女の子になる方法、教えます!

性同一性障害になやむ若いMTF当事者に向けてのメッセージです

はじめまして(*^_^*)広瀬沙織です

3008-09-01 22:00:26 | ブログについて
<修正・追記情報>
・諸般の事情により、現在コメントは承認制になっております。
純粋な記事の内容についてのコメントについては承認します。
私個人に対しての私信については、以下のアドレスへメールをいただければ幸いです。
(2012.11.11)


・過去のエントリー
性自認は変化する~何によって?は、その主旨の根幹がオリジナルなものでないことに気づきましたので、参考元を明記しました。
 
 無意識とはいえ、参考しておきながらさもオリジナルな着想であるかのように記述したことについて、参考にさせていただいた石倉由さん、並びに読者の方々にお詫び致します。(2012.7.8)

・・・・・・・・・・・・・・・・

 このブログは、基本的には更新順になるようになっていますが、この記事は常に冒頭に来ます。
 このブログの趣旨については→性別移行は技術である
 わたしの超簡単な略歴については→私について
 2013年頃の私のことについては→私について(最近の私)
 2017年頃の私のことについては→絶望よこんにちは(近況報告2017)
 2019年頃の私については→近況報告2019
 2022年頃の私については→近況報告2022
をご覧ください。
 また、今読み返すと古くなったり当たり前になったりしたこともあるので、今でもお勧めしたい記事を
このブログへの入門編にまとめました。

 それ以外の通常の記事は、最新のものが読みたい方は、そのまま
 テーマ別にまとめて読みたい方は、カテゴリーを選択してお読みください。

 私広瀬沙織のメールアドレスは
  saoris71(あっとまーく)yahoo.co.jp
 です。もし、何かありましたら気楽にメールください。
 ただ、友人の方はご存じの通りかなりの亀レス仙人です。
 返事が半年後などということもありますので、予めご了承ください。

(2008.9.1記
 2011.7.10追加
 2020.12.28編集・追加)  

希望のトランスジェンダー

2023-06-24 20:29:58 | ブログについて
理解増進法?の審議過程で様々な意見表明があり、これからトランスされる方、埋没されてない方には不安や怒りがいっぱいかもしれません。
女性のスペースに入り込まれることは嫌という方から、トランスの権利を強く主張される方まで、話を聞いていると何が正しいのか分からなくなってきて、自分の辛さは不当なものなのか、他人のために我慢しないといけないものなのか、生きていていいのかと絶望の思いになった方も多いと思います。

けれども、
世の中は変わっていくのです。必ず。

ではどのように変わっていくのか
あるいは
変えていくのか

自分の行動で理解を広げていくことしかありません。
自分の武勇伝を伝えても、時代が違うので参考にしかならないかもしれませんが、
私は
移行前までいた職場で、能力的に仕事では抜きん出た実績は積めないと思い、地域のイベントには積極的に参加しました。町内会での旅行、お葬式の手伝い、ゴミ拾いなど
在職トランスを強く否定された職場の上司に誘われて村の音楽サークルに何年も参加しお祭りで一緒に発表、(私を誘う上司もすごいですが)
村にいた6年間の間に当時の国政政党4つに所属するすべての村議会議員それぞれと飲んだりマージャンしたりなど個別のつながりをつくりました。
保守的な地域で、髪が長く、あおひげがなくなっていく私を陰で支えてくれたのは保守政党の有力者でした。(当時は必死だったので私の違和感を知っていることは私は知らないままでした。私のトランスに強く反対した上司が内々に伝えてくれていました)

それが現実なのです。今から20年ほど前
ちょうど特例法ができた2000年代前半の話です。
「俺は(トランスを)認めないけどな」
「僕は考えは違う(体をいじるのは許さない)けど」
そう言いながら、守ってくれたのです。

もちろん、この上司や有力者が法律を変えたわけではありません。
けれどもいわゆる保守的な考えの人たちというのがとんな形をしているのかを伝えたくて紹介しました。彼らは、自分より頭がよくて勉強ができた同級生の女の子が中卒で働き、お嫁にいったことをリアルで知っています。彼らは、自分のやりたいことではなく、おうちの事情で家業を継いだり、地域を背負っていたりしています。
(薄っぺらいただ口だけの人、権力におもねる人、金もうけのための人とは違います)

