ワニと読むミステリ(殺しはノンカロリー)

読むと、老人はなんでもお見通し。

(コリン・ホルト・ソーヤー著)
 ダイエット?!
 アンジェラとキャレドニアが?!
 みなさん信じられないかもしれませんが、本当に2人は、<海の上のカムデン>から飛び出して「タイムアウト・イン」で、ダイエットすることになります。
 キャレドニアのたっぷりのカフタンはどうなるのかと、心配される向きもあるかもしれませんが、みなさんご安心を。 アンジェラたちの目的は、殺人事件の捜査です。
 「タイムアウト・イン」を経営するドロシーは、アンジェラたちの友人です。その「タイムアウト・イン」で従業員が殺されるという事件が起きるのですが、警察はなかなか事件を解決することができません。そこで、ドロシーから、アンジェラは殺人事件の捜査を頼まれるのです。 
 「タイムアウト・イン」は、美容のためダイエットにはげむお金持ちの宿泊客のためのスパ。
ダイエットと聞いてしぶるキャレドニアを説き伏せ、2人は勇躍殺人事件の捜査に向かいます。
 そして担当する警察は、アンジェラたちのお気に入りマーティネス警部補です。
 ちびすけスワンソン(マーティネス警部補の助手)も一緒ですよ。
 アンジェラが、いやいやながら自転車こぎマシーンで汗を流したり、トランポリンで飛び跳ねたりするところは、その情景を想像して、不謹慎な笑いが浮かんでしまいます。
 しかし、もうひとつの殺人事件が起こり、さらにキャルに重大な危機がせまります!
 はたしてキャルは、その危難をのりきることができるのか?
 
■海の上のカムデン
 <海の上のカムデン>(高級老人ホーム)は、サンディエゴ近くに位置するということですが、山火事の被害にはあっていないでしょうか? カリフォルニアの山火事のニュースが報道され、サンディエゴあたりも避難しなければならないというような話をきくと、アンジェラや、キャレドニアたちの生活はどうなったかなと、心配になります。

945円。チェリー・チーズケーキが演じている903円と一緒に買うと、1500円以上になるので、送料が無料になります。

主人公: アンジェラ・ベンボウ (老人ホーム住人。故提督夫人)
     キャレドニア・ウィンゲイト (同じく、老人ホーム住人。故提督夫人)
場所:  USA、カリフォルニア州 サンディエゴ近く
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中


殺しはノンカロリー (創元推理文庫 M ソ 1-5)
コリン・ホルト・ソーヤー,中村 有希
東京創元社

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ワニと読むミステリ(メールオーダーはできません)

読むと、犯罪もアートで表現できる?

(レスリー・メイヤー著)
ルーシーは、3人の子どもの母親です。
夕方から、通信販売会社の電話でオーダーを受ける仕事にでかけます。
 休憩時間にちょっと外に出たところで、不審な車を発見。こんな夜中に駐車場でエンジンかけっぱなしでいるなんて、ヘンです。
 ミステリ好きで好奇心の強いルーシーが近づいてみると、マフラーからホースが室内に引かれているのを見つけます。
 駐車場で、自殺?
 でも、亡くなっていたのは、この通信販売会社の社長で、お金持ちで美人の奥さんも子どももいるような幸せな結婚生活を送っていて、自殺の理由がみつかりません。その後、社長は殴られていたことがわかり、自殺→殺人へと事件は変わります。
ルーシーは、地元の巡査バーニーと一緒に捜査を始めるのですが、そのバーニーが事故にあい、意識不明の重態に陥ってしまいます。 通りなれた道で事故を起こすなんて、考えられない、これも他殺?
 
 もうすぐ、クリスマス。
 子どもたちのためのプレゼントも買いにいかなければならないし、クリスマスの準備も大変です。 
 ルーシーの母と夫の両親が、ルーシーの家で、クリスマスを過ごすのですから、その準備も並大抵のものではありません。
 それに子猫もなんとか手に入れないといけないし、子どもたちの学校の行事もあるし。
 目が回りそう。
 
 ワニは、クリスマスのミステリは大好きです。
 あったかくて、あわただしくて、そわそわしてて。
 そしてクリスマスの日は、厳粛で。

■主婦探偵
 主婦探偵ジェーン・ジェフリー(ジル・チャーチル著)のシリーズが、このごろ翻訳されていませんね。
 最後に出版されたのは、飛ぶのがフライ
 ジェーンも学校の行事、子どもの送り迎えで毎日忙しいですね。 
 こちらも一緒に読むと、楽しいとワニは思います。

 2冊買えば、1500円を越えるので、送料がタダになりますね!

