磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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女たちの八月十五日

2008年05月12日 | 読書日記など
『女たちの八月十五日』
   相賀徹夫・編/小学館1985年

女性の有名人が書かれた本といっていいかと思います。有名人にもいろいろな人がいますね。たとえ戦争をすすめる人たちでさえ、戦争中のことを語ることができると理解できる一冊かと思います。



昭和19年4月、寮でパーティ。
パーティといっても、誰かが親から送ってもらった煎り大豆の缶を開けて披露するだけ、だけど幸せな気分に浸ったという。

戦意高揚の映画を学校でみせられたという……。下「」引用。

「学校では、時々、いわゆる戦意昂揚(こうよう)映画を子どもたちに見せた。『燃ゆる空』『西住(にしずみ)戦車長伝』など、小さな胸を感動でふるわせたものであったが、同じ年にヒットした『風の又三郎」については何の記憶もないところをみると、戦意昂揚につながらないこちらの方は見せてくれなかったのだろう。」

「戦争は究極の差別」という人たちがいる。下「」引用。

「東京の勇名なお嬢さん学校の生徒たちは、純毛の服を着、牛皮の靴をはき、アイロンのピンと利いたフリルのついたきれいなエプロンをかけて働いていたが、仕事を終るといい香りの石鹸で手を洗い、薄化粧をなおして帰っていった。すべての配給の、高級な品物など絶対手に入らない時代でも、歴然とある貧富の差に私は眼をみはった。」

「ヒロシマを歌いたい」芦原邦子・著。
--今、ボクが住んでいる所のことが書かれてありました。下「」引用。

「私の住んでいた東京近郊の東伏見は早くから執拗に米軍機に見舞われて、そのたびに、軍需工場で勤労奉仕という名目で働く、まだほんの少女の女子学生や民間人が、おびただしく犠牲になった。大型爆弾で丸くえぐり取られた、稲荷神社の広場に並べられる悲しいむくろが次々と焼かれる煙の鼻を刺す匂いは、戦争に対するさまざまな思いをかきたてるのだった。
 田無から東伏見周辺には、米人技師もいるというN航空機の地下工場があったことが、日本の本土ではもっとも早く、もっとも多くの爆弾が落とされたとされるゆえんであった。」

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芦原邦子さんは、「桜隊」園井恵子さんのことも書かれている。下「」引用。

「その後ずいぶんたってから、宝塚時代いつも一緒に、それも男役の私が息子で彼女が母親役だったり、彼女が叔母さんで私が気楽な甥(おい)の役だったりと特別親しかった園井恵子さんが、その朝原爆を受けて、神戸まで帰ったのに、死んだ、と聞いたときの驚き!
 私は今、彼女へのレクイエムと共に、折あるごとにさがし集めたヒロシマの惨を一つあかしとして、日本人は忘れてはならない、そして、人類への冒瀆(ぼうとく)を戒(いまし)め、これ以上の罪を犯さぬために世論に訴えよう! と思いたった一人である。力は弱くともまず自分のやり方でと、歌いはじめた「ノーモア・ヒロシマ」は、今年で十三年。」

「軍国少女の敗戦」松谷みよ子・著。下「」引用。

「「障子を破けば原爆がある」
 私の『ふたりイーダ』というファンタジーを映画化したとき、監督の松山善三(まつやまぜんぞう)氏はこういわれた。障子ごしの一見平和に暮らせば暮らせる今。しかしベリッと紙を一枚むけば原爆の傷跡はまざまざとあるのだ。かつての戦争中、私たちは障子を破ることは許されなかった。」

自殺をした老人のことも取り上げられていました。下「」引用。

「労働力になり得ない老人も、みじめだった。
「なぜ、この農繁期に首つりなんかするんだ。野良しごとが、ひまになるまで待てなかったのか」と、自殺をした老婆を倅(せがれ)がののしる。九十すぎの老爺(ろうや)は、孫嫁に、
「おれのたんすに毛糸のえりまきがある。おめえにやるから、代わりにおかゆを炊いてくれ」
と、手をあわせて拝む。乏しい物(ぶつ)のなくなる日が、老人たちの命の切れ目なのだ。」

自殺のことが他でも書かれてありました。下「」引用。

「三笠宮妃殿下の父君の高木子爵が、高尾山の山中で自殺されたのは昭和二十二年の夏である。」

「時の縄」竹西寛子・著。
弟のことを取り上げられていました。下「」引用。

「家族でただ一人外傷のあとをもつ弟は、-略-原爆のせいがあるかもしれないがそうでないかもしれないと言われ、骨の傷みはコルセットに頼るだけで、-略-彼もまた原爆認定患者ではない。今までのところ治療できなかった骨の痛みと鼻血を、今後も恐らく彼個人の独特な症状として引き受けなければならない家族と私は暮らしている。」








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