ワニと読むミステリ(身元不明者89号)

身元不明者89号

東京創元社

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読むと、投資は早いうちから始めましょう。

(エルモア・レナード著)
 エルモア・レナードの作品って、読んでるうちになんだか映画でも見てるみたいな気持ちになりますね。映像が浮かんでくるんですよ。勝手に好きなActorを配役したりしてね。
 ジャック・ライアン。 令状配達人。
 裁判所からの出頭命令など宛名人に届けるという仕事です。
 想像するに、なんだか危なそうな商売ですね。
 送達する相手が、隠れてる場合も多くて、そのときは相手を探して令状を渡すのですが、この「探す」ってところに技術がいるらしく、ジャックは、これがうまかったのです。 隠れた才能って、ところでしょうか。
 で、この才能を見込まれて、ある男を探してくれという依頼がきます。
 この依頼人がまた大変に怪しげで、決して依頼の理由を明かそうとしない。
 その依頼人の用心棒は、無邪気そうにあっさり人を殺してしまうし。
 依頼を受けたジャックが探し始めると、他にもこの男を探している人物がいるらしい。しかもかなり荒っぽそうな感じのする成り行きになってきます。
 どうも不穏な感じがするのでこの男のことを調べてみると、とんでもない極悪人であることがわかります。
 何人も人を殺しているのですが、精神病を装っては、罪を逃れているらしい。
 ジャックは、男の妻からようやく男の居所を聞きだすのですが、ちょっとの差で先を越され、ジャックは間に合いませんでした。
 このあたりから、だんだんとテンポが速くなり、数々登場する悪党どもも個性が光り始め、次はどうなってしまうんだーと、目が離せなくなりますよ。
 自分の命も危ないかもしれないのに、ジャックは、すっかりこの男の妻にほれてしまい、なんとか彼女の助けになろうとあの手この手。
 みんなそれぞれ悪いやつらで、殺人なんかなんとも思わないような輩ですが、なんだかとぼけたところがあって、ちょっと憎めない感じもする。
 エルモア・レナード独特の世界でしょうか。
 もっといろいろ書きたいですが、筋を明かしてしまうわけにはいきません。
 結末はどうなるか、自分で発見してください。
 
主人公: ジャック・C・ライアン(令状配達人) 
場所:  USA、デトロイト
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(タイタニック号の殺人)

タイタニック号の殺人

扶桑社

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読むと、腕っ節を鍛えましょう、身を守るために。

(マックス・アラン・コリンズ著)
 タイタニック号という響きだけで、感傷的な気分になりますね。
 ワニは、「思考機械の事件簿」は読んでいましたが、その著者のジャック・フットレルがこのタイタニック号に乗っていて、船とともに沈んだとはこのミステリを読むまで知りませんでした。
 タイタニック号の船上での犯人探しというと、なんとなくロマンチック、でしょ?
 当然探偵役は、ジャック・フットレルです。最愛の妻メイと乗船しています。
 タイタニック号の船主から、1等船客として招待されたのです。
 タイタニック号を舞台とした作品を書いてもらい、宣伝に使おうという意図からです。
 ジャックたちの部屋は、1等でも船主の部屋の次に豪華ですよ、同じ1等でも、ジャックの友人ニューヨークの舞台興行主ハリス夫妻の部屋とは大違いです。 その違いを見るのもおもしろいですね。
 ジャックが、この申し出を受けようかどうしようかと迷っているうちに、船上で怪しげな行動をとる人物を目にするようになります。
 船客に近づいては、商談と称して、なにやらこそこそと話しているのですが、いったい何をしているのか、はっきりとはわかりません。商談をもちかけられた船客に聞いても、みな言葉を濁して詳細を語ろうとはしません。
 このタイタニック号の1等船客というのが、名士揃い。

 メイシー百貨店オーナー
 大統領軍事顧問
 ロンドンの貿易商
 などなど

そうこうするうちに、この怪しい人物は、ジャックにも商談を求めてきました。
商談の内容とは?
 ここで、うすうすとはわかっていることでしたが、商談=ゆすり、であると判明します。
 ま、ジャックの場合は、何も世間に公表されてひるむものでもなかったので、手荒な洗礼を施し、追い払ってしまいます。
 いったい何人の船客が被害に会っているのか?
 と、まぁ、ここで、ゆすり屋が、自分の船室で死んでいるのが発見されます。
 船医によると、自然死にも見えると。
 ジャックは密かに探索を始めますが、また新たな殺人の被害者がボートの中からみつかります。
 2人の被害者の関係は?
 豪華客船の中を、ジャックとともに探索して歩くのは、とってもおもしろいですよ。
 1等と2等の差も大きいですし。

