試写会にて鑑賞。
東京でチェロ奏者として、念願のオーケストラに入り、意気揚々としていた大悟。高いチェロも買って、怖いものなしだった。しかし、その幸せも束の間。何とやっと加わったオーケストラは解散。いきなりの「解散!」は、ホームレス中学生ではない。
バカ高いチェロを手放し、田舎の山形に妻と一緒に帰ることにした。そこには母の遺した家もある。何とかなるさ・・・。
なかなかいい仕事が見つからないが、高給優遇、実働短時間!!これはいいと思った仕事が・・・・何と納棺師。亡くなった人の死の旅立ちの準備を整える役目だ。
身近な人の死に目にもあったことのない自分に、こんな仕事ができるのか。社長はずいぶんアバウトだし、大丈夫、大丈夫と、ずいぶん軽い。
こうなりゃ破れかぶれ。何とかやってみる。でも、最初の仕事はぶっ飛びのとんでもない死体だったり、とにかくバラエティに富んでる死体に悲喜こもごも。
妻にも言えない仕事だったが、子供の頃からのなじみの≪鶴の湯≫で、体を洗っているときがホットする時間だった。
好きで始めた仕事ではないが、なぜか自分に妙に合っている。亡くなった人は何も言わないが、その人の人生が周りの人たちから見えてくる。これは誇れる仕事だ。何の後ろめたさもない。しかし、それを理解できない妻や、友人たちは、大悟を分かってくれない。
その時、悲しい別れがあった。
ということで、本木演じる主人公が山形は庄内生まれということで、今回は本木君の庄内弁を判定。んーー65点ということで。
そんなことはどうでもよく、見知った風景が次々と現れる。地吹雪に、白鳥に、赤い欄干に、赤川沿いから臨む月山に、鶴の湯まで。私も故郷を離れてはや30年近くになる。しょっちゅう帰ってるんで、涙が出るほど懐かしい・・・という感まではいかないが、あれを見ているだけで、じんわりくる。
これは再生の物語。人間そう簡単に、自分が思った通りの、思い描いたとおりの人生を歩めるはずがない。ときに挫折し、手折れ、くじけそうになる。でも、人はなんとかして生きていかなければならない。
そして自分の人生を歩んだ時、どんな最期を迎えることができるのか。人生の最期を尊厳を持って迎えさせる。そんな仕事がこの最期を看取る人たちのような気がした。
チェロの楽曲は、素敵で耳に残る。さすが久石譲のスコアだ。でも、ここは何といっても笹野高史!彼がすべて。山崎務は相変わらずの存在感で、硬軟織り交ぜ、さすがの迫力だが、この笹野は最高だ。
バイプレーヤーのなんたるか、セリフの聞かせ方、立ち居振る舞い、すべてが素晴らしかった。「武士の一分」でも、圧倒的にすばらしかったが、かの庄内弁を、もっと語らせたかったからじゃないのと思えるほどのうまさ。こっちは100点満点。
ただ、全編通して、どうしても納得がいかなかったのが、納棺師をはじめ、葬儀屋さんとか、そういった仕事に携わる人に対しての卑下したような思い。
世の人々は、そういった職業の人をはたしてそんな風に思ってるのだろうか。尊敬こそすれ、恥に思うことなど、かけらもない。いや、私の故郷の田舎ではそういう風に思われているのだろうか。そんなはずはない。
仕事に対する不理解も、話の大事な要素の一つなので、重要なエッセンスなのだが、そのような偏見はどうにも納得がいかなかった。
祖母が死んだ時、はじめて葬儀屋さんを見た。素晴らしい仕事ぶりだった。今から26年も前になる。でも、なぜか表情といい、立ち居振る舞いといい、声といい、悲しみに満ち溢れてて、葬儀屋さんにぴったりだと思ってしまった。
◎◎◎○●
『おくりびと』
監督 滝田洋二郎
出演 本木雅弘 広末涼子 余貴美子 杉本哲太 峰岸徹 山田辰夫 橘ユキコ 吉行和子 笹野高史 山崎努
東京でチェロ奏者として、念願のオーケストラに入り、意気揚々としていた大悟。高いチェロも買って、怖いものなしだった。しかし、その幸せも束の間。何とやっと加わったオーケストラは解散。いきなりの「解散!」は、ホームレス中学生ではない。
バカ高いチェロを手放し、田舎の山形に妻と一緒に帰ることにした。そこには母の遺した家もある。何とかなるさ・・・。
なかなかいい仕事が見つからないが、高給優遇、実働短時間!!これはいいと思った仕事が・・・・何と納棺師。亡くなった人の死の旅立ちの準備を整える役目だ。
身近な人の死に目にもあったことのない自分に、こんな仕事ができるのか。社長はずいぶんアバウトだし、大丈夫、大丈夫と、ずいぶん軽い。
こうなりゃ破れかぶれ。何とかやってみる。でも、最初の仕事はぶっ飛びのとんでもない死体だったり、とにかくバラエティに富んでる死体に悲喜こもごも。
妻にも言えない仕事だったが、子供の頃からのなじみの≪鶴の湯≫で、体を洗っているときがホットする時間だった。
好きで始めた仕事ではないが、なぜか自分に妙に合っている。亡くなった人は何も言わないが、その人の人生が周りの人たちから見えてくる。これは誇れる仕事だ。何の後ろめたさもない。しかし、それを理解できない妻や、友人たちは、大悟を分かってくれない。