また、20年前と同じようなことをみんながしろと言いたいのではありません。
味方や敵は、主義主張の違いにあるのではない
心のつながりが深いかどうかにあるということを伝えたいのです。

ツイッターやユーチューブで自分をおとしめる人に、ツイッターやユーチューブで反論するのではなく、自分の現実で味方をつくっていこうではありませんか。

私の職業での在職埋没トランスは、おそらく私が初めてです。そうでなかったとしても、私より先に10人はいなかったでしょう。
今はおそらく100人、いやもっといるでしょう。
移行前「この職業での埋没は難しい」とまわりから言われた業種です。カムアウトしてる人はそれ以上だと思います。

気が付けば
あなたの職場にも
あなたの町内にも
あなたが入院する病院に、介護施設に、
役所にも銀行にも
あなたの友だちにも
あなたを人知れず守ってくれている人事にも
上司にもいるかもしれません。

今はいなくても20年後には確実にいるでしょう。

あなたがトイレや温泉で我慢したり、罪悪感をもったりしている間に、彼ら彼女たちは、しなやかに乗り越えています。

わざわざ
「戸籍や体を変えてない人がトイレ来ることは許されません」
と言わずに

友だちが保守的なら
「不安だよね」
友だちが進歩的なら
「認められたらいいのにね」
と使い分け、仲良く過ごしているのです。
(勿論自分の意見を言えたらかっこいいです)

今家族などまわりの理解が得られなくて苦しんでいるあなたは、道を切り拓いている先駆者です。
20年後、100年後、
このつらかった経験が、語り継がれるのです。
あるいは当たり前のこととして語り継がれもしないかもしれません。
そんな素敵な社会にもうすぐなります。

絶対に幸せになろうね!

※最初に公開したときより、すこし表現を変更しています(2023.6.26)

20年後世界は輝いている

2023-05-26 21:29:00 | ブログについて
性同一性障害特例法が成立してから今年で20年になります。
皆さん20年前に今の状況が想像できたでしょうか。
すでに1万人を越える方が性別を変更。
この仕事を続けることはできない
仕事か性転換かどちらかを選べ
と言われた20年前から
今は性別移行が当たり前の世の中になりました。
いつの間にか
同業者では何人もの在職トランスやカムしての勤務の方を伝え聞きますし

本当に見えないところではたくさんの埋没移行後当事者が幸せな生活を送っていることでしょう。

特例法成立前夜の2000年代前半には、
手術要件をどうするか
子どものおられる方をどうするか
パスが難しい方をどうするか
ということで
当事者の中でもさまざまな意見が飛び交っていました。
実質的な生活実績(パス度)でも
自己決定でもない
診断書と医療処置と子どもがいない
という外的な条件のみを課せられた特例法は、多くの当事者にとって満足できるものではありませんでした。成立直前まで、どこかボタンをかけ間違えたら成立できないかもという状況の中、多くの方の尽力で成立しました。

