りりあんのめーぷるしろっぷ

季節感あふれる身辺雑記。

新緑の5月

2009-05-25 | Weblog
嗚呼、新緑が目にやさしい5月も半ばを過ぎてしまいました。お誕生日おめでとうを言い始めて7回目でしょうか。この爽やかな季節に、鬱々として気分すぐれず。大阪から帰ってきた後、巷に出かけると必ず咳をする人に接近遭遇。私自身も一日に1,2度咳をする状態から、なかなか抜け出せず、という按配で、新型かどうかはわかりませんが、何らかのインフルエンザが流行しているのは間違いないようです。それでも、ようやくマスコミのインフル狂騒も少しずつ落ち着いてきたでしょうか。
自他ともに認める方向音痴の私ですが、妙にくわしくなった梅田界隈。梅田は劇場とホテルと居酒屋と雑踏というメージで、親しみのわく場所になりつつあります。
「ムサシ」――埼玉と大阪公演、ともに前楽を観ました。埼玉の時は、前から2列目という席と初見ということもあり、ムサシに目を凝らし、台詞に耳を澄ませ、物語の流れを追うだけであっという間に終わったかな。ほとんど出ずっぱりのムサシとコジロー。コジローのほうが主役みたいというような感想も聞いていましたが、私が見た限りでは、ムサシは性根がしっかり入っていて、存在感が素晴らしかったと思いました。なので、このムサシは崩れることはないだろうとも。それでも、気になったことがいくつか。2人に戦いをやめさせようとする亡霊たちの言葉が、あまりにも直裁で、聞いていると面映くなる。その説得に素直に応じて、2人が刀をおさめてしまう流れに物足りなさがあって、ムサシの「友人です」が唐突に聞こえ、ちょっと笑ってしまいました。亡霊の台詞が直裁なのは、乙女さんが若い女性で、作中劇の脚本も彼女のほぼ処女作だと思えば、辻褄はあうのですが、舞台を観ている間はそこまで思い至らず、やはり印象に残る台詞や頭に引っかかる台詞がなさすぎた。考えてみると、「ムサシ」は観ている間は楽しくて、あっという間の3時間半でしたが、深みを感じようとすると、後追いであれこれ考えなくてはならない・・・後追いではなく、せめて舞台を観終わった直後に、もう少し引っかかるもの、胸に落ちるもの、深く感じさせるものが私は欲しかったです。

そこで、大阪前楽です。埼玉前楽のコジローは、発声や台詞回しはカリギュラの時とさほど変わらないと思いました。ただ、カリギュラほど長台詞がないので、あまり気になりませんでした。カリギュラに関しては、私は個人的に好きそうな作品で、カミュの美しい台詞をきちんと味わいたかったのに、長台詞の途中から尻すぼまりになって、結局カリギュラの心情をうかがい知ることができなかった、という残念な感じが残っていました(ファンの方が生であの舞台を観たら、当時の彼の置かれていた状況が役とうまくリンクして、負のエネルギーを撒き散らす暴君に圧倒されて感激しただろう、というのは推察できるのですが・・・)。それでも、コジローが遺恨を抱えて2200日、ムサシを探してきたという、その2200日の重みを少しも引きずらず、軽くお茶目なコジローに終始していたのが、やや不満でした。舞台が始まるまえは「竜也のムサシに対峙できる人物をつくること」を目指していたようですが、その目標は戯曲が出来上がって方向転換したのか、演出家の意向でああいう役作りになったのかはわかりませんが、もう少し屈折が欲しかったです。その辺の変化も若干期待していたからでしょうか、大阪前楽で、あれほど滑舌が悪く、台詞が流れるとは想像もしていなかったので、ただただ呆然。しまいには腹が立ってきて・・・最後のムサシを心底楽しめなかったのが残念でなりません。
全公演が終わったあとの深夜のラジオで、「ふつうに台詞を言おうとすると、台詞がすべる」とはご本人の弁。発声と滑舌は剛太郎さんにもう一度習うとも。上から目線の物言いになりますが、舞台の完成度を高めるためにがんばってください、としか言いようがありません。
この日のムサシの「友人です」は時間の経過と心情の変化が私には感じとれて、すっと胸に落ちました。台詞の量も少なく、静の演技を要求されたムサシ役、難しかったでしょうが、しっかり芯が入っていて素敵でした。他のベテランの方々については、今更言うこともありません。前楽の乙女さんは埼玉で観たときより、すばらしいと感じました。昨日、杏さんのドラマ「遥かなる絆」最終回でした。骨格のしっかりしたドラマで、共演者の方々の演技もすばらしく、テーマは重いですが、心に残る作品でした。こういう作品と役にめぐりあって、着実に成長していかれるのでしょうね。今後の杏さんにエールを送りたくなりました。

長くなり、息切れしてきましたので、ここでいったん区切ります。ムサシという芝居について考えたあれこれは、また改めてということで。

ダウン・・・

2009-05-03 | Weblog
埼芸遠征後、少々ダウン。ずっと潜伏中だった風邪をこじらせて、2日ほど寝込んでいました。まあ、起きられないというほどの症状でもなかったのですが、自分を甘やかして、ぐだぐだ。
「ムサシ」は観ているぶんには楽しめる舞台でした。ムサシ、素敵だったし。でも、言いたいことはあるよなあ・・・という感じで、私的な感想は大阪でもう一度観てからにします。
埼玉で観劇したあと、上野に向かいました。目的は阿修羅展。極上の天気に恵まれた日曜日とあって、上野は大混雑でした。阿修羅展も会期を延長するほどの人気だったそうで、会場の外で20分待ちと、入口で告げられて、あっさりあきらめました。開いた時間は、地味に本館の常設展をざっと見て、やり過ごしましたが、座って作品をじっくり観られるように、館内の各所にソファが配置してあって、昔よりずいぶん見やすくなったという印象を受けました。
上野では見られずじまいだった興福寺の阿修羅像に、昨夜テレビ画面でじっくりお目にかかりました。番組の内容はとりたてて、目新しいこともありませんでしたが、全方向から、しかもアップで、阿修羅像の全容を見せてもらえたのは、うれしかったです。
5月1日は、千葉からやってきた友人夫妻を大宰府まで案内してきました。ちまたは祭りの期間中なので、なにやらざわめいていますが、それとは関係なく、週末の遠征をひかえて、気持ちがふわついています。
5月――緑の美しい季節の始まりですね。