主人公: ルーシー・ストーン (ミステリ好きの主婦)
場所:  USA,メイン州ティンカーズコーヴ
グルメ: なし
動物:  ネコ:3匹
ユーモア: 中

メールオーダーはできません (創元推理文庫 M メ 2-1)
レスリー・メイヤー,高田 恵子
東京創元社

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ワニと読むミステリ(チェリー・チーズケーキが演じている)

読むと、どんなときも、お菓子を食べればなんとかなる。

(ジョアン・フルーク著)
 もう第8弾だそうです。
 全部読んでますか。
 待ち望まれた翻訳です。
 
 今回は、レイクエデンの街に、映画のロケ隊がやってきます。
 映画のロケは、おいしいものと殺人事件が、似合います。
 映画監督といえばいやなヤツってことになっているのでしょうか。
 女好きで、わがままで、傲慢。
 何回やってもうまく演じることのできない俳優に業を煮やし、自ら演技指導したところで、銃が暴発。
 ハンナの作ったチェリー・チーズケーキにつっぷして亡くなってしまいます。
 監督は、チェリー・チーズケーキが大好物で、このロケではハンナが毎日このケーキを届けることになっていたのです。 どんな味なんでしょうか。
 刑事マイクに止められながらも、またハンナたちは事件解決の糸口をみつけようと、映画関係者や町の人たちの間をかぎまわるのでした。
 ハンナの妹アンドリアとミシェルも参加。もちろんハンナの魅力的な母ドロレスも。
 
 映画には、レイクエデンの町の住民も出演できるとあって、みんなオーディションに大騒ぎです。
 アンドリアの長女トレイシーは、ヒロインの少女時代役を射止めることができるでしょうか。
 ハンナまで、映画にでますよ。 どんな役でしょう。 お菓子屋さんではありません。
 さらにおどろくことに、ハンナの愛猫モシェも、演技します。
 ワニは、モシェの出番のときが、一番はらはらしました。
 でも、意外に芸達者です。
  
■レシピ
 今回もレシピ満載です。
 作ったこと、ありますか?
 ワニは、ないですが、毎回、ヨダレがでそうになります。
 
■マイクとノーマン
 前作で、2人から同時にプロポーズされたハンナの困惑。
 今回は、そのプロポーズから1週間。
 ハンナは、どう行動したのでしょうか。
 予想のあたった人はいるのでしょうか。
 さらに、今回は、大学時代の友人が、ぐんと素敵になって登場。
 マイクとノーマンが、共同戦線をはるところも見どころかも。

主人公: ハンナ・スウェンセン (クッキー・ジャーのオーナー)
場所: USA、ミネソタ州レイクエデン
グルメ: お菓子(レシピつき)
動物:  ネコ:モシェ
ユーモア: 中


チェリー・チーズケーキが演じている
ジョアン・フルーク
ソニー・マガジンズ

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ワニと読むミステリ(殺人遊園地へいらっしゃい)

読むと、家族の愛情も複雑。

(クリス・グラベンスタイン著)
 実におもしろい。
 ダニーは、女の子が大好きで、遊ぶのも大好きの気楽な青年。夏季臨時警察官になったのも、帽子の警察徽章に女の子が弱いから。
 シーパクは、すべてに規範があるカタブツの巡査。軍隊時代の旧友のコスグローブ署長に呼ばれて警官になったばかり。 
 シーヘイヴンの街はリゾート地で、誰もが1週間の休暇を楽しみにのんびりくつろぎにくるところです。ダニーとシーパクのコンビも、のんびりとパトカーで街を流し、ちょっとした違反やらを取り締まればよいはず、だったのが、殺人というリゾート地にはあってはならない事件が起こります。
 しかも被害者は町の大富豪のハート。 
 唯一の目撃者は、その一人娘のアシュリー。
 
