ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

田植風景

2008年04月30日 | 俳句雑考

田圃では田植の準備をしたり、田植をしたり、植田の補植などをおこなっていた。画像は29日、印旛村で写す。

  代掻

夫婦して代掻をしていた。夫が冷暖房完備の耕耘機を操るそばで、妻が仕上げていた。

   鞭もまた泥まみれなり田掻牛    新 一

かつては重労働の代掻は牛や馬にやらせていたらしく、歳時記には田掻牛、田掻馬の例句が多い。

 畦塗


男が畦塗の準備をしていた。

   淡墨の花を螺鈿に畦塗れり     十 雨

花びらを「螺鈿」と描写。塗りゆく畦が陽光に濡れかがやいているのであろう。

 田植


四人の男女が素手で田植をしていた。

   田を植ゑるしづかな音へ出でにけり    草田男

泥田から脚を抜くとき、かすかに水の音がするのであろう。

 補植


植田のなかで男が念入りに補植していた。

   田の補植縦横斜めに水踏んで    豊 水

田植機による田植はすぐに終わるが、補植は時間がかかる。

 一服


農夫婦だろうか、男女が腰をおろして一服していた。

   一服に和む幾世を名残の茶   星 城

ふたりの茶は缶入りだった。


草取り

2008年04月29日 | 俳句雑考

うしろ手に鎌を持つ媼と道ですれ違った。野良仕事に出かけるものと思い、のどかな田園風景のなかで媼を撮りたかったので、あとについて自転車を押した。
媼はすこし歩いては休み、すこし歩いては休むので、しばらく脇見をしていると、その間に姿が消えていた。道を右に曲ったのだと推測し、右手に注意して行くと、墓地の入口があったので覗いてみた。

媼は墓地の入口のなかで草を取っていた。墓地に入って、まず目に入った草から取りだしたらしい。
画像は27日、印西市草深で撮す。

   草を取るしぐさかなしく母病めり    究一郎

作者の母は病床にあるのだろうか。


草深晩春

2008年04月28日 | 俳句雑考

午後から晴れて、汗ばむほどの陽気になった。
画像は27日、印西市草深で撮す。

  田植え

大型連休が始まり、田植えが始まった。

   山河また一年経たり田を植うる  遷 子

また青山河。

 竹の子


道ばたに食べごろの竹の子が生えていたが、掘る道具を持っていなかった。

   竹の子の力を誰にたとふべき  凡 兆

今日一日掘られなければ、この竹の子は竹になれると思った。

  たらの芽

たらの芽が摘みごろだったが、境内なので、罰があたりそうで摘まなかった。
昨年はたらの漢字は「そう」で変換できたと記憶しているが、今年は入力できなかった。

   女人堂裏は切り崖たら芽吹く  佐 智

一句の芽は、人の手では摘めないところでのびのびと育っているのであろう。


遅桜

2008年04月24日 | 俳句雑考

桜の咲いた孤樹の近くの田で、男がひとり水を引きながら、田植えに向けて点検をしていた。
画像は23日、印西市草深で撮影。

   遅ざくら越は四方なる田ごしらへ    木 国

総でもかつては今頃、男たちが四方で田ごしらえをしていたはず。


躑躅燃ゆ

2008年04月23日 | 俳句雑考

自然公園の標識が掲げてあったので、薫風のなかペダルをこいで行ってみると、真新しい斎場が建っていた。
あたりに躑躅が咲き満ちていた。画像は22日、印西市平岡で写す。

   死ぬものは死にゆく躑躅燃えてをり    亜 浪

躑躅は火葬の暗喩のように赤ばかりだった。


畑打

2008年04月22日 | 俳句雑考

老夫婦が揃って畑を打っていた。昨今の政治に対する憤りが、鍬先にこもっているようだった。無心で打っているのに、色眼鏡を通して眺めたから、そう思えたのだろうか。
画像は21日、印西市松崎で撮影。

    畑打や老いたるめをと肩並めて

老夫婦を眺めているうちに、俳句の卵ができた。モチーフは悪くないと思うものの、写真の力を借りないで、冷徹な句評を受けて、さらに推敲を重ねないと俳句とはいえない。


蒲公英

2008年04月21日 | 俳句雑考

建設用地で消防団の訓練がおこなわれていた。
指導者のひとりに撮影の許可を要請すると、
「じゃまにならないように、フラッシュは焚かないように、顔は写さないように」
出された条件を守っていると、指導しないで、眺めているだけの男が近寄ってきて挨拶した。
「遠慮なく、お好きなように撮ってください。どこへ発表されても構いません。市の消防団の宣伝になるのですから」
若い美人を選んでアップで撮りつづけていると、男が言った。
「女性部には50代の部員もいますよ」
建設用地には野原のように蒲公英が咲いていた。画像は20日、印西市西の原で撮す。

   踏む外はなき蒲公英の中歩く     とし夫

文字通り足の踏み場がないほど、蒲公英が咲いているのであろう。


香椿

2008年04月20日 | 俳句雑考

民家の生垣越しに、香椿の淡紅色の若葉が見えた。
雲間から太陽がのぞいていたが、青空を背景にした香椿を撮ることはできなかった。画像は午前中に印西市草深で写す。

   大かたは木々の名しるき若葉哉     一 音

作者のようになりたいと思う。


花豌豆

2008年04月19日 | 俳句雑考

雨後のベランダに豌豆の花が咲いていた。莢豆が採れるといいが。
画像は今朝、印西市西の原で撮影。

   豌豆のさく土ぬくく小雨やむ   蛇 笏

温かい水分を吸いあげて、豌豆は蔓をぐんぐんと伸ばしているであろう。


花屋

2008年04月17日 | 俳句雑考

ガーディニングセンターには、買うことに決めた花をワゴン車の籠いっぱいに積んでいるのに、まだ花が欲しそうな若い女性がいた。
よく見ると、ワゴン車には下段に籠をもうひとつ置ける仕組みになっていた。画像は16日、印西市草深で撮影。

   母の日や花屋に母のパート居て     洋 子

作者の母親ではなく、母親タイプのパートであろう。


百年の景色

2008年04月16日 | 俳句雑考

一礼しているような古い門があった。瓦はてっぺんから崩れ始めており、震度3程度の地震があれば倒れそうな感じだったが、考えてみればそれ以上の地震をこれまでにたびたび経験してきたはずだった。
その脇で女あるじだろうか、古い落葉をせっせと掻き集めては門内に運び入れており、門の傾きは念頭にない様子だった。画像は15日、印西市宗甫で撮す。

   百年の景色を庭の落葉かな    芭 蕉

宗甫の門は、百年前にはすでに存在し、堂々としていたにちがいない。