今回の差別禁止?理解増進?法案でも、レベルは違いますが同じような中身の話の繰り返しで、あのときをみているようです。

トランスの立場(思想)として
自己決定重視、病気(医療重視)、受け入れ(埋没)重視
おおよそ3つくらいでまったく違う立場が存在しますし

運動論としても
社会変革重視派、積極的行動派から、表に出ない方までさまざまな立場があります。

それが、それぞれの置かれた状況、自分の存在が脅かされないように入り交じって

人によっては
自己正当化のために不可思議なポジショントークになってしまっている方、理想論に突き進みきって味方を増やそうと思ってない方
などもおられます。

けれども
実際に時代を変えていくのは
あなた
です。
幸せな生活を送る権利があるのは
偉い人、正しい言論を吐く人ではなく
毎日を過ごす
あなたです。

いろんな雑音や世間の風潮に一喜一憂せず
あなたの幸せを築いていってください。

広瀬沙織は上から目線の言動だけで何もしてないじゃないか

そう思うのも結構

たぶん私は社会の最前線でやれることを
私の立場で全力でやっています

運動も何もしていませんが
私は時代を切り開いてきたし、今も後進が歩きやすいように道を踏み固めているつもりです。 


それは私だけではありません。
あなたも、当事者仲間のあなたも、Twitterでむかつくあの人も、みんなそうです。
みんなあなたと同じく一生懸命生きています。

そして時代は確実に変わっていきます。
20年後
どんなステキな世の中になっているか
想像したらわくわくしてきませんか。

あなたが苦労して切り開いた道を若い方が何も知らずに偉そうに歩いてたら
ステキじゃないですか。

20年後
あなたは
昔、差別禁止法案が国会で成立しなかったときがあって、そのとき当事者も好き勝手にいろんな立場で意見を出していたよー。
けれど、いつの間にか
なんか性別を変えるのって当たり前になっちゃったねー

なんて後輩に話してるかもしれませんね。


今具体的な運動をされている方が不要という趣旨ではありません。その方々が動かなければ法律は変わりませんから。
けれども
そうでない戦いもあるということを伝えたくて一文まとめました。

私には夢がある

2023-03-07 21:36:52 | 未来の先輩のために
私には夢がある。それは、いつの日か
生まれたときに割り当てられた性別に違和感をもつ人が、自身の苦悩の上にどう生きるかを自分で決めてもれなく幸福な人生を歩めるようになる夢である。

私には夢がある。それは、いつの日か
性別を越境して性自認どおりの生き方をのぞんだときに、本人の努力と周りの理解や気付かれないことでもれなく希望の人生を歩めるという夢である。

私には夢がある。いつの日か、
様々なトランスジェンダーやノンバイナリーの方々が、性自認やそれに伴う表現や行動が自由にできる社会を作ること、
そしてそれが子どもの笑顔や元気なお年寄りを見るように周りの人たちにとって日常になるという夢である。

私には夢がある。いつの日か、
トランス女性と一緒に女性スペースを利用することに恐怖を感じる人々とトランス女性とが
お互いを認め一緒に楽しく語り合ったり遊んだりできるという夢である。

私には夢がある
すべての宗教、すべての国家がトランスジェンダーやノンバイナリーを認め、シスジェンダーと手を携えてよりよい社会をつくっていけるという夢である。

私には夢がある
生まれたときに割り当てられた性別に違和感をもつすべての人が、お互いに相手を認め、苦悩や努力、自分の考え方の表現の仕方に思いを馳せ、ジェンダーだけでなく考えや個性が違っても尊重し合えること
そして考えが違っても人としてわかり合え一緒に過ごすことが楽しいと思えるという夢である。

私には夢がある
いつか
トランスジェンダーの大臣や大統領が
トランスジェンダーのノーベル賞受賞者が
医療や会社や法律や話を聞いてあげることで人を救っていくトランスジェンダーが
会う人会う人に勇気や明るさを分け与えられるトランスジェンダーが
たくさんたくさんあらわれて
それがニュースになることなく
トランスジェンダーが当たり前になるという夢である。
これが私の希望である。

そのために今日も進む。
私の出会うすべての人が笑顔になれるように
希望をつかめるように
苦しみに勝ち、あるいは苦しみに耐えいつか成長できふようにと
私のかかわるすべての仕事がかかわる人の幸せにつながるように