 シーパクはイラク帰りで、狙撃の腕は一流。 きっちり規則は守るし、倫理観も強い。
 かたやダニーは、規範など持ち合わせてなく、楽しければよいという性格。
 まるで反対に見えるのですが、そこがなんとなく気があってお互いに補い合い最強のコンビで、事件解決に向かいます。
 遊び人のダニーは、シーヘイヴンのレストランやそこのウエイトレス情報に詳しく、リゾート地の遊戯施設にも通じているところが、事件解決に大変役立ちます。このあたりが、なんだかおかしいです。
 若者言葉をシーパクが理解できないでいるのを、ダニーが普通の言葉に通訳するところは、笑ってしまいます。
 
 ほのぼのして、ずいぶん昔の話のような感じがしますが、実は内容としては、現代人の心の闇を扱っていてやりきれないような無力感も感じます。 このあたりがこの作品の深みかもしれませんね。

 もう2作目、3作目も本国では出版されているようなので、翻訳も続けて出ることを期待します。
 
■シーヘイヴン
 これは、架空の市?
 ニュージャージー州の中にこんな街があるのか検索してみましたが、発見できず。
 
■科学捜査官
 科学捜査官の、サンディがいい味です。
 「いえ、煙幕のほう――第一の犯罪よ。 いいわね?」(P410)

■スプリングスティーン
 シーパクは、すべての曲の歌詞を覚えているようです。
 常に引用します。

主人公: ダニー・ボイル(シーヘイヴン警察の夏季臨時警察官)
ジョン・シーパク(シーヘイヴン警察の巡査。ダニーの相棒)
場所:  USA、ニュージャージー州シーヘイヴン
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中


殺人遊園地へいらっしゃい (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 13-1)
クリス・グラベンスタイン,猪俣美江子
早川書房

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ワニと読むミステリ(東方の黄金)

読むと、人間は欲望に弱いもの。

(ロバート・ファン・ヒューリック著)
 ディー判事は、もうご存知ですか?
 中国、唐の時代のお話です。
 でも、著者は、オランダ人。
 ディー判事のシリーズは、もう何冊も出てますが(何冊かは忘れました。たぶん10冊くらい)、これはシリーズの第1作目にあたります。初めてディー判事が任地に赴くところからお話は始まりますよ。
 中国唐の時代の友の送り方って、こうだったんですね。
 ディー判事とずっと行動を共にすることになる2人の忠実な部下、喬泰と馬栄との出会いも語られます。これまでの作品の中でなんどもこの出会いのところに言及されるのですが、詳細がわからなくてちょっとフラストでしたが、ようやくわかって満足しました。
 なるほどね。
 ディー判事の雨龍(刀)との因縁もここから発しているのですね。
 「剣によって死ぬさだめとあらば、わが血を吸うのがこの剣でありますように!」とは、喬泰の言葉ですが、この言葉を思い出すことになりますよ。
 というわけで、ディー判事のファンならば、絶対に見逃せない1冊です。
 まぁ、全部見逃せないですが。
 
 ディー判事がまさに赴こうとしている県の前任知事は、不可解な状況で毒殺されています。
 ディー判事は、その謎を解くことも最初の仕事のひとつです。
 また、密室殺人ですよ。
 前知事は、どうやって毒殺されたのか!
 みなさんは、どう謎を解きますか?
 
■山東省平来県
 ディー判事最初の任地は、韓国との国境近くです。
 中国と韓国の関係や貿易、宗教の違いについて学べます。
 
■幽霊
 ディー判事は、前知事の幽霊に会います。
 執務室に出没しているらしく、他にも目撃者があります。
 この幽霊は、ディー判事の命の恩人となりますが、ほんとにディー判事にとっては、危うい状況でした。

主人公: ディー判事(狄仁傑) (判事)
場所:  中国
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小


東方の黄金〔ハヤカワ・ミステリ1804〕 (ハヤカワ・ミステリ 1804)
ロバート・ファン・ヒューリック,和爾 桃子
早川書房

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ワニと読むミステリ(秋のカフェ・ラテ事件)

読むと、引き継ぐのは、正と負と両方。

(クレオ・コイル著)
 コーヒーとミステリ。
 コーヒーのウンチクたっぷりで、コーヒーに添えるお菓子もあり。
レシピ付き。
 ワニは、いつもおいしそうだなぁと思うのですが、まだレシピを試したことはありません。
 
 今回は、ファッション界をめぐっての殺人事件です。
 クレアの店「ビレッジブレンド」では、今日は貸切のパーティ。
 ジュエリー・デザイナーのロッティ主催のパーティです。
 さすがファッション界のお話なので、モデルやらデザイナーやら、とっぴな格好をした男女やら、奇抜な人たちがたくさんでてきます。 それぞれのスタイルをじっくり観察するのもおもしろいと思いますが、ワニは、皮しかわかりませんので、いろんな用語がちんぷんかんぷん。
 クレアの店のバリスタは、大忙しでいろんなコーヒーをお客様にサービスしています。
 バリスタが持ってきたラテを男性が口にしそれをまた友人が口にすると、突然悶絶し、息絶えてしまいます。
 華やかなパティの席で起きた殺人事件!

