《試練》――現在史研究のために

日本の新左翼運動をどう総括するのか、今後の方向をどう定めるのか

プーチン体制によるウクライナ侵略戦争の階級的性格と日本労働者人民の課題を考える(その1)

2022-03-10 20:26:14 | 世界の政治・軍事・経済―世界の動きⅠ
プーチン体制によるウクライナ侵略戦争の階級的性格と日本労働者人民の課題を考える(その1)


▲2月24日、ロシア・サンクトペテルブルグ

 
▲2月24日、モスクワ、「Нет Войне!」→「戦争反対!」
(写真:戦争開始と同時に、サンクトペテルブルグやモスクワなどロシア全土で反戦デモが敢行された。暴力的鎮圧と大量拘束にもかかわらず、その後もデモが次々と展開されている。)
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[目次]
・はじめに――何が核心点か
(Ⅰ)ただちに全面停戦せよ!
・無差別攻撃を強行するロシア軍/・米帝バイデン政権の戦争目的が露わに/・戦争の根底にあるのは階級関係/・「塹壕内での交歓」と軍隊獲得の思想/・近衛上奏文を拒否した天皇ヒロヒト/・ロシア人民の反戦運動こそが戦争を止める力/・米欧日の労働者人民が問われている/・ウクライナ人民の主体的意志と選択は        (以上その1)
(Ⅱ)ウクライナ侵略戦争を第三次世界大戦過程にしてはならない
1) プーチン体制による侵略戦争の恐るべき危険性
2) 「2・24」はまぎれもなく不正義・理不尽な侵略戦争
・プーチンの二つのテレビ演説の重大性/・「大ロシア民族主義」の復権をかけた侵略戦争/・核先制攻撃戦略を発動/・国際政治に侵略戦争の合法化を持ち込む/・限定なきウクライナ支配を狙う/・ウクライナにおけるネオナチ問題/・プーチン体制支配の危機突破をかけた戦争
                      (以上その2)
(Ⅲ)米帝バイデンはロシア・ウクライナ戦争の戦争放火者である
1)ウクライナの戦場で威力示すアメリカ製武器
2)軍事不介入がロシアをウクライナ侵略に誘い込んだ
3)ウクライナを「米欧・ロシア対立」の焦点に
・08年NATO首脳会談が一線を越える/・14年親米政権成立以後のNATO加盟問題
4)新大西洋憲章は全世界の反戦闘争への挑戦
・米帝が新たな世界支配秩序の再編へ/・米帝の陥った内外危機の深刻さ
(Ⅳ)日本の労働者人民に問われていること――ウクライナ情勢に乗じた日本政府の改憲策動と戦争政策を許すな
【主な参考文献・資料】           (以上その3)
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●はじめに――何が核心点か

 ロシア・プーチン体制によるウクライナへの侵略戦争が日々激化している。ロシア軍の無慈悲で残酷な攻撃の様子が連日報道されている。
 この現実を知れば知るほど、ウクライナの人々が遭遇している筆舌につくしがたい苦しみ、悲しみ、憎しみ、多くの死者が生み出されている惨状を前に、「もうやめてくれ」という悲鳴以外に何をいえばいいのだろうか。何をいっても、戦場の深刻な現実の前では空疎なほど軽いものでしかない。強力なロシア軍の攻撃に、ただ無力感を感じざるをえない。
 だがしかし、「局外者」だから見えてくることもある。そうすると、日本の私たちはじつは局外者ではなく、このロシア・ウクライナ戦争に関与させられていることがわかる。日本の岸田政権が対ロシア経済制裁と対ウクライナ軍事援助をしているのであり、わたしたちは準参戦国の人民なのである。
 何かを発言するいじょう、はっきりといわなければならない。
 私たちが第一義的に心すべきは、“戦争絶対反対”という、人間としてもっとも素朴な感覚、ヒューマニズムに徹した立場ではないだろうか。
 ウクライナの現実を考えるとき、次のことだけはいえるのだと思う。