そしていつか
特別な力がなくても
ただ存在しているだけでも
どんなに欠点があっても
どんなにがんばれなくても
どんなにずるくても
その人間性が認められることを

そんな社会が来ることを確信して
今日も進む。


参考
私には夢がある 1963
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア


あなたらしくで大丈夫~これから移行する方へ~

2023-02-18 18:09:51 | 未来の先輩のために
いまから30年ほど前の20世紀は、日本でMTFが女性としてふつうに生きていくことは夢のまた夢、空想の世界のことでした。才能も運も努力をする力も兼ね備えた一部の方だけが成し遂げることができた伝説のようなものでした。
21世紀になり、先人のおかげで大きく社会も医療も法律も変わりました。国内での治療も始まり、海外でもネットを駆使すれば最高の治療にめぐりあえることもできるようになりました。
たくさんの方が移行を果たされ、たくさんの方が埋没され、女性としてのその後の人生を充実して生きていくことができています。
その波に乗っただけの私でさえ、おそらく「同業としては初めての在職移行」でしたし、MTFとしてはその病院の3例目、紹介を受けて新聞の取材もしていただいたこともあるフロンティアでした。なので、ロールモデルがないのは当たり前、自分がロールモデルになる!とはりきっていましたし、いろんなことは試行錯誤でした。
今若い方、今苦しんでいる方、もがいていて何をしていいか分からない方、必死で情報を探している方は、ロールモデルを見つけることができないで不安かもしれません。職業的成功、美貌、人間関係すべてを満たした先輩は顔出しすることの必要性がないので埋没していきます。これから出会うことがありません。
あなたがこれから出会う先輩は、すべて問題意識をもっている方か、悩みから抜け出せなくて自分も苦しんでいる方です。
今当事者が思想攻撃を受けているからといって、みんながみんな自分の立ち位置を決めて議論や運動をする必要はありません。性指向が男性に向き、完パスのSRS済みトランスしか女性として認められない!と思う必要もないし、逆に、ジェンダーの揺らぎのある人すべてがその人の自由なふるまいが許されるべきと思う必要もありません。
あなたは、あなたらしく、あなたにしかなれない女性を目指してください。めざしつづけてください。私もそうしています。

完パス、ほぼ完全埋没、24時間中女性として生活し、トランスの悩みが子どものことだけという女性にだってたくさんいるし、
自認の性別ははっきりしないけどかわいい服を着て、かわいい生活をしたいっていう人にだってたくさんいます。

どこまで社会が私たちを認めるべきか、どこまで権利があるのか、どの価値観だとすべての人が救われるのか、私だって分かりません。悩みますが、答えは出せません。

けれども、私が考えていることは、
わたしが今関わっている方、これから出会う方のすべては無理でも、できるだけ多くの方と有意義な関係がもてたらいいなということ。
関わりをもった人が元気になって欲しいし、
私と出会うことでその人の持っている力がたくさん出せたらうれしいし、
私と議論することで、理解し合えなくても私がきっかけにより考え方が深まればうれしいし、
そして出会った方々から、たくさんの思いや考えや体温や魂のゆさぶりや未熟な自分への宿題をもらえたらうれしい。
これまでたくさんいただいてきたし、ほんの少しかもしれないけど受け渡してきました。

トランスの多くはそんなふつうの人間なんです。

あなたも大丈夫!

私にしかなれない素敵な女性になる!

と心に決めて、安心して、勇気を出して、その一歩を踏みしめてください。

理想の職場、理想の社会

2022-09-25 00:19:04 | 移行後の情景
 毎週楽しく見ているチェイサーゲーム(テレビ東京系列)で、今週はFTMのインターン生が、職場で受け入れられるまでを描いていました。1人のマイノリティが職場に加わることで周りも成長していく、とてもすてきな描かれ方でした。
 そう!
 これが私の持つダイバーシティへの違和感です。
 マイノリティを、その特性ではなくその人としてみる、その人のありのままを受け入れるという職場ってトランスにとって素敵でしょうか。私が、トランスだとふつうにカミングアウトしみんなが受け入れ、わたしのありのままを見てくれる、私のジェンダーのありようではなく、人間性や仕事の出来不出来で見てくれる、そんな環境って素敵でしょうか。

 わたしは、そんな居心地の悪いところにはいられないです。
 人って、自分のフィルターを通して見えている世界でしか相手を評価できません。だからこそわかり合う努力をするし、自分の狭い視野を広げようと努力し合います。その相互作用が人間関係です。
 わたしは、トランスジェンダーとしてありのままにいきたいからトランスをしたのではありません。「女性」としてみられたいからトランスをしました。そして、わたしと接する人に、わたしに「女性」として接することを強制したくありません。私をそれこそ先入観なく、「みたまま」「感じたまま」受け入れて欲しいのです。それが、ふつうの女性だろうと、「男みたいな女性」だろうと、「ほんとはMTFってばればれだけど義理で女性として扱っている」のだろうと、かまいません。もし、後者だとすれば、私の努力不足、素質不足、運がなかっただけです。誰のせいでもありません。
 実際、社会は理不尽な偏見だらけです。その偏見に苦しんでいる人もたくさんいます。けれども、それが社会です。それを変えていくことは大切ですが、「わたしがトランスだから」旗をあげなくてはいけない義理があるわけではありません。マジョリティもマイノリティも平等に義務を負っているはずです。

