つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

読み終わると……

2005-12-13 20:25:59 | 古典
さて、ホラーカテゴリのような気もする第378回は、

タイトル:新編 百物語
編・訳者:志村有弘
出版社:河出文庫

であります。

『今昔物語集』『宇治拾遺物語』『夜窓鬼談』『耳嚢』等の古典から百編の怪談話を抜き出し、現代語訳した本。
原文を読まないと気が済まない古典マニアならともかく、私のように気軽に読みたいと思っている方には打って付けです。

全八章構成で、各章は基本的に事件の中核を成すモノ毎にまとめられています。
順に挙げると、『鬼篇』『魔物・妖怪篇』『幽鬼篇』『予兆怪奇篇』『死霊・悪霊篇』『人魂篇』『動物怪異篇』『怪談・奇談篇』。
章タイトルだけでゾクゾクしそうですね。
(※私は妖怪フェチでも怪談マニアでもありません)

退治話あり、仏教説話あり、理不尽話あり、オチのない話ありと内容も多彩。
基本的にバッドエンドが多い気がしますが、怪談ってそういうものですよね。(笑)
一つの作品からではなく、時代の異なる複数の作品から話を抜き出しているので、風俗や感覚の変化を楽しむこともできます。

一話の長さは全体平均二頁、短い話だと十行ちょっと、一番長い話でも十頁ぐらいなので、いつでもさらっと読めるのは有り難いところ。
個人的には一夜で全話読み切る耐久レースをオススメしますが、似たような話が連続している場合もあるので気合いがない時はちょっと辛いかも知れません。

怪談話が好きな人にはかなりオススメ。
読み終わった後で怪異が発生しても責任は取れませんが……。