迷宮映画館

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大脱走

2004年08月27日 | た行 外国映画
第二次世界大戦末期、ドイツ・ザガン近郊に作られた特別な収容所。絶対に脱出不可能だ。ここに集められたのは捕虜となったイギリス空軍の将校たち。そして、脱走のスペシャリスト。彼ら捕虜の任務は脱走すること。17回の脱走記録は栄誉だ。脱走を繰り返し、後方かく乱が兵士の任務。ドイツ軍はこのつわものどもを一つに集めて、気勢を削ごうとしていた。

しかし、黙っている彼らではない。『ビッグX』ことバートレットを中心に、脱走の綿密な計画が立てられる。チームワークを重視する中で、大胆に脱走を繰り返すアメリカ人のヒルツ(独房王)、あらゆるものを調達する調達屋のヘンドリー。トンネル王のダニーとウィリー、製造屋・セジウィック、運搬屋・アシュレー、偽造屋・コリンらのもと、着々とトンネルは掘られていく。脱走する数は250名。空前絶後の大脱走が始まる。

と、何もストーリーなど書く事はないのだが、とりあえず。TVの洋画劇場などで何度も放映された映画だが、いかんせんスクリーンで見たことがなかった。すべてのシーンを覚えている。誰が助かって、誰が無念の死を遂げるのか、ここで、どうなるのか、すべてを把握しているが、どうしても、どうしてもスクリーンで見たかったのがこの映画。最後に見たのは多分ハイティーンの頃だったから、きっと今見ると、変に思うところや、つじつまの合わないところもあるのではと思ったのだが、それは不遜だった。完璧、素晴らしい、最高のユーモア、すべてのシーンに本当に無駄がない。最高でした。

決して端正な顔といえないスティーヴ・マックィーンなのだが、なんてカッコイイのでしょう。有名な自分で自分を追うシーンも見ました。バイクで失踪する姿には鳥肌が立ちました。ジェームズ・コバーンのスマートなこと。ガーナーの男らしさもいい。オンナっ気が全然ないのがまたいいんだなこれが。

イギリス空軍の独特の敬礼の仕方もさりげなくきちんとだしてる。小物の一つ一つまで、にくいほど凝っている。こういう映画に出てくるドイツ軍兵士は、まるで人間性の欠けた様な、とってつけたように描かれがちなのだが、微妙な心理までも、心憎いまでに撮っている。そして、あの始まりの音楽。思わず口ずさんでる自分がいる。

始めに輸送トラックが到着して、次々とつわものたちが降りてくる。その頃はまだ皆大スターではないのだが、大器の匂いがプンプン。皆、それぞれに個性が際立っている。で、私の一番のお目当てはD・マッカラム様。私の年代のアイドル『イリヤ様』です。この映画のあとに『0011』で大ブレイクしたのだが、あの儚げなかっこよさは彼だけのもの。彼にスクリーンで会えただけで、私は超幸せ者です。

いつ見ても完璧な名画。「アラビアのロレンス」のときにも感じたが、もう二度と作られることのない大作だ。二番煎じや、リメイクをして欲しいなどとは絶対に思わない。作れるはずもないし、そんなん見る気も起きないだろう。でも、こういう映画を作る姿勢や、金のかけ方、素晴らしい脚本があって、すごい役者がいて、こういう映画を皆で作り上げるんだとの意気込みがあれば、素晴らしい映画、歴史に残る映画は作れるはずだ。そんなポリシーを持った映画を待ちたい。

『大脱走』

原題「The Great Escape」 
監督 ジョン・スタージェス 
出演 スティーヴ・マックィーン ジェームズ・ガーナー リチャード・アッテンボロー チャールズ・ブロンソン ジェームズ・コバーン デヴィッド・マッカラム1963年 アメリカ作品


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