 実は、今年4月に転勤した職場は、非常にホワイトで、サービス残業は業界の中ではかなり少ないところだと思います。過去の職場でみてきた精神疾患で休職した人、やすみがちな人はまったくいません。この半年の間に、全職員対象の性の多様性に関する研修もありましたし、ある研修(これも全員参加)はLGBT当事者が講師として招かれて話をしていました。セクシュアルマイノリティだけでなく、他のマイノリティに対しても、敬意をもって、共に働いている理想的な職場でしょう。

 けれど、こんなにすばらしい職場なのに、私はとても居心地が悪いのです。なぜかというと、自分がトランスであることを常に意識しなければいけないからです。私も一緒にみんなが等しく守られる尊重される職場、業務を作っていかなければいけないと常に意識させられるからです。

 今後よりよい職場に、よりよい仕事にしていくためには、ある段階で自分の主張を裏付けるためにカミングアウトしなければいけない場面が出てくるかもしれません。それこそ、前の職場では以前に書いたように、LGBTの研修を受けてきて肯定的な感想を言ってた人が顧客のジェンダーレスな振る舞いを笑いのネタにするくらいの、ジェンダーの尊重とは縁のないところでした。ここでは、多くの職員が意識高く、それこそ顧客の服装やトイレの利用についても微妙な事例は一緒にまじめに相談しています。そんな問題に、「当事者でない人間」としてふるまうことはかなりしんどいです。笑いにされていたほうが「自分とは関係ないこと」と思えたので楽でした。

 わたしは決して、LGBTが社会で受け入れられることがダメだと思いません。すばらしいことです。そして、当事者目線でいえば、今の職場はほぼ完璧です。それなのに、居心地が悪い。前の職場(前の前の職場でも)で私にとって性別は普段意識しなくていい、あるいは時折あるセクハラな言動をかわすくらいの問題なのに、今の職場では、常に意識しなければいけないしんどい問題になっているのです。さもLGBT当事者じゃないようにふるまわなければいけないのです。

 わたしのような当事者にとって、特例法は本当に世界が広がりました。けれども、常に意識を高く持ってどんなマイノリティも受け入れていきましょう、という運動は、決して居心地がいいとは限らないのです。
 わたしは、トランスジェンダーとして受け入れてい欲しいのではなく、ありのままの(あなたの偏見の目を通した)私として受け入れて欲しいのです。それが、男であればしかたないし、リードされるなら仕方ありません。わたしがあなに気に入られるよう努力するか、関係を絶つかどちらかです。

 そういう人も、そういうMTFも、わたし一人じゃないと思います。

近況報告2022 過去の栄光をはぎとって裸でスタートする

2022-09-03 00:05:14 | ブログについて
今年の4月から新しい職場に転勤となりました。本体業務は同じでも、職場によって所属する職員の経験や年齢はばらばらで、それによって求められる仕事は違ってきます。
 関西に来てはじめて配属された前の職場はやや少人数でわたしがほぼ一番年上、また、過去北海道時代の経歴も経験も必要としてくれたし、職場での積み上げもあり、上司も後輩も私を頼りにしてくれていました。
 この春転勤してきた職場はやや大きい職場。私は年長ですが、私より年上の方も何人もおられます。また、私が北海道時代や前の職場で経験を積んできた業務について、今の職場で求められることはほとんどなく、また、やりたい仕事をさせてもらえることもなく、これまでまったく経験してこなかった新しい業務を担当しています。
 新しい業務については、私よりくわしい方が職場に何人もおられ、今のところは少し疑問があってもくわしい方の意見を参考に進めていっています。まだ自分の考えを出すことはありません。
 これまで経験を積んできた業務については、今の職場でもたぶん私が一番くわしい(少なくとも一番経験は積んでいる)のですが、大きな決定にかかわる助言をすれば、職場が混乱してしまうので、今のところは小さな助言くらいしかしていません。
「○○について経験してきた職員がいないので、~」
「新しく○○という制度ができて分からないので」
などの話が管理職から出る度に、(いやいや、経験してきてるけど、それもじっくり。)
と言いたくなるのを我慢しながら、仕事をしています。
 今週も、その新しい制度についてもめたときに、「前の職場と違い」私の説明や意見がまったく伝わらず、上司と後輩が話して落としどころをつくってとりあえずの解決を図っていました。