主人公: ジャック・フットレル(「思考機械の事件簿」の著者。高名な推理作家。) 
場所:  イギリス→アメリカの公海
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(水底の骨)

水底の骨

早川書房

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読むと、いつものことながら、骨の語る自叙伝に驚く。

(アーロン・エルキンズ著)
 スケルトン探偵 ギデオン・オリヴァーに久しぶりに会いました。
ワニの好きなシリーズで、出版されているものは全部読んでいるのですが、しばらく続きが出てなかったですね。
 今回は、ハワイです。
 ギデオンは、友人のジョン(FBI捜査官)とともに、ジョンの古い友人アクセルの所有する牧場に滞在することになります。たまには息抜きも必要ですからね。愛妻のジュリーも合流する予定です。
 と、そこで、スケルトン探偵の名に恥じず、ある骨を調べることを頼まれます。
 この牧場は、元は2人の兄弟とその妹が経営していたのですが、もう何年も前のこと、牧場が何者かに襲われ、兄弟の1人が殺されて、もう一人は行方不明。 飛行機でどこかへ向かったらしいのですが、飛行機もろとも行方がわからないのです。 
 遭難?
 この事件のことがみんなの記憶から消えかけたころ、飛行機が発見されます。ある島の浅瀬に墜落していたのです。どうしてこんなところに向かっていたのか? 乗っていたのは、本当に行方不明の兄弟の1人なのか? そこで、ギデオンが、この飛行機の残骸から遺留品の収集と、もしかしたら犠牲者の骨があるかもと、調査を頼まれるのでした。
 ハワイののどかな島に墜落していた飛行機。
 土地の人たちも滅多にいかない場所だったので、長いこと発見されなかったのです。
さて、その飛行機から採集されたのは、女性のものと思われる骨。これは、パイロットのものであろうと推察されます。
 もうひとつは、ブーツに入ったままの足の骨。
 ギデオンの鑑定や、いかに!
 2人の兄弟のどちらが殺されて、どちらが墜落したのか!
 2人の遺言書は、まったく違う内容だったところから、人の特定は大変重要な意味を持ってきます。

 観光牧場を経営する姪や、ヒーリング施設を開設している姪、弁護士をしている甥、牧場に愛情をそそいでいる甥、1人残されてしまったおばのダグマーは、カメに餌をやるのが日課です。
 その後の家族はさまざまな生活を営んでいますが、これらの財産を失う羽目になるのか?
 ブーツの中から発見された足の骨の鑑定は、さすがスケルトン探偵ですよ。
 かかとの骨に骨折のあるのは、どういう職業の人間か?
 足指はいったいいつごろ切断されたのか?
 毎回骨にまつわるウンチクも楽しいし、ジュリーとの細やかな愛情のやりとりも暖かく、ジョンとの軽妙な会話が、ハワイののんびりした空気とあいまって、ほのぼのした雰囲気です。

主人公: ギデオン・オリヴァー(人類学教授) 
場所:  USA、ハワイ
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(イングリッシュ・ブレックファスト倶楽部 お茶と探偵4)