「大ロシア民族主義」を掲げたロシア・プーチン体制によるウクライナ侵略戦争に絶対反対! すぐにいっさいの攻撃をやめろ! 撤退しろ! ウクライナ人民を殺すな! ロシア軍は原発攻撃、原発占拠をやめろ!
いま一方の戦争放火者=米帝バイデン政権を徹底弾劾する! NATO東方拡大=ウクライナNATO加盟をやめろ! 「新大西洋憲章」=世界大戦路線を破棄せよ! 対ロシア経済制裁・対ウクライナ武器供与をやめろ! 自らは手を汚さずロシア人とウクライナ人を殺し合わせるな! ゼレンスキー政権はウクライナの軍民に徹底抗戦を強いるな!
岸田政権は対ロシア経済制裁・対ウクライナ軍事援助による参戦国化をやめろ! ウクライナ情勢に乗じた改憲、沖縄戦場化、敵基地先制攻撃体制、核武装化をやめろ!
パレスチナを忘れるな! イスラエルはパレスチナ-ガザ空爆をやめろ! 無差別に殺され生活を破壊され逃げ場もないパレスチナ人民を支援・連帯しよう!
ミャンマーを忘れるな! ミャンマー軍事クーデター弾劾! ミャンマー人民のクーデター軍部権力打倒の非武装・武装のたたかいを支援・連帯しよう!
第三次世界大戦を起こさせるな! ロシア人民を先頭に全世界で反戦闘争を!

(Ⅰ)ただちに全面停戦せよ!

●無差別攻撃を強行するロシア軍
 2022年2月24日に開始されたロシア・プーチン体制によるウクライナ侵略戦争は日に日に激化し、ウクライナ人民に言語を絶する凄惨な犠牲を強いている。
 各種報道によると、「軍事施設のみを攻撃する」というロシア側の言明にもかかわらず、第1日目からウクライナ北東部にある第2の都市ハリコフおよびその近郊で民間人の住むアパートを砲弾が直撃した。同日、チェルノブイリ原発を占拠するという戦慄すべき事態を起こした。26日、ロシア軍のミサイルが首都キエフの民間向け高層マンションに命中した。3月1日、キエフの西郊外の町・ボロジャンカが爆撃され、アパート2棟が破壊された。同日、ハリコフの州政府庁舎がミサイル攻撃を受けた。またキエフの民間医療施設が攻撃された。2日、燃料気化爆弾(戦術核兵器に次ぐ殺傷力をもつ)がハリコフで使用された。同日、東部のマリウポリの民間住宅が爆撃された。3日には北部のチェルニヒウの学校と幼稚園が爆撃された。4日、クラスター爆弾が幼稚園にたいして使用された。同日、ザポロジエ原発施設が直接に攻撃されるという恐るべき戦況がつくり出された。
 ウクライナ非常事態省によると、3月4日までに民間人2000人超が殺され、そのなかには赤ちゃん、幼児がいる。国外避難する人が約130万人にのぼったという。
 圧倒的な戦力をもつロシア軍は、ウクライナの北部、東部、南部から侵略し、首都キエフ陥落へ攻勢をかけている。キエフ、ハリコフ、オデッサなどが何度も空爆された。シェルターには高齢者、妊婦、子どもたちがいる。プーチンは無差別攻撃に踏み込んでおり、ゼレンスキー政権打倒までこの侵略戦争をやめようとしていない。
【追記】3月15日現在、国連発表によると、国連が掌握した民間人の死者は690人以上にのぼる。全容はわかっていない。国外避難者は300万人超(プラス10万人超がロシアへ)になっている。とりわけ、ロシア軍が小児病棟と産院を爆撃したこと、子どもと高齢者と女性の死者が多いことはとうてい許されることではない。あまりにも残虐な戦争犯罪だ。