 今自分の与えられている業務は他の人から聞いてなんとかやっているレベル、役職も特別な資格もない50すぎのおばあちゃんなんて、こんなものです。他の人からしたら、「またうるさい人がなんか言ってる」と思っているでしょう。

 で、ここで愚痴をはきたいのではなく、弱音をはきたいのではなく、今のこの状態から、独身女性で役職もなくみんなが知り得る経歴もなく人脈も資格もなく大きな責任も求められていないこの状態から、また、自分らしさを発揮していく、職場を自分の経験や考えを生かしたものに変えていく、なんの勲章も虚飾もない、むしろ裸な状態から自分の生きた経験を積み重ね、生きた助言をし、人間関係を作っていく、その作業がまたできるなんて素晴らしいと感じています。

 わたし(あなた)に誰も期待していないし、わたし(あなた)が過去どんなにすばらしい業績をあげてきたか、どんな人脈をつくってきたか、どんなやさしい人でたくさんの人を助けてきたかは誰も知りません。

 そう、移行当初とまったく同じです。
 
 移行後は、もし埋没生活をするなら、あなたの過去のがんばりは、周りの人はまったく分かりません。おそらくとてつもない努力の末勝ち取った移行、それも埋没移行であればなおさらです。けれども、スタートすると、周りの人は、移行後の今の素のあなた(わたし)が何をしたか、しか見ることができないのです。

 では、また一から経験や人間関係を積み上げていき、遠いゴールにたどり着かなければ幸せは得られないのでしょうか。

 いいえ。
 一から積み上げていく、自分の過去の栄光をはぎ取って裸からスタートする楽しさを、幸せを、自分の経歴や積み上げた能力・技能ではなく、自分が何をしたか、何をしているかで判断してくれる環境の中で、味わっていくことができるのです。

トランスの目的は性自認と性他認を一致させること!【異論】

2022-06-19 11:53:17 | GIDパラダイム
 SRSをする目的、戸籍を変更する目的ってなんでしょうか。
「性自認と体を一致させること」「性自認に体や生活を近づけること」
特例法ができた頃はそう言われてきました。その後も、性自認の表現は個性である、権利であるという受け止められ方(あるいは主張)が主流になった今は「なりたい性別、したいジェンダー表現をすることが尊重されるべき」という考え方になるのだと思います。その主張は私は大賛成です。
 けれども、本当に、それが当事者の究極の願いなの?
 自分の心に合わせて体をいじって、自分の心に合わせた外見、自分の心に合わせた生活をすることで、当事者は満足しているのでしょうか。

 実は、本当は当事者の願いは別のところにあるんじゃないかな。

 という、ちょっと異論を展開しようと思います。

 もしも、心と体を分離できる、例えば、ほとんどメタバースで世界と関わることができるような時代になったとき、トランス女性は、日常生活のすべてをメタバースで過ごすことで満足できるでしょうか。たぶん、否と答えるでしょう。実際の体が男性のままだったら、仮にリアルの誰に出会わなくても、耐えがたいでしょう。
 では、体を女性にして仮に本人も努力して女性にしか見えない外見になって、誰にも会わないで日常をメタバースで過ごすことは、トランス女性として100パーセント満足できるでしょうか。答えは分かれると思いますが、私は否と思います。なぜかというと、どんなに科学が発達しても、リアルな人と人のかかわりは外せないからです。そして、生身の人と人とのかかわりこそが生きることの意味なのではないかとさえ思います。
 このブログで広瀬沙織は、トランスは人とのかかわりそのものという考え方を伝えていますが、
 私(あなた)を女性としてみなしてくれている人とリアルで深く関わっていくことができるようにすること、すなわち