その時、悲しい別れがあった。
ということで、本木演じる主人公が山形は庄内生まれということで、今回は本木君の庄内弁を判定。んーー65点ということで。
そんなことはどうでもよく、見知った風景が次々と現れる。地吹雪に、白鳥に、赤い欄干に、赤川沿いから臨む月山に、鶴の湯まで。私も故郷を離れてはや30年近くになる。しょっちゅう帰ってるんで、涙が出るほど懐かしい・・・という感まではいかないが、あれを見ているだけで、じんわりくる。
これは再生の物語。人間そう簡単に、自分が思った通りの、思い描いたとおりの人生を歩めるはずがない。ときに挫折し、手折れ、くじけそうになる。でも、人はなんとかして生きていかなければならない。
そして自分の人生を歩んだ時、どんな最期を迎えることができるのか。人生の最期を尊厳を持って迎えさせる。そんな仕事がこの最期を看取る人たちのような気がした。
チェロの楽曲は、素敵で耳に残る。さすが久石譲のスコアだ。でも、ここは何といっても笹野高史!彼がすべて。山崎務は相変わらずの存在感で、硬軟織り交ぜ、さすがの迫力だが、この笹野は最高だ。
バイプレーヤーのなんたるか、セリフの聞かせ方、立ち居振る舞い、すべてが素晴らしかった。「武士の一分」でも、圧倒的にすばらしかったが、かの庄内弁を、もっと語らせたかったからじゃないのと思えるほどのうまさ。こっちは100点満点。
ただ、全編通して、どうしても納得がいかなかったのが、納棺師をはじめ、葬儀屋さんとか、そういった仕事に携わる人に対しての卑下したような思い。
世の人々は、そういった職業の人をはたしてそんな風に思ってるのだろうか。尊敬こそすれ、恥に思うことなど、かけらもない。いや、私の故郷の田舎ではそういう風に思われているのだろうか。そんなはずはない。
仕事に対する不理解も、話の大事な要素の一つなので、重要なエッセンスなのだが、そのような偏見はどうにも納得がいかなかった。
祖母が死んだ時、はじめて葬儀屋さんを見た。素晴らしい仕事ぶりだった。今から26年も前になる。でも、なぜか表情といい、立ち居振る舞いといい、声といい、悲しみに満ち溢れてて、葬儀屋さんにぴったりだと思ってしまった。
◎◎◎○●
『おくりびと』
監督 滝田洋二郎
出演 本木雅弘 広末涼子 余貴美子 杉本哲太 峰岸徹 山田辰夫 橘ユキコ 吉行和子 笹野高史 山崎努
納棺師って初めて見ましたが、素晴らしい仕事だと思いました。旅立ちのお手伝いです。心を込めて送り出す、死ぬことって終わりではなく旅立ちです。
隣に座った知らないおばちゃんと一緒に、鼻をすすりながら何度も泣きました。
モッくんって凄い俳優なんですねぇ。
心に沁みるいい映画でした。
しっとりといい映画でした。
なんだか庄内が、吹きだまりのような、行きつく先はここかい・・みたいに見えたのは、ひがみ目でしょうか。
本木は昔から評価高いですよね。
シブがき隊、、、なんてのにいたのが、不思議みたいな。
やっぱジャニーズってすごいかもです。
私も納棺師を卑下したような周りの視線は正直どうなの?と思ってしまいました。
失礼ですよね。
でもそれを言葉で反論するのではなく、仕事でみせたところがすばらしいな、と思いました。
見知った風景が次々と出てくるもんで、なんだか嬉しいような、恥ずかしいような。
でも、出てるほとんどの人が、見下した感じでしたよね。
言葉じゃなく、仕事で見せるのは、よかったのですが、普通来ていただいたら、お礼こそすれ、罵倒なんかしないと思いますけどね。
そうですか、ご当地なんですね~。
やはり見方が違いますよね~。
吾輩も、少々仕事に対する違和感は感じました。
でも、そう感じる人の方が世間では未だ多いという
ことなんでしょうね。
映画として、ソコはどうしても描いておきたかったのだと思いますよ。
まあ、ご当地ならではの突っ込みどころもありましたが、11月にあんなに雪降んないよとか・・・。目をつぶりましょう。
まわりでざっと聞いてみても、抵抗感感じる人はいなかったですけどね。好んでなりたい職業ではないですが、いい理解になったと思います。
これからいい季節になりますので、ゆったりお過ごしください。
そうそう、ここの田舎が舞台でしたが、柱の注蓮寺なんて地域性を見ると、あの辺に納棺師なんていないだろうな、、、、、などと思いながらも見てました。
にっかんは入棺ではなかったかと思います。
この映画もとっても良かったのですが、「パコ・・・」がまた絶品。こちらもぜひ!!
出身地山形かと思ったら、違うんですね。
「武士の一分」を観ていて父が言っていた、
「彼のような役者がいるから、映画は締まるんだ」ってのが、
この映画でも感じられました。
ただ、佇んでいるだけでも、将棋盤をぼ~っと見ているだけでも、
悲しみが伝わってくる演技はサスガ!でしたね。
この間、ラジオで話していたのを聞いてたのですが、お話あった仕事は、できるものは全部受けるそうです。
こんな自分を使ってくれる人に感謝する。ありがたいと思うということだそうで。凄いですわ。