あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 012 人間 「ウーマン・リブっていうのがあるだろう。あれの男版と思ってもらってもいいかもしれないね」 「ウーマン・リブの男版って、小一郎、おまえ、ゲイだったのかあー」 「違うよ。でも、ゲイだったら、どうだっていうんだよ」 「別に……」 「ゲイの人を差別する方がおかしいってことくらい大学生なんだから、わかっておけよ。差別する人間なんて、人間じゃないって僕は思っているよ」 「まったく、小一郎とは話がしにくいなあー」 「人間というのはなあ! 人と人の間ってかいて人間なんだ。間をなくしてしまう差別主義のヤツは、人間なんかじゃないんだぞ! 都合のいい時だけ人間になるなよ!」 「ねえ、何をやってはんの?」 茜たちグループは興味津々である。 「君たちには関係のないことさ」 小一郎の頬はひきつっていた。 「君たちって、わたしたちのことをバカにしてまんのんかあー」 「バカになんてしてないよ。ぼくは暇人じゃないってことだよ。人生は決まった時間しかないんだよ。ほんのわずかの間しか生きていられないんだよ。無駄な時間なんてないのさ、ぼくにはとってはねえー」 「あら、ひどいわー、それなら、わたしたちが暇人みたいじゃないのー」 「そうじゃないの?」 小一郎はかんらかんらと笑っていた。 「ひどいわね」 「ひどいわねって、きみたちが、ぼくの邪魔をしているってことわからないのかなあー」 「きみたちかあー! 行きましょうよ、こんな人を相手にしても仕方がないのよ」 茜はビラを拾った。 「あら、マン・リブって何なのかしら」 「本当、あなた、わけのわからないことするのね」 「うるさいなあー、この運動の意義もわからんくせに、批判めいたことはするなよ。批判するには、まず、それを理解しないとできないんだよ。そんなことも……」 「キミタチはわからないんだろうやろ、わかってるがな」 「マン・リブのどこをわかっているんだよ」
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