●米帝バイデン政権の戦争目的が露わに

 では、米帝バイデン政権はどうなのか。
 バイデンは3月1日の一般教書演説で、「プーチンは都市を制圧するかもしれない」「プーチンは戦場では優勢に立つ。ウクライナの人々にとって今後数日、数週間、数カ月は厳しいものとなる」という認識を示すとともに、「独裁者に侵略の代償を払わせる。今後何年にもわたって経済の力を奪い、軍事力を弱らせる」という。「自由は専制主義に常に勝つ」と嬉しそうに笑い、拍手喝さいを受けた。
何と非人道的な演説か。何と残忍なものいいか。
 バイデンは、“これは「民主主義=善」と「専制主義=悪」との戦いだ、今後数カ月もウクライナ人が殺され続けても首都キエフが制圧されても構わない、なぜならロシアは弱体化し民主主義が勝利するのだから、これほど喜ばしいことはない”と傲岸不遜にいってのけたのである。米帝バイデン政権の側の戦争目的がそこに露骨に公言されたとみるべきである。
 重大なことは、米帝バイデンが21年1月の発足以来、中国とロシアを念頭に置いて、「民主主義と専制主義との戦い」路線を押し出していることである。バイデンは、同年6月には新大西洋憲章にそれを盛り込んで、イギリス帝国主義ジョンソンとともに署名している。第二次世界大戦での「ナチス・ドイツとの戦い」を規定した旧大西洋憲章、すなわち米英など連合国側の世界大戦綱領を何と80年ぶりに書き換えたのだ。きわめて皮相かつ単純な「善vs悪」の二極対立構図をもって米帝の新たな世界大戦路線のイデオロギーとしているのである。その新大西洋憲章の最初の戦場にウクライナを据えるというのだ(Ⅲの4で詳述)。
 米帝は世界最大の軍産複合体国家である。自国軍隊を投入せず、安全地帯にいる米帝バイデン政権はゼレンスキー政権を抱き込んで、ロシア人とウクライナ人を戦わせることに自己の世界支配構想とそこでの国家的利益を見出している。戦争を煽り、戦争で稼ぎまくり、死傷者が続出し、都市が廃墟となる様を平然と眺めている。ウクライナ人民のおびただしい血の犠牲と取り返しのつかない戦禍と引き換えにロシアを弱体化させるという。新たな形の戦争犯罪、最悪の人道にたいする罪をいま米帝バイデン政権は実行しているのだ。

●戦争の根底にあるのは階級関係
 このウクライナ侵略戦争は「プーチン体制の戦争」であって、「ロシア人民の戦争」ではない。他方、同時にこれは「米帝バイデン政権およびゼレンスキー政権の戦争」であって、「ウクライナ人民の戦争」ではない。
 この戦争はロシア軍兵士やその家族たちを含むロシア人民が望んだ戦争ではない。もちろんウクライナ人民がロシアとの戦争を望むわけもない。
 ロシア人民の敵はウクライナ軍およびウクライナ人民ではない。敵はプーチンとプーチン体制である。同じく、ウクライナ人民の敵はロシア軍ではない。敵は米帝バイデン政権であり、その意向に沿うゼレンスキー政権である。


●「塹壕内での交歓」と軍隊獲得の思想
 下の写真にあるように、ウクライナ人民は各地で、ロシア軍兵士に向かって弾劾、追及、説得の活動を展開している。大量の戦車にたいして、数々のバリケードを築き、橋を壊してその進路を塞いでいる。ロシア人とウクライナ人が殺し合う何の必要も、何の意味もないのだ。

   
▲2月24日、南部ヘニチェスク         ▲3月2日、ロシア軍兵士を追及、説得

 ここで思い出してほしい。
 かつて100年以上前の第一次世界大戦の際に、交戦各国で帝国主義的ナショナリズムとそれに屈した社会排外主義が吹き荒れるなかで、前線の兵士同士が戦場で交歓した実例があった。それは戦争を止め、戦争を終わらせる重要な要素だった。
 第一次大戦がどちらの側からも帝国主義戦争であることを理論的・実践的に明確にさせたレーニンは、その真っただ中で、この「塹壕内での交歓」の意義をつかんだ。レーニンは「すべての交戦国の社会主義の左派だけなりとも、塹壕内での交歓の方向に向かって系統的に活動するならば、現在の犯罪的、反動的な奴隷所有者の戦争を短縮することが、どれほど可能であるかが知られる」(「社会主義と戦争」1915年8月)と訴えた。
 そして、帝国主義戦争において自国政府の敗北を望むという革命的祖国敗北主義こそ労働者人民がとるべき道だと訴えた。
 当時の帝国主義間戦争とは戦争の性格がちがうが、いま火ぶたが切られてしまったウクライナの戦場で労働者人民、あるいは軍服を着た労働者人民が何をなすべきかの教訓として、レーニンの提起は普遍的なものだ。