イングリッシュ・ブレックファスト倶楽部 お茶と探偵4

ランダムハウス講談社

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読むと、趣味が高じても言い訳にはなりません。

(ローラ・チャイルズ著)
 早いですね、もう4冊目です。
 チャールストンの住民はイベント好きなのでしょうか、今回も、いろんな催し物がもりだくさんです。
 もちろん、ドレイトン(インディゴ・ティーショップのティー・ブレンダー)のお茶に関するウンチクのページも多数あります。ヘイリー(インディゴ・ティーショップのパティシエ)の新作料理も実においしそうで、チャールストンまで食べに行きたいくらいです。ワニは食いしん坊なので。
 3作目のアール・グレイと消えた首飾り お茶と探偵 3 では、デレイン(ブティック・オーナー)の姪の結婚式から事件が始まりましたが、今回はデレインの姉 ナディーン登場。デレインに負けず劣らずの個性派です、少々難有ですが。
 チャールストンの海岸で、ウミガメの赤ちゃんがタマゴから孵化し、海に帰るのを見届けるというボランティア活動が事件の発端です。楽しく過ごしていたセオドシアたちの目に留まったのが、なにやら怪しげな流体物。病気か怪我をしたクジラかなにかかもと、セオドシアは海に入り確かめようとするのですが、それは当然死体でした。しかも、ドレイトンの友人の骨董商で、古い沈没船をみつけ、その財宝を狙うというトレジャー・ハンター。ちょうどすごい沈没船を見つけたらしく、秘密の地図を作っていたようですが、その地図がどこにも見つかりません。
 イングリッシュ・ブレックファスト倶楽部の会員仲間だったドレイトンは、友人を亡くしてがっくりしてしまいます。
 デレインは、<ファッション・バッシュ>というランチ付きのファッションショウを企画していますが、いろいろと障害が起こります。ヘイリーやセオドシアも、モデルを割り当てられたり、ドレイトンも抵抗空しく司会役を引き受けるはめになり、インディゴ・ティーショップの経営もあっててんやわんや。
 ショウのクライマックスではとんでもないことになり。
 そして、今回は、発作警告犬という特殊任務のイヌも登場します。飼い主に発作が起こりそうになると、直前に察知し、警告してくれるのですよ。こんな特殊な才能を持ったイヌもいるのですね。日本にもいるのでしょうか。
 セオドシアの飼い犬アール・グレイも、相変わらずセラピー犬として老人ホームを訪問したりと、イヌの生活も忙しいです。
 セオドシアの恋人ジョリー(弁護士)との中も進展しているようですが、ジョリーのヨットが災難にあいます。これも事件に関連してるのか、してないのか。
 謎解きとしては、少々物足りないかもしれませんが、チャールストンの街並みや、その数々のイベントに免じて許してもいいかも。
 毎回イラストがきれいですね。
 5冊目は11月ごろに予定されているようで、油断なく出版を見張っていないといけませんね。

 主人公: セオドシア・ブラウニング(インディゴ・ティーショップのオーナー) 
場所:  USA、サウスカロライナ州チャールストン
グルメ: ティとお菓子
動物:  犬:アールグレイ(セオドシアの愛犬、セラピー犬)
     サム・ヘイリー(発作警告犬)
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(苦いオードブル)

苦いオードブル

早川書房

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読むと、強い愛情は、破壊にも通じる。

(レックス・スタウト著)
 レックス・スタウトというと、つい美食家&ランのネロ・ウルフのシリーズばかりを思い出してしまいますが、別のものもあるのですね。
 探偵 テカムス・フォックス。
 ネロ・ウルフは、不機嫌でうなってることが多いですが、このフォックス氏は、軽妙で身軽、どこへでもでていきます。特に美食にはこだわってないみたいですし。ネロ・ウルフと違って、女性にも関心があるようで。
 手袋の中の手で、女性探偵としてデビューしたドル・ボナーが同業者としてでてきますよ。しかも、女性スタッフを揃えて探偵事務所を開いています。すごいですね。
 お話は、ニューヨークの町を駆け巡るので、地図を広げてみるとおもしろいかも。でも、1930年代だから、今とはずいぶん違っているかもしれませんね。
 フォックス氏は、美食家ではありませんが、やっぱりレックス・スタウトの好みなのか、事件は老舗の食品会社を揺るがすスキャンダルで始まります。
 看板商品の瓶詰オードブルに、キニーネが混入していたのです。返品が続き、評判は落ちて、おまけにこの会社の買収に名乗りを上げる会社が2つも現れます。このキニーネ混入と会社買収の関係はあるのでしょうか。
 さらに老舗食品会社の社長が殺されてしまいます。
 第一発見者は、社長の姪で、ドナ・ボルー探偵事務所の探偵でもあるエイミーです。エイミーは、買収を持ちかけた会社の意図を探るべく、その会社の副社長クリフに接近し、なんとか事情を探ろうとしていたところに起こった殺人事件で、エイミーの指紋が凶器に残っていたところから、容疑者にされてしまいます。
 そこで登場するのが、エイミーと偶然知り合ったフォックス氏。
 大会社のやり手社長にも敢然と立ち向かい、過去の経緯もだんだんと明らかにしていきます。
小気味の良いシャレたやり取りが楽しいです。
 このフォックス氏のシリーズが続いて翻訳されるのを、心待ちにしています。
 あなたも、きっと気に入ると思います。

主人公: テカムス・フォックス(探偵) 
場所:  USA、ニューヨーク
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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