ディファイアンス
2008年/アメリカ
必死に生き延びた人々の物語
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 75点
キャスト 80点
演出 75点
ビジュアル 80点
音楽 80点
「ラスト・サムライ」「ブラッド・ダイヤモンド」のエドワード・ズウィック監督が、史実をもとにナチス・ドイツに抵抗したユダヤ人兄弟を描いた異色の戦争映画。題名の「ディファイアンス」とは<果敢な抵抗>と言う意味。歴史の陰で矛盾を抱えながら必死に生き延びた人々にスポットを当てた意欲作だが、若干空回りも...。
今は世界遺産になっているベラルーシのビャウォヴィエジャの森は第2次大戦中はポーランドだった。ここにナチスの占領から逃げてきたビエルスキ4兄弟がいた。両親が殺されたのはナチスのユダヤ人迫害のために賭けた賞金欲しさの同じポーランド人警察官によるものだった。長男トゥヴィアと次男ズシュは復讐のため警官の家族を射殺。悲劇はここから始まり、果てしないナチスからの逃亡劇が始まる。
ゲットーが解体されるという情報で逃亡の説得に向かうトゥヴィアは、他の森から生き延びるために逃げてきた人々とともにコミュニティをつくり隠れて暮らすことを思い、ズシュは徹底抗戦して身を守ることを主張するようになる。寒さと飢え、兄弟の諍い、同胞たちの秩序の乱れなどを背負ったトゥヴィアのリーダーとしての苦悩がヒシヒシと伝わってくる。演じたのが6代目ボンド役のダニエル・クレイグだが全く違う人物像。もともと、こちらのほうがお似合いだ。ズシュを演じたのは「トータル・フィアーズ」のリーヴ・シュレイバー。ソ連赤軍に加わる武闘派はイメージぴったり。3男アザエルは「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベルが演じて始めは頼りないが後にトゥヴィアの片腕としてリーダーの資質を見せ始める。
この3兄弟を中心に組織されたビエルスキ・パルチザンは幾多の困難を乗り越え同胞1200人とともに森で共同生活をして行く。ドラマは随所に衝撃的な出来事が連なるがエピソードの羅列が多く、どうしても単調な展開になってしまう。ドラマチックな展開はフィクションに頼らざるを得なかった苦しさが窺える。同じポーランド人の悲劇を扱った映画でアンジェイ・ワイダ監督の「カティンの森」はソ連赤軍による大虐殺で善悪がハッキリしている。対して本作はポーランド人にとって<ユダヤ人を守った英雄>なのか<ソ連赤軍と組み、非ユダヤのポーランド人から物資を奪った山賊集団>なのか評価が分かれるところと聞く。ドラマはある程度忠実に描きながらも<ユダヤ人の悲劇と忍耐強さ>を前面に押し出している。
ポーランド人が英語で話すことが気になったが、イスラエル軍によるガザ地区大空爆のあったこの時期に、ハリウッド(英語版)で製作されたと思うのは穿ちすぎだろうか?。
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