●近衛上奏文を拒否した天皇ヒロヒト
 もうひとつ思い出してほしい。
 第二次世界大戦の末期、米帝ルーズベルト政権-トルーマン政権とマッカーサー最高司令官は日本・沖縄への総攻撃をかけた。沖縄に「鉄の暴風雨」と呼ばれるすさまじい無差別砲撃を加え、軍民20数万人が殺された。東京をはじめ本土全土の居住地域・民間人への空襲を繰り返した。広島にウラン型原爆を投下し、12万人の命を奪った。長崎にプルトニウム型原爆を投下し、7万4000人の命を奪った。それら無差別攻撃は死者だけでなく厖大な戦争の傷跡をつくり、長年にわたって人々を苦しめてきた。
 それらが起こされる前、1945年2月、天皇ヒロヒトと面談した近衛文麿が上奏文を出し、そこで近衛は「勝利の見込なき戦争をこれ以上継続すべきではない、一日も速に戦争終結の方途を講ずべき」と説いた。ヒロヒトは「もう一度戦果を挙げてからでないと」といって、近衛上奏文を却下した。近衛は「共産革命を避けるため」という根本的に予防反革命の立場から上奏したのであり、それについての歴史的な評価や教訓化は多々論じうる。だが、その2月の時点でヒロヒトが近衛上奏文を受け入れて戦争終結=無条件降伏していれば、沖縄戦も本土大空襲も広島も長崎もなかったことは、今では誰もが認めるところだ。


●ロシア人民の反戦運動こそが戦争を止める力
 ロシア・プーチン体制によるウクライナ侵略戦争をやめさせることができるのは、何よりもロシアでの反戦運動である。それしかない。ロシアの労働者人民はプーチン体制の暴力的な恐怖政治のもとで不屈に反戦の声を挙げ、行動を起こしている。ジャーナリストやスポーツ選手や音楽家のなかから勇気ある行動が起こっている。国外亡命する動きが出ている。この反戦運動は18年に爆発した年金制度改革反対の全土的大デモを土台とした、きわめて根源的な反乱である。
 そのなかでロシア人民が自国軍隊に侵略戦争をやめるよう創意工夫をもって働きかけ始めている。圧倒的な反戦の声と行動で軍隊を包囲し、説得し、獲得すべく意識的にたたかうことが求められている。どんなに弾圧が苛烈であっても、自国軍隊獲得・解体が事態を決するのだ。

 ロシア軍兵士よ、ウクライナ人民を撃つのをやめてただちに停戦せよ!上官=プーチンの命令を拒否せよ! 銃口をプーチン・上官に向けよ! 戦車から降りてウクライナ人民と交歓せよ! ロシア人がウクライナ人となぜ戦わなければならないのか。戦う意味がどこにあるのだ。侵略戦争をロシア人民に強いるプーチン体制を打倒せよ!
 ウクライナを凄惨な戦場にして、いったい誰が利益を得るのか。死ぬのはロシア兵とウクライナ兵とウクライナ人民なのだ。殺され生活を破壊され、国内外に大量避難せざるをえないウクライナ人民にこれ以上の苦難を強いるな!
 戦場そのものでただちに停戦すればいいのだ、いやそれしかないのだ。ロシア政府とウクライナ政府との停戦協定の結果をまつことはないのだ。


●米欧日の労働者人民が問われている
 米欧日の労働者人民は、自国政府とマスコミが一方的な「ロシア=悪玉」論と対ロシア排外主義を大々的に流布し、対ロシア経済制裁と対ウクライナ武器供与をどんどん強めていることが戦争激化政策であることをみぬかなければならない。経済制裁と武器供与は、決してウクライナ人民支援ではないのだ。
 しかも、自国政府がこれを絶好の機とばかりに、軍備強化をはかっていることに真っ向から反対しなければならない。日本の岸田政権がウクライナ情勢に乗じて改憲、沖縄戦場化、敵基地先制攻撃体制、核武装化を一気に進めようとしていることを止めなければならない。
そもそも、米帝主導のNATO(北大西洋条約機構)東方拡大が今日の事態の一方における原因なのである。ワルシャワ条約機構解体(1991年7月)とソ連崩壊(同年12月)に対応してNATOは解体すべきだったのだ。

