総理がコジキでコジキがソーリィー![]() 102 尊敬する先輩・沙也加 「でも、そこまでしないと、あなたたちの心にできた傷を癒すこともできないわよ」 「わたしたちの心にできた傷?」 「そうよ、あなたたちの心にも傷ができているのよ」 「心に傷?」 「それも、やはり、あなたたちは理解もできていないのね、悲しいことなのよ」 「悲しいこと?」 美智子はロボットと話しているような気になった。 美智子は昨日、尊敬する先輩と話をした。 美智子の尊敬する沙也加からは、『魂の殺人』を読むように言われていた。 教育の弊害を、これほどに見事についた書物は他には知らない。 「あなたたちは、ヒトラーたちと変わらないのよ。そして、わたしたちも、変わりがないようにもなるのよ。だから、気をつけないといけないのよ。ヒトラーの父はヒトラーを虐待していたのよ」 美智子は、心に傷ができていても、それに気がつかないようにするのが、『闇教育』であり、その教育がなされていることを教える。 クラス委員は、自分の心も、見たくないシーンを見て、傷つけられていることに気がついた。それを加害者ではなく、被害者が悪いように思うのが、日本人の特性でもあるようだ。 “闇国民”とさえ言っている外国人がいるくらいである。 こんな国民は、信頼などされるわけがないのである。もし、物をいうものがあるとしたら、金と権威と恐喝・恫喝しかないのである。 しかし、いじめのメールを読んだとき、すぐにはそうは思わなかった。 「かわいそうだと三沢くんのことを始めは思ったけど、すぐに思わないようにした。だって、彼がきちんとしてたら、あんなことされないもの。そんなことされているのは、三沢くんだけなんだもん」 しかし、三沢がいなくなれば、次ぎのイケニエを求めるのが彼らのうちの誰かかもしれない……。 『闇教育』か、わたしもそういう気がする。わたしの魂が傷つけられた気がするわ。 生徒会長も自分のことでもあると思うと、これではいけないと思い、いろいろと沙也加に相談した。 沙也加は三沢少年のことが心配だった、それでボランティア仲間にどうなったか伝えてもらえることになった。 ソーリィーから岩田へ、岩田から沙也加に。 そして、沙也加から生徒会長へ。 人が美しく繋がったのである。
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