迷宮映画館

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人間万事塞翁が馬 その4

2022年01月31日 | あ行 外国映画
 この二人、ケンカをしないことがない。遠慮ない。周りを一切気にしない。外だろうが中だろうが構わずやりあう。さすがに手が出ることはないが、お互いに譲らない。第三者から見て、どう考えても理不尽なのはBのほうである。前述の思い込みの激しさは、いうに及ばず。絶対に自分の説を曲げず、どんなに間違っていても非を認めない。そんな人とやりあうのはまじにエネルギーの無駄なので、Bと話すのは最小限度。用事を言うくらいになってどのくらいだろう。

 ある時、1階に行ったら、いつものように二人の雰囲気は険悪。椅子が斜めに転がっている。???後でわかったが、Jがブちぎれて椅子を投げたらしい。基本穏やかな人がそこまでやったって、どんだけ怒らせたのか、、、。それをもって、BはJがぼけた!と刷り込んだ。そう刷り込んでしまったので、もうそこから直せない。だから自分は入院もできないのだ、となる。まあ、悪いものも排除してそれなりに回復。と言うより、その前に何の症状もないわけで。何の症状もないままがんと言われ、痛くもかゆくもないのに重病と言われ、腹を切られ、今に至る。そんなもんだ。

 さてこの間、私は何をしていたかというと物づくりと体を鍛えるということ。とにかく黙ってられない私は何かをしてないと気が済まない。手を動かしてるか、体を動かしてるか、映画を見てるか。せっせと作ったのがマスクと篭。病気じゃないかと思うくらいに作ってしまった。でも、ここ数年やれなかったことを思いっきりできて、気持ちはすっきり。そしてもう一つが体を鍛える。これもずっとやりたかったこと。仕事辞めたら自分のために体を鍛えようとひそかに決意していた。念願のジムに通って、マスクをかけながらもせっせと汗を流すことができた。











 1年数か月、そんな生活を続けることができた2021年の9月ころ、徐々に状況が変わってきた。状態が安定していたばあさんだったが、じわじわ具合が悪くなってきた。吐き気がしたり、胸のあたりが痛かったり、とにかく調子が悪い。吐き気がするのは茄子漬をもしゃもしゃ食べたから。胸が痛いのは転んで打ったから。調子悪いのはご飯をあまり食べてないから。そんな理由をつけて自分を納得させている。まず病院に行って診てもらおうと連れて行った。痛さを緩和、コントロールするために入院しましょう、ということになった。結果、がんが進行し、痛みが広がってきた。それを緩和していく方向に変えていくことになった。三日ほどで退院するけど、薬を処方。その痛み止めは劇薬扱いで、飲んだ時間も回数もチェックしていかなければならない。ここからは入院は基本できず、家で見ていくしかない。介護認定をうけ、訪問看護などを利用していく方向で、ということになった。

 そこからの衰え方は坂を転げ落ちていくよう。みるみる悪化していく。歩くのもおぼつかず、痛い痛いと繰り返すばかり。せっせと痛み止めを飲むけどその回数も定かでなくなっていく。とてもじゃないが目を離せない。仕事に行くのもこれは無理っぽい。体鍛えにいくのもはばかられる。なんだか自分の具合もよくない。これはジムに行けなくなって体力が落ちてきたせいだろうか。気持ちが滅入ってきてるのが体に表れているのかもしれない。そんなことを思いつつ、訪問看護のサービスを受け、もう家で見ていくのは到底無理じゃないかという判断を受け、病院に行くことになった。「もっと早くつれてくればよかったのに!」とかいう医者。『えーー、もう入院はできないって言ったじゃん!』という言葉をぐっと飲みこんで都合4回目の入院となった。最初は検査、次が手術、そして9月初めの痛みを訴えた時、そして今回。これで最後まで・・・となる。最初に延命処置はしない、ということを自分でも決めていた。病院もその方向だった。

 毎回書いてる入院手続きはお手の物。コロナちゃんのせいで面会はできず、必要なものはナースステーションに置いてくるということに変わりない。とにかくしょっぱくないとダメな彼女は醤油持ってきて、漬物持ってきて、しょっぱいもの持ってきて、と。たんび、ナースステーションに頭下げて、いろんなものを持っていく。連絡先は私になっているので、携帯を離せない。アップルウォッチの活躍の場がやっとやってきた。映画を見ている最中に電話が鳴る。う、やばい!と思って電話に出ると、「部屋を変わりました」とか、「ちょっと転びました」とか。こっちは鳴るたびにドキドキしながら受け取る日々が続いた。

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