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ワニと読むミステリ(君を想いて)

読むと、積年の恨み?

(ジル・チャーチル著)
リリーとロバートの貧乏兄妹のシリーズももう第5弾です。
大きなお屋敷グレイス&フェイヴァーを相続しながらも、まったくお金のない二人は、今回看護の仕事をすることになります。
1933年3月、大恐慌下ルーズヴェルト大統領の就任式があります。ロバートはわざわざその式典を見に行くのですが、当てにしていた友人たちからの宿の提供はすべてはずれ、公園で多くの人たちと同様に野宿することになります。たくさんの人たちがただ就任式を自分の目で確かめようとするあたり、国民の期待がよくわかりますね。
近所の養護ホームの看護婦の一人がインフルエンザにかかったので、その代わりをリリーとロバートがすることになります。これが大変な重労働で、2階から地下まで洗濯物を一日に2回も運び、また洗濯が終わったらそれを運び上げないといけません。そこで労働に根をあげた生来怠け者のロバートが、小さなエレベーターを設置することを提案します。このエレベーター工事の模様もなかなかおもしろいですね。
養護ホームの入居者ショーン・コナー老人はとても扱いにくいですが、もう余命いくばくもない状態で看護婦も日夜の看護に疲れはてています。お見舞いに来るのは孫の巡回セールスマンのケリーと老人の妻。この二人はうまくいってないらしく、ケリーはコナー夫人が現れる時間には決して来ません。コナー夫人は、夫の枕元で農場がうまくいっていないから早く退院するようにとずっと文句ばかり言い続けています。
コナー老人が亡くなって、看護婦たちはどうも殺人らしいということを発見します。
事件を担当するのはおなじみのハワード・ウォーカー警察署長と助手のラルフ。ハワードはビーコン警察署長エドからも依頼を受けてそちらの事件も手伝うことになります。最初は何の関係もなかった事件が、だんだんと関連を帯びてきて、リリーの推理も冴えてきます。
最後は、リリーが容疑者宅を訪問し、さりげなく証拠物件を手に入れてきます。いくら警察関係者が見張っているとはいえ、リリーが単身で乗り込んでいくのはドキドキしますね。
1930年代の小さな町のいろいろな出来事は、読んでいて郷愁を誘い、ホッとするような気持ちになりますね。
リリーたちのお屋敷に下宿する弁護士夫妻や帽子屋さん、小学校の校長などもみな健在です。

闇を見つめて
愛は売るもの

■主婦探偵シリーズ
ジル・チャーチルのもう一つのシリーズは、主婦探偵ジェーン・ジェフリイのシリーズですが、このごろあまり書かれないのが残念。もう10冊目なんですが、もっと続いてほしいですね。
飛ぶのがフライ
カオスの商人
 
主人公: リリー・ブルースター(妹)
ロバート・ブルースター(兄)
場所:  USA、ニューヨーク州ヴォールブルグ
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中

君を想いて (創元推理文庫)
ジル・チャーチル
東京創元社

1930年代のノスタルジック
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