Unknown (よね3)
2008-05-02 17:14:54
最後の写真はshow先生ですか?
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Unknown (show)
2008-05-02 21:02:03
いいえ、ドッピオです。
返信する

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