 性自認と体が一致することに加えて、性他認も一致すること

こそがトランスの目的(願い)なのではないかと思います。

 もちろん、パスが難しいと分かってても苦しくて移行する方はたくさんおられるでしょう。けれども、苦しいのは、性自認と体の不一致だけではなく、性自認と性他認の不一致が大きな要因ではないでしょうか。
 
では、その苦しみを解決する方法はなんでしょうか。
 性自認と体の不一致を和らげるのは、医学や倫理や社会の理解の進歩でできます。
 性自認とジェンダー表現を一致させていくことは、法律を変えたり社会の理解が深まることで達成できます。
 けれど性自認と性他認を一致させていくことは、パスできるようになり、あなたが直接かかわる周りの人と折り合いをつけていくことしかありません。

 体も社会の受け入れも、あなたがやらなくても能力の高い人がやってくれるかもしれません。
 けれど、性自認と性他認との一致は、かわりにやってくれる人はいないし、外見を変える自分の努力だけでは完遂できないのです。あなたが勇気を出して、人と関わっていかなければそのずれは解消できないのです。

 以前、「性自認は変化する~何によって」で、まわりが女性とみなすことで心が女性になれるという趣旨のことを書きました。

 心が女性になるためには、女性としてみなされなければならないのです。
もっと言えば、
 性別違和感の解消は、周りがあなたを女性としてみなし、あなたがその性他認を受け入れ性自認を変化させる(性他認を性自認に一致させる)ことで完成するような気がしています。

 ・ジェンダー表現が個性として認められる社会
 ・あなたのことを女性として見てくれる多くの人とのたくさんのかかわり

 その両輪が必要なのだと感じています。

おさらいです
 幸福なトランスのために必要なことは
 ①社会の受け入れ(手術、法律、偏見)
 ②体や外見を望みのジェンダーに変えていくこと
③女性として見なしてくれる人たちと相互的な関係を作っていくことができること

 
 ここまでくるといつもの主張と同じなのですが、LGBTの基本研修で、よく体の性と、心の性の棒で説明しますよね。
くわしく分かれている棒だと、
「体の性」「性対象」「ジェンダー(らしさ)」「自認の性」「なりたい性」の5つでしょうか。そこに「性他認(どちらの性別だとみなされているか)」もしくは「望みの性他認(どちらの性別だとみなされたいか)」を入れると、悩んでいる子の考えが整理しやすくなるのではないかなと思って、新たに書きました。
 変わりたいのは、体や外見だけではないのではないでしょうか。

 この原稿はもともとトイレ問題への考えを書くつもりで書き始めましたが、自分が特定の主張をすることは益にならないと思い、そのもとになった考えのみ書くことになりました。

歴史をどうとらえるか

2021-07-11 18:43:05 | GIDパラダイム
 ゴールデンウィーク、旅行にも行けなかった私はひたすら部屋のそうじと読書三昧でした。そこで、「一度きりの大泉の話」(萩尾望都)を読み、衝撃をうけ、その衝撃のままに「扉はひらくいくたびも」「その名はジルベール」(竹宮惠子)、「萩尾望都と竹宮惠子」(中川右介)、「私の少女マンガ講義」(萩尾望都)までを週1くらいのペースでずっと読み続けました。どちらの先生も尊敬するし、それぞれの今の立ち位置もそもそも私が意見を述べるべき立場ではなく、人としての難しさやすばらしさを感じました。
 さて、二人のすれ違いの生き様にも衝撃を受けたのですが、それ以上に、歴史(この場合少女マンガの)の語り方の違いがとても新鮮で、わたしは先生方の著作を読んだのは80年代以降で同時代ではないのですが、ふたりの語られる漫画家さんの半分くらいは実際に読んだことがあり、数名は愛読していたこともあり、リアルに感じたことがありました。どちらかといえば、萩尾望都先生の捉え方のほうがしっくりきて、今までなんとなく竹宮惠子先生やそれこそ中川氏の分析している少女マンガ論が主流で(わたしにとって)なにかしっくりこなかったことがすっきりした、自然に受け入れられた感じがありました。
 で、どちらの論じ方が正しいかをここで言いたいのではなく、時代が現在進行形で進む中でどう物事をとらえるか、すなわち自分の行動をどう歴史にはめ込んでいくのか(自分がどう歴史をつくっていくのか)、ということは、その人によってかわってくる、そしてその中で主流になった人たちによって歴史が物語になっていくということです。
 トランスでも、過去には「性同一性障害」という病気を定義づけることで様々な方の苦しみが可視化され、物語となり、共感を得てうねりとなり、法律が変わる、という歴史がありました。歴史をつくってきた人にとっては、それは真実であり、自分のありようが認められてきた戦いの結果であります。
 同時代でその恩恵を受け、その流れにのって性別を変え幸福に生きている広瀬沙織は、その歴史に流れる「違和感」について、このブログで綴ってきました。けれども、決して私の考えが本当の正解だというつもりもないし、こういう考え方もあるとおさえたほうが裾野がひろがる、苦しむ人が少なくなる、というくらいのつもりです。今後主流になる考え方ではないかもしれません、50年後に私のブログの記事なんて誰も読まないネットの地層の奥深くに眠るかもしれませんが、また、ときどき触れていければと思っています。

