つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

まったりといきましょう

2005-12-03 16:07:03 | 小説全般
さて、実は今日で365日目の第368回は、

タイトル:青空感傷ツアー
著者:柴崎友香
出版社:河出文庫

であります。

すごい美人でスタイルもよくてわがままな年下の女友達の音生(ねお)と、そんな音生に振り回される私……芽衣(めい)の、まるで一貫性のない、だらだらとした旅の話。

久しぶりに音生に出会った芽衣は、早速そのわがままぶりに引きずられ、大阪へ。
3年務めた会社を辞めたこともあり、これまた音生の1ヶ月くらい遊び倒そうと言う言葉に、次にトルコへ旅行に向かう。
日本に戻ってきたかと思えば、芽衣が大学時代にふられた後輩の親戚が経営している徳島の旅館へ。
そして最後に石垣島へ。

何ともまったりと、力の抜ける雰囲気の作品だねぇ。
帯にある「恋をめぐる女ふたりのなりゆき感傷旅行」というのに嘘はないけれど、ちょろっとくすっ、ちょろっとさびしい、ちょろっと切ない微妙な感じがある。

感傷ツアーってことで、何か悲恋ものとか、重い話を想像するとそういうところはあんまりなくて拍子抜けするかもしれない。
大学時代にふられた後輩の親戚が経営する旅館に長逗留するところも、当然その後輩が出てくるけれど、ここでも恋愛小説と言うほどの話はない。
まぁ、この微妙なところが芽衣と言うキャラクターの味にもなっているとは思うのでいいのだが。

音生もわがまま三昧の鼻につくキャラではなく、しっかりと地に足のついたキャラになっていておもしろい。

まぁ、裏表紙の抱腹絶倒という文句はどうかとは思うけれど、あっさりと読めるし、重くなりすぎない「感傷」の雰囲気もいい味になっていると思う。
格別おもしろいと言うわけではないけれど、いろんな本を読んで、息抜きにぴったりなものかもしれない。