 いつもは、クィン警部補が現れるはずなのに、なにやら家庭内のもめごとのため休暇で、その代わりに、「悪い警官ともっと悪い警官」が捜査に加わり、クレアの店はめちゃくちゃで、大切な友人でもあるバリスタが逮捕されてしまいます!

 クレアは、元夫マテオとの仲もなんだか先が読めない展開で、クィン警部補も気になるし、次の作品で2人との関係がどうなるのか、ワニは気になります。

 ■ロースト
 コーヒーの焙煎の種類をあらわす言葉。
 みなさん、知ってましたか?
  1. ライトロースト
  2. ミディアムロースト
  3. ダークロースト
  4. ヘビーロースト

 ライトローストは、シナモン、ハーフシティにあうそうです。
その他のミディアムローストが何にあうのかは、読んで確かめて。


主人公: クレア・コージー (ビレッジブレンドのマネージャー)
場所:  USA、ニューヨーク
グルメ: コーヒー、お菓子
動物:  ネコ:ジャヴァ
ユーモア: 小



秋のカフェ・ラテ事件 [コクと深みの名推理3] (ランダムハウス講談社 コ 2-3 コクと深みの名推理 3)
クレオ コイル,小川敏子
ランダムハウス講談社

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ワニと読むミステリ(赤き死の訪れ)

読むと、良い絆も悪い絆も、両方ともに断ちがたい。

(ポール・ドハティ著)
 今度は、ロンドン塔で起こる連続殺人です。
 1377年ごろのお話なので、日本だと、室町時代ですね。
 最初の殺人は、密室に近い設定です。
 なぞめいた手紙が届いてから、ロンドン塔内に寝室を移し万全の警備をしいていたはずなのに、ホイットン卿はある朝ノドをかききられて死んでいるのを発見されます。
 脅迫状が、なかなか興味深いです。
 三本マストの船の絵と四隅に黒い十字架、胡麻のシードケーキ。
 脅迫状にも儀式があるんですね。 なお怖いような気がします。
 その後、ホイットン卿の友人たちが次々と殺されていきますが、それぞれ工夫に富んだ殺人方法です。
 ホイットン卿とその友人たちは、どうやら昔のある出来事で固く結ばれているようで、今度の連続殺人はその昔の彼らの悪事に関係するらしい。
ということはわかるのですが、それが何で、いったいその時の借りを返そうとしているのは誰なのか、さっぱりわかりません。
ワニは、なかなか謎が解けないので、そわそわしながら読みました。
うーん、なかなか。

クランストン卿は、けんかっぱやくて、威張り散らして、口が悪くて、無残な死体を見ても平気で、でも気が優しくて、良い人間なんですが、どうにもこうにも、小柄な奥さんにはからっきし弱いということが、この作品で判明します。
太鼓腹のクランストン卿が、妻が隠し事をしているらしいのに気がついて思い悩む姿は、かわいそうなんですが、滑稽ですよ。 
なんでもずけずけものをいうクランストン卿なのに、妻の涙を見ると、もうどうして良いのかわからなくて、理由をただすこともできず、ひたすら思い悩んで、アセルスタン托鉢修道士に相談するところなんか、クランストン卿がいとおしくなるくらいです。
さて、奥さんの悩みとはなんだったんでしょうか?
粗野なクランストン卿に愛想をつかして、恋人ができたのか?
そう考えると、クランストン卿は心配のあまり食欲も進まないくらいです。
大酒飲みのおお食らいなのに、です。

アセルスタン托鉢修道士の方も、自分の教会で問題が発生し、これまた心配ごとがたえません。
いったい誰が何の目的で、教会の墓地から死体を盗むのか。

今回の作品は、連続殺人事件もさることながら、クランストン卿とアセルスタン托鉢修道士の悩みの行方もきになって、ページをめくる手も早くなってしまいました。
速読法を習っておけばよかったと思ったくらいです。 

