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性同一性障害になやむ若いMTF当事者に向けてのメッセージです

勇気(信念と友人)(未来の先輩のために②)

2018-10-08 21:39:20 | 未来の先輩のために
 私がこれから移行しようと考えている、悩んでいる若い子に次に大切だと伝えたいことは、踏み込める勇気をもつことです。
 私はある年齢からの移行でしたから特にそう感じたのかもしれませんが、それまで自分を隠していた人生は川の流れをなんとかよけたり流されたりするような感じ、移行を決めて動き出した一つ一つのことは、まるで激流をさかのぼるような感じでした。ちなみに、今は川の流れに身を任せているようなのんびりした感じです。
 いったい流れに逆らわないといけないのは何でしょうか。
 それは、「他の人」とのかかわりです。
 移行に向けて、一歩一歩自分の願いを実行に移すといちいち他の人からの否定的な声や否定的な雰囲気や、そうでなくても否定的におもわれているんじゃないかとの不安が出てきます。それに、打ち勝たなければいけません。(ただし、もちろん移行に際してはそんな障害は最小限にとどめられるべきです。)
 
①男の子でもいるよ
 比較的ハードルの低い勇気ですむものとしては、文具などの持ち物やおもちゃなど、普通なら女の子しか買ったり遊んだり持ったりしないものでも、「欲しいものを持つのは自由」という気持ちで勇気を出して買ってもらったり、自分のお小遣いで買ったりすることでしょう。自分の中で「男の子でもすきなものはすき」という信念をもって、なんとか壁を壊していかなければいけません。

②カミングアウト
 お母さんやお父さんなど家族の人、信頼できる友だちに自分の気持ちをカミングアウトするということも、勇気が必要です。ばかにされるんじゃないか、叱られるんじゃないか、そして、悲しませるんじゃないか、とそういうことが頭に浮かんできますね。ただ、遅かれ早かれ移行するためには、家族には伝えなければいけません。(大人になって家出をして隠れて移行もありにはありだが例外)
 「家族の人が反対しても、自分は変わる」
 「家族は、私が幸せになることを一番に願っている」
とか
 「本当に信頼している友だちだから、理解されなくても、裏切られても悔いはない」
とか、そういう信念を持って、勇気を出して言うことになります。
 ただ、伝える方法や時期は、自分と相手にとって一番いい時期がいいでしょう。例えば、家族では一番伝えやすい人から伝えるとか、面と向かっていいづらかったら手紙やスマホ経由で伝えるとか、時期もある程度①で気持ちを探ってからでもいいかもしれません。

③髪と服装
 MTFの場合、意外とハードルが低いのが、髪を伸ばすことです。何もしなければ自然に伸びてきますから。親から「早く髪を切りに行きなさい」「切ってあげるから」という圧力を一日延ばしにしたり、逃げたりすることでとりあえずはなんとかなります。ただ、放っておくだけだとサイヤ人にまりますが。
 まだ自分のお小遣いでしか過ごせない小中学生は、服装を変えていくためには家族への②が必要になります。その上で、理解が得られた上で、例えば勇気が出なければ、おうちの中だけでや旅行先だけで女の子の格好をするなどということができるし、勇気が出れば、友だちのおうちだけでとか、学校でもとかに広がっていきます。その都度「他の人」のネガティブな反応(やそれを思い浮かべてしまっての不安)が出てきますが、
「女の子が女の子の格好をして何が悪い」
「どんな格好をしても誰にも迷惑をかけてないし、法律にも違反していない」
という信念で乗り越えなければいけません。
 とは言っても、かなりハードルが高いですし、いじめや偏見からの変なアドバイスは狡猾に必死になって向かってきます。信念だけでは乗り越えられないかもしれません。なので、避けられれば避けてもいいし(例えばある段階での引っ越し転校)、次の次に書く予定の「友だち」がとっても大切になってきます。あなたの決断を、勇気を、味方になってくれる家族か友だちは必ずいます。けれども、それが今あなたには気づかないかもしれません。
「いじわるしてくるやつは弱いやつだ。」
「自分の価値観を押しつける人は自分の価値観に自信をもてない人だ。」
そんな信念を持っていても、やつらの攻撃はやまないかもしれません。そうであれば、
「いざとなったら学校に行かなければいい。くだらない戦いをつづける必要はない。」
「弱いあなたたちが受け入れないなら、私はこんなとこにいないで(弱いあなたたちを見捨てて)別のところでもっと強くなる。」
という信念も必要でしょう。

④学校(あるいは職場)での扱いの変更
 ③の段階での勇気をもってすれば、④はそれほどの勇気は必要ないかもしれません。ただ、④は要求することへの勇気は③ほどでもないかもしれませんが、実現するためにはかなりしんどいハードルがあります。本当はそんなハードル必要ないのですが。それは、「他の人(の考え方、認識)を変えなければいけない」作業だからです。強さか粘り強さか柔軟さか運か、あるいはそれらの組み合わせが必要です。
「本人の本当の性別(あるいは願い)で扱われるのが正義だ」
と強く要求し続けることもひとつですし、
(要求しながら話し合い)「少しずつ変えていこう」と粘り強く進めることもひとつですし、もしかしたら理解のいい学校(やクラスメート)でぴょんと移行できるかもしれません。いずれにしても勇気をだして踏み込まなければいけません。あなたの心の中を読み取って周りが変わってくれるなんて魔法はないのです。

「今勇気を出せない人へ」
 ネットでは、小学生のうちに家族の理解があって変われている子達を何人も見つけることができます。(ただし、その人達一人ひとりはほとんど孤立した不安な状態だと思いますが。)その子達、その家族の方たちは、勇気があって前に進められました。おそらく、願望はあっても何も行動に移せていない子がたくさんいると思います。ほんとうはどうなのか悩んでいる子については、試してみるとか病院に行くとかの勇気が必要なのでしょう。また、自分の中の決断を待つという勇気が必要かもしれません。
 私は、勇気を出して踏み込むときには、上の「」で述べたような信念を心の柱にして進んでいきました。先に述べたように、自分一人ではなんともならない場面が多く、たくさんの、本当にたくさんの家族友人に助けられ励まされました。ただ、先回りして、まだ心の準備ができていないのに家族や友だちがお膳立てしてあげる必要はありません。そうではなく、本人が今後勇気を出せるような、あるいは今の決断できない自分でいいと思えるような支援が大切になってくるのではないかと思います。
「あなたは、今勇気が出せなくても、悩んでいても、今のあなたがすばらしい。そして、今後あなたがどんな決断をしても、それが間違ってあとで方向を変えても、その人生は絶対すばらしいし、わたしはあなたを応援するよ。」
もし、誰か身近な人で支えてあげたいひとがいたら、そんな立ち位置でかかわってほしいです。わたしは、たくさんの人にそんな風にかかわってもらいました。