晴れ、ときどき映画三昧

「アバウト・ア・ボーイ」 70点



・はまり役のH・グラントによるブリティッシュなヒューマン・コメディ。

 ニック・ホーンビイの小説をクリスとポールのワイツ兄弟が監督・脚色。父親の印税で気ままに暮らす38歳の独身男ウィル(ヒュー・グラント)が、母親と暮らす12歳の少年と交流することから生活や心の変化が現れるというヒューマン・コメディ。
 H・グラントといえば女性にモテモテな憎めないプレイボーイが定番のコメディが目に浮かぶ<ラブ・コメの帝王>だが、本作はそのダメ押しのような作品。
 舞台はノース・ロンドン。高級車アウディTTを乗り回しブランドもので決めながら仕事もせずガールハントに明け暮れる生活は、男にとって羨ましくもアリ老後が心配でもある暮らしぶり。結婚願望がないため腐れ縁になるのを嫌い、シングルマザーに目をつける。いわば女性の敵だが、どこか憎めないのがはまり役の所以か?
 ここで出会ったのがフィオナ(トニ・コレット)。最初のデートに付いてきたのが息子のマーカス。演じたのはのちに「XーMEN」シリーズや「マッドマックス 怒りのデスロード」などイケメン俳優としてブレークするニコラス・ホルト。子役時代の彼は美少年というよりは達者な演技で魅了。本作でも大人顔負けの演技である。
 ウツ病の母を抱えるいじめられっ子でウィルを兄や父親のような存在として懐いてくるシークエンスは二人の友情物語でもある。
 イジメや貧困という世界共通の問題をテーマにしながら、家族揃って楽しめる作品に仕上っていたのは脚本の巧さによるものだろう。オスカーは獲れなかったが脚色賞にノミネートされているのも納得。
「シックス・センス」(99)で知られるトニ・コレットも躁鬱気質ながら息子を大切に想う危なっかしいが優しい母親に扮し好演。ほかにはレイチェルという役名でレイチェル・ワイズが出ていたが、本作では見せ場がなかった。
 孤島を目指したウィルが人間は島ではないことを実感したほのぼのとしたエンディングといい、「やさしく歌って」やバッドリー・ドローン・ボーイのサウンド・トラックによって、ブリティッシュなハリウッド作品の味わいな100分だった。
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