 ■修道士
ジョン・クランストン卿が、「修道士!」と呼ぶたびに、「托鉢修道士」と、訂正するので、気になっていました。
Wekipediaによると、「托鉢修道会」は、ローマ・カトリック教会における修道会の形態のひとつだそうです。
 
 ロンドン塔で、クマが飼われていたのですね。
 動物虐待に近い状態のようですけど、あの頃はあんなものだったんでしょうね。
 
 クランストン卿とアセルスタン修道士の1作目は、こちらです。
 毒杯の囀り

主人公: アセルスタン修道士 (托鉢修道士・ジョン卿の書記)
ジョン・クランストン卿 (シティの検死官)
場所:  イギリス、ロンドン
グルメ: なし
動物:  ネコ:ボナベンチャー
ユーモア: 小


赤き死の訪れ (創元推理文庫 M ト 7-2)
ポール・ドハティー,古賀 弥生
東京創元社

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ワニと読むミステリ(ダリアハウスの陽気な幽霊)

読むと、人間の欲は、終生変わらぬもの。

(キャロライン・ヘインズ著)
 サラは、舞台女優にあこがれて演劇を志したものの、夢破れてダリアハウスに帰ってきます。広大な屋敷を相続したのは良いけれど、一文無し。
 ダリアハウスに住むのは、サラと屋敷付きの幽霊ジティ。
 ジティは誰だったのでしょうか?
 サラの、曾曾祖母の世話係、でした。 
 つまり、ダリアハウスの華やかなりし頃のことを知っているので、借金の申し込みが通らなければダリアハウスを手放さなければならなくなるという状態にたえられず、サラに重大な提案をします。
 サラの友達の愛犬シャブリを誘拐して身代金をとること。
 サラはジティにけしかけられたり、はげまされたりで、なんとかこの誘拐劇を乗り切りますが、そのせいで、友達から、昔のボーイフレンドが本当にその母親を殺したのか確かめて欲しいと難しい依頼を受けてしまいます。
 ジティに助けられながら、サラは昔の事件を調べ始めます。
 ミシシッピーデルタにおける結婚観の描写も実におもしろく、良い結婚にいたるまでの手練手管とか、手本にするところも多いかも。
 良い結婚の条件とは?
 もちろん愛情は優先度が低いです。
 サラの恋愛生活も、浮き沈みが激しく、好きでもない男に言い寄られ、その気になったらなんだかおかしな展開になり。
 すっかり恋人のつもりでいたら、相手はそうでもなかったり。
 サラの恋愛は、不運続きです。
 
 コージーミステリとはいえ、推理は綿密で、昔の事件と今との関連もしっかりしているので、笑いながらも脳細胞は活発になります。
 
 アタマのコリをほぐしながら、脳細胞を活性化させたい人に、お勧めです。

■幽霊
幽霊と一緒に探偵するといえば、
ミステリ書店(1) 幽霊探偵からのメッセージ
幽霊探偵の5セント硬貨
幽霊探偵とポーの呪い 
(アリス・キンバリー著)
ですが、こちらの幽霊は私立探偵なので、探偵の技術を教えてもらえます。
 ジティは姿を現すことができますが、こちらの探偵幽霊ジャックは、まだその力は弱いですね。
 幽霊にもいろいろあります。

広大な屋敷はあるけど、一文無しなのは、
 闇を見つめて (ジル・チャーチル著)
の、ブルースター兄妹です。(全3冊。2007/10月現在)
 こちらは、お屋敷を相続したものの、その相続の条件がこの屋敷に住むことだったので、売却もできずお金もなくで、やりくりに四苦八苦です。
 錬金術をみるのも、楽しみの1つです。
 ジル・チャーチルには、主婦探偵ジェーン・ジェフリイのシリーズ(飛ぶのがフライ)もありますので、お間違えのないように。

主人公: サラ・ブース・ディレイニー(ダリアハウスの女主人。元舞台女優) 
場所:  USA、ミシシッピーデルタ
グルメ: なし
動物:  イヌ: シャブリ
ユーモア: 中


ダリアハウスの陽気な幽霊 (創元推理文庫 M ヘ 12-1)
キャロライン・ヘインズ,下山 真紀
東京創元社

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