総理がコジキでコジキがソーリィー![]() 103 金魚鉢の汚染 教育の弊害は、ヒトラーにだけではない、多くの人に現れており、残虐な犯罪をした者もまた教育の弊害だと、アリス・ミラーは指摘する。 裁判官でさえ、この社会の教育を受けた同じ人間であるから、その判決にも教育の弊害があらわれているという。 金魚鉢の汚染が問題なら、その中の金魚はすべて影響を受けているといってもいいだろう。 もちろん、ここでは社会を金魚鉢として表現してある。 そんな話を長々と美智子はした。 「そういう考え方って、おもしろいわね。わたしも、その本を読んでみたいわ」 「そういうと思ったわ、持ってきたから、読む?」 --美智子の話をきいてクラス委員は喜んでいた。 美智子は沙也加が総理大臣の娘だとは知らない。 総理の娘に似た、もう一人のちがう先輩と認識している。 髪形も違うし、気さくな沙也加がまさか……とさえ思っている。 「わたしたちの生徒会を素晴らしいものにしましようよ」 電話でも、美智子とクラス委員は話していた。 「そうよね、憎しみは大切なことだと私も思うわ。ヒトラーが伯母さんを憎しむことを許されず、憎しんでいることすら、理解できない。だけど潜在意識では、その憎しみはあったわけでしょう。その憎しみを払いのけるために、ユダヤ人たちを殺したんでしょう」 「そうよ、もし、ヒトラーが伯母を憎しんでいたら、ユダヤ人を殺すこともなかっただろうし、もしかしたら、伯母さんを許すこともできていたかもしれない。憎しみをきちんとしなければ、許すことさえもできないってこと、それを知ったことが、貴重なことだったわ」 「ふーん、そんなこと教えてくれる先輩がいたんだあー。いいなあー、沙也加先輩っていうだあー」 今、女性は素晴らしい働きをしている。多くの新しい発見や、新しい考えは女性の手で行われている。 この『魂の殺人』を書いたアリス・ミラーもその一人だろう。 --教育の弊害、それは社会の弊害でもある。多くの人がもっている病的なものであり、社会病理学とも関係することだろう。
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