 歴史が動いた当時のトランスの考え方は「「性同一性障害」というつらい病気で苦しむ人をすくいたい」ということだったと思います。今はどちらかといえば「「性別」ということは人にとって大切な価値であり、当人の主張が尊重されるべき」という考え方になってきているのかな。そういう意味では、すくい上げられる人が多くなってきていると思います。私の考えは「「性別」というのは他者との関係性の中で成り立つものであり、「私が」(埋没含め)周りに理解させられるよう行動することそのものである」すなわち周りの理解は私の自己責任ということです。そういう視点で歴史を見ていくと、今見えてないたくさんの無名の幸福なトランスジェンダーの生き様がみえてくると思うのですが、たぶん主流の考え方、捉え方にならないですね。

 歴史をどうとらえるかという史観の部分と、トランスをどう定義づけるかの思想の部分が混同してしまったかもしれません。あとから読み直して駄文と思えばさりげなく削除しますね。

このブログへの入門編

2020-12-28 09:57:10 | ブログについて
 はじめてから12年以上たち、最近新たに書いたものはほとんどが過去の記事の焼き直しで目新しい主張がほとんどありません。
 一方、このブログの人気記事はなぜか自分のお勧めとはあまり連動していなかったりするので、私の主張が端的にまとめられている是非読んで欲しい記事が埋もれていたりします。
 そこで、「特に読んで欲しい私がお勧めする記事」のリンクをここに貼ることにします。

①このブログの主旨を知りたい方向け
性別移行は技術である
・・この後のカテゴリー性別移行は自己責任

②あまり他の当事者が言っていない考え方の紹介(自称名記事)
GIDの立ち位置
本当に自己責任?
「量」から「変化」への視点の変換
違和感、自己認識、価値観、判断
事実~これから移行しようと悩んでいる若い当事者へ
埋没生活のパラドックス

③元気を出して欲しいとき向け
不遇にたえ、今与えられた状況でベストをつくすこと
どん底は次へのステップへのスタート地点
不完全でいいんだよ
未来の幸福なかわいいMTF
 どの記事もそのときにネットで見た見知らぬ当事者の苦しみに対して励ますことをイメージして書いています。

④個人的に思い入れのあるもの(自称名記事)
小学5年生のあなたへ
 今読み返しても自信作です。性同一性障害特例法が施行されたころ、幼少の当事者をどうするべきなのかという意見がネット上で議論されていて自分の考えを書きました。

純女とMTFの「心」は同じ
オートガイネフィリアのことを語ろう
 上のふたつの記事は同じ趣旨を違う表現で伝えています。
「女性であること」と「女性になること」に本質的な違いはないのではないか。違いがあるのは度合いの強さや一定性ではというとょっと独特な考えに基づいています。「MTFより純女の方がオートガイネフィリアの傾向は高いのではないか」という考えです。移行前は不安でしたが、移行後数年たってこのような考えでいいと確信しています。今も変わっていませんしむしろ強化されています。

完全埋没生活!(埋没度チェック)
こういうチェック項目が埋没MTFの中でたくさん出てきたらいいなあと思うのですが、あまり読まれていません。