 ロシア国内の反戦運動と全世界の反戦運動だけが、戦場での交歓を生み出し、プーチン体制の侵略戦争を終わらせるただ一つの力だ。それは同時に米帝とゼレンスキー政権に即時無条件に停戦させる力となるのだ。
 米帝バイデンよ。「戦場での勝利の見込みがない」というなら、ただちに全面停戦すべきなのである。自らの悪逆な戦争目的を捨てろ。これ以上の人道にたいする罪を犯すな。それがロシア・プーチン体制への降伏であっても、戦争を終結させるにはそれしかないのだ。


●ウクライナ人民の主体的意志と選択は
 問題の出発点にもどると、ウクライナの労働者人民は、ソ連崩壊以後、独立したウクライナが「中立」あるいは「非同盟」をいわば国是としてきたなかで、ロシアとの対立を望んできたのではない。それは各種調査でNATO加盟の賛成志向が弱かったことでも示されている。
 ところが、14年を境にして、NATO加盟賛成が反対を上回るという傾向に転換した。それは、親ロ政権を打倒したいわゆるマイダン運動、それにたいするロシアによるクリミヤ半島併合、ウクライナ東部への介入、東部での政府軍と親ロ派武装勢力との戦闘の激化という情勢展開のゆえに、東部、西部、南部でかなりの地域差があるとはいえ、ウクライナ人民がロシア支配・介入への危機感を高めていったからである。親米政権がウクライナ・ナショナリズムを煽ったことが、その大きな要因であった。
 そうした歴史的経過の上に、いまロシア・プーチン体制による侵略戦争への怒りと悲しみ、憎悪と絶望によって、ゼレンスキーを頂点とした反ロシア団結といった様相が一気に強まっているかのようである。
 だが、ウクライナとロシアは、言語や宗教や文化、そして婚姻関係、親戚関係で広範な親和性がある。ウクライナ人とロシア人は民衆レベルで共生・共存してきたし、今後もそうできる。それなのに、なぜ国家権力の国家主義的な対立関係に収れんされ、分裂しなければならないのか。
 殺し合いである戦争がウクライナ人とロシア人の間にもちこまれてしまったいじょう、もはや取り返しがつかないことは現実である。しかし、ウクライナとロシアとの歴史的に豊かで奥深く緩やかな共生・共存を取り戻すことは可能なはずだ。
 ウクライナ人民が主体的意志と選択を明確にさせるということは、このロシア・プーチン体制によるウクライナ侵略戦争の全体構造とその本質をつかむことではないだろうか。
 ウクライナ労働者人民からするならば、侵略者はロシア・プーチン体制である。同時に、自らはウクライナに軍事介入せず、ウクライナに大量の精密兵器を投与してウクライナ人をロシア人と戦わせる軍産複合体国家=戦争国家・米帝こそ、もう一方の戦争放火者であり、ウクライナ人民の敵ではないだろうか。
 ゼレンスキー政権がその米帝の意向に沿っていることは明らかである。ゼレンスキーが、非武装のウクライナ民衆に向かって、“ロシア軍に武器をもって立ち向かえ、キエフを死守せよ、18歳から60歳の男性は国外に出るな”と指示していることは、決定的なまちがいである。自国民衆をそれと承知でロシア軍の犠牲に供するなど、とんでもない犯罪である。
 あえていう。ゼレンスキーとウクライナ軍部は、「徹底抗戦」の呼号をやめて、全面停戦、戦場からの撤退、降伏を決断するしかない。亡命政権をつくるのも、ロシア軍に囚われるのも選択のうちであろうが、まず停戦、降伏することだ。一国家の最高責任者であるゼレンスキーがもし政治家でありたいなら、速やかに徹底抗戦方針放棄の決断を下せ。

(つづく)


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