磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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イギリスの妖精-フォークロアと文学-

2010年09月21日 | 読書日記など
『イギリスの妖精-フォークロアと文学-』
   キャサリン・ブリッグズ(著)/
     石井美樹子、山内玲子(訳)/筑摩書房1991年

表紙の裏に書かれてあります。下「」引用。

「妖精の伝承は、消えかけたろうそくのように、燃え上がってはまたたいて消えそうになり、おそらくはまたしばらくのあいだ燃え上がる。しかし、妖精はいつの世でも、瞬き瞬きのあいだしか見えないものとされている。妖精からの贈り物を楽しみたいと思えば、秘密にしておかなければならない。」



詩人チョーサー……。下「」引用。

「イギリスの妖精信仰は、十四世紀のイギリスの詩人チョーサーの時代以来、ひとむかし前の遺物とされ、すでにすっかり姿を消してしまったと考えられてきた。しかし、不思議なことに、イギリスには、妖精伝承がいまだにある。めったに見られず、いともかすかで、弱々しいが、本質的にはかたちを変えずに、後世へと受けつがれてきている。詩人や作家はしばしば、妖精伝承に素材を求め、その素材をもとに、彼らの時代にふさわしい作品をつくっている。ときには、逆に作家の作品が伝承に影響を与え、伝承を少し変えることもある。そうした場合は、批評家や民族学者が主張する妖精伝承とは、いくぶん異なっているかもしれない。」

もともと人間、十三世紀の散文体の騎士物語『湖のランスロット』。下「」引用。

「妖精たちも、もともと人間であったとして、わかりやすく説明されている。
 さて、物語によると、ランスロットを湖につれていった乙女はフェイであった。当時は、魔術やまじないを知っている乙女はみなフェイと呼ばれた。このような女性はたくさんおり、大ブリテン島にはどの国よりもたくさんいた。……ランスロットを養い育てた貴婦人は、木がうっそうと茂る広い森に住んでいた。-略-」

出産する妖精。下「」引用。

「妖精におびきよせられて妖精の出産を助け、妖精の塗り薬をあやまって自分のまぶたに塗ったために事実をさとる人間の産婆の話がある」

『妖精神話学』トーマス・キートリー(1850年)。

『ガリバー旅行記』 下「」引用。

「スウィフトは、小さな妖精を訪ねたフォーガス・オコンラの話を知っていて、ここから『ガリバー旅行記』を思いついたことも考えられる。」

妖精の旗。下「」引用。

「高地地方には、家族の不幸を嘆き悲しむだけでなく、忠告したり、手助けしたりする妖精がいる。ダンヴェーガンのマックラウド家の妖精は、後継ぎの赤ん坊が眠るゆりかごを揺すったり、一族に妖精の旗を与えたりしたが、人間を守る妖精のなかで、おそらくいちばんよく知られた妖精だろう。妖精の旗は、たいていの妖精の贈りものと同じように、危険な贈りもので、あつかいかたを誤れば、妖精にこらしめられる。マックラウド家はとくに妖精に気に入られているようだ。というのも、近年になって採録された話では、ヘルセイの緑の女(Green Lady of Hellasay)は、この一族だけに姿を見せているからだ。」

巨人。下「」引用。

「イギリスの巨人は、どんなにグロテスクでも、だいたいのところ、グルアガッパ(Gruagach)やウリスク(Urisk)のような悪魔的な妖精より恐ろしくはない。まず、巨人は非常に頭が悪い。巨人を殺すジャックの話では、かならず人間の知恵が巨人の腕力に勝つことになっている。この話のウェールズの巨人のように、巨人はたいがい、頭が悪いばかりでなく、気が小さい。-略-」

突き棒で払う。下「」引用。

「トネリコの木は、あちこちで聖なる木とあがめられている。サマセットでは、トネリコの突き棒が、家畜や妖精や魔女から守るのに使われ、スコットランドでは、ナナカマドの突き棒が魔女や妖精を祓うのに使われた。」

魔力を持った木。下「」引用。

サンザシについで魔力を持った木は、ハシバミとリンゴである。アイルランドでは、ハシバミは、神秘的な知恵をそなえた木だと考えられた。実は川に落ち、神聖なるサケを養う。イングランドでは、豊穰と結びつけられている。サマセットのことわざに、「ハシバミたくさん、子だくさん」というのがある。-略-」

妖精の花。下「」引用。

「妖精の花は、妖精の危害から身を守るのに効果がある花と、妖精が好きな花とに分けられるだろう。」

サクラソウ。下「」引用。

「妖精はサクラソウの上を歩くことができないと言われており、戸口にまいて妖精を老いはらう。だが、サマセットでは、サクラソウは妖精の特別の持ち物だと思われている。ほかの黄色い花と同じように、しばしば悪魔と関連づけられる。花束を作っていて、サクラソウが十三本ないときは、スミレで保護しなければならない。教会や、家に持ちこむとよくないことが起こる。-略-」

音楽や詩を愛す妖精……。下「」引用。

「われわれは、アイルランドの妖精たちの壮麗さや、音楽と詩を愛する心、宴会や騎馬行進、妖精の貴婦人と妖精の馬の美しさについて、くりかえし耳にする。やはり、妖精は死者に結びつけられて考えられているかお゛、彼らのきらびやかさは、神にも似た資質からきている。どこよりもアイルランドにおいては、妖精は、かつて神であったものたちの影だと感じられるのだ。」

死者や堕天使が妖精に。下「」引用。

コーンウォールでは、ケルト人の想像力は異なった妖精を生みだしている。コーンウォールの妖精たちは、その起源が堕天使であろうと、死者であろうと、原則として、小さなかたちをしている。しかもだんだんと小さくなっていく。死者が妖精になった考えれるものが圧倒的に多く、体は小さいが、とても美しい。妖精の美しさは幻覚にすぎなくて、昼の光にまともらあたれず、夜しか出てこられないとしたのは、ピューリタン的な趣向であろう。-略-」

医術に優れた妖精。下「」引用。

「妖精は音楽と医術にすぐれていた。それでもなお、音楽の才能に恵まれた人間がしばしば妖精の丘に誘いこまれている。」

差別が妖精譚を悪用した。下「」引用。

「妖精のとりかえ子の正体がばれたとき、その子をこらしめる方法は、手荒く手きびしかった。そのために、多くの人間の子どもが苦しめられた。たとえば、甲状腺に異常があって発育が遅れている子どもや、小児マヒの子どもなどは、とりかえ子だと疑われやすかったのだ。-略-」

しかし、こんな話が……。下「」引用。

「人間の母親が、さらわれた自分の子どもが大事にしてもらえるように、とりかえ子を大事にしなさいねと忠告されたこともあった。スカンディナヴィアのある話では、妖精の母親が、人間の子どもを返すとき、度量の広さを示してこう言った。「さあ、あなたの赤ちゃんをお返しします。わたしは、あなたがわたしの子どもを世話してくれたよりも、ずっとよくこの子の世話をしてあげましたよ。」

人間の母乳を飲めば……。下「」引用。

「妖精にとって、人間の母乳はとても貴重だった。人間の乳を飲めば、妖精の赤ん坊が人間の魂を得ることができるかもしれないねと、考えていたようである。-略-」





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