ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

青瓢

2007年07月31日 | 俳句雑考

昨年、 無用の用の題で日記に載せたカーリング瓢箪の棚に、今年は普通の瓢箪がぶらさがっていた。
画像は29日、印西市草深で撮す。

   青瓢つつき解決まだ先に    明 子

解決はぶらり、ぶらりと先送りして。


屋上

2007年07月30日 | 俳句雑考

マンションの屋上を男女のペアが歩いていた。男はケイタイをかけながら。女は大手をふって。
画像は26日、ベランダから撮す。

   屋上の解放感や新社員    寥 々

ケイタイがなかった頃の作に違いない。


雉闊歩

2007年07月28日 | 俳句雑考

無人の道の中央を雉が歩いていた。5月9日付にも 路上の雉と題してニュータウンを歩く雉の画像を載せている。
背後からカメラのシャッターの音を響かせても、振り返りもせず逃 げもせず、横を向いただけだった。すぐに、鳥は横を向くだけで、背後が見えることに気がついた。27 日、印西市草深で撮す。

   刻々と雉子歩むただ青の中     草田男

雉闊歩。


凌霄

2007年07月27日 | 俳句雑考

桜紅葉が鮮やかに始まったと思って眺めているうちに、凌霄の花だと気がついた。梅雨が長いせいか、老化現象か、季節感がくるってきたらしい。
画像は26日、印西市草深で撮す。

   一樹ありて凌霄からむ浜の町    梅の門

夏の明るい海辺の光景。


実石榴

2007年07月26日 | 俳句雑考

先月に載せた「花石榴」は、早くも実石榴 に変わっていた。画像は25日、印西市草深で撮す。

   ひやびやと日のさしてゐる石榴かな     敦

岩波国語辞典によると「ひやびや」の漢字は「冷や冷や」で、冷たい感じがするさま。


真間

2007年07月25日 | 俳句雑考

梅雨明けを思わせる24日、葛飾真間を訪ねた。地元の俳人N氏の案内という豪勢なぶらり行。

   継橋

継橋のたもとに俳句ポストが立ってい た。特選三句のうちの一句は、

   万葉の風を詠み継ぐ赤とんぼ     幸 江

継橋は赤とんぼのような鮮やかな色だった。
[追記]特選句に「継」の一字がさりげなく詠みこめられていることに、公開してから気がついた。

 句碑

N氏がながいこと秋桜子の句碑に見入 っていた。崩し字のため読み通せなかったが、有名な、

   連翹や真間の里びと垣を結はず     秋桜子

ではなかった。

  菩薩

境内の一隅に坐像が安置されていた。 N氏が、
「濃艶菩薩というてな」
「まさか」
「違ったかな」

   白日傘女房菩薩と歩もふよ    宇 人

「歩もふよ」は「歩こうよ」の万葉調と独断。

 手児奈井

手児奈井の滑車は陶製だった。その昔 からそうだったのだろうか。

   手児奈井を影のごとくに三十三才   京 子

歳時記によると、三十三才は野鳥のなかで最も小さい鳥のひとつだそうだ。

 入水池

手児奈が入水したと伝えられている池 に、睡蓮が咲いていた、白花ばかりだった。  

   睡蓮の水は流るること知らず    博 美

作者は一句を詠むまでに、どのくらい睡蓮を見たのだろうか。


生垣

2007年07月24日 | 俳句雑考

老人が生垣を刈り揃えていた。画像は23日、印西市草深で撮影。

   生垣のまぶしくなりぬ青葉潮     紀 代

日が差せば生垣もさることながら、刈り落とした青葉もまぶしくなると想像した。


夏鴨

2007年07月22日 | 俳句雑考

坂田ケ池をめぐる歩道で、鴨の一団と鉢合せした。路上における互譲精神を備えた鴨と、備えない鴨がいた。
手もとの歳時記には、夏鴨として「通し鴨」と「軽鴨」の二種類が載っているが、識別法は載っていなかった。画像は19日撮影。

   鴨の陣どつちつかずのをるものよ      克 己

鴨にも性格があるらしい。


蓮華浄土

2007年07月20日 | 俳句雑考

朝、雲が厚く無風、暑くも寒くもなかった。広大な池には蓮がぎっしりと生え、人影はまばらだった。
画像は19日、成田市の坂田ケ池で撮影。

  舟

池の入口近くの蓮はまだ色づかず、青々としていた。舟が二艘浮かんでいた。

   沼舟を二艘つないで蓮見舟     越央子

漱石に有名な蓮見舟の句があるが、画像の舟が何の舟かわからなかったので、引用を遠慮した。いつか載せたい。

 蕾

まだ蓮は蕾が多かった。蕾のかたちはいろいろだった。

   蓮いま開く気に満つ無音界      さぶろ

開きそうな蕾も散見されたが、それは翌朝のはず。

  巻葉

生まれたての尖った巻葉、拳をひらきかけたような巻葉と、さまざまだった。あちこちの巻葉に蜻蛉が休んでいた。

  巻葉より浮葉にこぼせ蓮の雨    杉 月

漏斗のかたちの巻葉もあった。

  浮葉

夜来の雨に浮葉は大粒の雨を宿していた。歳時記によると、浮葉だけで蓮の浮葉のこと。

   いつぺんに水のふえたる浮葉かな   晧 史

直接の雨と、巻葉を介した雨を受けて。

  白華

白蓮は孤絶が多かった。

   合掌を開いて蓮の白妙に    自 得

開いた花には、蕾の青味が消えていた。

  紅華

白蓮より紅蓮が多かった。

   紅蓮靄を払うてひらきけり     草 城

いつの日か、蓮の開花を見たいと思う。

  散華

早くも散った花があった。

  蓮散華美しきものまた壊る     多佳子

大きな葉の上に散った花弁は瑞々しかった。


緑蔭

2007年07月19日 | 俳句雑考

バス停の屋根に黄色い花が咲いていた。花ぐるまさんに教わったキンケイソウに似ていると思い、歳時記で調べてみたが、季語としては載っていなかった。
画像は16日、印西市原で撮す。

   バス停の人それぞれに緑蔭に      タネ女

原のバス停は屋根に植物があるのだから、緑蔭と称するのは俳諧では許されるだろうか。牽強付会だとして一蹴されるだろうか。
引用句の場合は、公園前のバス停を想像する。


むつまじ

2007年07月18日 | 俳句雑考

男女の高校生が語りあいながら、交叉点で信号待ちをしていた。青信号に変わっても、しばらく気がつかないようだった。
画像は17日、印西市原で撮す。

   左手と右手むつまじ林檎むく    賢 治

一人の人間の左手と右手と思う。下五が「辻涼し」か「夏並木」であれば、画像にそぐうかもしれないが。


西瓜畑

2007年07月17日 | 俳句雑考

台風がかすめ去った後、農婦が西瓜畑を見回っていた。ビニールの覆いがどうかしてしまったのか、大きな西瓜がむき出しになっていた。
画像は16日、印西市結縁寺で撮す。

   西瓜食ぶ大きな口と小さな口     友季子

河馬のような口と、おちょぼ口が思いうかぶ。