広島県短詩型文芸合同作品総鑑

『広島県短詩型文芸合同作品総鑑』
　　　村本節子・編/文化企画社1967年

ヒロシマや平和に限ったことではなく、いろいろなテーマです。そして、いろんな人が参加されています。



でも、もちろん、ヒロシマのこともあります。下「」引用。
「ヒロシマのねがい
　　　　　　　　　　　　竹内千代
くら闇を死の灰がさんさんと散りてくる夢に
さめたり雪の降る夜
人間不在核実験はなお繰りかえされて蹂躙さ
るるヒロシマのねがい
ふまれてもふまれてもなおヒロシマのひとつ
の願いを守りて生きむ
平和のねがい紙人形を箱いっぱいに折りため
ておりケロイドもつ君
世界はひと文字新しく広島のステーション
広場の標語目に泌む」

原爆ドームのことも書かれています。下「」引用。
「原爆ドーム
　　　　　　　　　豊田清史
被爆者らも三巴なし争うみずからを焼く眼
の前の火蛾
吾が裡を見する思いす亀頭なし空に骸なす原
爆ドーム
原爆ドームの木陰に憩う眼の前の土に轍（わだち）のめ
りこめる痕
人に強いわが何為せる崩れ墜つ原爆ドーム遺
さん証（あかし）
ヒロシマの焔は尽きてこともなくみどりの川
の澄みて流るる」

そして苛酷な日々を歌ったものもあります。下「」引用。
「流氷の季節
－－これはフィクションではないか
ら「曲」をつけるわけにはゆかない。
飽くまでも帰納法的な結論で終始す
るほかはないのである。－－松本清
張〈日本の黒い霧・より〉

　　　　　　　　　　深川宗俊

獄にいる君のふるさとふぶきつつ加速度のな
か窓の内の結晶
ふぶく夜の網走の雪てのひらに握りしめれば
いたし切先き
－略－」









もくじ

Index