ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

天上の紺

2011年09月30日 | 俳句雑考

老人ホームの庭隅を曼珠沙華が縁取っていた。画像は29日、鹿児島市谷山中央で写す。

   つきぬけて天上の紺曼珠沙華      誓 子

いつかは、引用句を引用したいと考えていた。


続 秋の桜島

2011年09月29日 | 俳句雑考


桜島で下船すると近くに無料の足湯があり、旅姿の若い女があがったところだった。画像は27日に撮影。

   青葉木菟母の足湯のながきかな        啄 葉

足を浸けてみると人肌と等温で、しばらくして足を抜いたが、すぐにまた浸けた。

                  時雨


そのうちに小雨が降りだした。

   時雨忌に時雨ありたるめでたさよ        素 十

芭蕉を神のように崇めている俳人は多い。


秋の桜島

2011年09月28日 | 俳句雑考

 

 

連絡船に乗って、15分で桜島に渡った。画像は27日、鹿児島港で写す。
  
    白靴や連絡船のタラップを      冬 二

運賃は150円だが、特別割引で50円だけ払った。

        くろぐろ

 

頭上にくろぐろと雨雲か火山灰が覆いかぶさるようだった。通りかかった乗務員に聞くと、迷わずに雨雲と応じた。

 

   なつぎぬや粒の灰降る桜島         古 畦


乗務員によると、火山灰ならば痛くてデッキに立っていられないそうだ。

 


夏蝶

2011年09月27日 | 俳句雑考

 

 小学校の昼休み。なんという装置なのか、女生徒がぶらさがって手で渡っていた。画像は26日、鹿児島市谷山中央で写す。

    とんで来て夏蝶のやう女の子         恭 子

歳時記によると、蝶だけでは春の季語。夏蝶は揚羽蝶、蝶、斑蝶、蛇目蝶など。


金粉

2011年09月26日 | 俳句雑考


黄色い曼珠沙華に黒揚羽がとまっていた。翅についている花粉が金粉を粧っているようにもみえた。画像は24日、鹿児島市平川町で写す。


  金粉
をこぼして火蛾やすさまじき      たかし


大岡信「折々のうた」から抜粋すると「
火に慕い寄り、焼かれつつ舞いつづける蛾。金粉をこぼして乱舞する蛾のすさまじき姿に、命の不可解な力と美がある。画家速水御舟の名作炎舞』や、ゲーテ晩年の詩浄福的な憧れが、死して無限の生命を得ようとする火蛾を一方は描き、他方は歌っていたのも思い合わされる」


錦江湾

2011年09月25日 | 俳句雑考

    私道のような細道を降りると、眼前に錦江湾がひらけ、大隅半島が霞んでみえた。画像は24日、鹿児島市平河町で写す。

      半島のだく一の鰤場かな      一 水 

大隅半島ではハマチの養殖が盛んだと聞いたことがある。

       蕎麦処

 

  街道沿いに蕎麦処の大きな看板が立ち、すこし離れたところに水車のある茅葺か藁葺の二棟の家があった。

    蕎麦や昔ながらの立場茶屋    昭 爾

駕籠舁が休憩した茶屋だろうか。

        桜島

 

    レストランの庭の椰子並木越しに桜島がみえた。

               一の眺めを肴年忘れ            鬼  房

     海の幸中心の忘年会。

   


縫う楽しさ

2011年09月24日 | 俳句雑考

 

 

ショッピングセンターの手芸品売場で、少女が熱心に端切れをあさっていた。画像は23日、鹿児島市東開町で写す。


  着るよりも縫ふ楽しさや冬支度
    節 子


昨今は生地を買って自分で縫うよりも、既製品を買ったほうが安上がりな場合が多いそうだ。

 


胡蝶蘭

2011年09月23日 | 俳句雑考


秋彼岸の今朝、エントランスホールに高価そうな生花が飾ってあった。聞くと、胡蝶蘭らしい。
画像は鹿児島市谷山中央で写す。


  導かれ来し一卓の胡蝶蘭   夜 半


料理はヒラメのムニエルにコニャックだろうか。個人的には人参入りのさつま揚げに芋焼酎
の方が食指が動くが。


阿吽像

2011年09月22日 | 俳句雑考


裏通りの空地の隅に、阿像か吽像かわからない狛犬が鎮座していた。
口もとを眺めているうちに、一像だけなのは、別の場所に片方が存在しているのではなく、一像もって阿吽を兼ねているのではないかと考えた。画像は19日、鹿児島市谷山中央で写す。


  白露に阿吽の旭さしにけり    
茅 舎

 

加藤楸邨は、引用句は「ひろびろと露曼陀羅の芭蕉かな」「金剛の露ひとつぶや石の上」とともに作者は白露浄土を表していると称讃。


紅葉

2011年09月21日 | 俳句雑考

台風が逸れ雨が小降りになったので外出すると、民家の庭木が紅葉していた。画像は20日、鹿児島市谷山中央で写す。

    近づけば暗黒であり大紅葉          ムツオ

きれいな紅葉も近づけば傷んでいる場合が多いので、目を細めて眺めるといいと教えてもらったことがある。

 


怨む合歓

2011年09月20日 | 俳句雑考

民家の緋合歓が雨粒をためていた。画像は19日、鹿児島市谷山中央で写す。

   象潟や雨に西施がねぶの花          芭 蕉

象潟は文化元年の大地震で破壊される以前は「松島は笑ふが如く、象潟は怨むがごとし」(奥の細道)と、陸奥では松島と並び称されていたという。
 
 


反射光

2011年09月19日 | 俳句雑考

川面を反射した日差しが橋のうらを明るくしていた。この現象には熟語があったはずと数日考えたが、頭に浮かばなかった。
画像は13日、鹿児島市和田で写す。

   銀杏落葉城の裏道明るうす      三年史

落城に備えたみちだろうか。


彼岸花

2011年09月18日 | 俳句雑考

赤色についで白色、黄色の彼岸花が咲いた。画像は16日、鹿児島市谷山中央で写す。

 

                                なかなか死ねない彼岸花さく             山頭火

最期は脳梗塞により、ころりと念願を果たしたといわれている。作者の辞世の句は「もりもり盛りあがる雲へあゆむ」


芙蓉

2011年09月17日 | 俳句雑考


駐車場の奥に芙蓉が群生して咲いていた。画像は16日、鹿児島市谷山中央で写す。

   ゆめにみし人のおとろへ芙蓉咲く         万太郎

夢のなかでは若かったので、懐かしくなってその人に逢いに出かけたのだろうか。


蔓に蔓

2011年09月15日 | 俳句雑考


縷紅草が雨上がりのベランダに咲いていた。風船のような実がついたと思ったが、調べてみると別種の植物で、風船蔓というらしい。
画像は今朝、鹿児島市谷山中央で写す。

   蔓に蔓からみてへくそ葛咲く        十 字

歳時記にはへくそ蔓は漢字で載っているが、作者は漢字で表したくなかったのだと思う。