ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

供華

2011年07月31日 | 俳句雑考


空地を利用した家庭菜園に、白っぽい植物が育っていた。
墓に供えるのだろうかと考え、帰宅してしらべてみたが、植物の名前はわからなかった。画像は30日、鹿児島市谷山中央で写す。


   供華をもて落暉避けつつ詣るなり    草田男


供華を日傘代わりにしたのであろう。歳時記によると、盆に祖先の墓詣をする行事というわけで「詣る」は秋の季語だそうだ。


合歓の花

2011年07月30日 | 俳句雑考

合歓の花が咲いていた。画像は雲南合歓が29日、緋合歓は今朝、鹿児島市谷山中央で写す。

 
            雲南合歓


                      緋合歓

 

 

 

                            乳牛の角も垂れたり合歓の花           碧梧桐 


           合歓の花は睡魔の暗喩と受けとった。
 


鬼灯

2011年07月29日 | 俳句雑考


あまり手入れがいいとはいえないマンションの玄関脇に、鬼灯が実っていた。
歳時記によると、鬼灯は花が夏、実が秋の季語だそうだ。画像は28日、鹿児島市谷山中央で写す。


  少年に鬼灯くるる少女かな素十


こどもの頃、祖母から鬼灯をもらったことがあったが、鳴らせなかった。


鞦韆

2011年07月28日 | 俳句雑考


母子が緑地帯のブランコを勢いよく漕いでいた。画像27日、鹿児島市谷山中央で写す。

  月に動く鞦韆や誰乗捨てし     桜 桃


志村喬が演じた映画「生きる」を思い出した。


団扇

2011年07月27日 | 俳句雑考

媼ふたりが歩道と車道の境目に腰かけて、団扇を使いながら渡御や笛奏などの夏祭を見物していた。
画像は24日、鹿児島市の天文館あたりで撮す。
    

     はとバスに乗りて貰ひし団扇かな      稜 歩

ふたりの団扇は同じだった。


祭笛

2011年07月26日 | 俳句雑考

夏祭では白人乙女が横笛を奏でた。画像は24日、鹿児島市天文館辺りで撮す。

   帯巻くとからだ廻しぬ祭笛      鷹 夫

祭笛の音に急かされて、少女が帯の端をもつ母へ自分のからだを回転させながら近寄ったのだろうか。

 


渡御

2011年07月25日 | 俳句雑考

夏祭が催され、渡御が目抜き通りを練りすすんだ。
神輿上の漢は渡された稚児をあやし、舁ぎ手たちもしばらくは成りゆきを見守った。画像は24日、天文館で撮す。

   喧嘩神輿担ぎ血管みみずばれ        鈴 子

北総に住んでいたとき、よく観に出かけた成田の喧嘩神輿には、稚児を渡す親はいなかった。


夏鴨

2011年07月24日 | 俳句雑考

木之下川の砂州に、夏鴨が自分の背中に首を乗せて目を閉じていた。
画像は23日、鹿児島市谷山中央で撮す。

   己が背を褥となして鴨眠る      豊 水

カメラのシャッターを鳴らすと、鴨はすこし首を起こして目をひらいた。


青鷺

2011年07月23日 | 俳句雑考

木之下川の浅瀬に青鷺が佇んでいた。画像は今朝、鹿児島市谷山中央で撮す。

   青鷺の眼の炯々と瀬の早し 郁子

カメラのシャッターを鳴らしつづけていると、青鷺はこちらを視ながら近づいてきた。いつもは迷惑そうな顔をして飛び去るのだが。

 


苦瓜

2011年07月22日 | 俳句雑考

知人宅の裏に苦瓜が熟れはじめていた。画像は21日、鹿児島市谷山中央で撮す。

   苦瓜をさくさく食むも島の性      月 城

引用句からは、輪切りにし種と腸をくりぬいた苦瓜をさっとゆでて、鰹節をまぶし醤油をたらした酒の肴が思いうかぶ。

 

 


なでしこジャパン

2011年07月21日 | 俳句雑考

民家の小さな花壇に撫子が咲いていた。日の丸に似ていなくもなかった。
画像は20日、鹿児島市谷山中央で撮す。

   酔うて寝ん撫子咲ける石の上         芭 蕉

石は磧(俳句では河原と同じようにカワラと読ませる場合が少なくない)との解釈があるが、石の上かどうかは別として、なでしこジャパン快挙の日、引用句を実行に移したサポーターは多かったと思う。


夏菫

2011年07月20日 | 俳句雑考

薩摩の露草は大きいと思っていたが、じつは別種のトレニアと判った花が路傍に咲いていた。
別名は花爪草、蔓爪草、夏菫。画像は19日、鹿児島市谷山中央で撮す。

     山路来て何やらゆかし菫草     芭 蕉

「ゆかしき」ではなく「ゆかし」と切れているのは「どういうわけか懐かしいと感じたので、立ちどまってあたりを見まわすと、足もとに菫が咲いているのに気がついた」という句意であろう。
引用句は「熱田三歌仙」の立句だそうだ。脇は、

       編笠しきて蛙聴き居る      叩 端


鹿子百合

2011年07月19日 | 俳句雑考

まともには台風が来そうになくなったので、路地を散歩していると、民家の生籬に鹿子百合が咲いていた。
画像は18日夕方、鹿児島市谷山中央で撮す。

   百合咲くや汗もこぼさぬ身だしなみ        諸九尼

クーラーどころか、扇風機もなかった時代の狭い茶室内での嘱目吟だろうか。

 


野分

2011年07月18日 | 俳句雑考

テレビの報道によると「マーゴン」の名がついた台風が近づいているらしく、山なみの雲行きが怪しくなってきた。
画像はけさ、鹿児島市谷山中央で撮す。

    夕野分祈るかたちの木を残す      文 子

東日本大震災で、7万本のうち1本だけ残った陸前高田の松を思い出した。


むらさき

2011年07月17日 | 俳句雑考

民家の生籬に薩摩に来てから覚えた花のひとつ、ジェランタが咲いていた。
画像は16日、鹿児島市谷山中央で撮す。

   返り花むらさき淡し交はりも    青 邨

歳時記には紫色をひらがなで表現した例句が多い。