経筋腱収縮牽引の図(Copyright by Mitsuroku Shinjo)
「左の腰、左の股関節、左膝が痛い」ということだけ聞くと、「左の腎臓か下降結腸に問題がありそうだ」と考えてしまいますが、ときどき、ほんとに時々、肝臓からの経筋腱収縮牽引で骨盤が歪んで同様の痛みが出ているときがあります。
このイラストは「経筋腱収縮牽引の原理」を説明するために作成したものですが、イラストが説明するように、以下のような順序で体は変化していきます。
① 肝臓に異変が起る
② 骨盤が肝臓側に引っ張られる
③ 骨盤が歪む
④ 股関節に異変が起る
⑤ 膝にも異変が起る
所謂、症状の伝播ですが、原発が肝臓で、続発が股関節の痛みや膝痛になるわけですので、根本的に治療するなら、肝臓を整えなければならないわけです。
肝臓の鍼灸治療で威力を発揮するのは、私の経験では巨鍼療法が一番ですので、巨鍼療法もしたのですが、巨針療法だけだと膝痛まで取れないことがあります。
その時は、膝への治療として、心経と膀胱経を使った経絡治療で治めたり、膝関節を直接アジャストで矯正したりします。
それでも治らない時は、最終手段として、ふくらはぎから大腿後部までの巨鍼をします。
ここまでやって痛みが楽にならない方はほとんどいませんでした。
しかしこの方の場合、左右の仙腸関節の位置がちょっと違っていました。
仙骨の中心線から仙腸関節の距離が左右で違うのです。
JAA(関節調整鍼)を研究してからわかったことですが、仙骨の中心から仙腸関節までの距離が違う人が意外に多いものです。
これは骨盤の捻れや腰椎からの歪みによるものですが、仙骨の中心線から仙腸関節までの距離に差のある人は、慢性的に骨盤が歪んでいると考えることができ、それが股関節や膝に影響を及ぼしていると考えられます。
ですから、骨盤を調整してあげることが、症状を緩和させる方法になるわけです。
この方もJAAで治療してから、ベッドから降りてもらい、症状を確認してもらいましたら、腰を左右に捻じったり、屈伸運動のおうな恰好で膝を曲げたりしてから、
「はい。はい。腰も股関節も膝も治ってます」と言っていました。
自惚れに聞こえるかも知れませんが、JAAを研究し始めてから、ほんとに早く治ってします。
半分嬉しく、半分不安になっています。